マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  •   [No.1010] ありがとうございます! 投稿者:イサリ   投稿日:2012/07/08(Sun) 19:50:44     54clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

     きとかげさん、感想ありがとうございます!
     毎月七日の自己ルールについて表に出していなかったのは、明言するとプレッシャーに負けそうになるという、どうしようもない理由でした;
     結果的には守ることができましたので、まえがきに書いておけば良かったですね;; どうもすみませんでした(汗)




    >  シリーズ通しての感想になりますが、ノスタルジックな感じと言いますか。それがものすごく好きです。
    >  なんといいますか、子供の頃に、「浅はかに行動してしまったな」とか、「もっといいやり方があったんじゃないのか」って思うようなことを幾つかしでかしてしまうわけです、大なり小なり。でもって「大人になったら、ひょっとしたら最善の答えが見つかるんじゃないか」と思って……見つからないんですけどね。そういう、終わらない「答え探し」をしている。それが、いいなあ、と。


     おおお! この連作で書きたかったところはまさにそれです。
     子供のころの失敗って、なかなか忘れられないものなのですよね……。後悔しても、過去に戻ってやり直すことはできなくて、本当に正しい行動が何だったのかもわからない。でも、そういう経験こそ成長するためには大切なのかもしれませんね。

     ノスタルジーの名手、きとかげさんにそう言っていただけて、感無量です。
     この感想だけで、連載続けて良かったー! と思えます。


     半年以上の初連作、お付き合いいただき本当にありがとうございます。
     シリーズ用のネタは書き尽くしたので、短編版の方でお会いすることがありましたら、どうぞよろしくお願いします。

     ありがとうございました!


      [No.1009] 一、夢の終わり 投稿者:サン   投稿日:2012/07/08(Sun) 10:41:16     71clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

     私がご主人と出会ったのは、まだ飛び蹴りもできないようなレベルの低いころだった。
     捕まえた私をすぐにボールから出した少年は、にっと笑ってこう言った。日向にたんぽぽが咲いたみたいな、柔らかくて、優しい笑顔だった。

    「今日から、お前の名前はユイキリだ!」

     私がちょこんと首を傾げると、特に意味があるわけじゃないんだけど、と少年は苦笑した。

    「ただ、何となくカッコイイ名前だろう? よろしくな、ユイ」

     何がカッコイイのかはよく分からなかったけれど、とにかく私はそのときからご主人のポケモンになった。
     ご主人は旅をしていた。私はご主人に連れられて、たくさんの場所を見て回った。
     空まで届きそうなほど高い建物が蟻塚みたいに密集している街や、乾いた砂の風が吹く黄色い大地、一面が白一色の雪の山など。ご主人と一緒に歩いた世界は、どれもこれも生まれて初めて見るものばかりだった。
     行き交う人の多さに圧倒され、思わずご主人の足にしがみついた私に、彼は大丈夫と優しく頭を撫でてくれた。手でつまみあげた黄色い砂がさらさらと落ちていく様が面白いあまり、ついつい何度も繰り返す私を見て、ご主人は笑っていた。雪道をふと振り返れば、花びらのような小さな足跡のすぐ横に、頼もしい大きな足跡。何となく、嬉しくなって、私は黙々と足を動かす彼の横顔を見上げながら、その隣を歩き続けた。
     海を見たこともある。どこまでも、どこまでも広がる大海原に、私は例えようのない感動を覚えた。本当に世界は広かった。ご主人と出会う前の私が、どれほどちっぽけな世界を生きていたのかと思うと、喜びとも悲しみともつかぬ涙が自然と溢れてこぼれ落ちた。ご主人はそんな私を抱き上げて、いつも通りの、日向のたんぽぽみたいな優しい笑顔でそっと受け止めてくれた。その温もりが身に染みて、また泣いた。
     どれほど一緒にいたのか分からない。
     昼は色々なところを歩いたり、バトルで勝ったり負けたりを繰り返し、夜は仲間たちとご主人を取り囲み、星を数えて眠りについた。
     バトルを繰り返すうちに飛び蹴りはできるようになったけれど、まだまだ私は弱かった。仲間たちにずいぶんと助けられて手にした勝利も数多い。肝心なときに飛び蹴りを外して地面に激突し、そのまま負けてしまったこともある。
     そんなとき、ご主人はいつも私の体を労って、優しく慰めてくれた。だが、私がバトルで勝ったときなどは、とびきりの笑顔で褒めてくれた。
     まだ野生であったころに、かつての仲間が言っていたことを思い出す。人間にもいい奴と悪い奴がいる。強くなればなるほど、自分でトレーナーを選べるものだ、と。
     私は決して強くはなかったが、ご主人は優しい人間だった。ご主人が笑うと、何だか温かい心地になる。
     私は、ご主人のために強くなりたかった。
     強くなって、ご主人にもっと笑ってほしかった――



     ガタン。一際大きな揺れがしたかと思うと、それを境に音が消えた。
     どこかに着いたのか。
     揺れも収まり、しんと静まり返った世界の中で、ふいに、規則正しい足音が聞こえてきた。こちらに近づいてきているらしい。コツコツと床を叩く響きが、徐々に大きくなっていく。
     その音を聞くうちに、急に心に不安が兆した。
     だめだ。
     何も考えたくない。考えてはいけない。
     これは、全部、夢だ。
     ただの、悪い夢なんだから。
     私は目をつむったまま、必死に心の内に走る悪寒と戦っていた。
     誰かがボールの中の私を見て、蔑むような気配がした。



     その日も、私はいつものようにボールから出してもらって、ご主人の隣を歩いていた。
     近くに街があるのだろう。やたらきっちり整備された道路や、往来の多さがそれを物語っていた。
     何度かバトルも挑まれた。
     その日、私は朝から調子が良く、気持ちいいほどに飛び蹴りが決まった。一度も相手から攻撃を受けることなく、一発KOすることもままあった。

    「ユイキリ、疲れてないか?」

     ずっと戦いづめだったからか、ご主人が心配そうに眉を曇らせて私の顔を覗き込んだ。

    『平気だよ』

     私は元気に返事をした。
     ご主人にはきっと、キュウとしか聞こえなかっただろうけれど。それでも彼は何となく私の気持ちを察してくれる。

    「そうか。なら、いいんだけど」

     あまり無理はしないでよ。ぽんと頭に手を乗せられた。
     胸の中にじんわりと温かいものが広がって、私は慕わしげにご主人を見上げた。そこで、彼の異変に気がついた。
     私の方を見ていない。ご主人は顔を上げ、どこか別の方向を威嚇するように睨んでいる。
     その視線の先を追っていくと、見知らぬ男が二人、私たちの行く先に立っているのが分かった。
     今が夜であったなら、すっかり闇に紛れていただろう。男たちは頭から爪先まで、見事に真っ黒な服を身にまとっていた。
     男たちはご主人の視線に気づくと、黒の帽子と黒のマスクの間に薄ら笑いを覗かせながら、こちらに向かって歩き出した。

    「ユイ、行こう」

     ご主人は突然私の右手を掴み、前へ歩き始めた。
     今までさんざんご主人の隣を歩いてきたけれど、こんな風に手を引かれて歩くのは初めてだった。それも、そっとつまむような優しい導きではなくて、彼らしくない、有無を言わさぬ堅苦しいエスコート。
     喜びより先に、驚きのあまり私は慌ててご主人を見上げた。
     あの男たちの何がそんなにご主人を刺激しているのだろう?
     彼はきつく口を結んで、前を見据え、ずんずんと歩いていく。
     正直その慣れない歩調についていくのがやっとで、考える間なんてありはしなかった。私は何度かつまずきかけながら、遅れまいと必死になって足を動かした。
     あの黒ずくめの男たちとすれ違う、ちょうどその瞬間。一人の男がさっと手を伸ばし、ご主人の右腕を捕まえた。

    「おい、待てよ少年」

     卑しい笑いを浮かべながら、男が言った。

    「ずいぶんと可愛らしいお連れさんだな。一目惚れしちまうぜ」

     それを聞いていたもう一方が、下品な笑い声をご主人に浴びせた。

    「いや、全くだ! なあ少年。そのコジョフー、俺の嫁に欲しいなぁ、なんて」

     言いながら、男はいやに親しげな様子でご主人の肩をぽんぽん叩いた。
     嫌な感じだ。男たちはあからさまに此方が困るのを面白がっている。

    「ようし。じゃあ少年、こうしよう。俺たちとバトルして、もしお前が負けたら……」

     男は目玉をぐるりとさせて、いかにももったいつけるようにわざとらしく間を開けた。
     不意に、繋いでいた右手の圧迫感が強まった。どきりとしてご主人の顔を見上げると、彼は青ざめた顔を固く強張らせ、まるで痛みを堪えるかのごとく細かく肩を震わせていた。まるで、これから男たちに言われるであろう言葉が分かっていて、それに怯えているかのように。
     こんなご主人、見たことない。彼の不安を吸い込んでしまったように、どきどきと胸の鼓動が走り出す。痛いくらいに握られて熱のこもった手の中が、じっとりと汗ばんだ。
     男たちは、ご主人の顔を目ざとく見つめながら、歪に並んだ白い歯をにたりとさせた。

    「……少年。お前のポケモンを解放してもらおう」

     それまでにたにたと笑っていた彼らの瞳に、獲物を定めた獣のような、爛々とした光が宿った。
     まずい。この男たちは、ずっと上手だ。私の直感がそう告げた。

    「逃げよう、ユイ!」

     繋いだ手をぱっと離して、ご主人は腕を掴んでいた方の男に当て身を食らわせた。とたんによろける男の足下を、すかさず私が駆け抜ける。いつもの二足歩行ではなく、より早く走れるように、両手も使って。まろびながら前を走るご主人の後ろにぴったりとくっついて、ぐんぐん地面を蹴り上げた。
     男が何かを叫んでいる。よく聞こえない。聞きたくもない。
     心臓がばくばくと波打った。怖い。冷たい汗が首を伝い、肩に流れる。
     走る。ただ走る。
     今できるのは、それだけだ。
     と、不意に何かが風を切って、私の横を駆け抜けた。
     尻尾から頭のてっぺんまで、急に全身を逆撫でされたようで、怖気が走った。私は反射的に前へ向かって跳躍した。
     ご主人の驚愕した顔に、紫の疾風が凶器を振り下ろす。
     それは、一瞬の出来事だった。
     布地を裂くような音がして、真っ赤なものが飛び散った。
     ご主人は襲われた勢いのまま地面に倒れた。彼は這いつくばった状態のまま青ざめた顔を上げ、私を見つめた。その頬には、真っ赤な血がついていた。

    「ユイ、キリ……」

     その声は、それまで聞いたことのないほどに弱々しく、今にも消え入ってしまいそうだった。
     赤い液体が大地を濡らす。
     ご主人は、今にも泣き出しそうな、震える声で、言った。

    「ユイキリ……なんで、そんな……お前、僕を庇って……」

     私は右腕をだらりと垂らしたままぎゅっと歯を食い縛り、ご主人を襲おうとした相手を睨みつけた。
     右肩のつけ根がやけに熱い。私は流れ出るものを押し込むように、傷口に添えた左手に力を入れた。
     尋常でない痛みに気が遠退きそうになったが、今ここで倒れてしまうわけにはいかなかった。

    『どうして、ご主人を狙ったの』

     目の前ですまし顔のままこちらを見据える黄色い斑模様の紫猫に向かって、私は声を低くした。

    『知らない。そんなこと』

     いかにも関心のなさそうな、冷めた態度で、紫猫が言った。

    『命令されたから。それだけ』

     なぜ、そんな。
     いくら命令されたとはいえ、場にいるポケモンを無視して人間を攻撃するなんて。そんな命令、普通は鵜呑みにするだろうか?
     紫猫が不敵に笑う。

    『幸せなコね。世の中のこと、何にも知らないんだ』

     全身の体毛がぞっとそそけ立った。
     分かっている。気圧されているのを悟られてはならないのは。分かっている、はずなのに。紫猫の奇妙な目を見ると、胸に冷たい風が吹き抜けた。
     この紫猫は、底が知れない。身体はそこに存在しているのに、意識というか、心というか、そういったものをどこか遠くへ置いてきてしまったような、得体の知れない歪な気配を感じてしまう。
     どうしようもなく、身体の震えが止まらない。じりじりと焼けるような痛みがより一層ひどくなる。つい膝をつきたくなる。だが、ここで少しでも力を抜いたら、きっともう二度と立ち上がれない。
     私はよろめきながらもなんとか両足を踏ん張った。
     怖いけど、痛いけど。私が、ご主人を守らなければ。

    「ユイ、もういい! もういいよ! 頼むから、もう、戻ってくれ!」

     ご主人が震える手で私のボールをかざしている。
     あの中に戻れば安全なのは分かっている。でも、そのときご主人は――
     不吉な思いが心に揺らいだその瞬間、男の声が冷たく響いた。

    「デスマス、黒い眼差しだ」

     そのとたん、身体中に悪寒が走った。おぞましい眼光に晒されて、身動き一つままならない。

    「おいおい少年。いきなり逃げようとするなんて、礼儀がなってないじゃないか」

     余裕しゃくしゃくといった様子で、男たちが迫ってくるのが見えた。
     その傍らに、小さな影のような、見慣れぬポケモンが浮かんでいる。そいつは黒ずくめの男たちに合わせたような黒ずくめの全身に、金色に輝く人の顔のような仮面を持って、小さいながらも独特の不気味な雰囲気を漂わせている。
     ゴーストポケモンだ、と直感した。
     その瞬間、私の中の微かな光が消えていった。胸の奥底に辛うじて燻っていた最後の戦意が、あまりにも呆気なく崩れ落ちていく。
     格闘ポケモンの私に、勝てる手段は、何もない。

    「トレーナーなら、挑まれた勝負は断れない。だろう? 少年」

     まるで足の下に押さえた獲物を転がして、弄ぶように、男たちがにじり寄る。
     その嫌味な笑顔に吐き気を覚えた。

    「デスマス、シャドーボール」

     仮面の影から放たれた黒い塊が音もなく私に向かってくる。

    「ユイ! 避けろぉぉっ!」

     喉も割れんばかりの勢いでご主人が叫んでいる。それはトレーナーとしての指示というより、もはや祈りに近いものだっただろう。
     でも、無理だ、と思った。だって、もうどこも動かないもの。
     がっくりと膝をつく私の視界を、黒い稲妻が上から下へ、真っ二つに走り分けた。

    「ユイキリ……」

     ご主人が、信じられないものでも見るように目を見開いた。僅かに開いた唇から、私の名前が掠れ出る。手を伸ばす。私に向かって。
     まるで夢の中にいるような、現実味のない、ふわふわとした不快な感覚。光と闇が入り混じる意識の狭間で、私はぼんやりと差し出された手を見つめていた。
     触れたい。触れたい。彼の手に。彼の温もりに。
     あるいは、それは本能的な衝動だったのかもしれない。産まれたての赤子が母の乳房を探るように、羽化したばかりの蝶が飛び方を知っているように。
     私の手は、不自然なほど自然にご主人を求めていて。それでも身体はうまく動いてくれなくて。
     辛うじて伸ばそうとした左手が、不意に誰かに引っ張り上げられる。とたんに痛みまで引き上げられたようで、私はか細い悲鳴をもらした。まるで血管と一緒に痛みの脈が走っているのではないかと思うほど、ズキンズキンと一定のリズムに乗って身体中に響き渡る。
     ご主人が何かを叫んでいる。口の動きしか分からない。きいきいと金属音のような耳鳴りがうるさくて、何も聞こえない。
     すぐ後ろで、男が何かを言った。
     指示を受けたのだろうか。あの紫猫が、しなやかな足取りでご主人に向かっていく。
     止めて、止めて。彼を傷つけないで。
     どんなに心の中で叫んでも、助けてくれる者は誰もいない。
     紫猫の長い前足が鋭く伸びて、ご主人の手から何かを掠め取る。何か。
     答えはすぐに出た。それが何を意味するのかも。

    (私の、モンスターボール……!)

     それは、人間であるご主人と、ポケモンである私を繋ぐ、唯一の道具。
     あれがご主人の手にあったから、私は彼の元にいることができたのに。
     まるで身体の一部をもぎ取られたような、そして、二度と取り返しのつかないような、焦燥感と、喪失感。痛みと、絶望と、他にもいろんなものがぐちゃぐちゃになって、もう何が何だか分からない。
     紫猫が赤白二色の小さな球を咥えて悠然と踵を返し、黒ずくめの男の一人に渡した。
     男がボールを私に向け、たちまち赤い光に包まれる。
     どうしてだろう。もう何度も経験している感覚のはずなのに。
     自分のボールに戻るときは、こんなにも息苦しいものだったろうか。目が熱くて熱くて、身が引きちぎれそうなくらい悲しくて、どうしようもないものだったろうか。
     ご主人が呼んでいた。泣きながら、私の名前を。
     その声に答えたかった。彼の胸にすがりつきたかった。
     それでも、私の従わなければならない人間は、もう彼ではなくて。
     遠ざかっていく彼の声が、また悲しくて。
     私の意識は、深い深い悪夢の底へと落ちていった。



     ここはどこだろう。
     身体がぽかぽかと温かい。鉛のようなだるさも、痛みも、悪寒も、全て嘘のように消え失せている。
     ここは夢の中なのだろうか。
     誰かが私の背中をさすってくれている。毛の流れに沿うように、首の後ろから、尻尾のつけ根まで、優しく、優しく、そっとつまむような指運びで。
     この感覚には覚えがある。
     ご主人だ。ご主人が撫でてくれているんだ。
     そうか。やっぱり、あれは夢だったんだ。きっと私がうなされていたのを見て、ご主人が慰めてくれているんだ。
     こっちが本当の現実なんだ。
     何だか急にほっとしたようで、私はもう一度眠りの世界へと落ちていく。
     大丈夫。あんな悪夢を見るなんて、どうかしていたんだ。きっと少し疲れていたんだ。
     今度はいい夢を見られるさ。だって、ご主人が一緒だもの。
     大丈夫。大丈夫――



    『大丈夫だ。今は、ゆっくり休みなさい』

     誰かが心に話しかけてくる。
     低く威厳に満ち溢れ、それでいて落ち着いた声だった。
     声は、私を諭すように、一言一言区切りながらゆっくりと続けた。

    『傷は、きっと良くなる。だから、焦ることはない。
     目覚めた後は色々思うところもあるだろう。だが、決して自暴自棄になってはいけないよ。最初は納得いかないかもしれないが、よく周りを見て、落ち着いて行動しなさい。
     大丈夫。とにかく、今は静かに休むことだ。大丈夫、大丈夫……』

     夢の中の声に導かれるように、私は更に深い眠りの底へとついていった。
     今度はもう、夢は見なかった。ただひたすらにぐっすりと、安心し切って闇の中へと溶けていった。



     わあぁぁぁっ。沸き立つような喚声に、突如私は跳ね起きた。いつの間にか、またボールの中だ。
     やかましいほどの喚声からは、歓喜、怒声、激励など、さまざまな感情が入り混じって聞こえてくる。そして時折、地響き、雷鳴、いななき、何かと何かが激しくぶつかり合う鈍い音。
     何がどうなっているか分からぬうちに、私は突然ボールから放たれた。
     不思議だ。ずいぶんと長い間、外の空気を感じていなかった気がする。
     それを確かめるように、大きく息を吸って、吐こう、とした、その矢先。
     息と一緒に、心臓までも止まりそうになった。

    「固体識別番号二三六。種類、コジョフー。性別、メス。使用可能な技は……」

     見知らぬ女性。
     何かのファイルをめくりながら、感情のない淡々とした口調で情報を告げていく。
     その様子だけでも相当不気味に思えるというのに。彼女は、夢の中に出てきたあの黒ずくめの男たちそっくりと服を身にまとっていた。
     辺りを見回して、更に混乱した。
     同じような格好をした人間が、何人も、いる。
     皆、闇夜のごとき黒服に、黒い帽子、黒いマスク、黒い手袋、黒い靴。全身真っ黒の、黒ずくめ集団。
     これは、一体何の悪夢だろう。思わず肩を抱き、目をつむる。
     ご主人、お願いだ。私を起こして。どうか、どうか、一刻も早く。この悪い悪夢から、目覚めさせて。
     わあぁぁぁっ。また喚声。
     つい目を見開くと、少し離れたところに、全身に刃をつけて真っ赤なヘルメットを被った小さな人型が、相対するように組み合っていた胴長鼠を辻斬りで一閃するところであった。
     息を呑む私をよそに、黒ずくめ集団が再び地沸くほどに声を上げる。

    「固体識別番号二三一、コマタナ、認定ランクB」

     女性が、やはり抑揚のない声で言いながら紙に何やら書き込んでいく。
     地面に記された白いライン。スポットライト。広いフィールド。見覚えのあるような情景に、ここが、何をする場所なのか、うっすらと分かった気がした。
     ふと何かの視線を感じて振り向くと、白い稲妻型のたてがみを光らせながら、縦縞模様の大きな馬が此方を見つめ、いきり立つように蹄を鳴らしていた。

    「行け、コジョフー」

     聞き覚えのある声にぞっとした。振り返ると、見たことのある顔の男がそこにいる。
     夢であったはずのものは、夢ではなかった。ずっと覚めることを願っていたはずなのに、目覚めた場所は、現という名の悪夢の続きで。
     私は、真っ白になった頭のまま、自分をご主人から引き離した男の顔を呆然と見つめていた。


      [No.1008] 虚空の彼方 投稿者:サン   投稿日:2012/07/08(Sun) 10:39:27     53clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

     ガタゴトと音を立てながら、何かの貨物が揺れているらしい。辺りは黒い布を被せたみたいに薄暗く、あいにく外の様子は分からないのだが。
     その音に従うように、私の入ったボールもまた、揺れていた。
     察するに、何かの乗り物に乗っているようだった。前にご主人と乗った、眩い光を発しながら真っ暗なトンネルをひた走る巨大な鉄の塊が、これと似たような感覚だったように思う。
     ボールの中にいることもあってか、小気味良いリズムはまるで揺りかごのよう、ガタゴト音はさながら子守唄といったところか。私はその揺らぎに身を任せ、うとうとと目を閉じていた。
     体はひどくだるくて、頭は重石をくくりつけられたようにぐらぐらする。何かを考えることすら億劫だった。重苦しい意識の中、ただひたすら、眠りにつくことだけ集中していた。
     これは、ただの悪い夢。寝て起きたら、きっと、全て元通りになっているはず。
     そう自分に言い聞かせながら。








    ―――――――――――
    BW2をやってたらふと書きたくなったので、一気に書きなぐりました。
    とりあえず読みきりサイズには収まらなかったので続きます。
    完全なる見切り発車です。どうなることやら……

    すでに長編一本連載していますが、特にいくつまでという規制もないようなのでこちらに投稿したいと思います。
    簡単に見積もって五、六話くらいの長さになりそうです。
    できるだけ完結できるよう頑張ります!

    また、この作品は流血シーンや生々しい描写を少々含みます。
    苦手な方はお気をつけ下さい。


      [No.1007] 完結おめでとうございます 投稿者:   《URL》   投稿日:2012/07/08(Sun) 00:38:42     56clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

     連載お疲れ様です。締め切りを自分で決めて自分で守るというのは見習いたいものです……自分、中々それができません。それはさておき。

     ナナシマ数え歌、毎回楽しく読ませていただきました! “七日が締め切り……”という話を先に聞いていれば、毎月七日を楽しみにして過ごしていたと思います。

     シリーズ通しての感想になりますが、ノスタルジックな感じと言いますか。それがものすごく好きです。
     なんといいますか、子供の頃に、「浅はかに行動してしまったな」とか、「もっといいやり方があったんじゃないのか」って思うようなことを幾つかしでかしてしまうわけです、大なり小なり。でもって「大人になったら、ひょっとしたら最善の答えが見つかるんじゃないか」と思って……見つからないんですけどね。そういう、終わらない「答え探し」をしている。それが、いいなあ、と。

     どの話も、読む度に心のどこかに刺さりました。(いい意味で)
     読めて嬉しかったです。ありがとうございました。


      [No.1006] あとがき 投稿者:イサリ   《URL》   投稿日:2012/07/07(Sat) 21:45:51     67clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

     連作短編「ナナシマ数え歌」これにて完結です。
     毎月七日の更新を目標に、間に合わねえええええっと思ったこと、もはや数え切れず。
     何とか完結できてよかったああああ



     今回舞台としたナナシマは、リメイク板の赤・緑で追加された地方?です。
     自然が豊かで、各々の島には特徴が溢れていて面白いので、好きな地方の一つです。
     管理人様がホウエンをプッシュしていらっしゃるので、私はナナシマが好きな人が一人でも増えればいいな、と(無謀


     一つの地域を舞台にした連作短編で、話ごとに主人公(語り手)と文体が変わる構成は、「草祭」という小説の影響を受けています。
     民話風の話が好きな人にはぜひお勧めしたい一冊です。私は擦り切れるくらい読み込んでます(笑)


     この連作の、大きなテーマは「迷走」です。
     思い、悩む姿こそ、真に人間らしいと私は思うのです。
     そんなひねくれかただから純粋なハッピーエンドが書けないんですよねわかります(


     以下、各話の後書きを、さっくり書いてゆくのでネタバレが嫌な方はご注意ですよー






    【序章】
     発端は、一つの数え歌。
     息抜きで作った歌から小説ができるという、何ともアレな始まりでした。
     書き始めたのが一昨年の秋だから、一年半も足踏みをしていたという実に残念な初連作。


    【1】火炎鳥
     火炎鳥の設定のモデルは、ハワイ神話の「ペレ」という神様です。美しく、気性の激しい、火山の女神。
     某漫画の影響なのか、火の鳥には女性っぽいイメージがあります。


    【2】藤蔓の揺籃
     テーマは『葛藤』です。  
     長老のモデルはロンサム・ジョージ。たった一匹のピンタゾウガメ。最近亡くなったと聞いてショックでした。
     原語でいうところの"from the cradle to the grave"の表現をなんとか使いたかったけれど、そのまんま使うとあんまりなので何かいい表現は無いか……と必死に探しました。
     別に使わなければ……いいのに……とか……


    【3】木の実の鈴
     もはや何も言うまい。



    【4】氷の時間
     1の島が火の島なら、4の島は氷の島。
     途中で交わされる議論は「悪魔の証明」をもじった話題です。


    【5】潮騒の迷路
     肝試し、楽しそうだけどやったことが無いのです。
     ラプラス本当に好きだなぁ。


    【6】そらゆめがたり
     オモダカ氏の名前は漢方薬に使う植物から。漢字で書くと「沢瀉」。タクシャとも読みます。……初見殺しである。
     平和を願いつつ心のどこかでは破滅を思うような、危なっかしい話にしたかった。共犯者の心理というかなんというか。


    【7】旅の終わりに
     序章で旅に出た語り手の帰着点。
     物語的に起伏は少ないのですが、大きな括りとして穏やかな結末にしたかったです。
     ナナシマの名前の由来は七日で出来たという言い伝えから、というのは実は公式設定なんですよ。



     最後に、連作を読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。
     読んでくれている人がいる! という思いがあったからこそ、挫けず、締切にも負けず続けられました。
     マサポケのすべての方々に感謝の気持ちを!


      [No.1005] 【終】 投稿者:イサリ   《URL》   投稿日:2012/07/07(Sat) 19:47:18     91clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

      一つ、火の鳥舞い降りて

      二つ、藤の葉 縄跳べば

      三つ、実のなる木の森と

      四つ、夜経る凍滝の

      五つ、いつかの迷い路

      六つ、昔の文字残る

      七つ、七日で出来た島




      四季折々の風が吹き

      色取り取りの花が咲く


      七日の内に現れて

      七日の内に消え失せる


      あたかも夢のような島

      遠のく夢の中の島


      歌え ナナシマ数え歌


      [No.1004] 【7】旅の終わりに 投稿者:イサリ   《URL》   投稿日:2012/07/07(Sat) 19:42:35     110clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

     旅の途中でこんなことがありました。
     畑で農作業をしているおじさんに道を尋ねると、彼はこう答えました。
    「この先で二つの道が交わっている。かまわず真っ直ぐ進みなさい」
     しばらく進むと、ポケモンを連れた旅人とすれ違いました。「何処に行くの?」と訊ねられ、私が目的地を告げると彼はこう言いました。
    「この先で道が三つに分かれている。そこを真っ直ぐ進めばいいよ」
     何か変だなと思いながらもそのまま進むと、目の前に現れたのは大きな十字路でした。

     確かにこれならば道が交差しているとも分岐しているとも表現できると納得しつつ、二人の言葉の微妙な違いに気づき、はっとしました。
     地元の人間から見れば、十字路は日々利用する通過点。旅人から見れば、十字路は目的地に着くために選択するべき分かれ道なのです。




    【7】旅の終わりに




     七ノ島にある民芸品店に入って、本土の両親に買って帰るお土産を選んでいた時のことです。
     お店に並べられた棚には、木彫りの人形や綺麗な石で組み上げられた置物が所狭しと並べられていました。

     一際目を引いたのは、カウンター近くの棚いっぱいに並べられているフクロウの置物でした。片足で立つ真ん丸い子供のフクロウたちは、一体一体微妙に表情が違い、とても愛嬌があります。
     対して、親フクロウの置物の、鋭い眼を光らせ、両翼を広げるさまは、さながら夜闇を引き裂き獲物を狙う狩人のようです。
     そういえば、このお店の看板もヨルノズクの浮彫でした。フクロウはこの店のモチーフなのでしょう。眼鏡をかけて座っている、優しそうな店主のおばさんも、どこか枝に止まったフクロウのように見えます。 
     並べられていたホーホーの置物の中から、気に入った一つを選び、カウンターの前に立ちました。
     店主のおばさんと目が合い、何となく「このお店にはフクロウが多いですね」と話しかけてみました。

    「気が付いてくれてありがとう。フクロウは、縁起の良い鳥なのよ。苦労がない。不(フ)苦労(クロウ)ってね。」と朗らかな返答がありました。

    「お客さんは、旅人さんなのかい?」
    「え……っと」

     肯定か否定か、どちらを答えればよいのか、少し迷いました。おばさんのいう『旅人』が単に『旅行者』のことならば、『はい』と答えて差し支えないでしょう。
     ですが、『旅人』という言葉はしばしば『リーグを目指すポケモントレーナー』を意味するのです。各地方に点在するジムを巡り、手持ちポケモンを戦わせ競い合わせることで頂点を目指す、狭い意味でのトレーナーのことです。
     つまり、『あなたは旅人ですか?』と訊ねることは、『お手合わせ願いたいのですがよろしいですか?』という意図を含むことがあるのです。実際に、よくわからないままバトルを申し込まれた人の話を耳にしたこともありました。
     ……今の自分の状況を考えると、そういう意味で訊ねられた可能性は低いのでしょうが。

    「ナナシマには、観光のために、来たんです」
     私は護身用にポケモンを連れてはいますが、リーグを目指しているわけではありません。広い意味でのトレーナーには違いないのですが、微妙な立ち位置ゆえに歯切れの悪い回答になってしまいました。

    「そうかい。ナナシマの自然は美しいでしょう」感慨深げにおばさんが目を細めるので、「ええ、とても」と私も微笑みで返しました。
     本当に、ナナシマは美しいところです。

    「旅人さんに気に入ってもらえて、なによりだよ。この島のポケモンセンターの隣に資料館があるから、興味があるなら行ってみるのはどうかしら」
    「そうですね、ぜひとも行ってみたいです」
     そんなところがあったとは知りませんでした。島の人のお勧めとあれば、一度は見てみたいものです。
     子フクロウの置物の御代を手渡しながら、私は彼女にお礼を言って、店を後にしました。



     小さな民俗資料館は、予想以上に興味深いものでした。
     ナナシマの各々の島の特徴、成り立ち、祭事や風習、生息しているポケモンの種類まで細かな展示があり、夢中になってそれらを眺めていました。
     展示の最後、七ノ島のアスカナ遺跡の展示の前にたどり着いたとき、私は我に返り、時計の表示を確認しました。
     時計の短針は二時を過ぎたところ。予定ではシッポウ渓谷を半ばまで歩いている頃です。
     ああしまったと思いつつ、船の時間を確かめるためにポケモンセンターに向かいました。
     アスカナ遺跡観光は、七ノ島で最も楽しみにしていた事の一つ。明日の朝には本土へ返らななければならず、この機を逃せば次がいつになるかわかりません。


     アスカナ遺跡へ向かう船の次の便は、今からちょうど一時間後でした。
     シッポウ渓谷は長くて険しいでこぼこ道で、この分だと遺跡に辿り着けたとしても返ってくる前に日が暮れてしまうでしょう。
     ――定期便の発着時刻をしっかり確認しておけば良かったなあ。
     しかし、後悔しても始まりません。


     気分を変えるため、海の見える高台に登り、ぼうっと遠くを見渡しました。
     北の方角を眺めると、お隣の六ノ島が手前に見え、その向こうに島の影が二つ、三つ連なっているのが微かに見えました。
     この旅の間で、自分の辿ってきた軌跡です。


     辺りに人気のないのを確認して、私は腰につけたモンスターボールを放りました。 
     獅子のようなタテガミをもった勇猛な獣――ウインディが、ウォン、と一声吠えながらボールから飛び出しました。
     元々はボディーガードの代わりに家から連れてきたガーディでしたが、一ノ島の灯火山に登った時に図らずも進化してしまったのです。
     灯火山では今でも時々炎の石が見つかるそうです。きっと私のガーディもどこかで石の影響を受けてしまったのでしょう。

     大自然の力って素晴らしい。

     ……そう、納得してしまって良いものでしょうか。実のところ、電話での母への定期連絡ではまだ正直に伝えられていません。こんな筈ではなかったのに、何と言い訳すれば良いのやら……。
     でも、まあいいや、と私はひとりごちました。例え家の中で飼えなくなったとしても、私がトレーナーとしてしっかりすれば良いことです。……具体的にどうすればいいのかは今は敢えて思考の外なのですが。

     アスカナ遺跡を観に行けないとわかると、なんだか途端に気が抜けてしましました。
     一週間、ナナシマを旅し続けた疲れがここで出てきたのかもしれません。
     高台の広場をのびのびと駆けるウインディを見ながら、私は大きな木の幹に背中を預け、ゆっくりと目を閉じました。
     


     朧な意識は暗闇の中を浮かんでは沈んでいきます。

     夢に成りきれなかった映像の断片が、水面に浮かぶ泡のように目の前に現れては消えていきます。
     ほとんど記憶に残ることのない儚い幻の輪郭を、もっとしっかり見ていたいような気持ちになりました。


     ――きらきら光る水面に映る鳥の影。羽ばたく。羽ばたく。大きな翼で風を切り、海面すれすれを飛ぶ。目指すのは、彼方に見える緑の島―― 

     眩暈のような浮遊感とともに、視点がくるりと変わります。 

     ――自分より背丈の高い草の中に身を隠す。走る。走る。凶暴な鳥に見つかるとまずい。早く巣穴に帰らなくては。巣穴は、林の岩の陰。そこに行けば、守ってくれる。五片の花を咲かせた偉大なヌシが――



     頬に当たる冷たい感覚で、急に意識が覚醒しました。目を開けて、状況を確認しました。
     ウインディがそばにすり寄り、湿った鼻先を私の頬にくっつけていたのでした。

     わずかの間に夢を見ていたのです。
     もうよく覚えていませんが、何かを追っていたような、何かから逃げていたような、不思議な感覚が残っていました。



     霞む目をこすりながら、今日ここへ来る前に資料館で見た、ナナシマの成り立ちについての記述をふと思い出しました。
     それによると、七つの島があるからナナシマと呼ばれている……というのは間違いで、本当は七日で出来たという伝承からナナシマと名付けられたそうなのです。
     よく考えたら妙な言い伝えだなと思います。七の島にはアスカナ遺跡があります。千年以上も前の遺跡で、遺跡を作った人々は既に絶え、現在のナナシマの人々とは文化的繋がりはおろか血縁的な繋がりさえ無いと考えられています。
     何のために造られた遺跡なのかもわからず、そこに残る古代文字の解読も、未だに終わっていません。いにしえの人々が何を見て、何を考えていたのかを現在正確に知る者はいないのです。
     それならば、ナナシマが七日で出来たのを誰が見ていて、現代に言い伝えたというのでしょうか。

     七日で出来た……ではなく、七日の内に出現したと考えるとどうでしょうか。ナナシマは海と大陸の微妙な均衡の上に存在する島々で、大地の隆起によって現れ、海水面の上昇によって水の底に沈むと考えれば。
     かつて陸の神と海の神が争っていたといわれる大昔には、ナナシマは沈んだり浮かんだりを繰り返していた。そのために七ノ島と六ノ島には文化的な断絶があると考えるのはどうでしょう。

     いえ、それよりももっと突拍子もなく、ナナシマは長い長いスパンで現れたり消えたりを繰り返しているのでないでしょうか。いつだったか聞いたことのある、遠い地方の幻島のように……。

     ――ありえない。

     その考えは即座に打ち消されました。
     やはり伝承は伝承でしかなく、昔の人の思い違いが伝わったものか、何か別の話が形を変えたものと考える方が妥当な気がします。
     そうでなければ、今ここにある島々さえもいつの間にか消えてしまいかねないではありませんか。……そんなことは考えたくもありません。


     不毛な事を考えるのはもう止めよう。寝ぼけた頭でこれ以上考えても仕方のないことです。
     きっともう一度眠りに落ちて目覚めたらきれいさっぱり消え失せて、記憶の端にも残っていない幻なのですから。




     嗚呼、それにしても、ナナシマは本当に美しい場所です。
     かつて確かに断ち切られたはずのこの土地との絆を、今ならもう一度結び直せるような気がしました。


     薄らと目を開けると、水平線の彼方へ沈んでいく夕日が見えました。
     空も、海も、陸も、すべてが溶けあい、入日色の光に包まれます。私は再び目を瞑り、温かい微睡の中に沈んでいきました。




     何処からか、子供たちの歌い合う声が聞こえてきた気がしました――


      [No.1003] 第22話「ボランティアと秘密の訓練」 投稿者:あつあつおでん   《URL》   投稿日:2012/07/02(Mon) 09:22:19     79clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    「おお、来ましたね」

     10月31日の土曜日、午前8時。俺達は再びサファリパークに来ていた。再びと表現したが、これから毎週来ることになるだろうな。さすがに10月末だと、この時間帯でも朝日がまぶしい。サングラスをしていても、これは中々こたえる。

     そんな中で、俺達はバオバ支配人と落ち合った。作業服姿だが、支配人としての気品がそこかしこに感じられる。

    「ああ、今週からよろしく頼む。ほら、お前達も挨拶しな」

    「おはようございます、イスムカです」

    「ラディヤです。この度はお誘いありがとうございます」

    「オイラはターリブンでマス。よろしくお願いしますでマス」

    「それでは行きましょうか。まずは……」

     挨拶も済んだところで、バオバ支配人は出発しようとした。おっと、これだけは先に断っておかなきゃな。

    「ちょっと待ってくれ、1つ頼んでおきたいことがある」

    「なんでしょう?」

    「……俺達がここでボランティアをしていることは、部外者には漏らさないでくれ。部活もここで行う都合上、余計な情報漏洩は避けたいんだ」

    「そういうことですか。経営者としては非常に共感できる話ですね。分かりました、あなた方がここにいることは伏せておきましょう」

     俺の頼みを、支配人はあっさり受け入れた。完全に信用することはできないが、ひとまず情報管理には目処が立ったな。まあ、他校に手の内を探られる程強くならなければ意味無いが。

    「そうしてもらえると助かる」

    「では、改めて出発しますか」

     俺が礼をすると、支配人は歩を進めるのであった。さあて、一仕事やってくるかい。










    「今日はこの辺りの清掃をやりましょう。終わり次第園内に戻ります。さあ、今日も張り切っていきましょう!」

    「合点だ。さあ、どんどんやるぜ!」

     10分後、俺達はサファリに沿って流れる川に到着した。流れは穏やかだが、山を下れば急流になり、やがて海となるのが川と言うものだ。足元をすくわれないようにしねえとな。

     そこで、俺はボールから1匹のポケモンを繰り出した。ニョロボン、俺が旅を始めた頃に捕まえたポケモンだ。勝負の機会は少ないが、毎日の鍛練のおかげで今だに筋骨隆々としている。

    「ニョロボン、腹ごなしにここいらの掃除をするぞ。終わったら水浴びでもしよう」

     俺がこう指示を出すと、ニョロボンは上機嫌で作業に取りかかった。地上で生活できると言っても、やはり水が好きなんだよな。俺はあまり好きではないが。

    「いつ見ても強そうですね、先生のポケモンは」

     ニョロボンの姿を見たイスムカは、思わず手を止めため息を漏らした。さすがにわかるようだな、こいつの強さが。

    「当たり前だ。数々の修羅場をくぐり抜け、数多の大会で実績を残した奴らばかりだからな」

    「ほう、例えばどんな大会でマスか?」

    「筆頭は言うまでもなく……いや、それは言えんな。知りたきゃ自分で調べろ」

     危ない危ない、口を滑らすところだった。仮に部員だろうが、俺の正体を感づかれるような話を聞かせるわけにはいかねえからな。まあ、予想通りターリブンがいぶかしがるわけだが。

    「えー? もしかして、さっきのは嘘でマスか?」

    「違う。なんでもポンポン答えたら、調べる癖が身につかないだろ? そのことを憂慮しての判断だ。少なくとも、校長に勝っているのだから実力はある」

    「それもそうですわね。校長先生は、今では全国でも指折りのジムリーダーですから」

     ナイスフォローだラディヤ。彼女の言う通り、タンバジムリーダーのシジマは非常に強力だ。彼の使う格闘タイプは近年強化が著しく、毎年のように新しい技やポケモンが登場している。さらに、リーダー自身も研究を重ね、今ではジョウト地方で最も強いのではないかと目される程だ。あの時は勝てたが、6匹で勝負したら分からないな。ま、今はどうでも良いことだが。

    「そう言うこった。って、ついつい無駄口叩いちまったぜ。ほら、口よりも手を動かせよ」

    「はーい」










    「ふう、今日はこれで終わりか?」

    「ええ。お疲れ様でした、明日もよろしくお願いしますよ」

    「ああ。さて……」

     午前11時48分。一通り片付けた俺達は、サファリに戻ってきた。随分時間を食っちまったが、良いトレーニングになったろう。

    「じゃあ、早速訓練開始だ。今日は場所も良いからな、特別に勝負をするとしよう」

    「ほ、本当ですか!」

    「ただし、使えるのは先週サファリで捕まえたポケモンだけだ。新顔のチェックと言うわけだが、もしいないなら他の手持ちを使え。それじゃ、さっさと選びな」

     俺の発言に目を輝かせた3人は、嬉々としてボールを手に取るのであった。さあ、真剣勝負の始まりだぜ。


    ・次回予告

    さあ、久々の対決だ。地方大会では散々な出来だったが、今回はもう少し踏ん張ってもらいたいところだな。次回、第23話「新顔現る」。俺の明日は俺が決める。


    ・あつあ通信vol.88

    本当は今回で対戦パートに入るつもりでしたが、思いの外長引いたので分割にします。

    しかし、最後にバトルしたのって何話ですっけ? 今作は雑談回があまりにも多すぎて、売りである対戦回が少ないのがちょっと気になりますね。ストーリーの都合上仕方ありませんが。


    あつあ通信vol.88、編者あつあつおでん


      [No.1002] 六、忍び寄るもの 投稿者:サン   投稿日:2012/06/28(Thu) 21:24:06     50clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

     青々と茂った背中の巨木は、朝からたっぷり光を浴びてますます葉を艶めかせた。春の陽気に誘われて見晴らしのいい丘の上で日光浴をしていると、どこからともなくムックルたちがやってきて、思い思いの枝に羽を休め始めた。
     何とも平和な午後だった。
     グレスは足元でまばらに散りばめられた色とりどりの花を見て、にっこりと微笑んだ。どれも小さいながらも美しい、可憐な花々である。実のところ、今年もこの光景を見られるものか、グレスは少し心配していたのだ。
     グレスは齢三百を超える大きなドダイトスだ。他のどのポケモンよりもたくさんの春を経験してきたのだから、今年の春がいやに遅いことは彼の不安を駆り立てた。
     このレインボーアイランドは、七色列島の中で最も豊かな四季の巡る島だ。その恩恵を受けて、他の島々より遥かに多くの種類のポケモンたちが暮らしている。
     島の中心に大きくそびえる霊峰、アルカンシエル。それがこのレインボーアイランドの象徴であり、島の名の由来でもあった。灰褐色をした山肌は悠々と天を突き破り、遥かな頂には七色の虹が橋を架ける。その虹は、何故か昼であろうと夜であろうと、雨が降ろうと雪が降ろうと、何が起きても輝き続けた。聖なる山と呼ばれた由縁である。
     そこには神々に最も近い存在の竜たちが住むと言われているが、何とも確かめようがないので分からない。不思議なことに、山には近づくことはできても登ることはできないのというのだ。山頂目指して山道を歩いているとたちまち深い霧にもまれてしまい、登っているのか下っているのかも分からぬうちについにはふもとへ出てしまう、といういわくである。そのような少々不気味な匂いの漂う噂がある上に、そもそも神聖な山に登ろうという輩自体が少ないため、真偽は定かではない。
     そのアルカンシエルの頂から虹が消えたのは、いつの頃だったか。威風堂々といった様子で空を割る雄大な姿そのものは変わりないのに、虹が消えた山頂には、代わりに真っ白な雲が帽子のように被せられるようになった。もちろん、こんなことはグレスの長い生涯の中で初めてのことである。
     七色の神鳥を崇めるこの七色列島で、山の虹が消えたなど、不吉な予兆にしか聞こえない。他所の島では近ごろ木の実の出来が悪く、腹を空かせたポケモンが食料を強奪するというおっかない話も聞く。また、とある島が何ヶ月もの間ひどい吹雪に襲われたとか、あるところでは干ばつ、またあるところでは水害と、ここ数年の異常気象は目を見張るものがある。
     幸い、この島ではまださほど悪い噂は聞かないものの、これはやはりというか、何かとてつもなく恐ろしいことが起こる前触れではないだろうか。例えば、そう、古くから伝わる、あの伝説のように。
     グレスはつかの間目を閉じた。希望がないわけではないのだ。ただ、今はまだ、黙って見守らねばならない。あの子らは、その身が持つ意味を何も知らない。全てを伝えるには、まだ、あまりにも幼すぎる。
     グレスは胸につかえる重苦しい気持ちを吐き出すように大きく息をついた。すると、背中の木が揺れたのだろう。ムックルたちが次々と不満げに鳴き出した。

    「おお、すまんね。チビどもや」

     しわがれた声でそう言うと、ふと、あの子らが村に来た日のことを思い出した。あれは確か、山から虹が消えた翌日のことだったか。崖っぷちに横たわる産まれたばかりの二匹の幼子と、それを頑なに守ろうとして行方知れずになった獣の姿。今でもありありと思い出せるのは、それだけあの出来事がグレスの中で印象深かったということなのだろう。
     すると――

    「おーい、グレスじいちゃーん!」

     甲高い子供の声がして、グレスははっと顔を上げた。驚いたムックルたちが一斉に飛び立っていく。幾重にも重なる羽音を聞きながら目を凝らすと、丘の下から、何匹かのポケモンが駆け上がってくるのが見えた。一、二匹……いや、少し離れたところに三匹目。
     グレスは最後尾をゆっくり走るそのポケモンに目を止めるや、驚きのあまり釘づけになってしまった。先ほど思い起こしていた記憶の中の姿と何ら変わらない、そして、この島ではまず見ることのないそのポケモン。

    「デルビル……なんとお前さん、生きておったのか!」

     グレスが叫ぶと、デルビルは驚きの表情を浮かべた。先に丘を上り切った二匹は、一体全体何のことかときょとんとする。
     二匹のうち、青色の耳をした方が何か言おうとしたとき、ずっと後ろにいたはずのデルビルが風のような速さで走り寄るなり間髪入れずに口を開いた。

    「お前、おれのことを知っているのか!?」

     そのあまりの勢いに、さしものグレスも顎を引いた。

    「んん……? 何じゃお前さん、あのときのデルビルではないのか? わしはてっきり……」

    「バウト、おじいちゃんと知り合いなの?」

     先着組の赤い耳の方がデルビルを見上げると、彼ははっとしたように我に返り、何ともばつの悪そうな顔をして半歩退いた。

    「あ……いや、すまない。おれの勘違いだ。……とりあえず、こいつらの話聞いてやってくれ」

     グレスは訝しげに瞬きをしたが、特に話を掘り返そうとも思わず、デルビルが鼻先で指し示した二匹に視線をやった。

    「ノウ、リオ、わざわざこんなところまで。一体どうしたんじゃ?」



     同じころ。

    「ねぇランディ、もう戻ろうよぉ。お腹空いたよぉ」

    「そうよ、もうそれがいいわ! なんだか怪物みたいな声も聞こえたし、ノウくんたちもきっと引き返してるわよ!」

    「うっさいなー、マルル、チェルシー。今そうしようと思ってたところだよっ」

     薄暗い森の中、三匹の子供たちは互いの不安や苛立ちをぶつけるように言い合っていた。
     好奇心につられて足を踏み入れたはいいものの、どんなに歩き続けても、森の表情は変わらぬまま。不健康そうな細い木々が見渡せるずっと先の方まで立ち並び、真っ直ぐ歩いてきたはずなのに、まるで堂々巡りをさせられているかのようである。幾重にもなった頭上の木の葉は意地悪く、日の光をすっかりしっかり遮ってしまっているため、時間も方角もさっぱりだ。木に登って太陽の向きを探ろうとも試みたが、どれも背伸びをしているみたいに垂直でとっかかりがない上に、つるつるの木肌が邪魔をして、もともと木登りの得意でない三匹にはどうすることもできなかった。
     足取りは不安とともに重くなり、口を開けば八つ当たりめいた不満が何よりも先に飛び出した。
     先頭を歩いていたランディは立ち止まり、むっつりとした顔で後ろにいたウパーとチェリンボを見回した。

    「だいたい、何もないじゃんかこんなとこ。UFOも見失っちゃうしさ。これで大人たちにここへ行ったことがばれたら、おれたち怒られ損だぞ!」

    「いいよぉそんなこと……それより早く帰ろうよぉ」

     マルルがすっかり疲れた様子でそう言うと、ランディはニドラン♂特有の小さな針を尻尾の先までぴんと尖らせて声を荒げた。

    「よくないっ! そもそも、ノウの奴が言い出しっぺだろ。リオも勝手に飛び出してったしさぁ。あいつらマジどこ行ったんだよ」

     突然冷たい風が吹き抜けて、大きく木々がざわめいた。緑の木の葉が不気味に踊り、からかうように擦れ合う。
     三匹はごくりと息を飲み込んだ。さっと青くなった顔を見合わせて、互いに互いを勇気づけるよう頷き合う。

    「……よし。じゃあ、戻るぞ。おれがまた先頭を歩くから、お前らしっかりついてこいよ。……番号! いちっ!」

    「にぃ!」

    「さん!」

    「よん」

    「……よん?」

     ランディは声につられて振り返った。マルルとチェルシーも同じように後ろを見た。
     にぃっと笑った真っ赤な瞳と目が合った。

    「……え」

     子供たちは、最初、呆然とそれを見つめた。
     いつの間にか隊列の一番後ろに、見たこともない、真っ黒で大きな布のようなものが加わっているではないか! 真っ赤に充血したみたいな目がぱちぱち瞬くと、見る間に三日月型に布が裂け、ニタリと白い歯を覗かせる。
     ランディの全身の針がぞっとそそけ立った。

    「うわああぁぁぁ! で、出たあぁぁぁ!」

     子供たちはありったけの声で叫ぶと、たちまち弾けたように駆け出そうとした。が、皆恐ろしさのあまり足がすくんで動けない。
     そいつはケケッと不気味に笑うと、ふんわり宙に浮き上がり、腰を抜かした三匹の前へ音もなく着陸した。

    「まぁ、そんなビビるなよ。まだ何もしてないだろ?」

     声は、さほど気味の悪い感じはせず、どちらかといえば陽気ささえ感じさせる軽い調子だった。それでも、その声色には得体の知れない響きがあった。一本残らず逆立った全身の針が、信用してはならぬ、と告げている。
     ランディは空気を食べるかのようにぱくぱく口を動かした。何かを叫ぼうとしたはずだった。こんなお化けがいるなんて聞いてない、来るんじゃなかった、と。だがしかし、まるで水の中にいるみたいに、自分の言葉がぼやけて聞こえる。いや、そもそも、言葉を言えてすらいないのだ。何か言おうとしても、舌がもつれて、あーとかうーとかいう唸りしか声にならない。
     心の奥底に風穴を開けた恐怖が何もかもおかしくさせる。
     マルルは地面に尻餅ついたまま、狂ったように小さな足をぱたぱたさせて、チェルシーは顔を萎びた果実みたいにひきつらせ、つぶらな瞳からは今にも涙が溢れんばかり。
     真っ黒な布の奴は、やれやれとでも言うように両の手のひらを上にかざした。

    「いいから、まぁ、ちょっと聞いてくれよ。お前ら、あのガキどもの知り合いか? あのマイナンとプラスル――ノウと、リオ、だっけか?」

     特に返事を待つつもりもないらしく、布は続ける。

    「実はおれもあいつらのこと探しててさ。お前らも探してんだろ? ……だったら、ちょっと手伝ってくれよ」

     その瞬間、景色が歪んだ。真っ黒な布の体から、薄気味悪い紫の霧のようなものが噴き出して、たちまち辺りを包み込む。霧は、ゆっくり、ゆっくり、三匹の周囲を煙のようにたなびいて、近づいてくる。
     何も言えぬまま、ただただ恐怖を湛えた瞳で見上げる小さな子供たちに向かって、布は、いかにもわざとらしい、優しくあやすような口調で言った。

    「ケケッ! なぁに、ちっとも痛くねぇさ……ほんのちょっと大人しくしてるだけで、すーぐ終わるからな」

     真っ赤な瞳が怪しく光る。
     微かに残った意識の切れ端で、ランディが最後に見たのは、夕闇色の霧の中、白い三日月がにぃっと笑うところであった。


      [No.1001] タイトル未定 投稿者:ノイ   投稿日:2012/06/27(Wed) 21:33:18     34clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    なんか書きたいと思っています。いろいろミスもあるとおもいますが、そのあたりは「ここおかしくね?」「ここ、こうしたほうがよくね?」等のご意見を頂ければ幸いです。


    何を書くかについては、とりあえず「ピカチュウのおはなし」とでも言っておきましょう。


    更新は凄く遅いペース(月に一回とか・・・)です。



    タグについては、


    【批評していいのよ】
    【書いてもいいのよ】
    【描いてもいいのよ】


    の三つをつけておきます。


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