巨大な黒い鳥が、また一羽落とされた。
村の男たちが10人がかりで銛を打ち、網を投げ、縄でからめて捕まえる。
日は高く昇り、櫓のそばに堕ちた黒い鳥を白く照らす。櫓の上の男が歓声を上げながら梯子を降る。男たちが鳥を刺す。麻布で作られた簡素な服を赤く黒く染めながら。
鳥は声を上げない。
藁葺の屋根の下、むせ返るような熱の中、老婆が湯を沸かす。
赤ん坊の泣き声が聞こえた。
老婆は温めた布で赤ん坊をくるめ、母親の体からそれを受け取る。
母親の苦しむ声に変わり、生まれたてのそれが放つ大きな泣き声がなりわたる。
母親は喜んだ。その赤ん坊の頭を見るまでは。
老婆は恐れた。その赤ん坊の頭を見てしまうと。
老婆は小さくため息をつく。
そして上を向き、忘れ去られた神に向かってひとり呟く。
あぁ、それが生まれたよ、と。
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