4月7日、すっかり体調の回復したオオバヤシは、マイコに連れられてある場所に向かっていた。
「おい、マイコ」
「どうしたの?」
「お前は今日、俺をどこに連れていく気なん?」
「ニシニホン博物館に」
「あそこは壊れてんぞ、知らんかったんか?」
「すみません、知ってます……。」
実を言うと、少し前に、マイコはハマイエやカワニシと共にロケット団と一戦交えていた。人質をとられるという危機に瀕しながらも、太陽の石による進化で逆転し、勝利をつかんだのだ。そのバトルのせいで博物館は壊れている(その5前後編参照)。
「でも、そこの跡地に新しい施設ができてるんだよ。」
「……そこは俺も知らんかったな」
「行く価値はあるはずだよ」
着いた場所は、「府立 カセキ復元・発掘センター」
「こんにちは、カセキ復元・発掘センターへ。本日はどのようなご用事でしょうか。」
係員の人が聞いてきたので、マイコが答えた。
「すみません、この人の持っているカセキを復元してもらいたいんですけど。」
そういったのちに、オオバヤシに促した。
(ばーやん、昨日もらったあの箱出して)
(お前、そのために俺をここに……!?)
(ほらお願い、早く開けて!)
オオバヤシが開けた箱の中には、1枚の何かの羽のようなカセキがあった。
「これは……羽のカセキですね。復元するとアーケンになりますよ。」
「はねの……カセキ??アーケン??何なんですかそれ」
「後で説明しますんで、発掘コーナーで楽しんできてくださーい。あと、番号札お渡ししますので、放送されたら来てくださいね。復元には多少の時間を要します。」
番号札は5番である。二人は時間潰しついでに発掘コーナーに向かった。
着いてすぐ、二人にハンマーとピッケルが渡された。
「こちらの2つの器具で壁を削りながら進化の石を探してください。出てきたものは持って帰れますよ。」
係員にそう説明されるが、二人は心の中でこう思った。
(進化の石って結構高いんちゃうかったっけ?)
(この施設ってちゃんと成り立つのかな?)
自分の心配より経営の心配である。
説明ののち、二人は壁を掘ることにした。掘れる区域が決まっているらしく、二人は少し離れることにした。
カン、カン、カン、カン……
器具を壁に打ち付ける音だけが聞こえてくる。ハンマーで大まかに壁を崩し、頃合いを見てピッケルで形を整えていく。
ここの壁は結構柔らかめで、ビギナー用らしい。1回のハンマーで大体、何かが埋まっていることはすぐ分かった。
ほどなくして、収穫が得られることになる。
「あ、あった!月の石だ!本当に夜空みたい!」
「こっちには水の石があったで。模様も入っとるな」
それは月の石と水の石。
「ムンナに使えるけど……、まだいいや。」
そう言って、マイコは月の石を道具入れのバッグにしまう。
「え、何で使わへんの?」
オオバヤシもバッグに水の石をしまいつつ、マイコに聞いた。
「まだ、《進化の必要なとき》が来てないから。」
「どういう意味なん?」
「ばーやん、それはじきに分かるよ」
そのような会話が交わされて、すぐ放送が鳴った。
ピンポーン、ピンポーン
「番号札5番をお持ちのお客様、カセキが復元できましたので至急、案内コーナーに来てください。」
二人は走って案内コーナーに向かった。
案内コーナーで渡されたボールから、オオバヤシはポケモンを出した。
原色の、《飛べない》始祖鳥、最古鳥ポケモンのアーケンであった。
「アーケンは、ちょっと特性にクセがありますが、とても強いポケモンです。進化するとアーケオスという、かなり強力なポケモンになりますよ。」
「へえ……そうなんや……」
オオバヤシは係員の説明を聞き、少しだけ考える素振りを見せるのだった。
そして、マイコに疑問をぶつけることにした。
「アーケンの特性にクセがあるってどういう意味なん?」
マイコは、ポケモンが来てから最初の日に携帯電話に入っていたアプリケーション「ポケモン図鑑」の「アーケン」の項目を見ながら答えた。
「えっと……確かアーケンの特性は……《弱気》だったね。」
「その効果は?」
「体力が残り半分を切ると、素早さ以外の能力が下がるの。」
「えっ……それって良くないんちゃう……?」
「でも、それを補うくらい能力は高いし、えっと……つまり、体力が減らないうちに勝負をさっさと決めることが重要ってこと!」
アーケンを使いこなせる人は、バトルに一定の才覚があるのではないかとマイコは思うのだった。
後編へ続く
マコです。
プレゼントは羽のカセキ、すなわちアーケン!
特性がどうにかならないかって真剣に頭を抱えてしまいますが、それより圧倒的な攻撃力は玄人もうなります。
そして、仲間の新加入は後編でも続きます。
オオバヤシさんだけでなく、マイコちゃんにもね!
次はバトル編。今回は悪党相手ではなく、路上での気兼ねないけど真剣なものです。
【書いてもいいのよ】
【感想待ってるのよ】