いいか、本陣はここで待機。第二、第三部隊はこっちとあっちに拡散。囮がここに出て十分引き付けたら不意打ちな。
よし、作戦準備完了。後は実行あるのみ、がんばってこーい。
・・・。
はぁ、なんでこんなとこで戦争ごっこしなきゃならないんだ。
本日はなんと超大物から荷物を預かりました。
なんと、デボンコーポーレーション、の、社長!社長自らチョロネコヤマトに来てくれた・・らしい!受付のコウモト先輩、曰くだけど。
ホウエンを代表する大物企業の社長がわざわざ宅配センターに出向くってことはよっぽど大切な荷物なんだろうなー。
で、それを私に任せてくれるとはシブチョ―・・。そんなに新入りにプレッシャーかけたいんですか・・。
まぁ、他の先輩出払ってたし・・つーか、他の先輩とまだあってすらないぞ?本当にいるのか・・?うーん、怪しいな。
まぁ、今日はこれ一つだし、楽と言えば楽か。うん。おまけに船でのーんびり・・・。・・・。
おい、ゴ―スども、ジャケットからはみ出すんじゃないぞ。マジで。
船でムロタウンまで行くとうっかり部屋で漏らしてしまったものだからゴ―スどもが連れていけと騒ぎ出してしまった。くそ、失敗したなー。
仕方なくジャケットにぎゅうぎゅうに詰め込んで着て来た。ま、いざとなったら救命道着にもなるだろ。
そして・・船の後ろにはぞろぞろとヌケニン達もついて来ている。憑かず離れずの距離なのでまぁ、運転手さんも気にしていない。
ヌケニン達はこっちから頼んでついて来てもらった。理由は・・配達先に問題があるから、なんだよなぁ。
石の洞窟、という洞窟が今回の配達先。・・え、洞窟とかありなんですか。ありなんです。
しっかし・・。社長の息子はこんなところで何をやっているんだか。家に帰れよ、まったく。まぁ、どんな人物なのかも知らないんだけど。
で、その洞窟、『フラッシュ』とかいう技を使わないといけないくらい真っ暗らしい。ゴ―スどもが鬼火を使うとかほざいていたが、あれはあんまり明るくならないからよろしくない。
その話を聞いていたヌケニン達の中に、『フラッシュ』がつかえる奴がいて、手伝ってくれるという。感謝感激。ゴ―スどもは大変不服そうな顔をしていたが。
ムロタウンにつくとゴ―スどもが一気にジャケットから抜け出てあっちやらこっちやらめいめい好き勝手に散らばり始めた。日暮れまでには帰ってこいよ―。
ヌケニン達はというと海を眺めたり木陰で涼んだりとこれまたまったり。えーと、誰だっけ、フラッシュつかえるの。・・キミ?それじゃあ、よろしくー。
包みを持って洞窟に入ると、入口付近はまだまだ明るかった。洞窟なのに何故だか登山みたいな恰好をしたおっさんが、そっちは暗いから気をつけろよーと言ってくれた。ありがとうおっさん。
たしかに梯子を降りたら・・暗い。真っ暗だ。だが、ここで必殺技を使うんだ!ヌケニン、よろしく。
・・・。
・・ま、まぶしくて目が痛い・・。
・・ん、だいぶマシになった・・かな。今度から目をつぶってるときにフラッシュをお願いすることにしよう・・。
そういや、さっきなんか悲鳴みたいなものが聞こえたような気もしたけど・・。フラッシュって攻撃技?・・違うよねぇ。
ま、とにかく明るくなったし、サッサとお目当ての人物見つけてのんびりしようか。
マクノシタとかイシツブテとか出てくるけどヌケニンオール無視。ていうか、攻撃喰らっても平気な顔してるし・・。
こいつ結構強いなー。・・そういえば、元はトレーナーの手持ちなんだっけ。納得・・。動きもいいわけだ。
あ、倒した。よし、先行こうか。
結局出てくるポケモンを片っ端からヌケニンがのしてしまい、スムーズに奥までたどり着けてしまった。・・お前、すごいな。
あそこが最後の部屋か。あそこにいなかったら洞窟来ただけ損だよなー・・。
・・あ、人いた。こんにちわ!チョロネコヤマトです!
ダイゴさんですか?はい、ここにサインかハンコをお願いします。はい、ご利用ありがとうございました―!
ちなみに、ここでなにしてるんです?え?石?はぁ・・いや、興味はないですけど。それじゃあ失礼します・・。帰ろっか、ヌケニン。
・・へ?ここまで来るの、ですか?いや―余裕余裕、このヌケニン、とっても強いんで、はい!な?・・なんでそっぽ向くんだよー。
帰りもこの調子で・・え?ヤミラミ?そう言えばあってないですけど。・・気を付けて帰るように、ですか?あ、はい。わかりました。
ヤミラミがどうかしたのかね。まぁ、格好良かったけどさ。石ねぇ・・。そういやここ、石の洞窟だったね、名前。
ここの梯子下ったらまた真っ暗になるからフラッシュよろしくね。
よし、じゃあフラッシ・・ん?
真っ暗なのに・・なんか光ってない・・?え、なにあれ、目?目かなんか!?しかも数が増えてきたっ!・・なんかヤバい気がしてきたっ・・。
ヌケニン、フラッシュ!フラッシュフラッシュ!
・・あり?ヌケニン?
そういやさっきボトッて音がしたような・・。
・・・目が闇に慣れてきた・・。
あ、落っこってる。・・って、落ちてるぅぅ!?え、ちょ、これってかなり不味くないですかい・・?
・・・えーと。
めのまえが まっくらになった!
・・・。
入口に戻るかなーと思ったらそうでもなかった。くそ、やっぱりゲームみたいに都合よくいかないのか。残念。
とりあえずヌケニンを抱えて梯子を登ったらヤミラミどもは付いてこなかった。・・どうやって帰ろうか。
・・おーい、生きてる?・・いや、ヌケニンに生きてるかって質問おかしいかな・・?おかしくないよな、多分。
はぁ〜。どうしよ、なんでヤミラミどもは急に襲ってきたんだ?なんかしたっけ?してないよなー。なんかやったといえば、フラッシュか?
・・もしや、それか?
え、フラッシュであいつら怒ってんの?いつもは暗闇の世界が急に明るくなったから?うーん、ポケモンの視点で考えるとそんなとこか?
・・・。
とりあえず、どうやって帰ろうかなぁ・・。ゴ―スどもが懐かしくなってきた。・・お、ヌケニン復活した。お前大丈夫?・・っぽいな、よかったー。
他の奴等の攻撃はニョロトノの面に水レベルで平気だった割にヤミラミにはざっくりやられてたねぇ。・・あぁ、ゴーストタイプか。納得。
さて、いくらあんたでもあの隊群にはかなわないだろ?あーあぁ、どうしようか。
・・・あれ?
さっきからキーキー変な声が聞こえてくるような?まさか、ゴ―スとか。いやなんであいつらここにいるの。
とか思ってたらあららら、ぞろぞろ一気に逃げてきた。・・ヤミラミにコテンパンにやられたっぽいな。その様子だと。
何?探検がてら入ってみたら血気盛んなヤミラミどもにチームワーク抜群で襲われた?・・おいおい。
こっちもそうなんだっての。くそ、数だけだったらこっちもそろったんだけどな・・。・・ヌケニン?どうした、急にゴ―スどもと喋りだして。
・・え、案がある?
行く途中であそこの地形を大体覚えたってお前・・ど―ゆー記憶力してんだよ・・。まぁ、すごいけど。
ヤミラミどもがチームを組んでくるんならこっちもチーム戦ねぇ・・。発想がゲーム的な気もするけど、まぁいいか。
おい、ポケモンどうしで会話されても私には何の事だかさっぱり・・ほうほう、こいつらをここに配置してこうやると・・。ヌケニン、お前すごいな。
・・うん、がんばってね。私はとりあえず待っとくから。
結果。うん、大混戦。
どうやら遊び半分だったゴ―スたちがヤミラミ達が手強かったのが気に食わなくて途中から本気になりだし、ヤミラミも本気になりだし・・ぐちゃぐちゃ。
最終的に・・うん、なんか良い喧嘩相手ができた見たな友情の空気が出てきだした。まぁ、ゴ―スどもはヌケニンに一目おくようになったみたいだし、結果オーライか?
如何にか洞窟から出たものの・・おい、夕方というか夜になる手前というか、どっちにしろ、急がないとやばいでしょこの時間はっ!
ほら、ヤミラミどもにバイバイしてきなさい。帰るぞお前ら!
数日後。
窓の外に謎の穴が開いていた。
中にはキラキラ光る眼が二つ。
「まさか海底トンネル掘りやがるとは・・」