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  [No.3852] てっぺき 投稿者:   投稿日:2015/11/05(Thu) 21:11:39   195clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
タグ:XD】 【六つ子ブラザーズ】 【捏造と俺設定がダークラッシュ】 【続いちゃったよ! ママン!
てっぺき (画像サイズ: 763×452 195kB)



「アズマはどんなトレーナーを連れて来るんでしょうね」

 スナッチマシンの開発に使用されていた第一研究室。
 机上に堆く積まれた資料を元あった場所へ戻してゆくクレインの横で、壁際に置かれた透明なカプセルケースを覗きながら、ジョシュアが言った。彼の視線の先には、長いようで短かった役目を終えたスナッチマシンがある。

 願わくば二度と活躍の機会が与えられませんように。そう祈りを込めて、先日アズマと三人で納めたものだ。

「腕前の程は心配無いさ。問題は人数がどのくらいになるかだ」

 足元の低い棚に本をしまっていたクレインは屈んだままの体勢で振り返り、ジョシュアの問いかけに答えた。

「四人くらい来てもらえると助かるんですけど。最低でも二人は必要ですよね」

 言葉を続けた助手に、所長はそうだな、と頷き立ち上がった。

 つい先刻クレインの携帯端末に、了承を貰ったから直ぐに連れて行く、という内容のアズマからのメールが届いた。期待以上の迅速な展開に、元より朗らかなクレインの表情は益々にこやかなものになって、ジョシュアも満悦である。上司がご機嫌なら部下もご機嫌という訳だ。

 しばらくの片付け作業ののち、二人は揃って部屋を出て正面玄関の脇へ歩いた。全面硝子張りの研究所は静穏な林の中に建てられており、景色は抜群に良い。この場に勤める人々の癒しの眺望となっている。
 オーレ地方は緑に乏しい地域であるから、この辺り一帯の土地は高値で取引されていた。けれど無理をしてでも買って良かったと、親友と何度も話したなと懐かしみ、クレインはそよ風に揺られる木々を眺めた。

 とその時、彼が望んでいた緑の隙間から異質の影が現われた。助手と共に目を凝らすと影は見慣れた形をしていて、近づいてくる内にそれがかの親友の息子、アズマが乗るスクーターであると視認出来た。

「所長、帰って来ましたよ!」
「思ったよりも早かったな」

 そう言葉を交わす間にも自動二輪車はこちらへ向かって進行する。次いで、少年を乗せたスクーターよりも大きな影が二つ、追従していることに気がついた。

「なんだか大きな車もついて来ていますね。手前の水色のはポケモンですか?」
「メタグロスだね。うん? あの車……」

 進化前でも充分珍しいポケモンであるダンバル。その最終進化形態を連れたトレーナーをスカウトして来るとは、流石はアズマだ。
 そのように心中で少年を担ぎ上げたクレインだが、メタグロスの向こう側を走行する厳つい車体に見入るや否や、危機感を露に声を上げた。

「あれは! 僕がシャドーに捕まった時に乗せられたトラックじゃないか!!」
「ええっ!?」

 唐突な大音声とその内容に、ジョシュアと、二人の背後でうつらうつらしていた受付嬢がぎょっとして開眼する。
 そうと知った上で再度来訪者に注目すれば、車内にもメタグロスの頭上にも、更にはなんとスクーターの上、少年の真後ろにもシャドーの戦闘員が乗り込んでいるではないか!

「アズマ、追いかけられているんですよ!」
「大変だ……!」

 スーパーコンピューターよりも優れた頭脳を持つと言われるメタグロスを悠々と乗りこなしている辺り、敵も相当の手練れだ。いくらアズマが先方の組織を壊滅に追い込んだ豪傑とはいえ、少年自身は非力であるし、数で掛かって来られては勝ち目があるかどうか。
 二人は居ても立ってもいられず、白衣をはためかせて玄関をくぐり抜け、屋外へと駆け出した。

 瞬時には何が起こっているのか把握出来なかった受付嬢も、所長とその一番助手のただならぬ挙動に、しゃきっと姿勢を正す。そして何故だか頬を上気させたかと思うと、掛けていた椅子からがばっと立ち上がった。

「事件の匂いだわ!」

 思わずのんびり小舟を漕いでしまうくらい平和なポケモン総合研究所に、にわかに漂い始めた不穏なる気配……。
 当施設の顔を勤めるにはいささか軽率な性格をしている彼女は、この緊急事態を他のスタッフにも報せねばなるまい、という使命感を胸に業務を放り出すと、一目散に第二研究室へと走った。






「みんな、もうすぐだよ」

 一方、こちらはアズマと六つ子ブラザーズ。
 ラボを出立してからは特筆するような事件も無く(精々次男と三男がメタグロスから転落しそうになったことくらいだ)、予定よりも早く目的地に到着出来そうだ。

 もう随分と長い間、索莫とした砂原で暮らしていた六つ子は、オーレでは貴重な緑の群生にしばし目を奪われていたが、アズマの声に誘われ前方に顔を向ける。果たして林の合間に、白い建物が見えて来た。

「あれがポケモン総合研究所か」
「結構でかいな」
「右側が研究所で、左側の一階が俺の家」

 少年の解説に六人はへえと得心声を漏らし、改めて正面の建築物を眺め渡した。
 向かって右手、モンスターボールの立体映像を掲げる円筒型の建物が研究所であり、その左に四角い住居棟がぴったり密接している。それぞれに個別の玄関が設けられているのだが、研究所二階の西にある所長室と、住居棟二階の東にある資料室とが扉一枚で繋がっており、そこからも行き来が出来るのだとアズマは説明した。

 研究所へ至る道程の途中には数段の階段があり、テラコッタのタイルが玄関先まで敷き詰められている。アズマは階段手前の砂利道にスクーターを停め、今来た道の端へトラックを駐車するよう、ハンドルを握るテトルに頼んだ。
 最後に車両の横へ、折り畳んでいた四足を地面に突き刺しメタグロスが静止する。三男と共に頭上から降りた次男が、ここまで運んで来てくれた鉄脚ポケモンに礼を言いボールへ回収していると、背面――研究所の方から靴音が聞こえて来て、七人は振り返った。見れば階段の上に白衣の男性が二人、駆けつけて来ている。

「アズマ!」

 名を呼ばれた少年は声の主、所長クレインの方へ体を向けた。そして一言。

「ただいま戻りました」
「何をのんきなことを言っているんだ!?」

 正直あまり迫力が感じられないものの鬼気迫る顔で怒鳴られ、アズマは首を捻った。

「所長が怒ってる」
「怒らない方がおかしいだろ……」
「早速勘違いされてるんだよ、オレら」

 やや離れた所からぎりぎり聞こえるくらいの小声で、トリルとペタルが事情を説く。途端にアズマは納得いかないといった顔を二人に向けたが、彼らに訴えても詮無い話だ。

「シャドーの残党だな。狙いはなんだ。ポケモンたちか?」

 柔和な顔面を顰めて吐きつけたクレインへ、何故かアズマが即解答する。

「給料だよね」

 六つ子がずっこけた。

「はっきり言うなよ!」
「せめて仕事と言え!」

 事実と言えば事実だが、そんな言い種はあんまりだ。
 話が軌道に乗るまで大人しくしておく姿勢を早くも崩し、ジレルとモノルが次々噛みついた。

 少年に暴言を放った男たちに対し、クレインらは反射的に身構える。が、今のアズマと彼らのやり取りに違和感を覚え、無言で視線を交わし合った。
 少年は戦闘員らにぐるりと包囲され見るからに穏やかではないのだけれど、アズマからは彼らへの敵愾心を微塵も感じられないし、六人も何やらこそこそ不満げに訴えかけているだけで、少年に害を為そうとしている風には見えない。むしろその有り様には親しみすら漂っているようで、二人を大いに唖然とさせた。

「な……何を話しているんですかね」

 隣のジョシュアが困惑して問うて来たが、クレインにも理解不能だ。
 なんなのだろうか、これは。何故このような事態になっているのだろうか。

(僕がアズマにトレーナーを探して来て欲しいと頼んで、それで……)

 少年たちを見ながらこうなった発端に思案を巡らせたクレインは根本的なことを思い出し――そして同時に、到底信じられないものの極めて高い可能性を持った結論に達してしまった。否定したいところだが、実際そうするには状況が上手く整い過ぎている。
 しかし、まだそうと決まった訳ではない。クレインは自身に言い聞かせて、少年に訊ねた。

「アズマ、約束のトレーナーはどこだ? 連れて来てくれたんだろ?」

 少年は瞬間あ、と一音だけ漏らし、問うてきた男性に振り返った。そして彼らを――六人のシャドー戦闘員を指し示して、言った。

「この人たちです」

 一縷の希みは脆く儚く、ほどけ散った。

「えっ? えっ?!」

 予期していたとはいえ、直ちには許容し切れない真実を突きつけられ愕然とする所長の横で、助手がコイルの目をして狼狽える。そんな彼の態度を見て念には念をと考えたのか、アズマは重ねて言い放った。

「この六人をアシスタントとして雇って下さい」

 いつの間にか研究所の玄関前に集まっていた人々が、ざわざわと、どよめき立っていた。








「六人は六つ子の兄弟で、左からモノルさん、ジレルさん、トリルさん、テトルさん、ペタルさん、ヘキルさん」

 軽い混乱を来しそうな紛らわしさ六倍の名前を列挙するアズマを制し、正面玄関の人混みを掻き分けて、クレインはひとまず所内へ六人を通した。
 エレベーターで二階へ上がり、廊下突き当たりの応接室の扉を開ける。六人には二つある深緑色のソファに半数ずつ掛けてもらい、アズマと立ち並んで彼らと相対すると、クレインは口火を切った。

「確認のために訊くよ。今日はどんな用事でこの場所を訪ねて来たんだい?」

 訊くまでも無いことだが、先刻の答えはあくまでアズマ目線のもの。少年と六人との間に意見の食い違いがあるかもしれず、本人たちの口からも事情を聞こうと、所長は考えた。

 眼鏡の奥にあるクレインの双眸はヒノアラシの如しであるから、敵対心を剥き出しにしても今一相手を恐れさせるような形相にはならない。だが一文字に引き結んだ口元、真っ直ぐ伸ばした背筋には、彼を現所長たらしめる威風が窺える。
 そのため六人は暫時、借りてきたニャースみたいにおずおずとしていた。

「えーと、こちらの……アズマ君が、うちのトリルに……あ、こいつです。アシスタント募集の話を持って来てくれまして……」

 そんな中、長男でリーダーという責任感からか、モノルがそろそろと切り出した。傍らに立つアズマを一瞥したり、同じソファの反対側に座る三男を指したりしながら、出来るだけ丁寧な言い回しを選んで話す。

「こいつ前から転職したがってて、それをアズマ君が覚えてくれてたみたいで……。出来ればオレたちも一緒に働かせてもらいたい、と思いまして……ついて来たんです」

 赤い戦闘服を纏う男の言い分に聞き入るクレインの後ろで、アズマは密かにうきうきしていた。初めて六つ子に名前を(しかも君づけで)呼ばれたからだ。それも最もつんけんした態度で一時は自分を『オレたちの天敵』とさえ評していた長男に。
 所長の手前、表向きは平静を装っていたが、今にも表情筋が踊り出しそうなくらい気分上々である。

「ふむ……」

 アズマの浮わついた気持ちも露知らず、クレインはヘルメットに隠れた発言者の両目に、眼差しを注いだ。彼一人を通して六人全員の本心を見定めるように。
 長男は全身を強張らせつつも、幹部も音を上げたという男の凝視を受け止める。他の兄弟は、あたかも自分たち自身がそうされているかのように、緊張した心持ちでクレインを見つめ、また、その視線からの解放を待った。

 そうこうしているとドアの向こうから、所長、と呼ぶ声が聞こえて来る。

「入りたまえ」
「はい。失礼します」

 クレインは扉へ目をやり、訪ねて来た人物を招き入れる。直後、女性研究員とハピナスが一礼して入室して来た。
 彼女たちはトレーに乗せたカップ六脚を六つ子の前のローテーブルに並べ、サーバーから淹れ立てのコーヒーを注ぎ入れて、六人に勧める。

「ごゆっくり」
「ハピハピ〜」

 来客に微笑みかけ、再び恭しく一礼したのち、研究員とハピナスは退室した。
 ふたりにありがとうと投げかけ、その後ろ姿を見送ると、クレインは六つ子に向き直る。するとさっきまで張り詰められていた六人の身体が、心なしか緩まっていた。自分の眼差しが外れたことと、彼女らの接待にわずかながら緊張がほぐされたようだ。
 怖がらせてしまったかと胸中で反省し表情を和らげ、クレインは口を開いた。

「解った。少しアズマと話をして来るから、ここで待っていてくれ」
「は! はい」

 長男の声色にはどことなく安堵が漂った。本格的に、この張り詰めた空気から抜け出せるからであろう。

「行こう、アズマ」

 クレインは少年へ顔を向け、彼に柔らかく指示する。アズマは六つ子に「ちょっと待っててね」と断りを入れると、所長の後に続き応接室を出て行った。

『………………』

 部屋には来訪者の六人だけが、ぽつんと取り残された。






 廊下へ出たクレインは、迷わず隣室へ……ではなく、袋小路の窓辺へ向かった。

「アスリン君」

 呼びかけた先には一人の青年と胴長ポケモンがおり、所長と少年に気がつくと会釈しながら歩み寄って来る。
 彼アスリンは、研究所に勤務するトレーナーの中の一人だ。普段は野外の警備を担当しているが、先程表から引き上げる際、ここへ来るようクレインが頼んでいたのである。

「僕らは所長室に行くから、よろしく」

 そうとだけ言い置き、所長は出て来た応接室を横切り、奥の部屋へと消えてしまう。アズマはすぐにはその後を追わず、青年が今ここにいることとクレインがかけた言葉とを不思議に思い、アスリンに問うた。

「よろしく、って?」
「ん? ああ。所長と君がここを離れる間、監視を頼まれたんだ」

 青年は上着のポケットから紅白色の球体を二つ取り出し、投げる。既に外に出ていたオオタチの隣には大きな梟が、トレーナーの脇には空蝉が宙に浮いた状態で現われた。

「監視?」
「そうさ。実際の目的は、ポケモンやスナッチマシンを盗んだり、リライブホールを壊したりすることかも判らないから」

 少年は彼の台詞に秘められた意図がすぐに掴めず、唖然としていた。しばらくして合点が行くと、ほんの少し眉根を寄せ青年の発言を一蹴する。

「監視なんて無くていい。見てなくても何もしません」

 三匹を伴って応接室へと進んでいたアスリンが、少年に振り向く。

「だけどさ、彼ら、どう見てもシャドーの戦闘員じゃないか」
「もうシャドーじゃないです」
「そりゃもうシャドーは無くなったけど、そういうことでもないんじゃないか?」

 詰まるところ、彼はモノルたち六人を疑っているのだ。組織が立ち消えても、属する人間に根付いた思想までは失われない。アスリンはそう言いたいのだろう。
 青年は、所長がシャドーに連れ去られる正にその現場に居合わせ、更には戦闘員から暴力を振るわれた内の一人でもあった。そのために、疑心に拍車がかかっているのかも知れない。

 そして疑惑を抱えているのは青年だけでなく、クレインもなのである。だから彼は青年に、来客を見張るように依頼した。

「…………」

 軽いショックに見舞われアズマは、瞬きも忘れて立ち尽くす。所長ならば一も二も無く快諾してくれると、どこかで当然のように決めつけていた所為だ。
 よく考えてみれば無理からぬことだのに。クレインはシャドーに誘拐された張本人なのだから。

 彼らが六人を疑う気持ちは解らないでは無い。アズマと違い、彼らは六つ子がどういった性質を持つのかまだ知らない。自分だって青年らの立場になったら、敵対していた組織の人間のことなど、到底信用する気にならないだろう。
 ただ、悪事を働きにやって来たと断定し監視する――そんな真正面からの悪人扱いはあんまりではないか、と思うのだ。

「アズマ? 何してるんだい、早く来たまえ」

 呼び声に導かれ視線を転じれば、エレベーターの傍らにある扉からクレインが、怪訝な顔を覗かせている。

「……」

 アズマは青年とポケモンたちに温度の無い一瞥をやってから、所長の元へ歩き出した。






 クレインが覗いていた部屋、すなわち所長室へ入ると、デスクの前ではジョシュア、そして騒ぎを聞きつけやって来たと言う母、リリアが待ち構えていた。

「お帰りなさいアズマ。ジョシュアさんから聞いたわ。一体どこからどうして連れて来たの?」

 ただいまと言う息子への受け答えもそこそこに、落ち着いた口調で畳み掛けるリリア。まるで拾って来たポチエナに対する物言いだ。

「シャドーのラボから、書類を渡して見せて、ついて来てもらった」

 手酷い母の台詞にそれでも淡々と簡潔に、少年は説いた。
 所長の言葉が後に続く。

「確か出掛ける前にアズマ、久しぶりに会いに行くとか言っていたね?」

 ポケモンを通じて敵同士が意気投合するのは珍しくもないだろうが、アズマと六つ子の互いへの応対には相当の親好が垣間見えた。果たしてどういった関わり合いなのかという質問へ、少年はあっけらかんと返す。

「いつも遊んでもらってました」
「遊んでもらってた?」
「悪どいことを吹き込まれたりしなかったかい?!」

 途端リリアは心配げに眉を八の字にひそめ、ジョシュアは切羽詰まった声を上げ……少年は胸の内で嘆息した。やはりこの二人も、彼らに疑惑を抱いているのだ。
 しかし今すぐ納得してもらえずとも、六人に対する認識が間違っていることは指摘しなければ。気を取り直して切り返す。

「モノルさんたちはずっとラボにいて、悪いことしてません」

 唯一彼らがラボから離れて出張したフェナスでも、町の実力者セイギに化け人々を攪乱しようとしただけで(結局たったの一人しか惑わせられなかった上、何故かセイギの株を上げてしまっていた)、悲しいかな、アズマの善行の妨害にはちっとも貢献していなかった。
 思うに、彼らは悪道に全く向いていない。悪に憧れることと、悪に染まれるかどうかは、多分別問題なのだろう。

「でも、幹部と同じくらいポケモンバトルは強いです」

 現在の幹部らについては知りようも無いが、ニケルダーク島で再戦した際の四人と比較するなら、六つ子も引けを取らないレベルに達している。それは直々に、かの者たちと戦ったアズマだからこそ判る事実だ。
 クレインはゆったり頷く。

「アズマの眼力は疑わないよ。さっきのメタグロスも最初はダンバルだったんだろ? よく育てられていたね。ぱっと見でも、彼らが実力あるトレーナーなのは解るさ。僕としては、彼らがアシスタントになってくれるのは大歓迎だよ」

 そうしてクレインは、人数的にも問題無いしね、と微笑み付け加えた。だが、その台詞にアズマは不審に満ちた顔を向ける。

「だったら」

 どうして監視なんてするのか。そう継ごうとした少年より先にクレインが割り込み、続けた。

「僕は所長だ。しようと思えば、僕だけの都合で研究所を如何様にも動かせる。強制的に、研究所のみんなを僕の思い通りに従わせることが出来る。でもだからこそ、そんな横暴な真似はしてはならない。研究所のみんながいるから、僕は所長でいられるのだからね」

 突然、何を言い出すのだろう?
 アズマはクレインの、唐突な話題の転換に眉間へ皺を寄せた。隣にいるジョシュアも呆気に取られている。
 引き替え少年の母親は、なんとなく所長の言わんとすることを心得ているようである。彼にではなく、訝しげな面持ちの息子の方を見つめていた。

「一度戦闘マシンにされてしまったポケモンを、怖がる人が居るのと同じように。一度シャドーに所属していた人間を、簡単には信用出来ない人が居る……」

 アズマが何をか切り出さない内にとでもいう風に、クレインは言葉を重ねていく。

「そう考えている人でも、僕にとっては、大事な研究所の一員であることに変わりは無いんだ。自分とは相反する意見でも、取り上げて尊重する義務が、所長の僕にはあるんだよ」








 クレインとアズマが立ち去って十分が経とうかという頃。
 所長室の隣の応接室では、カップに並々と注がれていたコーヒーもすっかり飲み干した六つ子が、暇を持て余していた。
 所長のプレッシャーから解き放たれ一心地ついていたのも一瞬で、今はもう、まだかまだかと二人を待ち倦ねている状況だ。

 ここで待つよう言われてしまっているため、部屋を出ることも所内を見学することもままならず、仕方無く依然ソファに座している。ポケモンの世話をするかとボールへ手を伸ばすも、放す先は二匹も出せば手狭になりそうな、頼りない空間。育ち切った六人のポケモンには、相応しいとは言えなかった。
 あとはもう兄弟で話をするくらいしか無いという答えに行き着いたのだが、不意に部屋の外に人の気配を感じ、六人は思わず口を閉ざした。

 気の所為、ではないだろう。部屋を出た直後アズマが、クレインではない誰か別の男と話をしていたようであったから。
 それに。開いたままの自動ドアへつと目を向けると、隙間から、代わる代わるこちらを覗いているポケモンと、何度も視線がぶつかった。
 ヨルノズク(勿論トリルのヨルノズクではない)に、オオタチ(抱きしめたい衝動に駆られたのは六人だけの秘密だ)に、ヌケニン(不気味なチラリズムである)……十中八九自分たちは、彼らとその主人に一挙一動を見張られているのだろう。

 覚悟していたつもりだったが、実際こうした処遇を受けてみると、予測を遥に越える罪悪感に胸が押し潰されそうだ。世間一般からのシャドーの評判は、こんな扱いを受けるくらいには悪しきもので、アズマが非常に稀な変わり者なのだと深々と痛感する。

(不採用だっていいから早く来いよ……)

 ポケモンたちと見知らぬ男からの監視で身動きが取れない六人は、年下に縋るなんて情けない、とは思いつつも心中で、アズマが一秒でも早く戻って来ることを祈った。






 所長室のデスク越しに、クレインとアズマは向かい合って立っている。少年は、所長の発言がどうした意図によるものなのかを捉え切れずに、眉を顰めた表情のまま固まっていた。そこへクレインが尚、語りかけてゆく。

「君たちが到着した時、玄関に集まっていたみんなが不安な顔をしていたの、アズマは気づいたかな」

 思い起こすまでもない。全然気がつかなかった。
 六人をここへ連れて来られたことが嬉しくて、これからのことを想像するのに忙しくて、周囲の人間の様子にはちっとも留意していなかった。

 芳しくない顔つきでかぶりを振る少年をしかし咎めるでもなく、対話の相手は次を紡ぐ。

 六つ子を遠巻きに見て怖じ気づき、厭わしげな視線を投げつけていた人々に対しクレインは、自分も同意だと周知させるため、彼らの目の前でアスリンに訪問者の監視を指示したこと。
 クレイン自身は、シャドーという組織とその所業に敵意があるだけで、六つ子たちを敵視している訳ではないこと。
 自らの意見を偽るどころか、研究所の人たちを欺くような真似をしていて、決して気持ちの良いものではないけれど、皆を纏め導くためには嘘が必要になる時があること。

「確かにさっきは、アズマが追われていると勘違いしてあんな風に言ってしまった。けどそのことに対して、悪気は無かったなんて弁明はしない。シャドーを敵だと感じるのは本当だからね。でも、彼らはきっとシャドーの一員としてポケモンを苦しめてしまっていたことを……反省した、もしくは反省したいと願ったから、ここを訪ねて来てくれたんだ。そんな彼らを、僕は敵とは見做さない。仲間として、共にポケモンたちを救いたいと思うんだ」

 そこまで聞かされてアズマは、クレインがシャドーのラボに軟禁されていた時のことを折よく(薄ぼんやりとだが)、想起した。
 あの時彼はナップスと言う、幹部ラブリナの直属の部下に向かってシャドーから脱退するよう説得し、逆にXD計画の阻止に協力を要請すらしていたのだ。
 クレインが元敵方の人間でも歓待してくれるはずだとアズマに確信を抱かせていたのは、脳裏の片隅に、その記憶が残っていたからだったのであろう。

 クレイン個人としては、アズマの人選に何一つ異論は無い。だが所内には六つ子を見てくれで判断してしまう人間が圧倒的に多く、その心理も充分納得のいく範疇にあるため、余計な波風を立たせぬようああいった回りくどい処置を取らざるを得なかった、という具合だった。
 いくらアズマが頼りになり、信用の置ける言動を数多くしてきたのだとしても、今回ばかりは一散に傾倒は出来なかった。クレインはそのように説いた。

「僕の考え、解ってくれるかい?」
「……はい」

 心澄まなさそうな所長に、彼の言葉の端々まで整理し終えてアズマは、やがてゆっくり相槌を打つ。彼に、申し訳無いと思った。自分の味方であるのに、疑ってかかってしまったことに。他の全てのスタッフの味方であるのに、過度の期待をかけてしまったことに。

 うら寂しげな顔になる少年を見、クレインはふと微笑を浮かべてから――やおら真剣な表情を作る。それで気持ちが切り替わり、アズマ、それにジョシュアとリリアも、所長と同様の顔つきで彼を見つめた。
 これからが“最終確認”だろう。

 不意に、長らくデスクの椅子の前に立ち尽くしていたクレインが歩き出した。アズマに背を向け右へ、机の後ろに立ち並ぶ本棚が途切れる方へ進む。
 そうしておもむろに虚空に向かって、けれど後ろにいる少年の元に届くべき言葉を発する。

「どれくらい、いつまで白い目で見られるか判らない。信用を得るよりも前に、彼らが折れてしまうことだって考えられる」

 デスクの右端を曲がり、一番助手たちを横目に、少年と相対する。

「その時、責任を問われるのは所長の僕だけど、責任を強く感じるのは君のはず。彼らのため、君のために、慎重に決定しなければならない」

 本棚のある方に向いていた体を左へずらし、アズマはすぐ傍にまで歩み寄って来たクレインを、ゆるゆると仰ぎ見た。

 二人の間を隔てていた壁は、もう無い。



「俺が、守ります」

 しばしの間(ま)の後、少年が言った。

「そういう目から、俺が六人を守ります。研究所のみんなも、モノルさんたちも、傷付けないようにするから」

 大人たちからの注目を一身に受け、大人びた口振りで少年は、健気に台詞を引き紡ぐ。

「あの人たちを雇って下さい」

 刹那。
 自分を真っ直ぐに見上げるエメラルドの瞳に、クレインは親友の影を見た。目の前にいる彼、その今は亡き父親の俤(おもかげ)を。

 物心ついた頃から、ポケモンとバトルにしか強い関心を寄せなかった彼が、あの兄弟を研究所に招き入れることに一途に拘っている。彼にとって六人は、ただのトレーナー仲間ではないのだろう。
 彼らに向ける少年の感情がどういった性質のもので、どういった経緯から生まれ出たものなのか。クレインには到底判断し得なかったが、ただ一つ確かなのは、彼のその志(こころ)が、鉄のように固いものだろうことであった。

 母親似の理性的で泰然とした性格である彼が、時折顕す頑なな意志。それは、クレインやリリアが学生だった頃、あまりの意志の固さからボスゴドラ、などと揶揄されていたあの男が、息子に分け与えたものだから。病床に就いても果たすべき夢のため、事切れるその瞬間まで働き続けた親友と、類を同じくするものだったから。
 揺らがすことは出来ても、砕くことは叶わない。それはクレインが一番よく知っていた。

「…………」

 少年は不安がる気持ちをひた隠しにし、一心に祈るように所長を見つめる。相手もまた、切迫した眼差しをこちらへ注いでいる。長い、長い沈黙が、部屋中を満たしていた。


「…………ふ」

 その内に。
 クレインが吐息を落とし、静寂がにわかに破られた。
 向かい合う二人を黙して見守っていたジョシュアとリリアが、思わず身じろぎする。

(もういい、かな)

 胸中で呟き、頬笑む。しかしてその口から紡ぎ出された言葉は。

「アズマはこれまで散々、僕らの無茶な要求に応え続けてくれた。だから、この件は出来得る限りアズマの思う通りにしたい」

 アズマの眉がわずかに動く。彼の小さな胸をどくん、と鼓動が叩く。

「ってことは……」

 息を飲んで身を乗り出し、少年は勢いづく心音を抑えて訊ねた。胸の辺りにまで持ち上げた拳は、両方とも握り込まれている。

 クレインはにっこりと、少年へ笑いかけた。

「うん。彼らに手伝ってもらおう」
「やったぁ!!」

 瞬間、アズマは我を忘れたかのごとく歓声を上げた。そんな風に彼がはしゃぐ姿を初めて目にしたジョシュアは、呆気に取られ、それから思わず少年に大丈夫かと声を掛けてしまう。

「アズマ……」

 狼狽気味の研究員の隣でリリアは、もう久しく望んでいなかった息子の幼気(いたいけ)な笑顔を、驚きと切なさが綯い混ぜになった、複雑な面差しで眺めていた。

 そしてクレインはただ穏やかに微笑んで、親友の息子の歓ぶ姿を眩しそうに見つめる。

「所長。ありがとうございます」

 ややあって、アズマは我に返ったように落ち着きを取り戻すや、姿勢を正しクレインに頭を下げた。

 自分の味方であると同時に、他の全スタッフの味方でもいなければならなかった彼が、苦心の末に、承諾してくれたこと。アズマがオーレを救った英雄だということを抜きにしても、自分の意見も確と聞き届けてくれる彼の心意気に、ひたすら感謝した。

「僕の方こそありがとう、アズマ」

 少年の一礼を受け取り、自身も礼を言ってから。クレインは密かに、先の己の振る舞いに苦笑する。

 最終確認に際し、彼の返して来る答えは解り切っていたし、また、それに対して自分がどう返すかも決まり切っていた。頃合いになれば、あとは用意していた台詞を継ぐだけだったのだ。

 結局自分は単に、この少年が深奥に宿す、懐かしく慕わしい頑固さに触れたかっただけ……彼の妹には受け継がれなかった唯一無二の親友の、今も誰より強い輝きを放つ志の一片を、すぐ傍に眺めたかっただけなのかも知れなかった。



「みんなに知らせないと」

 思い立ち、こうしちゃいられないと歩き出そうとしたアズマを、「でも」という所長の一言が引き留める。アズマは無論、他の二人にも注視される中で、クレインは言い放った。

「とりあえず格好をなんとかしてもらわないとな……。一瞬、特撮のヒーローかと思っちゃったよ」

 初見のひとときで彼と同じことを思ったのか、ジョシュアはぶっと噴き出し、失笑を堪えるようにリリアが口元を押さえた。








 複数の靴音が廊下を響き渡って来ると、六つ子はぎゅっと身を固くした。その音を立てるのは、十数分前に退室したクレインとアズマに違いない。
 少年のものと思しき方の靴音に耳を澄ませ、そこから彼の心境ひいては採用の合否を推量しようと試みるが、当然、ちっとも判らなかった。
 やがて開かれっ放しの自動ドアを、予想した通りの二人がくぐり抜けて来る。そして六人が少年の表情を窺おうとしたところ、所長が出し抜けに口を開いた。

「お待たせしたね。君たちを採用することに決めたよ」

 六人の時が、止まる。

(お……おいおいおいおいおいおい。いくら不安は長続きさせない方が心臓に負担をかけないからって、そんなやっつけ仕事みたいなスピードで不採用通知噛まさなくったっていいだろ!)

 危うく声に出そうになった台詞をすんでの所で嚥下し「そうですか……」と悄然と呟き、帰り支度を始めようとして――はたと六人が一斉に動きを止める。

「あれ……? 今なんて?」
「すいません、今なんて」
「んっ聞こえなかったかい? 君たちを採用する、と言ったんだよ」

 順繰りに問うペタルとジレルに、クレインはきょとんとした顔で応じる。

「えっ? あ……ええっ??」
「さ、採用?」

 ヘキルとトリルのとぼけた声へ、事も無げに相槌するクレイン。先程の威圧感はなんだったのか、すっかり穏やかな性格のヒノアラシ(めざめるパワーがあるとしたら草タイプ)の風情だ。
 信じ難い台詞に疑心が芽生え、ついと所長の後ろに控えた少年に目配せすると、にこにこした顔が向けられた。
 どうやら、本当らしい。

「そ、それはどうも」
「ありがとうございます……?」

 恐縮したように体を縮こませ、テトルとモノルが言った。ああ、とクレインは温厚に頷く。

「すぐに制服を用意するから、待っていたまえ」

 不安な様子は掻き消えたが、なんだか気抜けしている風の六つ子を眺め渡しつつクレインはそう声をかけると、背後の少年に振り返る。

「アズマはその間、研究所を案内してあげてくれ」
「はい!」

 満面の笑みを伴って応答するアズマを見届けて、所長のみが再び応接室を後にした。






「大丈夫だったのか……?」

 遠くに自動ドアの開閉音を聞いてしばらく。扉の方から振り向き様に、トリルが少年に問うた。
 アズマを信用していなかったのではない。ではないが、こんなにあっさり許可が下りるとは夢にも思わなかった。まだ、実感が湧かない。

 少年は心配そうに言った三男へ、返事の代わりに頬笑んで見せた。それから部屋の外へ出て手招きする。
 その小さな後ろ姿を追い、六人は思案を廻らせた。

 所長が少年との話し合いの場を移した訳が、自分たちを迎え入れることに反対していたからであったとしたら。
 短くない時間を費やして、もしかしたら彼は懸命に、所長に頼み込んでいたのではないだろうか。どうか自分たちを信用して欲しい、とでも言って。

 視線で問いかけてみるけれど、勿論アズマは気づかない、答えない。


「そこが所長室で、この部屋はバトルマシンがあるトレーニングルーム。次、下行こう」

 六つ子全員が廊下へ出たのを確認すると、アズマはこのフロアにある応接室以外の部屋を指差して簡単に説明した。その後、階下へ降りる。
 受付へ向かう道すがら、資料を抱えた何人もの研究員やエンジニアとすれ違い、彼らと軽い挨拶を交わしながら進んで行く。
 廊下の左右にはそれぞれに一つずつ、広い間取りの研究室がある。正面玄関から見て左が第一研究室。そして右が、リライブホールを擁する第二研究室だ。

「あっちの二階も行こ」

 何故だかわくわくしている風な受付嬢に見送られ、アズマと六つ子は一度屋外へ出て、西側の住居棟に入りエレベーターで二階へ上がった。そのまますぐ傍らに見える扉をくぐると、そこは研究所のスタッフが一息つく休憩室だ。

 研究棟で見かけた人々は皆、真面目な表情をしており寡黙そうな印象だったが、それは場所が場所なだけであって、この場を訪れれば恐らく全員が、緩やかな顔で寛ぎ自由に私語を交わすのだろう。
 故に、六つ子に対しての反応も自然で飾り気の無いものになる。

「こんにちはー」
「あら、こんにちはアズマ君」
「やぁアズマ、いらっしゃい〜」

 テレビを視聴しつつ世間話に花を咲かせていた男女は、アズマの後にずらりと居並ぶ戦闘員に気づくと、明らかに動揺し、顔を強張らせた。

「こんにちは……」
「ど、どうも〜」

 兄弟たちが会釈すると一応はそう返してくれたが、その表情と口調は確然たる戸惑いに彩られていた。

『………………』

 珍客騒動は既に研究所全体に広まっているらしく、どの部屋へ案内されても特に騒ぎ立てられることは無かったが、自分たちが異質な存在であることは刻々と、六つ子の身に染み渡っていった。



 休憩室を辞してから一段と居心地悪そうにして、無言で下ばかりを見ている六人へ、アズマは不意に振り返る。そして、何事かと順々に足を止める兄弟たちに向けて、言った。

「俺がみんなを守るから、安心して」
『は?』

 正面切っての突然な宣言に、ヘルメットの下で目を白黒させている(だろう)六つ子をよそに、モンスターボールを開け放つ。中から、少年とよく似た赤い毛皮の獣が緩慢な所作で飛び出す。
 ブースターのクロノスは主人の想いを見通しているかのように、指示を出されるより先に六人へ寄り添った。少年が歩き出し、その後をついて歩を進める六つ子たちの足元に、おっとりとした足並みで付き従う。時々、彼らの顔を見上げながら。
 まるで研究所の人間の、六人への警戒心を解こうとでも考えているように。

「俺の仲間もついてる」

 前を行くアズマが肩越しに笑いかけてくる。見下ろした先では、ブースターの真っ黒な瞳が、少年のエメラルドと同じ強さを湛えていた。
 六人を守り通そうと誓う、強く、固い意志を。

『………………オ、』

 確かに、これほどまでに強靭な障壁はオーレ中どこを探しても、そうそう見当たらないことは間違い無いけれど。

『オレたちは、お前の弟じゃないぞ!!』

 彼を頼りにするのではなく、彼に頼りにされなければならない。
 だって自分たちは今日から、彼の兄になるのだから。

「あははははは!」

 破顔一笑する歳の離れた弟を、呆れ果てたような、けれど柔らかな笑みを口許に浮かべて、六人は見やった。

 その影に、不安に沈む心を隠して。








≪(まさかの)つづく≫


――――――――――――――――――――――――――――――――――

・しばらく続きそうなこの話のテーマは『六つ子の転職』、裏テーマはアズマ(私)の『大好き!六つ子』です。なんだそのテーマ。
・研究所内の名前があるキャラは全員出したい。受付嬢や休憩室の男性研究員もいい味出してるんですが、いかんせん無名なので書きづらいです。他にもバトルマシンのコーチとキルリアのトレーナーとか…。
・六つ子と被るのでアズマの一人称を漢字にしました。
・所長の語りが長引いてしまった。主人公父については殆んど語られないのでいじり甲斐があります。こんなに広げる予定は無かったけど…。次回は六つ子にスポット当て直します(タブンネ)。
・攻略本を参考に手持ちを決めてコロシアムを最初から始めました。ダキムなんてちょろいぜ(ワタッコとムウマありがとう)。しかしXDの後にやるとやたら難しいですね。スナッチしにくいリライブめんどいキャプチャラインぶっちぶち(最後のは初代レンジャー)。

自分用に作ってあった六つ子メモを置いて去ります。近所の秋桜畑が枯れ果てる前にあっちを終わらせないと。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

モノル(赤)
 兄弟の中で一番主人公を目の敵にしてる。ツンツンしてる。負けると倒れる。
 「おいコラ 子供!
  オレたちを 無視すんな!
 「お前は オレたちの
  天敵だー!!
 「また お前か!
  いつもいつも ジャマしやがって。
  おかげで 幹部になりそこねたぞ!

ジレル(青)
 自信家。割とフレンドリー。たまに一人称が「オレさま」。負けると転がる。
 「オレが 本気を出したら
  たいへんなことに なるから
  手加減してやったのさ!
 「お前とは つくづく 縁がある。
  こないだも フェナスで 会ったよな。
 「お前って 意外と 謙虚なんだな。

トリル(茶)
 口数少なく一番常識的。事無かれ主義。だんだんデレてくる。負けると倒れる。
 「オレは バトルが嫌いなんだ。
  放っておいてくれよ。
 「また 来たのかよ!
 「まあ……
  また遊びに来いよな。

テトル(黄)
 トリル曰く生意気。主人公を気に入ってて弟にしたがってる。負けると転がる。
 「ヒマは ヒマでも
  お前と 遊んでるヒマは ないんだよ!
  まだ 遊んでほしいのか?
 「その 強さなら
  オレの弟に してやってもいいぜ。
  そろそろ 本気で 考えてみないか?
 「お前も オレたちの 兄弟になるか?
  好きな色 考えとけよ。

ペタル(紫)
 多分ナルシスト。兄弟の中で唯一、色恋絡みの話をする。負けると倒れる。
 「なんだよ。
  まだ ママの ところへ
  帰らないのかよ!
 「お前のような 子供には
  まだ 早い話だけどよ。
  女性って キザなヤツが好きなんだ。
 「こんなとこに ずっといたって
  誰も オレのカッコよさに 気づかない。
  来るのは こんなお子ちゃまだけだしよ。

ヘキル(緑)
 純粋無垢。兄弟愛を語らせたら右に出る兄弟はいない。負けると転がる。
 「オレたち6人 兄弟愛6倍!
  団結力6倍!
  そして 食費も6倍だ!
 「お前 注目されてて いいよな。
  オレたち いっつも 6人でひと組。
  誰も オレのことなんて 見てないんだ。
 「オレたちの 兄弟愛は
  ホントは こんなもんじゃないぞ!
  どうだ ぼうず うらやましいだろう!


六つ子可愛いよ六つ子(・∀・)!


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