【006】雨街レポート 作:リナ

 ☆4 ☆☆9 ☆☆☆17 =73


☆☆☆
 テーマはタマゴと思われる。誤字脱字は無く(5/10時点)、話の流れもスムーズ。そしてタマゴから話が発展して主人公の成長へと繋がっている。以上の3点から、☆☆☆とした。他作品では誤字脱字が目立つが、この作品では見当たらなかった。こうした文章への丁寧な観察が、このような力作を作るうえで非常に重要なものであると再認識した。次の話に大いに期待したい。
あつあつおでん

☆☆☆
 ポケモンが人の世界にうまく入りこんでる。読んでいて世界観、設定が頭の中でそのまま再生されます。

☆☆☆
 お題:タマゴ(物理的、研究者のタマゴ)研究しているだけで満足だった主人公が、何も知らず役に立てない自分の現状を思い知らされ、研究を実践につなげるために学んでいく転機を描いた作品。研究と実践というテーマは、身につまされるテーマでもあります。ただ、個人的にタイトルはピンときてません。「雨街レポート」というタイトルの響きや字面は凄く好きですが、どうしても作中から「街」という印象を受けなくて。「街」と書かれるとどうしても「都会」という印象がぬぐえず、シオンタウンのイメージと一致しないです。
レイニー

☆☆
 グッと来た文【あなたにとっては大した話じゃないかもしれないけど、もしよかったら―― 「私の中間報告、聞いてくれませんか?」】
 ポケモンアニメを基にした小説で、ポケモンジムを経営している人も大変なんだなぁ……と思っていたのですが、この物語を読んで、ポケモンを研究する人も大変なんだと感じました。皆が皆、オーキド博士みたいに結果を残せるとは限りませんし。(汗)知識を生かすという言葉も重く響いてきました。(汗)
 ナツミさんの悔しさが胸に突き刺さりました。大好きなミニリュウにようやく出逢えたのに、助けることができなくて……ナツミさんがどうすればいいか分からなくて混乱してるといった心境も伝わってきました。最後のミニリュウの墓に話しかけるシーンや研究者紹介文から、あのミニリュウの死を無駄になんかさせないというようなナツミさんの努力が伝わってきたのですが……その努力は、あのミニリュウへの罪の償いでもあるのかな……と感じました。
巳佑

☆☆☆
 プロフェッショナルとはどういうものかを思い知らされる。どうしようもないことの連続。万事うまくいくことの方が珍しい。それが社会の現実ですよね……。この話はきっと社会人、少なくとも大学生以上じゃないと書けないだろうなぁ……。社会現象について個人の意見を言えると言うのは、大人だなぁと思うのです。もっと私も社会に関心を持たねば置いて行かれそうだ……笑テーマの使い方が最高です。研究者のたまご。これぞ今回のお題に対する正解、最適解だと思ってます。ありがとうございました。
乃響じゅん。

☆☆☆
 今回の応募作品の中で、一、二を争う好き作品です。一言で表すなら「リアル」。作中の設定、描写、セリフ回し、考察、全てが現実感に溢れていて、非常に好みでした。冒頭、シオンタウンで名も無き命に祈りを捧げる、という状況を読んでおきながら、それを忘れて主人公の語る内容にのめり込み、特に孵化の場面で彼女の歓喜に感情移入し……【静かだった。何も、聴こえなかった。】で、愕然。正に、【嘘だ。こんなの。】と呟きたくなるような心境でした。ただ知りたがりなだけ、得た知識に満足しただけで実際は何も出来ない、という件に頭を叩かれた様な気持ちになりました。自分の身を振り返って、自己満足に過ぎなかった知識はどれくらいあるのだろう、と。その知識をどう活かし、活用するか。何年経とうとも研究者のたまごに過ぎない、でも絶対に負けないから。そう誓う主人公が格好良いです。彼女のような強い女性に憧れます。少し、違和感を感じた箇所を。【私が異変に気付いたのはあまりに遅すぎた。】 ここが、と上手く指摘できないのですが…文章に違和感あり。【菊の入りの花束】 菊入りの花束、でしょうか?【一挙一動を見逃さないようなつもりで】 ような、が余分に感じられます。【どしゃ降りのシオンタウンはノイズだらけで何も語らない。】
 この後に、【沈黙することがこの街の掟のようだ。】と続くところが気になります。単に私の感じ方の問題かもしれませんが、なんだか組み合わせがしっくりきませんでした。長々と失礼しました、最後に一つだけ。この作品が大好きです!と叫ばせていただきます。
ラクダ

☆☆☆
 起承転結のはっきりした作品であると思います。後半の展開には素直に感動しました。おもしろかったです。


☆☆☆
ポケモンが好き、という想いが伝わってきました。

(自由感想)
・9000字の密度はあったと思う。
・卒論まで書いてこの知識のなさはないだろう。主人公を学部一年夏休み。サファリゾーンは実習にしないと釣り合わない。23〜28才とするのは幼い。この反応は学部一年生の動物園実習である。
・学部1年でこの体験→ドラゴン属性ジムリーダーとコネをつくる→研究者 という流れであれば自然だった。
・ただ、どう直せばよいかが一発で指摘できる作品は間違いなくいい作品。
りえ大統領

☆☆☆
 待ってました!
 これですよ! もう素晴らしい、☆三つ余裕で上げます持っていってくださいお願いします。
 この読んでて精神が全て引き込まれてしまうくらいの引力をもった小説、待ってました。
 わたしは人間くさい感じの話がもう大好きで大好きで、がっつり読ませていただきました。
 ミニリュウ生まれておおお、よかったああ! と思ってたらええええ死んじゃうの!? と本当に主人公が感情移入しやすくて、主人公のように喜び、悲しむことが出来ました。
 さらにすごい設定がしっかりしていて、それをきちんと伝えてくれる。素晴らしい。生物実際に研究されている方でしょうか。こういう現実的な学術的表現素敵です。
 ああ、こういうのわたしの理想です。もう本当にお腹いっぱいですありがとうございました。
でりでり

☆☆☆
 率直に申しますと、今回の企画の内で最も好きな作品です。
 ……はい、まんまとツボを突かれました(笑)偶に誤字が見えたり、やや情景描写に濃淡が目立ったり、ちょっと小首を傾げるような比喩表現が混じるなりはするものの、全体を通して貫かれたテーマとはっきりとしたメッセージ性に、完全に心奪われてしまいました。
 ……うん、こう言うの本気で好きだわ。
 ストーリーは単純明快。 失われたものを通して主人公が成長すると言う、いわば王道のエレジー。内容については、幼い頃からの憧れを活力源としていた直向きな主人公が、予期せぬ幸運から一転して、突然の不幸に直面し、自らの無力に打ちのめされると言うもの。 ……少々展開が急すぎると思われる方も居られるやも知れませんが、ミニリュウの唐突な死は、結果的に訪れた運命の無常さや、主人公の受けたショックの大きさをはっきりとした形で浮き彫りにする効果を齎している為、自分はこれで良かったと思っています。
 また、ポケモンの研究事業に関する考察の部分や、自らを『幸せ者』と揶揄する主人公の自己表現は、作品全体の雰囲気をしっかりとカバー・バックアップするのと同時に、それら一つ一つが明快なキーとして、作中に揺るぎ無い位置を占めています。 ……この辺りの表現技法一つとっても、非常にレベルが高い。
 主人公の心理を背景にした、巧みな情景描写の使い分けと呼び掛け調の口語、それに緻密な設定や世界観、しっかりした人物描写がマッチした一作。素晴らしい作品を有難う御座いました……!
クーウィ

☆☆
一読目:うっはぁ。ミニリュウかぁ。すごい話だ。サファリパークにミニリュウっている…のかどうかは自分の知識が足らずしりませんが(おい)ただこの主人公の熱意はすごいと思うけど、ただ「死ぬんじゃないかな」という予想がぶち当って「あーやっぱり」という気分になった。
二読目:じっくり読んでく。色々なところで『そういう見方があるのね―』と思える。強いトレーナーばっかり作ることで研究にお金が回ってこないとか。ドラゴンポケモンラブな主人公ちゃんが無力感を感じるところとか中々の物、だと思う。ただ生まれた弱いポケモンが死にやすいというイメージはあるから、死ぬんじゃないかなという予想が当たりやすい。おまけにこの調子だとこの主人公はあとあとで物凄い功績とか治めるんじゃないの?と思えば最後でノーベル賞取ってるやん、ってなる。偉人のエピソード、と取るべきなんだろうなぁ。悪くはない。
三から八読目:うん、普通に面白い。着眼点もいいと思う。けど、新鮮味が少し欠けるかなぁ。
九から十読目:面白かった。おいしかった。ただ、このパターンは予想できてしまうのが欠点…なのか?ちょっとインパクトがないなぁ。中の上、☆2つ。けども、良い話だよこれ!
音色

☆☆☆
 設定が物語の中に上手く組み込まれていて、わかりやすかった。主人公や先輩の発言にははっとさせられるものがあり、感動した。話がすごく好みで何度でも読みたくなる話。
西条流月


 一人称の叫びばかりで、周りの様子がまるで見えてこない作品。気持ちばかりが先行して周りの見えない作中主体と、テキストの出来が一致していても笑い話にしかならない。
 風景描写として見あたるのは、雨とマングローブのようになった森林、あとは白んだ空くらいか。背景のない少年漫画のようで、小説としての満足度は低い。
 いくらかユニークな比喩に可能性を感じるが、例えば“「あ、そういえば忘れてた」という感じであとから付け足したように建てられたこの研究棟”などは前半の面白さが、後半の直喩で重たくなってしまった。表現力はあるのだが、意欲が空回りしてしまった印象を受ける
 またこれらの表現も作品の前半に多く、後半ではすっかり絶滅してしまった。作者の根気が尽きたのだろう。書き進めることで作者の体力も当然ながら落ちてくる。書き上げたあとに少し間を置いて、計画的に後半の加筆にチャレンジしてほしい。
 ストーリーは童謡「シャボン玉」を想起させて、十分に魅力的な内容。なぜミニリュウが死んでしまったのか、学術的に裏付けるための設定もある。肝になる部分はしっかり作れているので、あとは小説としての魅力に磨きをかけてほしい。
渡邉健太

☆☆
<作品情報>
テーマ種別 →タマゴ
作品タグ →【物理的なタマゴ】【生と死】【回想構成】【臨場感】
ポケットモンスターシリーズの二次創作としての意義 →十分満たしている。
テーマの消化度合い →「タマゴ」というテーマに真正面から取り組んでいる。問題ない。
<講評>
 タマゴには「生と死」のイメージがつきまとっている、と私は考えます。タマゴから生まれた動物はこの世に生を受けた生命の象徴であると共に、もっともか弱く死に見入られやすい存在であるからです。それを如実に表現したのが、この「雨街レポート」と言えるでしょう。話の流れは途中で分かってしまいますが、分かっていてもこの沈痛さは胸を打つものがあります。生と死は両極端のようで、実は紙一重ですぐ近くにある。ともすれば忘れてしまいがちなこの事実を、本作品は臨場感を持って再認識させてくれます。 ポケモンの生態系に独自に設定を付与する等見るべき点は多いのですが、気になった点を二箇所挙げます。一点目、酔った先輩が主人公に話をするシーン。ここは全体から見ても率直に言って異質なほどの長台詞で、訴えたいことも大筋では理解できますが、本編とはほとんど関係がありません。おかげで、全体を通してみたときにやや浮いて見えます。二点目、最後の「<>」で括られた文言。これは必要だったでしょうか? 削除して「私の中間報告、聞いてくれませんか?」で終わっていた方が、〆としては余韻を残して終わることができたのではないかと思います。全体としての雰囲気や臨場感は高いレベルにあるので、書きたいことをさらに絞り込んでいけばよりよい作品になるかと思います。今後の更なる活躍に期待しております。
586

☆☆☆
 タマゴネタを書くならこんな感じかなー、とか練り練りしていたネタの遥か斜め上を行かれてしまった……!!やられたー、チキショーっ;; しかしながら微妙にタイトルがマッチしてない気も?>区域内には野生のポケモン達が何種類も分布しており、中には独自の生態系を遂げている種も多いため、「生態系を遂げる」は変。「生態系を作り上げる」か「進化を遂げる」では?
>今までの常識が日ごとに塗り替えられていくの肌で感じた。「を」が抜けている。
 ……もしかして鳩さんかなー?(^^;)
サトチ

☆☆
 非常によく出来ている。ポケモン小説の入り口として読むにはかなり優れているだろう。こうなってああなった理由というのがきちんと描写されており、設定に矛盾がないように作っているなと感じた。
 また感動的な誕生から一転、一気にどん底へ突き落とす容赦のなさが非常にキた。そして、ああ、あるよなーと思った。これは、ある。と。生物は生まれた直後が最も死に易いのだ。いとも簡単に死んでしまうのだ。動物等に関わったことがある人なら身に覚えがあるはずだ。故に変な言い方になってしまうが、よくぞ書いた、と思った。ポケモンのタマゴと研究者のタマゴ。お題を二つの意味で使っている点もポイントが高い。
 ではなぜ、☆☆☆にならなかったかといえば、墓の前で中間報告という様が美くし過ぎたからである。悪く言えばこんなシチュエーションは幻想だと私は思った。
 主人公が作中にあるような成果を挙げるためには、まず冷たくなってしまったミニリュウを解剖するなり、後の研究の為に冷凍保存しなくてはならないからだ。死体は重要な研究材料であり、資源である。調べるだけ調べつくしたら、骨はきっと骨格標本になるだろう。墓に入れるものなどこれっぽっちもないのである。
 私自身は大学で生物を扱う学科に所属していたが、犬は解剖したし、動物園の実習でワニの餌にするネズミをたたき殺したりしている。生物を知ること、学ぶこと、関わること、研究することっていうのは時にそういうことなのだ。彼女は言った。「好奇心と知識欲は誰にも負けない」と。何もミニリュウの解剖を描写しろとまで言うつもりはない。だが、真に「生物学的な」好奇心と知識欲のある人間ならばまっさきにそうするのではないだろうか?
 私ならば、中間発表は学会の場面とするか、後輩(あるいは自分の受け持つ学生)に話してきかせる形式をとったと思う。(ただし、好意的に解釈するなら主人公の前にあるのは形ばかりの墓標、慰霊碑であり実際は中身は無いという可能性もある)  いつの日か標本も必要なくなって、墓に入れに来たという感じでもよかったと思う。
 もちろん一般読者相手にはこれで十分。だけどね、研究って実際にはストイックなもんだよ。
前述ほどじゃないけど気になった点: ポケモンを強くすることに世の中の関心が集まるなら、研究に金を使わないってことはないと思う。あるとすればある分野(バトルに付随する医療分野とか)に集中して、基礎分野(野生での生態とか)が疎かにされる気がした。
お題:タマゴ
タグ:一人称、ミニリュウ、サファリゾーン、研究者
地方:カントー
死亡:あり
No.017







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