マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  •   [No.931] 怪しいパッチ:9 投稿者:リング   投稿日:2012/03/27(Tue) 23:43:16     62clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    -9-

     エミナ、結構優しいところがあるかもしれません。ただ人付き合いが苦手と言うかなんというか……歯に衣着せぬ言い方や独特な言い回しは人を遠ざける力がある事は間違いないでしょう。
     スタリは、『今日一緒に寝よう』とのことですが……特に何もないですよね? しかし、それよりも何よりも気になるのが……あの部屋です。
     あの部屋でエミナは一心不乱にキーボードを叩いていました。そして、バーチャルポケモンのポリゴン2……その内容は目を殆ど閉じている私には遠目に分かりませんでしたが、何かの実験をしている事は間違いがないようです。
     そういえば、作業室に入る事について『何かあったら声をかけてくれよな』が次は『何か用があったらいつでも尋ねに来い』に変わっていましたね。今思えば、前者は声をかけると言う事は、実質あまり部屋に入ってほしくないと言っているように聞こえます。しかし、食後に言った言葉は、とどのつまり……私にも作業室に入ることを認めてくれたという事で、よろしいのでしょうね。
     でしたら……彼女が何をしているのか、少し調べてみたい。

    「こんばんは、エミナさん」
    「ほう、来たか? だが夜食を届けに来たわけではなさそうだな。それとも、実はそんな見た目でも炎を吐けるから私を温めにでも来たか?」
     振り返って開口一番にこの独特な口上。最初は圧倒されるばかりであったけれど、慣れて見るとエミナの喋りかたはちょっとおかしくさえ思える。
    「いや、アグノムならば炎を吐けますが、生憎ユクシーは炎を吐けませんねぇ」
    「そうか、いつもスタリに炎を吐かせるのは酷だと思ったが、それなら仕方がない。ユクシーが炎技を使えなかった事をスタリに泣き寝入りさせるとしよう」
     そういう問題じゃなくって、何の用で来たのか尋ねるべきでしょうに。
    「ところで、炎を吐きに来たのでなければなにしに来たのだ?」
     あぁ、やっとその質問ですか……なんと言うか面倒な人ですね。
    「えっと……作業室でどんな作業をしているのか気になって……私、視力は悪くないのですが、人前では無闇に目を開けられないので、よく見えませんでしたから……」
    「ふむ……知識ポケモンと呼ばれるお前ならば……あるいはな」
     何か思うところでもあるのでしょうか、エミナは意味深な事を言うなり立ち上がり、一つのノートパソコンを取り出した。横の長さが私の身長と同じくらい、縦の長さはその3/4くらいでしょうか。
     エミナはおもむろにノートパソコンを開き、それを起動してから完全に起動するまでそれを放置。メインで使っていると思われる据え置き型のパソコンから、作業中のデータをUSBフラッシュメモリに保存しノートパソコンに差し込む。

    「今年のフォルダの、12月4日午後のファイルに今保存した最新のデータが入っているよ。テキスト形式のファイルで保存しているから見てみたまえ」
    「テキストファイル……という事はソースコード*8でも書いているのですか?」
    「そういうことだ。パソコンに向かってキーボードを打っている私は小説家でも新聞記者でもなく、フリーのプログラマーなのだよ。中学から大学まで色々学んでね、プログラミングの大会でもカントー地方で一位。世界へ羽ばたいてもトップクラスの成績を収めたことだってあるのだぞ」
    「は、はぁ……」
     エミナは口が休まるところを知らない。そして、こんなにもべらべらと自慢の口が動いているというのに手はテキパキと動いていて、キーボードをタッチする音は豪雨のように鳴り止まない。

    「おっと、そろそろそのパソコンは起動したんじゃないのか? 液晶画面を見てみたまえ。左上の端にテキストエディタへのショートカットがあるだろうから、そこから進め。あぁ、そうだ……これは私が使っているコンピューター言語の説明書だ。読んでおかないと多分理解できんぞ」
     こっちに返答の暇を与えないマシンガントークの間に、エミナが言うとおりパソコンは起動していた。私はデスクトップにショートカットが作成されたエディタを開き、言語の概要の片手間にテキストを見る。

     最初は、ただの斜め読みのつもりであった。コードを理解しないものにとってはただのアンノーン文字の羅列でしかないそれに、私は見る見るうちに引き込まれて、無言になる。
     1回見ただけでは頭の整理が出来ないし、まだ読み途中ではあるがエミナがやらんとしている事は大体分かった。

    「これは……コンピューターに搭載する人工知能でしょうか? それも、故意に無駄を多くしたヽヽヽヽような……そんな印象を受けるコードですが」
    「読み始めてから……7時間か。その程度の時間で私の9年を理解してくれるとは、やはり知識ポケモンと言うのは素晴らしい」
    「まだ……半分くらいしか読んでいませんが……」
     エミナは振り向かずに言う。ですが、これはエムリットでなくともわかります……嬉しそうで、笑っている。
    「物事はシンプルイズベスト。私も大体の事柄についてそう思っている。例えばラマッコロクルよ。お前が最も美しいと思うゲームソフトは何だ? 私はテトリスだ」
     上機嫌なエミナは唐突にそんな話を始めた。テトリスと言えば、彼女が作っているコードとは全く方向性の違う……本当にシンプルで簡単なゲームだ。音楽さえこだわらなければ、プログラミングに慣れていれば1時間で作れる代物だ。

    「シンプルイズベスト……という意味でですか? 極力無駄を削られ、それでいて誰にでも出来ていつまでも愛される……マインスイーパーです」
    「ほう、お前とは旨い酒が飲めそうだな。そのゲームもテトリスと共に、一度暇つぶしに作った事があるゲームだよ。ふむ、今度は一方的に酒を送るカムイノミではなく、共に同じ酒を飲み同じ肴さかなをつまんでみるのも悪くない。と言っても、私は寝るとき以外に酒を飲むことはないのだがな。まぁ、いいか。
     ならば逆に、無駄が多く、それでいて……美しいモノとは何が浮かんでくる? 今、お前が私の作品から感じ取ったものを見れば自ずと答えは導かれようぞ?」

    「それは……生物の脳……じゃないでしょうか? エムリットに聞かれたら絶対に怒られそうですが……感情なんてものがあるから人は悩まなければならないから……と、嘆く人もいますし、その感情は無駄なのだと思います。
     現に、とある宗教においては煩悩から解脱げだつして涅槃ねはんにたどり着くという行為が、『苦しみも無く、また快楽も無い』というほぼ感情をなくすことと同意義のような文面ですから。具体的には違うとはいえ、初見では私もそう解釈してしまったのですから。
     でも……エムリットじゃないけれど、私は感情こそ尊いものだというのは分かります……ですから、私は……生物の脳を無駄が多くて、そのくせ美しいモノだと思います」


      [No.930] 怪しいパッチ:8 投稿者:リング   投稿日:2012/03/26(Mon) 22:33:01     58clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    -8-

    「クオゥ♪」
     珍しい、スタリがご機嫌そうに鳴き声を上げたぞ。
     ふむ、それにしてもこれは良い奴隷を手に入れたぞぉ。スタリのやつはこの家にいる時、いつも埃がつかないように尻尾を立てていたが、今は床に尻尾を置いているではないか。キュウコンの尻尾は恐ろしく長い上に太いからあれで支えるのは結構疲れるのだろうな。食事の時くらいは尻尾を寝かせたいのだろう。
     しかし、今までは床が汚れているから嫌だっようで尻尾を立てていたと……ふむ、思えばスタリは作業室と自分の部屋以外で尻尾を寝かせていたためしがなかったような気がするな。思えば酷な事をしていたなぁ。とは言え、その長い尻尾をモップ代わりに掃除してくれればいいのに、スタリの奴もケチンボだ。

     それに、スタリは何を食べても美味しそうにしているが、今のように嬉しそうな声を出す事は外食した時に限るからな。意外に美味しいラマッコロクルの料理には、私も舌鼓を打ちたい気分だ。
    「よぅ、ラマッコロクルよ。いつの間にかもうすぐ夜と言う時間帯になってしまったが、遅くまでご苦労。これからもよろしく頼むが……そのためにはまずせねばならぬことがあるな」
     ほら、ラマッコロクルよ。何故そこで嫌そうな顔をする? 私はこういうことを言うたびに無理難題や理不尽な要求を突きつけるほど外道では無いぞ。確か、酒は床下収納にある。杯さかずきは……食パン用の平丸皿で代用するか。
     ふむ、まだ疑い深い目で君は私を見ているな? 今日の私の印象はさしずめ最低ランクと言ったところか。まぁ、私は確かに優しい性質たちでは無いのだから仕方がない。
    「さて、あまり上等な酒では無いが……カムイノミ*7でもしようではないか。さぁ、ラマッコロクルよ。存分に飲むといい。トウモロコシで作った結構強い酒だが、少量ゆえに水割りは無しだ」
     それまで、私のすることを黙って見守っていたようだが、ラマッコロクルはようやく以って私のしようとした事を理解したらしい。

    「あ、はい……有り難く……いただきます」
    「はは、なぜ謙譲語を使う? 私は昔、6年の仕事で会社に300億……一人当たり60億の利益を上げたが、お前は1年間に1人でどれだけの経済効果を生み出しているのだ? 街の活性化に役立っているお前と比べれば、私が生み出す金など微々たるものだよ。
     金だけで人の価値は測れんが、私の価値なんて金を産むくらいしかないものでな。お前が謙譲語を使ってしまうと、私は自分の事を蛆虫かゴミムシと呼ばねばならない事になってしまうではないか。それは勘弁して欲しい」
     なんだ、ラマッコロクルは照れてしまったぞ。はにかんだ顔も少し可愛いな。湖の近くの売店などで縫いぐるみが売れる理由や、三クラゲ愛好家がいるのも分かる気がするぞぉ。

    「味は、悪くないです……ありがとうございます」
     ふむ、結局丁寧語や謙譲語をやめようという気にはならぬのだな? まぁ、私も元から自分の事を蛆虫と自称するつもりはなかったがな。
    「クゥ!」
     おや、これは珍しい。スタリがお座りの姿勢をして私の体に頬擦りをしてくるとはな。私が寝酒を飲むときには全く酒に興味を示さないくせに、どういった風の吹き回しなのか。
    「なんだ、スタリ。お前も飲みたいのか? だが、杯に注いだものを飲めるのは神カムイだけなのでな。まだ11年しか生きていないお前には89年ほど早いぞ。この杯代わりの平丸皿で飲むのはあと90年ほど生きてからだな。そういうわけで、お前には違う皿で飲ませてやろう」
    「クゥ!」
     そういって食器を床に置いたら……ふむ、ペロリと私の腕を舐めるとは、貴様もしやご機嫌だな? ご丁寧に尻尾も9本全部振られている。全く、このキュウコンは酒の味が分かるのであろうか?
     いや、明らかに嫌な臭いを嗅いだ時にするフレーメン反応をしているな。なんだ、やっぱり酒はダメなのではないか。しかし、それならば何故スタリはこの酒を飲んだのか……ふむ、脳内で論じるまでもないな。ラマッコロクルの影響なのは間違いなかろう。

    「クオゥ!」
    「あ、はい……構いませんよ」
     ほう、これは面白い。スタリは私のみならずラマッコロクルの頬も舐めたではないか。あれは、スタリが気を許した相手にしかしない行動か……ふむ、私はまともにスタリに構ってやれなかったからな。さしずめラマッコロクルという仲間が出来て嬉しいと言ったところか。
     キュウコンは群れを形成しないポケモンだと思っていたが、意外なこともあるものよ。なんにせよ、仲が良いのは結構なことだ。しかし、ラマッコロクルは律儀にも私の分かる言葉で喋るだけに、スタリがなんと言ったのか気になるところだな。

    「さて、食事は終わったが……ラマッコロクルには勿論皿洗いを頼もうぞ。私はまた作業室にこもるから、何か用があったらいつでも尋ねに来い。スタリは、暖房のほうはもういいから洗濯物を乾かしておいてくれ。
     洗濯物を乾かし終わったら、後で肉の缶詰を宛がおう」
     ふむ、しかし……いくら恩返しに来たからといって、これではあまりにスタリとラマッコロクルとの待遇に差がありすぎるか。よし、注文の品を買うのは面倒だが先行投資と思って聞いて置こう。
    「さて、ラマッコロクルよ。お前は何かスーパーで買える食べ物で好物はあるか? これからも私に仕えてくれると言うのならば、お前にも何かを宛がってやらねばならないからな」
     おや、目を見開いたり出来ない代わりに口をあんぐり開けて驚いたぞぉ。だから、『私は優しくないし人並み以下ではあるがきちんと人情のようなものは持ち合わせている』と何度言ったらわかると言うのか。
     人並み以下でも人情を持ち合わせてさえ入れば、この程度の質問をしたところで違和感はなかろうというのに。全く、知識しか持ち合わせていないというのは悲しいことだな。

    「え、えっと……それでは、私は……ホイコーローなどが好きですが……」
    「何故そんな微妙なものを私に頼む? そこは普通、チョコレートや金平糖辺りが妥当であろうに」
    「すみません。なら、ドゥルセ・デ・レチェ……というか、ミルクジャムで……甘くて大好物なんです」
     なんだ、謝る所では無いというのに。変わったやつだな。そして、ドゥルセ・デ・レチェミルクジャムか……そんなものこの近くに売っていただろうか?
    「まぁ、いいか……インスタントのホイコーローを大量に買い付けて、床下収納に保管して置いてやろうぞ。よろしくな、新しい家族よ」
     私が差し出した手を、ラマッコロクルは中々とろうとしなかった。ふむ、照れ屋と言うか警戒心が強いと言うか、なんというか。なんにせよじれったいやつであることには変わりがないな。

    「どうした、手の平に画びょうはついていないぞ? 安心して握ると良い」
     やっと緊張がほぐれたのか、おずおずとラマッコロクルは私の手に二本の尻尾を絡めた。ほう、行き倒れて冷たくなったとき以来触っていなかったが、これは中々暖かいではないか。
     ふむ、きちんとベッドで眠る時は、ラマッコロクルの腹を枕にするのも悪く無さそうだ。


      [No.929] 怪しいパッチ:7 投稿者:リング   投稿日:2012/03/25(Sun) 21:34:19     61clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    -7-

    「そうだ、名案が浮かんだぞぉ」
     どうせろくでもないこと請け合いの気がするのは気のせいでは無いでしょう。『名案』ではなく『迷案』の間違いでは?
    「さぁ、ラマッコロクルよ。この金で掃除機のフィルターを買ってこい。お釣りは自由に使っていいぞ」
     あのですねぇ……5千円札を渡されても困ります。
    「私が、街のスーパーマーケットに行って『すみません、掃除機のフィルターは何処でしょうか?』などと言ったら騒ぎになりますよ。私は、みだりに人間界に姿を現す事は出来ない存在です!! 何を考えているのですか全くもう!?」
    「なんだ、そうなのか。連れないことを言うなぁ……ではしかたがない、雑巾とバケツだけで何とか頑張ってくれ」
     えぇぇぇぇぇぇ!? そうなってしまうのですかぁ? 私って本当にとんでもない人に恩返しをしに来てしまったんじゃ……あ〜あ、本当に止めておけばよかった。
     と、兎に角気を取り直しましょう。床が汚いと言う事は拭いた傍から綺麗になるということ、終わった頃にはかなり気持ちよくなるはずです。
     床を拭いて10秒立たずにバケツへ雑巾を放り込んで洗って絞ってはまた拭いて10秒立たずにバケツに放り込んで……あの、どれだけ汚いのですかこの家は。
     バケツの水も、見る見るうちに底が見えないくらいに汚くなってしまって……えぇい、水を捨てましょう。こんな不衛生なところでどうして暮らしていられるのでしょうかね、エミナは。

             ◇


     やっと……半分くらいか。この家に入ってからまだ数時間しか経っていないはずですが、なんだかすでに1週間は経過しているような気分です。今まで、気ままに飛び回ったりしながら食料を採集して、のんびり暮らしていたツケですかね。ぐうたら生活が板についてしまうとは情けないものです。
     ともかく、ちょっと休みましょう。念力の使いすぎで頭が痛いですし、糖分の一つや二つ(?)取らなくっては……何か食べたいですね……近くの川からコイキングでも捕まえてきますかね……

    『お疲れ様、ラマッコロクル』
     いや、スタリさん。『お疲れ』……ではなく本音としては貴方にも手伝って欲しいくらいなのですが。神通力ならば貴方だって使えるでしょうに。でなければ、貴方のその豊かな体毛を抱える尻尾で床を拭いてもらいたいくらいです。全く、飼いポケは飼い主に似ると言うのは本当なのですか。
     おや……スタリが神通力で何かを取り出して……これはコラッタの死体ですか。狩りたてのようで、まだ死後硬直も始まっていない新鮮な物のようです。

    『これ、差し入れだから遠慮なく食べちゃって』
     差し入れ……ですか? そういえば、スタリの体毛に僅かですが雪の結晶が残っていますし……外に狩りでも行って来たのですかね?
    「ありがとう……ございます」
    『なぁに、気にしないで。お口に合うかどうかは分からないけれど、私の好物だからまぁ、いいか』
     やはり、スタリはエミナのポケモンのようです。口癖まで似ていて、どんな教育を受けていたのやら……
    『あのご主人に仕えるのは大変だろうけれど……一緒に頑張りましょうね。私はまたご主人の暖房になってくるわ』
     スタリは、すれ違いざまに2本の尻尾で私の体を撫でて行った。これは、歓迎と受け取ってよいのでしょうかね? エミナはロクでもないやつだけれど……スタリも……いや、あいつもある程度ロクでもないか。でも、エミナよりは幾分か気の利くところもあるようですし、キュウコンには雄は少ないですから、野生ならモテたのでしょうねぇ。
     とりあえず……飼い主からも、その手持ちからも歓迎を受けたわけですし……恩返しも気兼ねなく出来るのでしょうか。なんと言うか、スタリさんもこの家と言うか、ここでの暮らしが気に入っているようですし……私も頑張って恩を返してみましょうかね。さて、土足で上がるのを躊躇するくらいになるまで掃除の続きをしなくっては。

             ◇

     ふう……埃だらけの書斎。洗濯物が散乱している居間。洗い物が食べ残しの腐った匂いと共に朽ち果てている食卓兼台所。すでにスタリの部屋と化している2階の応接室。
     掃除は作業室を除いて終わりましたし、たまっていた洗濯物もベッドのシーツも洗えました……粉石鹸があってよかった……乾燥機がないから干さなければなりませんが、外に干すと凍るから今日はスタリに頑張ってもらうとしましょう。
     後は、作業室なのですが……入っても良いのでしょうかねぇ? というかものすごく入りたくないのですが……これまでも吐き気がするほどひどかったと言うのに、作業室なんていったらどれほどの惨状が広がっていることなのやら。想像の範疇の外にあります。
     いや、もしかしたら『作業中は入ってくるな』と追い返されてしまうかもしれませんから、行くだけ行って後回しにしましょう。そうだ、それが良いに決まっています。
     恐る恐るドアノブを回す念力には否が応にも力がこもります。深呼吸で心を落ち着かせねば……こういう時でもエムリットならばリラックスできているのだというから、こういう時エムリットが羨ましくなります。
    「失礼します……」
     綺麗だ。なにゆえにここまで綺麗なのでしょうか? この家の中に在って台風の目のごとく、嘘のようにゴミも埃も落ちておらず、資料は整然としている。先ほどまでは、人間の住処とは到底思えずベトベトンの住処と形容するに違和感を感じさせないほど醜悪な場所すらあったというのに。この部屋は一体?

    「おや、掃除は終わったのか? だが、この部屋に掃除は必要ないぞ。なぜなら、スタリの炎が燃え移らないように常に綺麗にしているのだからな」
     なるほど……この部屋の綺麗さは暖房代わりのスタリさんが火事を起こさないための配慮なのですね。それにしたって極端に綺麗過ぎてなんというか、眼が眩む気分になります。と、それよりも……この作業室での彼女の髪は異常に薄く見える……というか、傍らにはカツラが置かれている。

    「あぁ、そのカツラは見ての通り私のだよ。通気性がよくってなかなかの優れものなのだ」
     なぜ髪が薄いのか……それは分かりませんが、一応見た目を気にするような常識は持ち合わせているのですね……少し安心しました。
    「そうだ、この作業室から続く地下にも部屋があるが、そこも掃除する必要はない……というか、万が一入るときはスーツを着てから頼むぞ。毛も埃も例え一粒でさえ入れてはいけない機器が入っているのでな。そこはスタリも立ち入り禁止だ。
     あぁ、そうだ……この部屋に掃除が必要がないのだから、お前の次の仕事はお洗濯だな。私の洗濯物を全て片付けておいてくれるかな?」
    「いえ、洗濯はすでにベッドのシーツに枕カバーや布団カバーも含めてきちんとやっておきました……後でスタリに乾かしてもらおうかと」
    「ほう!」
     いや、あの。手をポンと叩いて感心されると嫌な予感がするのですが……そうやって思わせぶりに不安な精神状態にさせるのは少し控えていただけると嬉しいのですが……
    「仕事が早いことだ。では、次は料理だな。味の期待はしないでおくが、なるべく美味しいものを頼むぞ」
    『私のポフィンもお願いね』
     ちょ、二人揃って!? ……えぇい!! これも恩返しです……恩返しの一環としてやりますよ。やればいいのでしょう!


      [No.928] Section-18 投稿者:あゆみ   投稿日:2012/03/25(Sun) 16:40:53     50clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    コトブキシティの中心街に出現した草体。それはついにまがまがしい花びらを開いたのだった。
    その花からは野に咲く花びらにある美しさなどみじんも垣間見ることはできない。不気味な毒々しい色が見るものを威圧している。それはまるで、この星に与えられた針のない時限爆弾のカウントダウンを意味しているかのごとくそびえ立っていたのだった。
    既に中心街からの避難は進んでおり、草体が万一爆発した場合の威力半径の目安となる半径8キロの範囲は、既に民間人の立ち入りは制限されていた。
    そして、警察隊やポケモンレンジャーが合同で対策本部を置いているコトブキグリーンパークでは、いよいよ草体爆破のための準備が進められていたのだった。
    「・・・この通り、コトブキネットレールのテレビコトブキ前とバンギラスデパートの間が、とりわけ草体の根っこに当たるものが根を張っていると考えられる区域である。ここに張っている根っこを破壊して養分の吸収を抑えることができれば、あるいは草体の種子放射、それに伴う大爆発は避けられるかもしれない。」
    作戦部長を務めるのはレンジャーユニオン・シンオウ支部長のセイゾウ。総合指令本部が置かれたポケモンセンターを出て自ら指揮を執ることになった。
    「既にコトブキシティとシンオウリーグはこの草体を爆破することを決定している。だが、まず準備段階として、この草体の根っこを破壊して養分の吸収を抑えなければならない。草体の爆破はその後の問題になるだろう。」
    アスカやチヒロを始め、レンジャーや警察隊も固唾をのんでセイゾウの指示に耳を傾けている。
    「作戦開始は今晩だ。それまでにしっかりと準備してもらいたい!」
    「はい!」

    そしてその夜、重装備に身を固めた警察隊とポケモンレンジャーが、バンギラスデパート駅の入り口に集結していた。
    準備を進めている間にも、草体の活性化は進んでおり、いつ巨大な爆発を起こしてもおかしくないほどになってしまっていた。早く手を打たなければ最悪の事態は免れない。
    「・・・配置につけ。諸君、これから草体の根幹部を爆破して、活性化の抑止を行う。だが、この爆破が上手く行くという保証はどこにもない。それでも根幹を破壊しなければ、最悪の事態が起きるのは言うまでもない。だから諸君、今回のミッションは一層の奮闘を要する。そこでだ、レンジャーの方々には今回特別なスタイラーを用意してある。」
    そう言ってセイゾウは運ばれた箱からスタイラーを取り出した。――ポケモンレンジャーが使うスタイラーは、普通のキャプチャ・スタイラーのほか、主にアルミア地方に配属されたトップレンジャーが扱うファイン・スタイラーと呼ばれるものがある。だが、セイゾウが取り出したキャプチャ・スタイラーは、ファイン・スタイラーと形は似ているものだが、どこか違う。
    「このスタイラーは、ファイン・スタイラーに改良を加えたアルファ・スタイラーと言うものだ。今回、未知のポケモンに対抗するため、コトブキ大学の協力を得て開発されたのだ。使い方は従来のスタイラーと同じで、キャプチャ・ディスクを操ってポケモンをキャプチャしていくことができる。だが、まだ試作段階と言うこともあり、用意されているのは3つだけだ。そこで、後の2つのアルファ・スタイラーを与えるレンジャーをこれから発表する。」
    レンジャーたちに緊張した空気が漂う。
    「まずはアスカ。」
    「はい。」
    アスカがセイゾウの元に歩を進め、アルファ・スタイラーを受け取る。
    「続いてチヒロ。」
    「はい。」
    チヒロも続いてアルファ・スタイラーを受け取った。
    「・・・2人には、今朝の地下鉄に残された乗客を救助するミッションにおいて尽力してくれた。だから今回はこの2人にアルファ・スタイラーを貸し与えることにする。そのほかの諸君も、今回の任務、しっかりと遂行してもらいたい!」
    「はい!」
    警察隊とレンジャー達が一斉に答えた。
    「・・・では手順を発表する。改札からホーム、そして線路に降り、草体のところに向かう。途中、あの未知のポケモンが現れるかもしれないが、現れた場合は適宜キャプチャしていくこと。そして草体のもとにたどり着いたら、爆弾をセットして離れること。起爆装置はホームに設置されている。全員がホームに戻り次第起爆装置のスイッチを押せ。」
    「はい!」
    「では、ミッション開始!」
    そう言うや警察隊とポケモンレンジャー達は一斉に階段を下りて地下鉄構内に入っていった。果たして、アスカとチヒロはアルファ・スタイラーを上手く使いこなすことはできるのだろうか。そして、草体の活性化を防ぎ、コトブキシティを壊滅の危機から救うことはできるのだろうか。

    <このお話の履歴>
    全編書き下ろし。


      [No.927] 怪しいパッチ:6 投稿者:リング   投稿日:2012/03/24(Sat) 23:32:49     62clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    -6-

     この人は……いったい何者なのでしょうかね。喋り始めると一言が長いわ、言うことが常軌を逸しているわで……。
     看護師からの情報によれば彼女はチクナミ大学の出身でしかも博士号だとか。チクナミ大学と言えば、街ごと教育機関が点在するような巨大な大学だと聞きましたが、その学校で博士号を取った方は皆がこのように変な性格をしているのでしょうか? こんなことなら恩返しに来なければよかったかもしれません……が、せめてこの人の満足いくように頑張らなくっては、知識の神としての示しは付きません。その上、途中で投げ出したらアグノム連中に笑われるでしょうし……ここは、初志貫徹、有言実行と行きましょう。

    「ところでだ、メロンパンよ」
    「は、はい!!」
    「お前の本名は何だ? 無いならこのままメロンパンと呼ばせてもらうが」
     い、今さらですか? 私の名前の有無にかかわらずメロンパンと呼び続ける雰囲気すら漂っていたというのに……この人はもう!! 大体、名前を知らないならばユクシーって呼べばいいじゃないですか

    「私の名前は、ラマッコロクルです。シンオウの古い言葉で……」
    「『知恵者』、という意味であろう? ふむ、相当昔の生まれかな? それとも代々その名前を受け継いできたのか……お前はどれほど長く生きてきたのだか……という話だな」
    「かれこれ1000年ほど……代々名前を受け継いできました……私で6代目です」
    「ほう、なるほど。流石に神話に登場するだけの事はある。1000年で6代とは長い寿命だな。まぁ、私はお前ほど長い寿命は持たぬから、私が年老いた時はきっちり介護してくれよな」
     ちょっとぉ! 私、貴方の介護するところまで計画されているのですかぁ? そりゃ恩を返すとは言いましたけれど、そこまで長い目で見るのって厚かましい気がするのですけれど……えぇい、有言実行だぁ。あんたの短い寿命ぐらい最後まで付き合ってやろうじゃないか。
    「よし、メロンラマッコロクルよ」
     訳の分からないパンの名前と私の名前をくっつけないでください!!
    「それでは、さっそく家に入るがよい。汚い家だから気兼ねなく土足で構わないからな」
     いや、私は浮いていますけれど……床を汚す土も付いていませんが。
    「さぁ、ただいま自宅警備員達よ」
     おや、この人はポリゴン2を大量に飼っているのですか……1・2・3……5匹。ポリゴン2に挨拶したエミナは冷蔵庫ほどの大きさがある謎の機械のディスプレイを覗いて溜め息をつきましたが……いったいあれは何でしょうか?
    「レプの感情は……ふむ、ダメか。これは私達が家に来てから私達の感情を捉えたに過ぎぬな」
     レプ……という事は、このポリゴン達の名前はシネ(1)・トゥプ(2)・レプ(3)・イネプ(4)・アシク(5)……ですかね? 感情がどうのこうのと言っていましたが……あのポリゴン2に一体何をなさっているのでしょうか?
     いや、それよりもこの家……

    「どうだ、メロ……ラマッコロクルよ」
     コラッ!! いつまでメロンパンを引きずる気なんですか。
    「そうだ、すごい家だとは思わないか? 見ろ、この家はお前の足で汚れるどころか、お前の足のほうが汚れるだろう? いやぁ、かれこれ一カ月以上掃除していなかったかな? みろ、冬のスタリの毛はかなり長いからな、真っ白なので落ちているとよく目立つ」
     そう思うならば、掃除してください! まぁ、今日から私が掃除するのですけれどっ!!
    『いやぁ、言っている場合かって話しですよね?』
     そう思っていると、スタリさんが私に話しかけてくる。あぁ、本当にスタリさんの言う通り。馬鹿な飼い主を持ちましたねぇ。

    「で、では掃除します……掃除機や雑巾などがある場所はどこでしょうか」
    「雑巾はあっちだ。掃除機はあの棚の中に入っているよ」
     エミナがスッと指さした先に洗面所がある。とりあえず、バケツや雑巾での掃除も大事だけれど、真っ先にやるべきは掃除機をかけないと。この汚すぎて不衛生すぎる家は、私の住処の澄んだ湖とは似ても似つきません。
     パルキアのように喘息などで呼吸に支障をきたすと、自身の能力が低下する……というような事はありませんが、仮にも伝説のポケモンが喘息でダウンとあっては示しがつきませんから、可及的速やかに掃除せねばなりませんね。
    「ふむ、それではお掃除を頑張ってくれたまえ。私はスタリを連れて作業室にこもるのでな……何かあったら声をかけてくれよな、メロンパン。おっと、その前に食料が凍らぬ*5ように冷蔵庫に入れねば」
     あの、私はメロンパンではなく……ラマッコロクルですけれど。

    『よろしくね、ラマッコロクル。私はスタリ』
    「あぁ、スタリさん。私を歓迎してくれるのですね、ありがとうございます。これからよろしくお願いします」
     やはり、エミナに比べるとこのキュウコンは幾分かましなようで、常識的な面があるようです。しかし、いくら常識的な事が欠け落ちているとしても、スタリさんが特に不満を抱いている様子が無いということは……このエミナという人間、やはり悪い者ではないのでしょう。
    『貴方の血、美味しかったから機会があったらまた舐めさせてね』
     スタリさん……怖いのですけれど。やっぱり、飼い主ともどもまともではない御様子。
     さて、コンセントは……何処でしょう? この生活感の無い家ですからコンセントは少なそうですが……コンセントが……無い、無い……どうなっているのですか!! コンセント探すのに2分かかる家なんて、あり得るのですか全く!?
     えぇい、埒が明きません。このまま探し回るよりも、聞いた方が早い!! そうに違いありません。


    「ふむ、コンセントとな? 確かに……私ですら何処にあるか忘れるくらいだ。お前が見つけられぬのも無理はない」
     どんな生活しているのですか貴方は? 確かに使わないものは忘れるでしょうけれど、それにしたって自分の家のコンセントの位置を忘れるなんてひどすぎるでしょうに。
    「まぁ、案内してやらんでもない。どうせ、少し放っておいたくらいでは食材は凍らないのだからな」
     まったく……この人の生活感の無さにはほとほと呆れますよ。
    「ふむ、コンセントは何処にあったかな?」
     探さないでください!! もうちょっと迷わずに差し込むくらいのすばやさを見せてください。
    「よし、あったぞ。そら、ラマッコロクルパン」
     パンじゃないです……しつこいです。っていうか、家具と壁の隙間どころか家具と床の隙間にあるってどういう事ですか? イレギュラーすぎるでしょう!!

    「これで何の憂いもなしに掃除機を起動できるはずだ」
     ほ、やっとですか……ってこの掃除機……
    「あの、フィルターを取り替えろってランプがついてありますが……」
    「ふむ、フィルターか……そんなもの家にあったかな? コーヒーのフィルターならあるのだがな……そういえば掃除機のフィルターは何年前に取り換えたかな?」
     ブラックハウスのお手伝いをしていますが、私はもう限界かもしれません。

    *5:寒冷地では、冬の間食料を凍らさないために冷蔵庫を使う


      [No.925] 怪しいパッチ:5 投稿者:リング   投稿日:2012/03/23(Fri) 23:11:13     62clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    **-5-

    「よう、メロンパンよ。ウチになんの用だ?」
     おや、硬直している。ふむ、流石にいきなりメロンパン呼ばわりは馴れ馴れしすぎたかな? まぁ、いいか。ユクシーもお喋りで混乱させるのは何もペラップだけではないという事がわかって、また一つ賢くなれたことだろう。
    「あ、え〜……なんと言うか、その……すみません。メロンパンって何のことでしょう?」
     ほう、テレパシーによってとはいえ流暢に喋るではないか。だが、自分が人間にどのように呼ばれているのかをよく知っていないようだな。これはいけない。
    「メロンパンと言うのは、レモン色の表皮にメロン風の香料と砂糖をまぶしたパンのことで、丁度君の頭と似たような形をしているもののことだな。君らユクシーは人間からそのようなあだ名で呼ばれているのだよ。なぁに、心配するな。
     ライチュウというポケモンもコッペパンと呼ばれているし、成長に応じて覚える技にコッペパンチ*3という名称を付けられるほどなのだぞ。ユクシーもいつか、パンチ技を覚えてメロンパンチという技名を付けてもらえるといいな」
    「は、はぁ……そうですか」
     おや、暫く黙って咳払いか。相当メロンパンと呼ばれたことが堪えたらしいな。

    「あ、あの……ここに来た目的はですね。命を助けてもらった恩があるので……その……恩返しでもと思いましてね」
    「ほう、予想通りか。ならば話が早い。毎日私のために味噌汁を作ってくれ」
     ふむ、これでは一昔前……いや、三昔くらい前のプロポーズだな。まぁいいか。
    「え? えぇ? あの……それって、炊事を私に行えと?」
    「ふむ、役不足かな? では洗濯と掃除も任せようか」
    「いや、あの……その……」
    「なんだ、知識ポケモンと言うだけあって研究に付き合えるとでも言うのか? それならば、そっちを頼んでみるのも悪くない……が、先に上げた三つは物臭な私には少々必要な仕事でな……優先順位は高めの仕事だよ。まぁ、ダメならダメで別のこき使い方を考えるまでだ」
     ふむ、なんだ。何も言い返せないでは無いか。やはり、湖に引きこもりをしていたから私と同じように社交的とは対極における性格になるのだろうな。

    「あ、いや……それでいいです。というか、自宅で研究していたのですね」
    「確かに私は自前の研究所を持っているとは言っていなかったな。まぁ……いいか。とりあえず、了承してくれたならばとても喜ばしい。最初は料理がまずくっても掃除が不十分でも怒りはしない。なぜなら、私自身がそうなのだからな。だからこそ、時間の削減が出来るだけでも儲け物だ」
    「あ〜……もっと優しそうな人を想像していましたが……」
     ふむ、おかしなことを言うメロンパンだ。
    「なに、優しくなくてもユクシーが倒れていたら拾ってあげることがあってもいいと思うがな。散弾銃か何かで撃たれていたが、密猟者にでもやられたか?」
    「は、はい……ちょっと外出していた時に、鉢合わせして。密猟者は目が合ったものの記憶を消してしまう能力を持つ私の目を見ないように、カメラ越しで私を見るバイザーを通していましたね。連れているポケモンも目をつむったまま攻撃できるルカリオで……」
     ほう、なるほど。ユクシーは目を合わせた者の記憶を奪い取ると聞くが、きちんと密猟者はその対策をきちんとしているのだなぁ。

    「で、そいつらはどうしたのだ? あぁ、殺したと言っても驚かんよ。お前は知識の神であって不殺生の仏様ではないのだからな」
    「逃げ回って……最終的には主人共々氷河に投げ込みました……」
    「ほう、すると死因は溺死かな? 顔に似合わずむごいこともできるようでなによりだ」
    「あ、あの……はい、どうも。ポケモンもろとも……今頃コイキングのエサです……はい。しかし、その際あの傷……散弾銃のを負ってしまって……血の匂いを嗅ぎつけたのか、湖への帰り途中でニューラに襲われて……貴方に拾われました」

    「ふむ、殺したのは賢明な判断だ。もし仮に、私の元に密猟者が追ってきて散弾銃を構えて詰め寄ってきたのならば迷わずお前を引き渡してしまうところだったぞ。そう言えばお前は優しい者をご所望か……優しい者だったらお前を庇って散弾銃に撃たれて死ぬのかな?」
    「い、いえ……確かにそうですね。別に優しくなくっても、普通ならいいです。はい、贅沢は言いません」
     なんだ、控えめで可愛い奴だな。そんな事を言われると必要以上にこき使う事に良心の呵責が生まれるではないか。
    「まぁ、確かに私は優しくはないが……ふむ、お前が死んでも私は困らないが、エイチ湖へ続く山道に店や宿を構える者たちが観光資源不足で困るであろう。運がよければユクシーが飛び回る場面がみられるエイチ湖と言えば、雪に閉ざされない夏の季節は、受験生が祈願に訪れる観光名所では無いか。
     そこに、ユクシーがいなくなってみろ? 観光客が失われ、経済効果も連鎖的に失われて、財政のやりくりが大変になる。
     ほら、なんといったかな? シンオウにあるタバリメロンと言うオレンジ色のメロンが名物の街……確かユウバリシティと言ったかな? あそこが昔一度財政破綻をしたではないか。私は、街の経済とは無縁の暮らしをしているから困らんがな。この街がそういう事の槍玉に挙げられるのを指をくわえてみているというのは忍びない。
     そのように……一応私も人並み以下ではあるが人情のようなものも持っている。だから、私が優しくないと言っても安心してくれたまえ。人道的に見て外道と言われるような事は恐らくしないだろうからな。
     知識ポケモンと呼ばれるようなポケモンならば賢いと察するが、ここまでのお話は理解できたかな?」
    「あ、はい。理解出来ました……その、まぁ……頑張ります」
     ふむ……良い答えだ。しかし、こいつは口が疲れる奴だ。しばらく人間と話していないせいで私の口のスタミナが落ちているのもあるのだろうが、それでもこれはひどい。まぁ、話の長い私に最たる原因があることは否定しないがな。

    「よし、ならば早速掃除をしてもらおうか。なぁに、何処に何をおいたか分からなくなるから、物を片付ける必要はないぞぉ。埃を取ってくれるだけで十分だから、頑張ってやれよな」
    「えぇ、誠心誠意……やらせていただきます」
     ほう、頼もしい答えだな。しかし、どうしようかコイツ、何を食べるのか分からないが、変なものを食うのだとしたらいちいち取り寄せるのは面倒だぞ。いや、スタリのように勝手に外に行かせて勝手に食ってきてもらえばいいのか。
     それだけじゃない、よく考えればこいつに買い物の荷物持ちを手伝ってもらうと言う手段があるではないか。なんだ、"こき使ってください願望"の持ち主が現れただけで人生の展望が広がった気がするぞぉ。ようし、今日から素敵な『伝説の無駄遣いライフ』の始まりだ
     なんだ、メロンパンよ? 私をちらりと見て、もの欲しそうな表情をするな。何か言いたい事があれば言えば良いというのに……ふむ、少し私もダーテングになって喋りすぎたかな?
     よし、ここは場を和ませる話でもしようか。

    「ところでだ、メロンパンよ」



    *3:ポケモンカードにおいて30のダメージを与える技


      [No.924] 怪しいパッチ:4 投稿者:リング   投稿日:2012/03/22(Thu) 23:25:08     68clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    -4-

     500万をはたいて購入した簡易喜怒哀楽メーターに刻まれた成果はゼロだ。私がいない事で寂しいという感情が芽生え『哀』に傾くでもなく、私がいない間に何かよからぬ事をたくらんで『楽』に傾くでもない。
     全く、スタリがこの家にいるとスタリの感情を受信してしまうから毎回外に連れて行って計測している私の身にもなってほしいものだな。購入するための金も安くはなかったというのに。

     人の脳には解明されていない部分が多い。脳神経なども、全か無かの法則*3の考え方は、コンピューターの信号である0と1のデジタル信号と同じようなものだと言うのに、その実態をなかなか掴ませてくれない。いろんなソフトを見て、それがどんなプログラムによって成り立っているのか、プログラムのソースコードを見なければわからない事が往々にしてあるように、きっと脳を解剖してこまごまと覗かなければ、脳の構造という物はきっと明らかにはならない。
     しかし、脳を覘く事が物理的に出来たとして、それを機械言語としてディスプレイへ表示することは不可能である。それでも、小脳は作れる。記憶装置は作れる……感情のまねごとをする機構は作れた。
     しかし、所詮は真似ごとなのだ。ポリゴン2をどれだけ虐待してもキルリアやムウマが何の反応も示さない。そんなものは、感情とは言えない。
     私の知り合いが研究を重ねた末に書きあげた論文である、『感情やそれを向ける方向が素粒子のスピンと指向性に与える影響』において実際に観測された事象と同等の結果が出なくては感情と呼ぶのはおこがましい。

     全く、無知な者どもはポリゴンをアップデートすることで感情を手に入れたとぬかよろこびをしているが、そんなものはプログラムの領域から抜け出せていないただの偶像にすぎないというのに。
     強さを求めるトレーナーにはただアップグレードするだけで有意義なのだろうから問題はないのだろうが、技術者にとっては不満の塊だ。チューリングテスト*4もまともにクリアできない個体が多いポリゴン2は感情の存在など全くないと断言できる。
     愛玩用としてポリゴンを飼う者が、珠に感情があると信じる者がいるが、そいつらほど滑稽なことなど無い。ただのぬいぐるみ萌えとしてポリゴン2を見るのならば全く問題はないというのに、何故そこに感情があると信じるのか私には理解できない。
     付喪神の存在を本気で信じていると言うのならば、あるいはそれも宗教の一種として納得できない事は無いのだが。

     しかし……この不毛な研究を続けて、もう12年か。日常の変化が乏しいものだ。昨日は、ユクシーなどが倒れていて少し面白い事もあったが、やはり地下にばかりこもっていて少し健康面が心配だ。太陽の光に当たらないのは少しばかり不味い事なのかもしれないな。
     だが、陽のもとでパソコンをいじるわけにはいかないし、今は少し外でやるには寒い……いや、サンルーフにすればよいのか? 天窓から太陽光が入るという家も悪くない。

             ◇

     さて、そうこうしているうちに日にちが経って試作プログラムの完成だ。思えばあれから8日か……ユクシーは今ごろどこでどうしているであろうか?

    「レプ、こっちへ来い。アップデートプログラムの試作品を試してみる」
     レプ。シンオウの古い言葉で『3』を意味する言葉。何のことはない、1から5までの数をそろえただけであり深い意味はない。前回、トゥプ2にアップデートプログラムを試したのだから、次はこいつというだけである。
     アップグレードしてから再起動までの間、レプは眠っている。起きたら再起動完了ということだな。その時はちょうどよい機会だ。簡易喜怒哀楽メーターを起動させて何か食料を買いに行くとしよう。現在食料の備蓄が尽きて実に22時間の断食だからな。非常食やポケモンフーズを食べるというのもありだが、そこまで腹は減っていなかったらとりあえず我慢することにした。
     とりあえず、今は猛烈に海産物が食べたい気分だ。しかし、魚は腐りやすいからほっといて腐らせる可能性も考慮して街で食べるだけに留めておこう。なぁに、このシンオウの街なら寿司屋なんて探せばいくらでもあるさ。
     スタリを連れて歩む道。今日は晴れてはいるものの寒いものは寒い。ふむ、やはり歩いて片道2時間というのはいただけない距離だな。夏は自転車が使えるからよいものの、やはり車の免許を取っておくべきか。

     そうしてたどり着いた久しぶりの寿司は上手い。やはり私はトロなんかよりもサーモンの方が性に合っている。ボールの中で待っていたスタリにも、美味い缶詰を買っておいてやろう。
     まぁ、私にとって美味いポケフーズがスタリにとって美味いかどうかは分からぬがな。
     そうこうしているうちに帰り道だ。聞く話によるとユクシーは昨夜病院を抜け出したらしい。全く、行動的なことであるなと思いつつ、肩に背負う食料が重い。年を重ねるにつれて辛くなってくることだし、そろそろ犬ゾリでも買って、荷物を積み込みスタリにソリを引かせてみるのも悪くないかもしれない。
     なあに、この子は賢いから、ポケフーズの供給源である私のために、それくらいは喜んで役立ってくれるだろう。スタリが運動不足にならないためにも、スタリが自由に出入り可能な神通力によって開閉出来る扉を設けてやったのだからな。

     さて、我が家だ。レプはどうしているのであろうか? 感情メーターや、それが出力した情報を記録する装置に何か変化があればいいのだが……ふむ、なるほど。
     これはあってはいけない事が起こっているぞぉ。私の家の囲いにユクシーが座っているではないか。まったく、スイクンやフリーザーなどと違って格好良い見た目ではないから、囲いに乗っているからと言って『かっこいー』と言えるような見た目ではないから、ダジャレも言えない。
     あのユクシーはまさか新聞の勧誘に来たわけでもなかろう。罠から助けてやったチルタリスが人間に化けて羽衣を折るお話があるが、こいつもチルタリスよろしく恩返しにでも来たのであろうか?
     恐らく、スタリの神通力など比べ物にならないエスパーポケモンとしての能力もあるだろう。最初からユクシー姿での恩返しを慣行するつもりならば、色々なこき使い方があるはずだ。

     喋ることで意思の疎通も出来るのであればなおさらのこと。それこそチルタリスの羽衣よりも私にとって役立つものになる可能性もあろう。まぁ、役に立たなかったらエイチ湖に追い返せばよいことだ。いや、あのメロンパンのような頭をスタリにかじらせてみるのも良いかもしれんな。とにもかくにも、あのユクシーに話しかけてみようではないか。


      [No.923] 85話 疑惑B 投稿者:照風めめ   《URL》   投稿日:2012/03/22(Thu) 17:15:24     38clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

     窓の外はすっかり暗く、ビルから溢れていた光も消えていき、もうほとんど街を照らしていない。
     時刻はすでに夜の十一時を回り、オフィス街に立つこのビルもほとんど灯りは消えていた。
     今いるフロアだってそうだ。たった一人暗がりの中でパソコンに向かう俺は、解せない疑問と一人戦っていた。
    「……くそっ!」
     勢いよく椅子の背もたれにもたれかかると、ギイギイと椅子が悲鳴を上げる。
     長時間デスクワークに向かっていたがために、俺の腰と肩も悲鳴を上げている。
    「……帰ろうか」
     いつからだろうか。人とちゃんと向き合うようになってから、どうしてか人肌が恋しくなることがある。
     パソコンに熱中している間は良かったが、ふと興奮が冷めるとこの誰もいない感じがとても辛い。こうして独り言でも言わないと、寂しさが募り積もってどうにかなってしまいそうになる。
     大事な大事なデータが入っているUSBをパソコンから抜き取ると、大事にケースにしまい、鞄の中に放り込む。忘れモノがないか確認してから一人オフィスを出る。エレベーターを待ちながら、いろいろ思索を巡らせる。
     先ほど抜き取ったUSBにはバトルベルトの、平たく言うと設計プログラムのようなものが入っている。
     このプログラムは俺、風見雄大が全て自分が造ったもののはず……だった。
     そう、「だった」。
     知らず知らずのうちに俺の知らないプログラムが含まれていたのだ。
     しかしそれはバトルベルトを良い方向へ働かせるプログラム。同じ社内の仲間に、バトルベルトの設計プログラムを何かいじくったかどうかを尋ねても、皆が皆否定をする。ならば一体誰が?
     このバトルベルトはうちの会社、TECK社と、提携企業のエレクトロマシーンデベロップメントカンパニー、通称EMDCが共同開発を行ったもの。とはいえEMDCはプログラムにはノータッチのはず。念のために尋ねたところ、もちろん答えはNOだった。
     本来のプログラムではポケモン達の3D映像はもっとカクカクしていて、攻撃ワザの発動と同時に起こる爆風などのエフェクトなんてなかった。他にもいろいろ上げればキリがない。いろいろ検証してみたところ、どうやらこれらが害を与えるようなものはなさそうなので仕方なくこの改変されたプログラムを採用していたのだ。
     そしてバトルベルトは世に出、大ヒットとまでは言いにくいが、予想を超える業績を叩き出した。
     PCCのややこざも一段落したところで、再びこのプログラムが一体何なのかを再検証している。だが本当に何が何やらさっぱり分からない。見たこともない関数、並び、数列、条件。本当に誰が一体何のために?
     一階に着き、誰もいなくなった会社を出る。四月二日の土曜日も、あと何十分かで終わってしまう。高校の春休みもあと一週間程度か。ここしばらく翔らとは会えていない。始業式が始まる前に、俺達二年生は入学式に出席しなければならないからそれまでお預けか。
    「ん?」
     暗がりの中、人影が一つ突っ立っている。ライトをつけた車の往来によってかろうじて男であるということしか分からなかった。
     別にその男が誰かだなんて特になんだっていい。それよりも早く帰って飯を食べてシャワーを浴びて寝よう。とにかく疲れた。社内で一夜も考えたが、毛布の一枚も持ってきていないので流石に風邪を引きかねないからな。そう考えながら人影を通り抜けようとしたそのときだった。
    「雄大」
     俺の名を呼ぶ声に思わず足を止める。
    「久しぶりだな雄大」
     いまだ暗い外のせいではっきりと顔は見えないが、この東京で俺の下の名前を呼ぶ人は一人しか知らない。
    「……父さん」
    「どうだ、食事でもどうだ」



     俺と俺の父、風見 雄平(かざみ ゆうへい)の関わりは親というより知り合いと言っていいほど極めて希薄だ。
     物心ついたときから母、風見 美紀(かざみ みき)と共に北海道の大きな屋敷に住んでいた。そこに父が来ることは基本的に無く、父親というものがどういう存在かを知らなかった。
     父の話も母から聞くことは一切なかった。二人は政略結婚で結婚したらしく、二人の間には恋愛感情だとかそんなものが一切なかったようだ。夫婦ではなく、あくまで営利目的で知り合った他人……と。
     究極の箱入り息子として育った俺は、母から常に英才教育を与えられ、周りのメディアから得られる情報は母から制限されていた。お陰さまで、本当に世間を知らなかった。
     仕方なしで入った義務教育の私立の小中学校は当時一匹狼だったために自ずから孤立していた。俺が周りに干渉しなければ、自然に向こうから干渉しないようになる。当時の俺としてはそれが一番だった。
     痛々しいのだが、当時の俺は周りを見下すことが普通であった。自分以外の人間は俺より劣った不良品でしかない、と。これは母の差別的主義が反映したものだった。もっともその人を見下す性分は翔に負けるまで当分治ることがなかったのだが。
     ところで、そんな俺は中学を卒業するまで父を見たのは四回程度でしかなかった。そのうちまともに会話したのはたった一回だけだ。中学三年生の一月頃だった。たまたま北海道の屋敷にいる母に用事があった父に帰り際直談判しにいったのだ。
     母と専属家庭教師としか会話をまともにしなかった俺だが、父は俺の話をよく聞いてくれた。俺は、母が縛り付けるこの狭い狭い箱庭から出ることを熱望すると、父はそれを一つ返事で了承してくれた。母に隠れて父のいる東京へ俺を連れてくれ、今住んでいるマンションの一室の付与と、平見高校の受験の手続き、さらに俺のプログラミングの腕を買ってくれて、社会勉強も兼ねて俺をTECKに採用してくれたりと至れり尽くせりだった。
     それから俺はいろいろ苦労をしたが、翔たちと出会えていろいろ知ることが出来たし、バトルベルトを作ることも出来た。だが、母からの介入が何もないのが未だ怖い。母の性格なら地の果てまで俺を追いかけるだろう。しかし今のところ、PCCの前に久遠寺が尋ねる以外俺の過去に関する出来事は今のところ何も起きていない。
     何かそれが嫌な予感を醸し出しているようにしか思えないのだ。きっとこの先なにかが起きる。



    「ここ、お気に入りの焼肉屋なんだ」
     高級感が溢れる焼肉屋に連れて来られた。さすがの俺でもこの店は聞いたことがある。有名なところで、完全予約制だとかなんとか。奥のお座敷に通された俺たちは、靴を脱いで掘りごたつ席で腰を下ろす。
    「どうだ?」
     優しげな表情で父が問いかけてくる。
    「どうだって?」
    「いや、最近の調子だよ」
    「特に……。いや、バトルベルトのことで悩んでいるかな」
    「その話なら私も聞いている。どうやら難儀しているようだな」
    「ああ……。こんなことをして誰が何の得になるのかが全く検討がつかない」
    「そうか」
     店員がやってきて水とおしぼりを渡してくる。父はBコースをオススメだから、と言って俺の分ごと注文する。
    「バトルベルトの方も大事だが、高校はどうだ」
    「上手くやれてるよ。友人だって出来た」
    「そうか。なら良かったよ」
     ぎこちない断片的な会話がその後も続いていく。だいたいは父が俺のことを聞いて、それに対して一言応えるとそうか、とだけ帰ってくるのだ。
     ここまで来ると若干の気まずさが。俺だけでなく、父もそう思っているかもしれない。しかし俺から何か話しかけようとしても何を言えば良いのか分からないのだ。父親との会話とは一体何をすればいいのか。
     無言だったテーブルに肉が運ばれ、網に移していく。肉の焼けるけたたましい音だけがこの一帯を支配する。
    「……」
     黙ったまま肉を口に含む。脂身があって、口の中でそんなに噛まなくても自然と溶けていく。ロースとかカルビとか肉の種類とかはよく分からないのだが、とにかくこれが上等で美味しいものなのは分かる。しかしこの沈黙というスパイスは肉の味を盛り下げているファクターだ。
    「実はな」
    「うん?」
     やっと父の口が開く。しかし、その言葉の次が中々出て来ない。
    「お前に……、伝えとかないといけないことがあったんだ。本当はもっと早く伝えたかったんだが使える機会がなかなか無くてな」
     若干眉間に皺を寄せ、重々しく語るその言葉からその伝えることというのがシリアスなモノだろうと察知する。箸を動かすペースが心なしか遅くなる。
    「雄大。お前の母親は風見美紀ではない」
    「何っ……? どういうことだ」
    「お前は私と亡き前妻との間の子供だ。風見美紀は前の妻が亡くなった後に私が政略結婚して出来た妻だ」
    「じゃあ俺の本当の母親は……」
    「それを語るためには株式会社TECKがどのように立ち上げられた会社かどうかを語るところからだ」
     株式会社TECK。今は名を馳せた機械、電子産業企業。しかし創立する二十年程前は小さな町工場だったということは知っていた。
    「TECKは元々町工場だった。っていうのは知ってるか? 私と、大学時代の友人がその町工場を母体として立ち上げた企業だ。そもそもTECKという企業名は立ち上げたときの私を含む仲間四人の頭文字からとっている」
    「それと俺の母親の話とどう繋がるんだ?」
    「まあ聞け。Tは田中 秀平(たなか しゅうへい)、Eは遠藤 将(えんどう まさる)、Cは千葉 愛華(ちば あいか)、Kが私、風見 雄平(かざみ ゆうへい)だ。お前も知っている名前もあるだろう」
    「遠藤将って……」
     俺が北海道で暮らしていた時、常に俺の傍にいた男。やや細身のつり上がった目が特徴だった家庭教師の一人。それが遠藤将だった。あいつの声は今もまだ耳に残る。耳に響く声は、思い返せばすぐにリフレインされる。目を閉じればあの嫌な笑顔が思い浮かぶ。
    「TECKの基盤となる町工場が私の親の物であったためにその場の勢いで社長にされた私。そして遠藤、田中、愛華の三人が私を支えてくれた。そしてTECKを立ち上げて二年経った頃、大学時代から恋仲であった私と愛華は結婚し、雄大。お前が産まれた」
    「……」
    「結婚してから愛華は仕事を辞め、遠藤、田中が私と共にTECKの中心となって会社をより大きくしていった。ただ、結婚してからたった三年、お前がまだ一歳だったころに愛華は事故で亡くなってしまったが……」
    「一歳のとき、か……」
     小さい頃の記憶がない俺にとっては、そんな千葉、いや、風見愛華の温もりは知らない。現に今だって、あまり悲しいとかそういったことを感じなかった。むしろ、遠藤の方に引っかかる。
    「田中さんなら今でもTECKで役員をしているのは知っているが、遠藤がTECKにいただと?」
     俺の箸を動かす手が完全に止まった。父は一旦間をおいて、頷く。
    「そうだ。遠藤は我々を裏切った。開発部のトップにいた遠藤は、遠藤の知っているTECKの情報を全て他の企業に伝えたのだ。EMDCに」
    「EMDC……。エレクトロマシーンデベロップメントカンパニーか。だがTECKとEMDCは提携企業では」
     ふいに父が首を動かし辺りを見渡す。俺もつられて周囲を確認するが、特におかしい様子はない。父は俺の方にやや体を傾けて口を開く。
    「提携させられているのだ」
     声音を低くしたものの、父が初めて大きく感情をあらわにした。眉間にも大きく皺が寄せられている。
    「……何だと?」
    「大きい声を出すな。愛華が亡くなって約一年後、お前が二歳の時に恐らくEMDCに大量の金を積まれた遠藤は機密情報を全て漏らしてTECKを辞め、EMDCの役員になった。そしてEMDCから私に、その社長の娘と結婚をするよう迫ってきた。政略結婚だ」
     政略結婚。相手は間違いなく、俺の母。いや、義母の風見美紀だろう。しかし何故政略結婚を申し込んだのだろう。
    「雄大、きっとお前は何故EMDCが政略結婚を申し込んだか考えているだろう」
    「え、あ、ああ」
     見事なまでに当てられて、動揺せざるを得ない。だが慌てふためく俺と違って父は至って真剣な眼差しだ。
    「EMDCの狙いは恐らく……。お前だ、雄大」
    「なっ!? どういうことだ?」
     心臓が一気に委縮した。今までより一際緊張が全身に走る。
    「俺にもヤツらの詳しい事情までは分からないが、お前が狙いだと言うことは分かる。事実、結婚してすぐにお前の身元は美紀のいる北海道に移され、私が会おうとしても自由に会う機会を失った。そして美紀や遠藤がお前の教育に当たった。本当はもっと前からお前をなんとかして連れ出そうとしていたが、遠藤が常にお前についていたため中々そうもなかったのだ。お前の方から俺に会いに来た時は間違いなくチャンスだと思ったよ」
    「ふっ、偶然にも俺達の思惑が一致したってことか」
    「ははは、そうなるな」
     ようやく父の顔が緩む。だが、その表情もすぐに曇ったものに変わる。
    「EMDCはTECKを買収していない。ということはまだTECKはヤツらの手のひらの上で踊らされる必要があるかもしれない、と考えている。そんなことはさせない。TECKは必ず私が守る。だから雄大、お前は自分自身を守れ」
    「俺自身を……守る」
    「お前の居場所を向こうが知らないはずはない。TECKもお前も、泳がされている。とりあえず、お前にも既にボディーガードを何人か既に配置している。遠くからお前を見守り、何か危害を加えられればすぐに救援が向かうはずだ。しかし、結局のところ信じ切れるのは自分だけ。既にTECKにEMDCの手の者が何人潜んでいるか分からない」
    「信じ切れるのは俺だけ……」
     いや、それは違うぞ。父さん、俺には信頼出来る仲間が、友がいる。父さんにもきっと亡くなったその風見愛華や、俺がいる。人は他人(ひと)を信じたくなってしまうんだ。
     そう言おうと思ったが、口は閉ざしておいた。父さんだって遠藤に裏切られているんだ。こう言っても何にもならない。
    「夜も遅いし私がお前を送って行くよ」
    「ありがとう。……父さんも気をつけてくれよ」
    「私はお前と違って『大人』だ。心配は無用だ」
     ……子どもと大人か。子と親の違いとは一体何なのかは、まだ俺には分からない。
     しかしバトルベルトの謎のプログラムと遠藤らEMDC、不明瞭かつ危険因子が多すぎる。俺はどう立ち向かえばいいのだろうか。
     星の見えない東京の夜、強い風が巻き起こる。



    風見「今回のキーカードはチェレンだ。
       シンプルな効果だが、それでいて効果は強力。
       どのデッキにも入りやすく使い勝手がいいぞ」

    チェレン サポート
     自分の山札を3枚引く。

     サポートは、自分の番に1枚しか使えない。

    ───
    今回からPCS更新と同時にポケモンカードを解説するコーナー、「ポケモンカードスーパーレクチャー」が開始!
    第一回「カードを知る」
    http://www.geocities.jp/derideri1215/library/lecture/85.html


      [No.922] PCC編セリフ集 投稿者:照風めめ   《URL》   投稿日:2012/03/22(Thu) 17:13:26     36clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

     奥村 翔
    ・対戦前
    「さぁ、楽しい勝負にしよう」
    ・勝利
    「まっ、こんなもんかな。いつでもまた相手してやるよ」
    ・敗北
    「くっそー! でも熱い勝負だったぜ。またやろうな!」
    ・先攻1ターン目
    「さぁ、熱いバトルの始まりだ! 俺のターン!」
    ・有利ターン
    「このまま流れに乗り切る。俺のターン」
    「最後までガンガン行くぜ! 俺のターン」
    ・通常ターン
    「どんどん攻めるぜ。俺のターン」
    「手加減はなしだ! 俺のターン」
    ・不利ターン
    「くっ、この流れを断ち切らないと……。俺のターン」
    「たとえどんな状況だとしても、俺は絶対諦めない! 俺のターン!」
    ・逆転ドロー
    「感じる……。このドローに俺は全てを懸ける! ドロー!」
    ・トレーナーズ発動時掛け声
    「ここで」「これだ!」「うん」「そうだなぁ」
    ・割り込み(前三つ)&妨害(後ろ三つ)
    「ちょっと待った」「悪いな」「このタイミングで」「残念!」「分かってたぜ!」
    ・ポケモン登場
    「よし」「出番だ!」「来い!」「頼んだぞ」
    ・ワザ(ダメージ発生せず)
    「よし」「うん」
    ・ワザ(ダメージ発生)
    「バトル!」「手加減なしだ!」
    ・トドメ
    「この勝負、もらった!」
    ・バシャーモ登場
    「機は熟した! 頼んだぞ、バシャーモ!」
    ・バシャーモポケパワー
    「全てを焼き焦がせ! バーニングブレス!」
    ・バシャーモ攻撃
    「熱い炎で全てを燃やせ! 今だ、炎の渦!」
    ・ヒードランLV.X登場
    「サポートは任せた。ヒードランLV.X!」
    ・ヒードランLV.Xポケパワー
    「燃え始めた炎は止まることを知らないってな。ポケパワー、製鉄!」
    ・バシャーモFB LV.X登場
    「こいつでどうだ! バシャーモFB LV.X!」
    ・バシャーモFB LV.X攻撃
    「この一撃で、全てなぎ倒す! ジェットシュート!」
    ・フライゴンLV.X登場
    「これが、俺たちの絆の証だ! 現れろ。フライゴンLV.X!」
    ・フライゴンLV.X攻撃
    「悪夢を断ち切る力だ! エクストリームアタック!」

    風見 雄大
    ・対戦前
    「いいだろう。俺が相手になってやる」
    ・勝利
    「俺はまだまだ上へ行く。こんなところでは負けられないんでな」
    ・敗北
    「……。ふっ、俺はまた0からやり直す。そのときまた勝負だ」
    ・先攻1ターン目
    「勝負は常に先手必勝だ。俺のターン」
    ・有利ターン
    「最後まで全力で戦う! 俺のターン!」
    「退屈だな。俺のターン」
    ・通常ターン
    「遠慮はいらない。俺のターン」
    「さあ行くぞ、俺のターンだ」
    ・不利ターン
    「まだ終わらない! 俺のターン!」
    「なかなかやるな。俺のターン」
    ・逆転ドロー
    「俺は、こんなところで立ち止まっている暇はない! ドロー!」
    ・トレーナーズ発動時掛け声
    「ふん」「これだ」「こいつだ」「行くぞ」
    ・割り込み(前三つ)&妨害(後ろ三つ)
    「よそ見する暇はないぞ」「どこを見ている」「このタイミングで」「お見通しだ」「させると思ったか」
    ・ポケモン登場
    「出でよ!」「ああ」「こいつだ」「見せてやる」
    ・ワザ(ダメージ発生せず)
    「このワザだ」「そうだな」
    ・ワザ(ダメージ発生)
    「戦いだ!」「思い知れ!」
    ・トドメ
    「この一撃に、俺の全てを懸ける!」
    ・ギャラドス登場
    「力の差を見せつけてやる。来い、ギャラドス!」
    ・ギャラドス攻撃
    「エネルギーなど俺には不要! リベンジテール!」
    ・ボーマンダ登場
    「こいつが俺の信じる力! 行け、ボーマンダ!」
    ・ボーマンダ攻撃
    「この勝負にかける情熱をぶつけてやる! ドラゴンフィニッシュ!」
    ・ボーマンダLV.X登場
    「たとえどんな劣勢に立たされようと、それをひっくり返す力を見せてやる! 出でよ、ボーマンダLV.X!」
    ・ボーマンダLV.X攻撃
    「この一撃で俺はさらに上へ進む! 砕け散れ! スチームブラスト!」
    ・ボーマンダLV.Xポケパワー
    「圧倒的な力を見よ! ポケパワー、ダブルフォール!」
    ・フライゴンLV.X登場
    「これが、俺が今まで培ってきたものの全てだ! フライゴンLV.X!」
    ・フライゴンLV.X攻撃
    「俺の進み行く道のりの礎となれ! エクストリームアタック!」

    藤原 拓哉(裏)
    ・対戦前
    「けっ、この俺に挑んだことを後悔させてやる」
    ・勝利
    「一瞬でもこの俺に恐怖したことがお前の敗因だ!」
    ・敗北
    「くそっ、この俺がお前ごときに負ける……だと!?」
    ・先攻1ターン目
    「楽しい時間の幕開けだァ! 俺のターン!」
    ・有利ターン
    「おいおい……。達者なのはその口だけか? 俺のターン!」
    「なんだなんだ? もう限界か? 俺様のターン!」
    ・通常ターン
    「けっ、俺様のターン!」
    「ぶっ潰してやるぜ。俺のターン!」
    ・不利ターン
    「くそっ、いい気になってんじゃねぇぞ! 俺のターン!」
    「調子に乗るのもいまのうちだ! 俺様のターン!」
    ・逆転ドロー
    「まだだ。まだ終わらせねぇよ! ドロー!」
    ・トレーナーズ発動時掛け声
    「おらおら!」「けっ」「へっ」「こいつだ」
    ・割り込み(前三つ)&妨害(後ろ三つ)
    「待ちやがれ!」「どこ見てやがる!」「このタイミングだァ」「させねぇよ」「クソ野郎が」
    ・ポケモン登場
    「けっ」「さあ」「オラァ!」「悪くねぇな」
    ・ワザ(ダメージ発生せず)
    「けっ」「ふん」
    ・ワザ(ダメージ発生)
    「バトルだァ!」「やってやれ!」
    ・トドメ
    「俺たちの力、見せつけてやる!」
    ・ヨノワールLV.X登場
    「楽しくなるのはこっからだぜ! ヨノワールLV.X!」
    ・ヨノワールLV.Xポケパワー
    「本当の地獄はここからだ。エクトプラズマ!」
    ・ゲンガー登場
    「雑魚が。手間取らせんてじゃんねぇよ。本当の恐怖を教えてやる、ゲンガー!」
    ・ゲンガーポケパワー
    「さあデッドオアアライブと洒落こもうじゃねぇか! 死の宣告!」
    ・ゲンガー攻撃
    「自分の力に溺れるんだな。シャドールーム!」
    ・ゲンガーLV.X登場
    「調子に乗るのもそこまでだ! ゲンガーLV.X!」
    ・ゲンガーポケパワー
    「いい気になってんじゃねぇぞ! レベルダウン!」
    ・ゲンガー攻撃
    「痛みには痛みだ! ダメージペイン!」

    長岡 恭介
    ・対戦前
    「よっしゃー! 張り切って行くぜ!」
    ・勝利
    「オッケー! 今日の俺は誰にも止められねーぜ!」
    ・敗北
    「チキショー! まだダメだったかぁ……。でも次は勝つからな!」
    ・先攻1ターン目
    「最初からガンガン行くぜ。俺のターン」
    ・有利ターン
    「超絶好調じゃん! 最後まで全力疾走だ。俺のターン!」
    「へへっ、どーよ俺のパワーは! 俺のターン」
    ・通常ターン
    「よっしゃー、俺のターンだ!」
    「戦うぜ。俺のターン」
    ・不利ターン
    「ヤバいじゃんかくっそー……。でも、まだだ。俺のターン!」
    「こっ、こういうときこそ落ち着け俺。俺のターン」
    ・逆転ドロー
    「このドローで全てがひっくり変わるかもしれねーよな? さあ、運命のドローだ!」
    ・トレーナーズ発動時掛け声
    「ああ」「これだ!」「信じるぜ」「どーだ!」
    ・割り込み(前三つ)&妨害(後ろ三つ)
    「待ってくれよ」「恨みっこなしだぜ」「このタイミングで」「悪いな」「おおっと」
    ・ポケモン登場
    「よし」「いいね」「頼むぜ!」「こいつでどうだ!」
    ・ワザ(ダメージ発生せず)
    「じゃあ」「よし、このワザだ」
    ・ワザ(ダメージ発生)
    「行っけー!」「喰らえ!」
    ・トドメ
    「お前との勝負、楽しかったぜ! でもこれで終わりだ!」
    ・ライチュウ登場
    「出番だぜ、俺の相棒! ライチュウ!」
    ・ライチュウ攻撃
    「フルパワーをぶつけ合いだ! 炸裂玉!」
    ・ライチュウLV.X登場
    「こいつが自慢のエースだぜ! ライチュウLV.X!」
    ・ライチュウLV.X攻撃
    「一撃必殺! ボルテージシュート!」
    ・ライチュウLV.Xポケボディー
    「まだ俺の番は終わってない! 連鎖雷!」
    ・エレキブルFB LV.X
    「準備は万端、出番だぜ! エレキブルFB LV.X!」
    ・エレキブルFB LV.Xポケパワー
    「まずはチャージ! エネリサイクル!」
    ・エレキブルFB LV.X攻撃
    「体から溢れるエナジー、全部ぶつけてやれっ! パワフルスパーク!」

    松野 藍
    ・対戦前
    「私と戦うってことはそれなりの覚悟が出来てるってことよね?」
    ・勝利
    「もう少し楽しませてくれると思ったんだけど、見込み違いだったかしら?」
    ・敗北
    「くっ……、なんて強さ! こんなにあっさりやられるなんて……」
    ・先攻1ターン目
    「最初のターンが肝心なの。私のターン」
    ・有利ターン
    「あら、もう終わり? 私のターン」
    「もうちょっと頑張って欲しいわね。私のターン」
    ・通常ターン
    「行くわよ。私のターン」
    「互いに後悔の残らないようにしましょう。私のターン」
    ・不利ターン
    「なかなか……、やるわね。私のターン」
    「まだまだ戦えるわ。私のターン」
    ・逆転ドロー
    「油断大敵、よ。ドロー!」
    ・トレーナーズ発動時掛け声
    「さあ」「これよ」「抜かりはないわ」「どうかしら」
    ・割り込み(前三つ)&妨害(後ろ三つ)
    「ええ」「焦りは禁物よ」「このタイミングで!」「スキだらけね」「そんなに上手く行かないわよ」
    ・ポケモン登場
    「おいで」「この子でどうかしら」「そうね」「行くわよ」
    ・ワザ(ダメージ発生せず)
    「さあ」「このワザよ」
    ・ワザ(ダメージ発生)
    「耐えれるかしら!」「攻めさせてもらうわ」
    ・トドメ
    「残念だけど、ここまでよ」
    ・キッサキ神殿発動
    「この戦いにふさわしい舞台よ。スタジアムカード、キッサキ神殿」
    ・エムリットLV.X登場
    「本気で行くわよ。エムリットLV.X!」
    ・エムリットLV.X攻撃
    「私と戦ったことを後悔することね。ゴッドブラスト!」
    ・ユクシーLV.X登場
    「遠慮はしないわ。ユクシーLV.X!」
    ・ユクシーLV.Xポケパワー
    「ひとまずは、トレードオフ!」
    ・ユクシーLV.X攻撃(未登場)
    「侮っていると痛い目に遭うわよ。思念の刃!」
    ・アグノムLV.X登場
    「出し惜しみはしない。アグノムLV.X!」
    ・アグノムLV.X攻撃(未登場)
    「ここが最良のタイミングね。ディープバランス!」
    ・レジギガスLV.X登場
    「さあ、これにどこまで抵抗出来るかしら。レジギガスLV.X!」
    ・レジギガスLV.Xポケパワー
    「弱き命を、より強大な力の礎に! サクリファイス!」
    ・レジギガスLV.X攻撃
    「この攻撃を受けて、無事でいられるかしら。ギガブラスター!」

    石川 薫
    ・対戦前
    「やるからには負けないんだから!」
    ・勝利
    「よし、あたしの勝ちね。この調子でもっと強くなる!」
    ・敗北
    「そんな! 万全のコンディションだったのに……」
    ・先攻1ターン目
    「最初の一歩は土台を作るための大事なもの。行くよ、あたしのターン」
    ・有利ターン
    「最初の威勢はどこ行ったやら。あたしのターン」
    「この調子で一気に決めてやるんだから。あたしのターンだ!」
    ・通常ターン
    「さっ、あたしのターン」
    「勝負はまだ始まったばかり! あたしのターンだ!」
    ・不利ターン
    「ううん……、あたしのターン」
    「くっ、押されてる? あたしのターン!」
    ・逆転ドロー
    「ここでなんとかするんだ……。ドロー!」
    ・トレーナーズ発動時掛け声
    「よし」「うん」「これだ!」「もらった!」
    ・割り込み(前三つ)&妨害(後ろ三つ)
    「ここ!」「待ってよ」「このタイミングで」「させない!」「待ってたよ!」
    ・ポケモン登場
    「じゃあ」「よし」「出番よ」「お願い!」
    ・ワザ(ダメージ発生せず)
    「よし」「このワザね」
    ・ワザ(ダメージ発生)
    「全力で行くよ!」「バトル!」
    ・トドメ
    「これでトドメだ!」
    ・こうらの化石発動
    「こうらの化石!」
    ・かいの化石発動
    「かいの化石!」
    ・ひみつのコハク発動
    「ひみつのコハク!」
    ・カブトプス登場
    「さあ、どんどん攻めてくよ。カブトプス!」
    ・カブトプス攻撃
    「全てを叩き斬れ! 原始のカマ!」
    ・オムスター登場
    「全ての準備は整った。出番だ、オムスター!」
    ・オムスター攻撃
    「貯めに貯めた力を解き放て! 原始の触手!」

    向井 剛
    ・対戦前
    「やるからには全力で行きます!」
    ・勝利
    「対戦ありがとうございました! よし!」
    ・敗北
    「やっぱり僕程度じゃまだまだダメなのかな……」
    ・先攻1ターン目
    「先攻をもらいます。僕のターン」
    ・有利ターン
    「よし、あと一息! 僕のターン」
    「最後まで気を抜きません! 僕のターン」
    ・通常ターン
    「行きます。僕のターン」
    「よし、僕のターンですね」
    ・不利ターン
    「くっ……。僕のターン!」
    「まだまだ戦える! 僕のターン!」
    ・逆転ドロー
    「僕だって……、僕だって! ドロー!」
    ・トレーナーズ発動時掛け声
    「じゃあ」「これで」「よし」「そうだ」
    ・割り込み(前三つ)&妨害(後ろ三つ)
    「おっと」「待ってください」「このタイミングで」「すみません」「割り込みます」
    ・ポケモン登場
    「じゃあ」「出番だ!」「よし」「任せた!」
    ・ワザ(ダメージ発生せず)
    「うん」「これにします」
    ・ワザ(ダメージ発生)
    「やりますよ!」「バトルです!」
    ・トドメ
    「最後の攻撃!」
    ・ラグラージ登場
    「君に任せるよ。ラグラージ!」
    ・ラグラージポケボディー
    「読んでました! ポケボディー、ルートプロテクター!」
    ・ラグラージ攻撃その1
    「思い通りにはさせないっ! 引きずり出す!」
    ・ラグラージ攻撃その2
    「このまま一気に! 押し倒す!」
    ・メタグロス登場
    「こいつが僕のエースカード。メタグロス!」
    ・メタグロス攻撃
    「これが僕に出来る全てだ! ジオインパクト!」

    蜂谷 亮
    ・対戦前
    「来な! ぎったぎったにしてやるぜ!」
    ・勝利
    「勝った! やっべー俺超強いんじゃね!?」
    ・敗北
    「なんでだよ! なんで負けるんだよ!」
    ・先攻1ターン目
    「最初から全開で行くぜ! 俺のターン!」
    ・有利ターン
    「キてるキてる! 俺のターンだ!」
    「これ勝てるんじゃね? 俺のターン」
    ・通常ターン
    「来いよ。泣かせてやるぜ! 俺のターン」
    「負けねぇぞ。俺のターンだ」
    ・不利ターン
    「まだ諦めないからな! 俺のターン」
    「くっそー、バカにしやがって! 俺のターンだ!」
    ・逆転ドロー
    「ドローなら俺の十八番! やってやるぜ、ドロー!」
    ・トレーナーズ発動時掛け声
    「どーよ?」「これだ!」「へへっ」「面白そうじゃん」
    ・割り込み(前三つ)&妨害(後ろ三つ)
    「待ちやがれ!」「おっと」「このタイミングで」「焦んなよ」「させるかっ!」
    ・ポケモン登場
    「へいへいへい!」「行け行け!」「そらっ」「こいつだ!」
    ・ワザ(ダメージ発生せず)
    「へへへ」「見せてやるぜ」
    ・ワザ(ダメージ発動)
    「やってやれ!」「ぶちかませ!」
    ・トドメ
    「これで俺の勝ちだ!」
    ・スピアー登場
    「俺のいいとこ見せてやる。出番だ、スピアー!」
    ・スピアーポケパワー発動
    「どんどんスピード上げていくぜ! 羽を鳴らす」
    ・スピアー攻撃その1
    「これでも喰らいやがれ! ニードルショック!」
    ・スピアー攻撃その2
    「ぶちのめしてやれ! 皆で襲う!」

    森 啓史
    ・対戦前
    「さあ、全力で勝負や!」
    ・勝利
    「なかなかええ勝負やったやん。めっちゃ熱くなれたな!」
    ・敗北
    「嘘やんもう終わり!? もう一回、もう一回や!」
    ・先攻1ターン目
    「最初からガンガン攻めんで。俺のターン!」
    ・有利ターン
    「この勝負、もらった! 俺のターン!」
    「手はずミスらへんかったら俺の勝ちや。俺のターン」
    ・通常ターン
    「さぁ、俺のターン」
    「行くで、俺のターン」
    ・不利ターン
    「くそっ、まだまだ! 俺のターン」
    「なんとかここで挽回しーひんと……。俺のターンや!」
    ・逆転ドロー
    「肝心なのはここでの勝負強さ! 見せてたるで。ドロー!」
    ・トレーナーズ発動時掛け声
    「うん」「ええやん」「これか」「こうや!」
    ・割り込み(前三つ)&妨害(後ろ三つ)
    「待ちや」「そらっ!」「このタイミングや」「狙ってたで!」「思った通りや」
    ・ポケモン登場
    「頼むで」「出番や!」「来い!」「こいつや!」
    ・ワザ(ダメージ発生せず)
    「これや」「よし」
    ・ワザ(ダメージ発動)
    「バトル!」「喰らえっ!」
    ・トドメ
    「もらったぁ!」
    ・ガブリアスC LV.X登場
    「こいつが俺のとっておき! 現れろ、ガブリアスC LV.X!」
    ・ガブリアスC LV.Xポケパワー
    「その程度のダメージじゃ、残念やけど倒せへんで。癒しの息吹!」
    ・ガブリアスC LV.X攻撃
    「どこにおっても射程距離! ぶっ潰せ! ドラゴンダイブ!」
    ・レントラーGL LV.X登場
    「おもろなんのはこっからや! レントラーGL LV.X!」
    ・レントラーGL LV.Xポケパワー
    「何をしたって逃がさへん! 輝く眼差し!」
    ・レントラーGL LV.X攻撃
    「渾身の一撃、受けてみろ! フラッシュインパクト!」
    ・ゴウカザル四LV.X登場
    「こいつでどうや! ゴウカザル四LV.X!」
    ・ゴウカザル四LV.Xポケパワー
    「残念やけどお呼びじゃないで。威嚇の雄叫び」
    ・ゴウカザル四LV.X攻撃
    「俺の全力をぶつけるまでや! 炎の渦!」
    ・ディアルガG LV.X登場(未登場)
    「ディアルガG LV.X! お前の力を見せつけてやれ!」
    ・ディアルガG LV.Xポケボディー(未登場)
    「今さら小細工は無用や。時の結晶!」
    ・ディアルガG LV.X攻撃(未登場)
    「欠片残さず消えて無くなれ! リムーブロスト!」

    宇田 由香里
    ・対戦前
    「さぁ、楽しい勝負にしよう、ってね」
    ・勝利
    「あたしを満足させるには全然アカンな。もっと本気にさせて欲しかったわ」
    ・敗北
    「なかなかやるやん! 次は本気でやるで!」
    ・先攻1ターン目
    「満足させてや? あたしのターン」
    ・有利ターン
    「なんや、だらしないなぁ。あたしのターン」
    「ふわぁ〜あ。眠たいわぁ。あたしのターン?」
    ・通常ターン
    「さっ、あたしのターン」
    「行くで。あたしのターン!」
    ・不利ターン
    「へぇ、見掛けよりやるやん。あたしのターン」
    「なかなかえぇセンスやん。あたしのターン」
    ・逆転ドロー
    「ちょびっとだけ本気で行くで。ドロー!」
    ・トレーナーズ発動時掛け声
    「どや」「これや」「うんうん」「これくらいやな」
    ・割り込み(前三つ)&妨害(後ろ三つ)
    「おっと」「焦りなや」「このタイミングで」「アホちゃう?」「それっ」
    ・ポケモン登場
    「さあ」「来てや」「頑張りや」「見せたるで」
    ・ワザ(ダメージ発生せず)
    「こんなんでどうよ」「ほらほら」
    ・ワザ(ダメージ発生)
    「バトルや!」「行くで!」
    ・トドメ
    「最後の一撃、喰らいや!」
    ・キングドラ登場
    「頑張りに免じて遊んであげる。さぁ、キングドラ!」
    ・キングドラ攻撃その1
    「一気に行くで! ドラゴンポンプ!」
    ・キングドラ攻撃その2
    「この機会をずっと待ってたんや! アクアストリーム!」
    ・フローゼルGL LV.X登場(未登場)
    「これで準備はばっちりや。フローゼルGL LV.X!」
    ・フローゼルGL LV.Xポケパワー(未登場)
    「そんなんされても大丈夫や。ウォーターレスキュー!」
    ・フローゼルGL LV.X攻撃(未登場)
    「これでどない? エナジーサイクロン!」

    杉浦 孝仁
    ・対戦前
    「やるからには勝ったる!」
    ・勝利
    「なんや、ポケモンカードって案外簡単やねんな」
    ・敗北
    「……。こっち本業ちゃうから別にええし」
    ・先攻1ターン目
    「俺先攻でええねんな? 俺のターン」
    ・有利ターン
    「畳み掛けるで。俺のターン!」
    「勝てそうやん。俺のターン」
    ・通常ターン
    「手加減してや? 俺のターン」
    「やったんで。俺のターンや」
    ・不利ターン
    「クソゲーが! ……俺のターン!」
    「鬱陶しいな。俺のターン」
    ・逆転ドロー
    「ドローだって乱数や! ドロー!」
    ・トレーナーズ発動時掛け声
    「こうか?」「一気に行くで」「どや!」「舐めんな!」
    ・割り込み(前三つ)&妨害(後ろ三つ)
    「待てや」「割り込むで」「このタイミングやな」「させへんし」「はいはい乙ゲー乙ゲー」
    ・ポケモン登場
    「よし」「ええやん」「頼むで」「行けっ!」
    ・ワザ(ダメージ発生せず)
    「こうか」「じゃあ」
    ・ワザ(ダメージ発生)
    「ぶっ潰す!」「決まれ!」
    ・トドメ
    「これで俺の勝ちや!」

    藤原 拓哉(表)
    ・対戦前
    「本当に僕が相手でいいの?」
    ・勝利
    「うん、僕もなかなか良い調子だね」
    ・敗北
    「やっぱり君は強いなぁ。僕も、君みたく強くなりたいよ。大事なモノを守れる強さを!」
    ・先攻1ターン目
    「じゃあ先攻はもらうよ! 僕のターン」
    ・有利ターン
    「このまま勝ちに行くよ。僕のターン」
    「良い感じ! 僕のターン」
    ・通常ターン
    「遠慮はなしだよ。僕のターン」
    「さあやろっか。僕のターン」
    ・不利ターン
    「強いね……。僕のターン」
    「くっ……。僕のターン!」
    ・逆転ドロー
    「守られてるばかりじゃ嫌なんだ! ドロー!」
    ・トレーナーズ発動時掛け声
    「よし」「うん」「これだよ」「どうかな?」
    ・割り込み(前三つ)&妨害(後ろ三つ)
    「あっ、そうだ」「ちょっと待って」「このタイミングで」「ごめんね」「させないぞ!」
    ・ポケモン登場
    「お願い!」「出番だよ」「任せるよ」「一緒に頑張ろう」
    ・ワザ(ダメージ発生せず)
    「これだよ」「このワザを使うよ」
    ・ワザ(ダメージ発生)
    「バトル!」「よし!」
    ・トドメ
    「これが通れば僕の勝ち!」

    一之瀬 和也
    ・対戦前
    「君の力を試してあげるよ」
    ・勝利
    「なんだ、正直のところがっかりしたよ。この程度の実力だったとはね」
    ・敗北
    「君、強いね。君ならば……。いや、なんでもないよ」
    ・先攻1ターン目
    「手加減してあげるから全力で来てよ。僕のターン」
    ・有利ターン
    「つまらないね。僕のターン」
    「期待しすぎたか。僕のターン」
    ・通常ターン
    「さあ戦おうか。僕のターン」
    「君の力を見せてくれ。僕のターン」
    ・不利ターン
    「いいねぇ。たぎるねぇ。僕のターン」
    「面白い。僕のターン」
    ・逆転ドロー
    「ほんのちょっとだけ本気で行くよ。ドロー!」
    ・トレーナーズ発動時掛け声
    「このくらいかな」「多少は抗って欲しいね」「余裕だね」「行くよ」
    ・割り込み(前三つ)&妨害(後ろ三つ)
    「ここだ」「そこで」「このタイミングで」「見え見えだよ」「効かないね」
    ・ポケモン登場
    「君だ」「現れろ」「来い」「出でよ」
    ・ワザ(ダメージ発生せず)
    「ふっ」「このくらいかな」
    ・ワザ(ダメージ発生)
    「堪えてくれよ?」「バトルしようか」
    ・トドメ
    「もうお仕舞いか」

    山本 信幸(敬)
    ・対戦前
    「ククク……。さぁ! 始めましょうか。どちらかのみが生き残る、究極の戦いを!」
    ・勝利
    「安心して良いですよ? 貴方の血肉は僕の力になるのだから」
    ・敗北
    「たまには負けてあげないと、ねぇ?」
    ・先攻1ターン目
    「先攻譲って良いんですかね? 僕のターン」
    ・有利ターン
    「しっかりしてくださいよ……。まだまだ遊び足らないんだから! キカカカカッ! 僕のタァーン!」
    「脆い! 脆い! 脆い! あまりにも脆い! 僕の、タァーン!」
    ・通常ターン
    「さぁ、やりましょうか。僕のターン」
    「それでは。僕のターン」
    ・不利ターン
    「認めない! 僕が負けるだなんて……! 僕のターン!」
    「まだだ、まだだァ! 僕のタァーン!」
    ・逆転ドロー
    「僕は……。おれは……! 野望のために負けるわけにはいかないィィ! ドロー!」
    ・トレーナーズ発動時掛け声
    「これで」「どうです」「さあさあ」「ほらほら」
    ・割り込み(前三つ)&妨害(後ろ三つ)
    「焦りは良くないですよ。本当に大切なものを見逃してしまうのだから!」「ヒヒャヒャヒャヒャヒャ!」「このタイミングで!」「その望みとやらをへし折る!」「儚いねぇ!」
    ・ワザ(ダメージ発生せず)
    「ククク……」「キカカカカ……」
    ・ワザ(ダメージ発生)
    「バトル!」「消し飛べ!」
    ・トドメ
    「終わりだァ!」
    ・アブソルG LV.X登場
    「楽しませてあげますよ! アブソルG LV.X!」
    ・アブソルG LV.Xポケパワー
    「希望とやらを掻き消す絶望を! 闇に送る!」
    ・アブソルG LV.X攻撃
    「まとめて吹き飛べ! ダークスラッガー!」
    ・クレセリアLV.X登場
    「努力だけは認めますよ。それに免じてこいつの出番と行きましょう。クレセリアLV.X」
    ・クレセリアLV.Xポケパワー
    「自らの過ちが招く結果がこれですよ。満月の舞い」
    ・クレセリアLV.X攻撃
    「残りの命を削り取らせてもらいましょうか。ムーンスキップ!」
    ・ミュウツー登場
    「見せてあげますよ、僕の力を! 現れろ、ミュウツー!」
    ・ミュウツー攻撃
    「吹き飛べ、サイコバーン!」
    ・ミュウツーLV.X登場
    「ここまで良く出来ましたと褒めてあげましょう。でも、ここまでだァ! キヒャヒャヒャヒャ! ミュウツーLV.X!」
    ・ミュウツーLV.Xポケボディー
    「余りにもか弱すぎる! その攻撃は全て無に帰す! サイコバリア!」
    ・ミュウツーLV.X攻撃
    「それではさようなら。これで貴方を消してやる! ギガバーン!」

    山本 信幸(狂)
    ・対戦前
    「貴様に勝てばおれの能力は真の力を発揮でき、汚れた世界をおれが自ら変えることが出来る! 貴様がおれの最後の相手だ!」
    ・勝利
    「これだァ! この能力(ちから)だァ! この世界を粛正し、新たな世界を築き上げる恐怖の力ァ! クキヒャヒャヒャ! キヒャヒャヒャヒャッ!」
    ・敗北
    「嘘だっ! うっ、うああああああああああああああああ!」
    ・先攻1ターン目
    「ふん、先攻で攻めさせてもらう。おれのターン」
    ・有利ターン
    「貴様が強いのは認めてやる。だからこそおれの野望はもう少しで達成されるゥ! おれのタァーン!」
    「もう少し……。あと少しだッ! この腐った世界を変えるまでほんの少しィ! 行くぞォ! おれのターン!」
    ・通常ターン
    「足掻け足掻け足掻けェ! もっと足掻いて見せろォ! おれのターン!」
    「この戦いにおれの全てが懸かっている。おれのターン」
    ・不利ターン
    「このまま、引き下がれるかァ! おれの、タァーン!」
    「くっ、どうしてだ……。あと少しだと言うのに! おれの、おれのタァーン!」
    ・逆転ドロー
    「神でも悪魔でもなんでもいい! おれに、力をォ! ドロォー!」
    ・トレーナーズ発動時掛け声
    「これだ」「クキカカカ」「粛正への一歩だ」「穢れた世界の浄化の始まりだ!」
    ・割り込み(前三つ)&妨害(後ろ三つ)
    「逃がすかァ!」「まだだ、まだだ!」「このタイミングで!」「調子に乗るなァ!」「させると思ったかァ!」
    ・ポケモン登場
    「キヒャヒャヒャ」「こいつだァ!」「怯えろ!」「現れろ!」
    ・ワザ(ダメージ発生せず)
    「キカカカカ!」「ヒヒャヒャヒャヒャ」
    ・ワザ(ダメージ発生)
    「悶えろ!」「喰らえ!」
    ・トドメ
    「これで新たな世界の幕が開ける! トドメだァ!」
    ・アブソルG LV.X登場
    「愚図ばかりで腐りに腐ったこの世界を粛清するための第一歩だァ! 出でよ、アブソルG LV.X!」
    ・アブソルG LV.Xポケパワー
    「淀んだ貴様のデッキを消してやるッ! 闇に送る!」
    ・アブソルG LV.X攻撃
    「不要な物を切り落とし、新たな世界への一歩とするッ! ダークスラッガー!」
    ・クレセリアLV.X登場
    「こいつが屑塗れのこの世界に光を与えるおれの力だァ! クレセリアLV.X!」
    ・クレセリアLV.Xポケパワー
    「かつてこのおれが愚図から受けた屈辱、そしておれと同じような目に遭っている悲しき人々を救うための光だ! 満月の舞い!」
    ・クレセリアLV.X攻撃
    「貴様に走馬灯を見る余裕などないィ! ムーンスキップ!」
    ・ミュウツー登場
    「さあ、楽しい楽しいショータイムだ! 出でよ、ミュウツー!」
    ・ミュウツー攻撃
    「まとめて吹き飛べ! サイコバーン」
    ・ミュウツーLV.X登場
    「貴様にも全てを消し飛ばす圧倒的闇を見せつけてやる! これが、おれの究極の力! 現れろ、ミュウツーLV.X!」
    ・ミュウツーLV.Xポケボディー
    「無駄だ無駄だァ! このサイコバリアの前ではそのようなワザなど無力! 格の差を知れェ!」
    ・ミュウツーLV.X攻撃
    「ここまでよく頑張ったと褒めてやろう! だからこそこれで楽にしてやる! 全て消し飛べ! ギガバーン!」

    高津 洋二
    ・対戦前
    「お前に話すことはない。ただ戦うだけだ」
    ・勝利
    「……こいつが悪いんだ。こいつが悪いんだあああ! 俺は忠告をしたはずだ、降参しろと! そうだ、こいつが悪いんだ。俺は何も悪くない」
    ・敗北
    「くっ……あああぁっ! ぐぅっ!」
    ・先攻1ターン目
    「本当の力を見せてやる。俺のターン」
    ・有利ターン
    「今度こそ降参したらどうだ? 俺のターン」
    「しぶといな……。俺のターン」
    ・通常ターン
    「……俺のターン」
    「どうなっても知らないぞ、俺のターン」
    ・不利ターン
    「どうしてだ、くっ、俺のターン!」
    「その言葉が後に自分の首を絞めることになることを教えてやる。俺のターン」
    ・逆転ドロー
    「お前も、お前も、お前も! 潰してやる……! 二度と立ち上がれないくらい! ドローッ!」
    ・トレーナーズ発動時掛け声
    「……」「こうだ」「どうだ」「この力を思い知れっ」
    ・割り込み(前三つ)&妨害(後ろ三つ)
    「くだらんな」「邪魔をするな」「このタイミングだ」「芸の無い奴だ」「好きにさせるか」
    ・ポケモン登場
    「さあ」「こいつだ」「現れろ!」「出でよ!」
    ・ワザ(ダメージ発生せず)
    「このワザだ」「やれ」
    ・ワザ(ダメージ発生)
    「さらなる絶望を教えてやる」「さあ、やれ!」
    ・トドメ
    「口だけならなんとでも言える。お前が何と言おうと、それは意味を成さない。俺は俺を否定する奴を認めない。これでお前に止めを刺してやる」
    ・パルキアG LV.X登場
    「圧倒的な力の前に慄け! パルキアG LV.X!」
    ・パルキアG LV.Xポケパワー
    「パルキアG LV.X、力の差を見せつけてやれ。ロストサイクロン」
    ・パルキアG LV.X攻撃(未登場)
    「数多の戒めを吹き飛ばせ! ハイドロシュート!」
    ・カイリキー登場
    「その力、存分に振る舞え! カイリキー!」
    ・カイリキー攻撃その1
    「エネルギー一つでも力の差を見せつけてやろう。落とす攻撃」
    ・カイリキー攻撃その2
    「ははははは! 俺を愚弄したことを後悔させてやる。ハリケーンパンチ!」
    ・カイリキー攻撃その3
    「これが俺の怒りだ! いかり攻撃!」
    ・カイリキーLV.X登場
    「己が過ちに恐れを知れ! 現れろ、カイリキーLV.X」
    ・カイリキーLV.X攻撃
    「さらなる絶望を教えてやる。斬新攻撃!」


      [No.921] アルセウスジム編を読む前に 投稿者:照風めめ   《URL》   投稿日:2012/03/22(Thu) 17:08:23     38clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

     第四章アルセウスジム編を読んでいただく前に

     この章からテキストや用語、ルールを全てBW準拠にさせていただきます。
     レギュレーションは前章まで使っていたDP、DPtまでのカードが一切使用せず、LEGEND、BWのカードとなります。

     そして、来週から始まる本編ですが、本編更新とともにカードの画像を実際に使ってルールやその回のカードを解説していくコーナーを設立しようと思います。

     ───この物語はフィクションです。劇中に出てくる人物、団体は架空の物と実在の物が存在しますが、実在の人物、団体とこの小説に書かれることは何の関係もありません。───


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