マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  [No.431] Link2 投稿者:風間深織@PC   投稿日:2011/05/12(Thu) 17:58:12   62clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

「手癖が悪い!」
「ふ…ふゆーん…」
「でも、ありがとう。もらっとくね」
 最近フワンテがいろんな物を拾ってくるようになった。良いときはやみのいしとかきのみを自慢の手に引っかけて(?)きてくれるのに、悪いときは黒き流星(G)を得意げな顔をして引っかけてきたりする。本当に手癖が悪い。
「色々持ってきてくれるなら、ランプを持ってきてくれたらいいのになぁ…」
 この前フワンテが引っかかっていた風車は、ど田舎にあるこの牧場に電気を届けるために国が作ってくれたものである。ただ、風が吹かなかった日は、夜家が真っ暗になってしまう。だから、風のない日はいつも19時には寝るようにしている。どこぞのおばあちゃんだと思った奴、お前も未来のおじいちゃんおばあちゃんだ。
「ふゆっ!ぷわわ!」
「え、どうしたの?ちょっとまって、フワンテぇ!?」
まるで「ボクが持ってきてあげるよ」とでも言うように、フワンテは空に飛び立っ…というか吹き飛ばされていった。大丈夫なのだろうかあの子。私はさっきフワンテがくれたやみのいしをポケットに入れて、風車に向かって走り出した。また風車に引っかかってるかもしれない。…というかあの子が風車に引っかかっていないことのほうが珍しいのだ。
「…いない」
 風車についた私は、ちっともまわっていないその羽に、フワンテを見つけることができなかった。少しの沈黙と湧き上がる不安。まるで息子を心配する母親のような気分だ。産んでないけど。
 次の日も、また次の日も、フワンテは帰ってこなかった。
「もぉ、どこいっちゃったのかしらねぇ」
ミルタンク激似の母も心配そうに空を見上げている。
「大丈夫、そのうち帰ってくるよ。風の吹いた日に」
「そぉかしら?」
「お母さんも、動かないと本物のミルタンクになっちゃうんだからね!私、ミルタンクに水浴びさせてくる」
 この前フワンテを洗おうとして失敗した桶に水を入れて、私は外に出た。風車に一番近いミルタンクに水をかけ、私はまた風車をみつめた。そのとき、急に風が吹いて風車がまわりはじめた。フワンテが帰ってくるかもしれない。私はからっぽになった桶を持って家まで走った。
「ふゆーん!」
 案の定、フワンテが帰ってきていた。しかも、また得体の知れない物体を引っかけて。フワンテの手からそれを受け取ると、それは私をじぃっと見つめた。見た目はたしかにランプに似ている…けどこれは絶対ランプじゃない!
「ぷわわー」
フワンテは器用に本棚からポケモン百科事典を取り出してぱらぱらめくった。そして、その物体と思われるポケモンのページを開いた。
「…ランプラー?」
「ふゆーん!」
「ふよーん♪」
2匹は似たような返事をすると、くるくるまわってみせた。同じゴーストタイプなので気が合うらしい。
「フワンテ、ちょっとおいで」
「ふゆ?」
「手癖が悪い。でも、ありがと」
私はフワンテをそっと引き寄せ、ぎゅっと抱きしめた。


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