【004】変化のとき 作:小春月

☆16 ☆☆12 ☆☆☆2 =46

(自由感想)
・もっと読んでもっと人生経験を!
・「ポケモンバトルしないか」の前に悩む描写を!
・不快な気分の描写の為にはTV版エヴァを見るといいかもしれない。
りえ大統領

☆☆
 コモルーと自分の対比、卵の解釈は目を見張るものがあり、ひきつけられた。ただ、弟の関係性や発作の部分に細かい描写があるといいと感じた。
西条流月

☆☆
お題:タマゴ(世界への殻を破る)
出来のいい弟と比べられ、卑屈になってしまって籠ってしまった兄の変化を描いた話。ラストの主人公の変化が、ゲームをやった人ならなじみ深い言葉で表現されているのが素敵。 【001】がいっぽんあしに差し替える前の作品は鏡がテーマで、4作品目で初めてタマゴが来たかと思ったら、タマゴ1作品目で比喩的な使い方だったのが印象的だと感じた覚えがあります。 主人公の発作が何なのかよくわからず、ちょっと気になる。多分精神性のものだと思われますが。
レイニー


グッと来た文 【僕の中で、なにかが割れた音がした。 ――おや、タマゴのようすが……】
自分で殻を作ってしまったそのタマゴは閉じこもるものではなくて、新しく一歩を踏み出す為のタマゴ、最後の一文から強く感じました。 兄の殻にこもるとポケモンのコモルーをかけているところも印象的でした。 そして、フアがボーマンダに進化したときの兄貴の心境の変化も印象的でした。
巳佑

☆☆
 テーマはタマゴと思われる。誤字脱字が1箇所あったことを確認(5/10時点)。話の流れ自体は問題なく、テーマも作品全体を通して組み込まれている。これは評価と関係ないが、疑問に思った点が1つ。「引きこもりになってしまった人がこんなにも短期間で考えを変えることができるのか」。普通の人間でさえ、自らの考えを改めるには強い理由がいる。まして今の今まで部屋にこもっていた人が、すぐに周りの人の言葉を聞き、異なる考えを持つことができるだろうか。そういった意味でのリアリティーに今一つ欠ける。
あつあつおでん

☆☆
 扱っているテーマが分かりやすくて、いい意味でシンプルな作品でした。 物体としてのタマゴであったり、比喩的な自己の中のタマゴであったり、お題はとても巧く使っている印象でした。 おもしろかったです。



 お兄ちゃんの心情描写がたくさんあるところは読んでいて楽しかったです。


 引きこもりの主人公の視点で進む物語、面白いです。自分の殻に閉じこもる安堵感、それを上回る不安と比べられる恐怖感がありありと表現されていて、「いつものアレ」の描写にはこちらも息が詰まってしまいそうな錯覚を覚えました。そして彼に寄り添うコモルーのフアが健気で可愛い…! 弟君の『スタートが遅くたって、ゴールが遅くたっていいじゃないか。ゴールを途中で間違えるより、ずっと良い。』の言葉、最後の【――おや、タマゴのようすが…… 】の部分が好きです。 気になった箇所がいくつか。 冒頭、「硬い」の連続に少々引っかかります。もう少し、表現に幅があったほうがいいかと感じました。 【一度だけ科学館でタマゴの殻を触ってみたことがあったけど】と、【フスベまつりでもらったタマゴも弟の方が先に孵ったし】がかみ合いません。貰ったタマゴの殻に触れる機会はたくさんあったはず、単純に【一度だけ】を抜くか、あるいは科学館のタマゴは特別だった、というような差別化があれば良かったかと。
その後も、主人公の独白部分は秀逸だったのですが、どうしても展開の唐突感(ポケモンバトルしないか?と持ちかける場面、今まで引きこもっていたのにあっさりと公園に出ていた場面等)が拭えず……☆一つとさせていただきました。
ラクダ


 発作持ちの兄貴が周囲より出遅れていることを気にしてふてくされている。そんなところを、弟に励まされて変えようとした話ですね。 頑張って下さいと言いたいところですが、この話を読んだだけだとこの兄貴はそのうちまた元の殻に閉じ籠ってしまう気がしてなりません。弟とのバトルとは言え、所詮1回。手持ちポケモンの進化とは言え、所詮他人事。しかし、兄貴の中のマイナスの要素は自分とは切っても切り離せない持病、自信喪失と挑戦への恐れのスパイラル。深く習慣に根付いています。自分の行動を変える決心をつけるには弱いと思うのです……。そんな私の疑いを、いつか晴らして欲しい。
乃響じゅん。

☆☆
<作品情報>
テーマ種別  →タマゴ
作品タグ  →【観念的なタマゴ】【少年】【成長】【呪縛からの解放】
ポケットモンスターシリーズの二次創作としての意義  →十分満たしている。
テーマの消化度合い  →「タマゴ」というテーマが作品にうまく噛みあっている。まったく問題ない。
<講評>
 閉塞した状況を打破することを、一般的に「殻を破る」と表現します。この作品は、タマゴの持つ「殻に閉じ込められた生命」のイメージをストレートに生かし、ぐるぐると渦を巻く主人公の少年のネガティブな気持ちを打破するという構成になっています。テーマの生かし方としては極めて分かりやすく、上手く噛みあっているといえます。平均以上のレベルは確保しているでしょう。  ただ、作品として「そこで止まっている」感は否めません。シナリオに大きな意外性がなく、予想通りのポイントで落ちているといったところでしょうか。そつなくまとまっているのは事実ですが、さらに一歩踏み込んだ話作りがなされると、より魅力的なストーリーになるのではないでしょうか。今後の更なる活躍に期待しております。
586


 タマゴってお題を見たときにこういうのやる人いるかなと思ったらビンゴでした。
 王道でいて良いパターンだと思います。
 狙ってやっているのかは分からないんですが、流星群のフアァァァァで盛大に笑わせていただきました。そんな鳴き声出すんですね(笑)  他にも全体的にポケモンの鳴き声がコミカルでした。
>僕を常に囲んでいるのは、どろりとした曖昧な不安と恐怖。ずっと側にありすぎて、恐怖という感情を感じなくなっているのかもしれない
 言った直前に感じてませんか?
>>フアという名を持つコモルーは、くぐもった声で鳴いて、僕の手に頭を押しつけてくる。散歩にでも連れて行ってやりたい。けれど、今の僕には到底できないことだった。布団から手と頭をだして、フアの頭を撫でてやる。
 え……? コモルーの体は骨格に覆われてるので首をのばすような真似は出来ないし、布団越しに手に頭を付けようと思えば、上に跳躍して頭突きするしかないですよね。そもそもコモルーの身長は図鑑によれば110センチ。個体差を考えてプラスマイナス三十センチしても、布団に寝る相手の手を頭でつつく真似は難しいのでは。わたし自身この描写に疑念を感じていましたが、友人の指摘を受けて気付きました。要は取材不足です。
>そしてフアの心地よい重さと寝息が  さっきフアは僕の横にいると言いました。横にいたのに重さを感じれる? ……どういうことだってばよ!?
>ありったけの勇気を振り絞って紡いだ言葉を、弟はすんなり受け流した。
 受け流したのこれ? 会話成立してる気がしたのだけれど……。
 その次にまたもやバトルしようの提案がありますが、どうしても急にポケモンバトルを提案する理由が分からない。遊戯王5D'sの一話の有名なコピペを彷彿させるほど(分からないならばスルー推奨ですが、まあネタにはなります)唐突過ぎて、え? って思いました。もう少しなんらかの理由が欲しかったです。
 そして僕は弟が好きなのか嫌いなのかはっきりしない。話を聞くのが嫌なわりにはしっかり聞いてたり最大のライバルだったり立場があやふやです。
 とりあえず弟が良い子でした。それとオチは綺麗だったと思います。
でりでり

☆☆
一読目:ひきこもり兄ちゃんと出来る弟君。けども卵に閉じこもるという書き方を使ってうまいこと書いてるなぁ。卵に閉じこもる表現は割とありがちだけどね。以上。
二読目:じっくり読むと結構面白いなぁ。ただ、コモルーにフアってどういう意味だろ?(笑)しかもガブちんって(笑)くすくす要素は大事です。しかし、卵の盛り込み方が上手だ。ありがちって思ったけどすごく丁寧。これ御題『進化』でも通用するなぁ、とか思った。『変身』でもいいな。どうでもいいなおい。
三から八読目:繰り返して読むと良い話度が上がってくると同時にちょっと飽きてきた(←失礼)
九から十読目:うーん。とても丁寧でしっかりまとまっている。でも最後の奴別にいらないような気もするなぁ。あれで締めくくるのもいいけど。☆は2つで。
音色


 兄弟を扱った作品。 今回は『鏡』で双子を扱った作品が多いだろうなと予想しておりましたので、正直タマゴで普通の兄弟を持って来るとは思わなかった やられました(苦笑)
内容の方は、良くある兄弟間コンプレックスもの。 ただしこの主人公は、弟だけではなくて手持ちのポケモンにも引け目を感じており、更に家族にすら疎んじられていると言うどん底仕様(汗) 『自らの殻を破る』と言う形で決着をつける為の設定としては、かなり重々しい感じも致しますが、あるでは意味これ位はやら無いと、ドラマ性は出せないのかも知れませんね。
ラスト周辺のバトルやその後の展開、締めの形は本当に良かったのですが……如何せん、並べられた各要素が、上手く馴染み切れていない印象がありました。 ……自分が良く使う表現ですが、『言いたい事は分かるんだけれども、後一歩練り切れてない』感じ。これでもかと積み重ねられた重荷やフラグを淘汰するには、結の描写が少し物足りない。情景描写を絡める形でも良いから、後一押しが欲しかった。
最後の締めの秀逸さの割に残った余韻が薄かったのは、やっぱりそう言う感触があったからだと思います。 ……理想的な終わり方だっただけに、返すが返すも残念。惜しい。
クーウィ


 精神疾患はときに身体に症状を現すが、その様子を上手く表現できている。テキストもまあまあだが、他に見るべきところはない。
 第四段落に“僕を常に囲んでいるのは、どろりとした曖昧な不安と恐怖。”と提示されているが、弟の声が聞こえてきたあとに再び“タールのようなどろりとした不安が僕を包み込む。”もうとっくに包まれている。
 弟が階段を上がってきて、“ドアをあけたのは母さんではなかった。いや、あけることすらしない。”中途半端に矛盾したテキスト。母親と弟の作中主体に対する態度の差異を明確にするチャンスシーンなのだから、もっと丁寧に描写すべき。  ポケモンバトルの提案を、“弟はすんなり受け流した。”これは相手の言動をかわす表現。すんなり「受け入れた」、或いは「受け止めた」か。辞書くらい引きなさい。
 要するに雑な文章。それができる技量が垣間見られるので、とにかく丁寧に書いてほしい。
渡邉健太


 タマゴは比喩だが十分テーマとして生きている。 悪くないと思うが、主人公の「ポケモンバトル……しないか?」というセリフがどうも今一つ唐突に感じる。 もう一工夫、または直前にもう少しひきこもりから脱出するきっかけの描き込みが欲しいところ。
サトチ


 フスベまつりってのが気になってしょうがない。ドラゴンの里だけにドラゴンのタマゴ貰えるとかまじうらやましい。行きたい。とまぁそれは置いておいて……
 お題がタマゴという時点で出るべくして出たモチーフであろう。物語としては王道であり、舞台設定もいいと思う。  兄貴の道はどのへんでそれてしまったのだろうか。フスベまつりでタマゴを貰ったあたりではまだ引きこもってなかったようだけど。そのころから弟さんは優秀だったとして、何か決定的なエピソードがあったんだろうか。タツベイからコモルーへの進化タイミングも気になるところ。この時点で彼は発症していたんだろうか。  それにしてもいい弟さんである。ある意味主人公の疾患の元凶でもある弟なんだけど、しかし主人公に最も理解のあるのも弟である。兄貴としては複雑だろう。お兄ちゃんにつけてもらってもったいないからニックネーム変えられないってエピソードがすごくいい。いやあ、いい弟さんだなー。
 気になった点は以下の通り。
・イッシュ地方の土産に「根付」はないだろう。あそこのモチーフはニューヨークである。ジョウト地方の土産としてなら理解できるが。
・コモルーの世話は誰がしているのだろうか。いくらなんでも終始家に閉じこもりっぱなしじゃ育たないだろう。排泄くらいはするだろうし。昼間は発作でひきコモルーだけど人目を避けれる夜にだけ回復して、散歩に行くような設定があってもよかったのでは。バトルであれだけやらかしておいて何もしてないのは不自然な気がした。夜になるまで待ってバトル→りゅうせいぐんなら自然だし、技が冴えたのでは?
・誤用:「弟はあっさり受け流した。」  弟さん、兄貴からのポケモンバトル申し込みを受け流しちゃダメ! そこはいともあっさり受け止めた。です。誤用です。
・全体的に文章が惜しい。描写に力を入れるべきところに限って何故かことごとく狙いすましたかのようにあっさりと流してしまっているのは一体全体どういうことなのか。具体的には弟への複雑な思い、弟にバトルしようと申し込むところ、りゅうせいぐんの描写、ボーマンダ進化のシーン、勝った時の実感できていない感じ、など。特にバトル申し込みのくだり。唐突過ぎる。これすごい重要なのにこんなにアッサリ流しちゃっていいのか? むしろこの一言の為に弟さんを待ってたくらいの勢いのはずなんだけど。いつ言おういつ言おういつ自分の決意を伝えよう、と一生懸命タイミングを測ってるはずなのだ。まだ5000字は使えます。もっともっと説明できたはず。作品自体の潜在力はあるだけに惜しまれます。
 描写の工夫やストーリーのねりこみ次第で☆☆☆に持っていけた作品だと思います。ここから先は体力勝負と云うか繰り返しと云うか。たぶん慣れだと思うのでがんばってください。
お題:タマゴ タグ:一人称、ひきこもり、コモルー、殻を破る
地方:ジョウト
死亡:なし
No.017








【003】 【004】 【005】