今度から一人暮らしをすることになった。
で、俺が探しているのは、ワケあり物件だ。
……………イヤ、俺は心霊マニアとかじゃなくて。別に怪しいもんじゃありません。だって安いじゃん、ワケあり物件。
幽霊を信じないわけでは無いけれど、あまり気にしないので良いとする。
早速不動産屋に行ってみて、とにかくワケありな物件を片っ端からあさってみた。すると、あったではないか、究極のワケあり物件。
駅から徒歩十五分。南側。角部屋。築十五年。家賃はなんと一月五万円。
「………なんすかコレ」
「究極のワケあり物件ですよ。そういったじゃないですか」
「って言うかコレ、名前『桜田ファミリア』って………」
「で、どうします? 浮遊霊が三体うろつくらしいですけど」
「幽霊とのルームシェアですか。ちょっと邪魔になるぐらいだろうですし、ここに決めます」
幽霊三体と角部屋でのルームシェアか。面白そうだ。
で、数日後。
引越しをおえ、ふと振り返ってみると………
「……………」
不動産屋の言っていた、「浮遊霊」とやらが待ち構えていた。
ふんわりとした髪の毛を持ち、胸に赤い水晶玉のようなものを付けたムウマ。
布のようなひらひらした体にちょこんと角のようなものが生えた頭、そしてくりくりとした大きな目を持つカゲボウズ。
黒い体にどくろのような仮面をつけ、そこから赤い一つ目を覗かせるヨマワル。
「なんだよこいつら、可愛いじゃねえか………」
おれはポケモンの中でも特別ゴーストタイプが好きというわけでもないが、こいつらのかわいさには参ってしまいそうだった。
「え? なに? お前ら、ここ住んでんの?」
三匹は満面の笑みを浮かべて頷いた。むっちゃかわええ………。
この家に越してきて、最高に良かったと思った。