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  [No.343] しんかのきせき前編 投稿者:あつあつおでん   投稿日:2011/05/02(Mon) 22:45:07   41clap [■この記事に拍手する] [Tweet]



 昔々、世界のどこかにあるというカントー地方に、鳥ポケモンがたくさん暮らす森がありました。いつでもひざしがさしこみ、おいしい水がながれているこの森は、それはそれはにぎやかだったそうです。これは、その森にすむ、1匹のポケモンのお話。




「お、そこにいるのは……アッカ先輩じゃないっすかww」

「う、なんだよドードリオ」

 ある日のおひるさがり、ドードリオ(31)とカモネギのアッカ(24)がばったり出会いました。アッカはドードリオの先輩でしたが、後輩より弱かったのです。

「この前はこだわりスカーフ持ってても僕より遅かったっすけど、少しは速くなったっすかw?」

「それが……僕は弱いから、勝てずに経験値がたまらず、レベルアップできないんだ」

「そうっすかそうっすか、まあそんなことだろうと思ったっすけどねww」

 いつもはけんかばかりしているドードリオの3つの頭は、この時ばかりと揃って笑いころげます。このように、ドードリオはいつもアッカのことを笑っていたのです。

 そんな時、どこからともなく立派な鳥ポケモンがやってきました。この森をしきっている1匹のムクホーク(55)です。彼はアッカと同い年でした。

「あ!先輩、どーも僕です」

「アッカにドードリオか。またアッカをおちょくっていたのか?」

「まさか!親愛なるアッカ先輩にそんな失礼なこと……」

 ドードリオは思わずツボをつつきました。知らず知らずに動きが速くなりました。

「まあいい。アッカ、お前に話があるんだが」

「話?いったいなんだい改まって」

「それがな、湖にいるスワンナに聞いたのだが……イッシュ地方というところに、『しんかのきせき』と呼ばれる石があるらしい」

「しんかのきせき?初めて聞く名前だね」

 アッカは首をかしげながら、目をキラキラさせました。カモネギというポケモンはかれこれ15年ほど前に見つかったのですが、いまだにしんかの兆しすらなかったのです。そんな彼にとって、「しんか」の響きはとても素敵なものでした。

「どうやらそいつは、『しんかしていないポケモンの力を引き出す』ものみたいだ。お前はまだしんかしていないし、おあつらえ向きだろ?」

「確かに……そんなものが手にはいれば、まちがいなく強くなれるね」

「だろ?ものは試しというわけで、イッシュ地方まで行ってみたらどうだ?」

 ムクホークのことばに、アッカはなみだをながして答えました。

「ありがとうムクホーク!僕のためにそんなすごい話を教えてくれるなんて。じゃあ僕、さっそく行ってみるよ!」

「ああ、きをつけて行けよ」

 ムクホークがおわかれを言うと、アッカはすぐさま森をでていきました。

「先輩、いいんですか?アッカ先輩なんかにそんなこと教えて」

「だいじょうぶだ、もんだいない。しんかのきせきは『しんかしないポケモン』には意味がない。それに、もうすぐ『鳥ポケモン・タイプ対抗大会』がある。我々ノーマル・ひこう組にあのようなやつがいては困るからな」

「なるほど、そりゃ名案っすね!」




ポケモンの後ろにある数字はレベルです。ドードリオは31で進化するから(31)としているのです。指摘があったので追記しときます。


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