「いきます!ポカブ!コアルヒー!バチュル!」
少女はモンスターボールから、ポカブ、コアルヒー、バチュルを繰り出した。
「手加減は致しません!ポカブ、ヤンヤンマにひのこ!」
ポカブは、鼻からひのこをヤンヤンマに向けて発射した。むしタイプであるヤンヤンマはほのおタイプの攻撃で大ダメージを受けた。
「なかなかやりますね・・・。しかし、そう上手くは行きません!サイホーン、バチュルにロックブラスト!」
黒服の男のサイホーンがバチュルに向け、ロックブラストを放った。バチュルは立て続けにダメージを受け、瀕死寸前の状態となった。
「バ、バチュル!・・・あのサイホーンは厄介ですね。私の三匹のポケモン全てに効果抜群のダメージを与えますし、早急に倒さなければ・・・。コアルヒー、サイホーンにみずでっぽう!」
コアルヒーはサイホーンにみずでっぽうを放った。いわ・じめんタイプであるサイホーンは水タイプの技になすすべなく一撃で倒されてしまった。
「ふう・・・これで一番の不安要素が無くなりました。」
「なかなかやりますね・・・。しかし、油断は禁物です、お嬢様。グラエナ、バチュルにかみつく!」
グラエナはバチュルにかみつく攻撃をした。瀕死寸前であったバチュルは今の攻撃で倒されてしまった。
「バチュル!」
「これで2VS2ですね・・・。ここからが本当の勝負です。」
「・・・望むところです。」
* * *
一方、アレンとダルクは『緑の横穴』にてポケモン修行をしていた。
「それにしても、さっきのは何だったんだろうね。」
「・・・何のことだ?」
「ほら、さっき会った女の子と黒服の人たちだよ。」
「ああ、あれか。・・・しかしあの娘、どこかで見たような気がするんだが。」
「その子・・・テレビに出てくるような有名人なの?」
「いや、テレビで見たとかじゃなく、実際に逢ったことがあるような気がするのだが・・・。」
「・・・?」
* * *
少女と黒服の男とのポケモンバトルは今だ続いていた。
「コアルヒー、つばめがえし!」
「ヤンヤンマ、ソニックブーム!」
コアルヒーはヤンヤンマのソニックブームをくらいつつも、つばめがえしを見事にヒットさせた。その威力でヤンヤンマが倒れると同時に、今までのダメージがたたったのか、コアルヒーも倒れた。
「とうとう1VS1ですね。」
「私とお嬢様の一騎打ちというわけですね。進化している分、私の方が有利でしょうな。」
「・・・いいえ?わかりませんよ?ここまでのバトルで、二匹ともかなりダメージを負っています。逆転の兆しは十分にあります。」
「ふふ・・・どうでしょうかね。一気に決めますよ!グラエナ、かみくだく!」
「ポカブ、ニトロチャージ!」
グラエナとポカブの攻撃が同時にぶつかり、辺りに土煙がまった。
そして、土煙が晴れた中に立っていたのは・・・ポカブだった。
「か・・・勝ちました!」
「く・・・流石はお嬢様だ。しかし、このことを旦那様にどう説明すれば・・・。」
「・・・しばらくは捜索しているフリをしたらどうですか?そうすれば、私も貴方達も少しはお得だと思いますが。」
「し、しかし・・・。」
「正直、私も貴方達が酷い目に逢うのは我慢なりません。しかし、ポケモントレーナーをしての旅も続けたい。ならば、それがいいと思うのですが・・・。」
「お嬢様の思いもわかりますが・・・しかし、我々はお嬢様と接触した以上、このことを旦那様に報告しなければならないのです。お許しください。」
「・・・わかりました。では、その際、この手紙をお父様にお渡しください。」
そういって少女は、手紙を男に差し出した。
「了解いたしました。では。」
そう言って黒服の男達は去って行った。
「・・・ふう。これで暫くは、平穏な旅ができます。」