マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  [No.433] Link4 投稿者:風間深織@PC   投稿日:2011/05/12(Thu) 18:02:38   58clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
Link4 (画像サイズ: 1591×911 238kB)

「フワンテおかえりー!」
「ふっゆゆーん!」
 今日の朝は、珍しく風車が動いていた。風が強い日には、フワンテは小さな旅をして、数日後には帰ってくる。だから、そろそろ帰ってくるんじゃないかなぁって思ってたんだ。さっきまではシャンデラも一緒に待ってたんだけど、お父さんが明かりがほしいって言って連れて行ってしまった。あとでシャンデラに会いに行かなくっちゃ……ね?
 でも、今日はフワンテだけじゃなかった。フワンテのまわりに黒いふわふわが5つ、くっついている。なんだろう、アレ。フワンテがだんだんこっちに近づいてくると、ようやく私にもその正体がわかった。私だって、カントーのポケモンくらいなら百科事典見なくてもわかる。アレは確か……ゴース。フワンテと同じゴーストポケモンのゴースだ。
「フワンテおかえりっ!」
 私は宙にういているフワンテの手を引っ張って、フワンテを自分に引き寄せた。大切なお人形を抱きしめるようにぎゅっとすると、フワンテは私の胸でぷわわーと鳴いた。
「ねぇフワンテ。このゴースたちはフワンテのお友だち?」
私がそう聞くと、フワンテはこくこくと頷き、ゴースたちはにこにこした。へぇ……ランプラー吊ってきたことはあったけど、お友だちを連れてくるなんて初めてだ。
 私はフワンテを腕から解放し、ゴースを呼んでみた。すると、1匹のゴースがふわふわとこっちにやってきた。私がゴースをぎゅっとしながらなでると、まわりのゴースが驚いたようにざわざわし始めた。
「きゅきゅいきゅきゅい!」
「ふゆーん?」
「きゅ……きゅきゅうい!」
 フワンテとゴースがおしゃべりしてる……?と思ったら、フワンテが急に家の中に入っていってしまった。それを追いかけて家の中に入ると、フワンテは私が小さい頃に使っていた五十音順ひらがな表と、30センチものさしを出していた。たたんであったひらがな表を器用に広げ、ものさしを手に持ったフワンテは、またゴースとしゃべり始めた。
「ふゆ?」
「きゅ、きゅきゅい、きゅきゅっきゅ。」
それを聞いて頷いたフワンテは、ものさしで文字を指し始めた。

おれらに さわれた にんげん はじめて

おぉっ。話が通じる。新しい意思の疎通方法だ。フワンテいつこんなの覚えたの?

ごーすと に おしえて もらった

ほうほう、ゴーストってゴースの進化系よね。ゴースの友だち?え?一緒に住んでる?へぇ、そうなんだ。

いっしょに すんでる おんな も すごい けど おまえ も すごい

えっあっ……ありがとう。何がすごいのかさっぱりわからないけどありがとう。
腕の中でゴースがすごくにこにこしてる。そっか、この子たちは人間のぬくもりを知らないんだ。一緒に住んで、一緒に笑って……そういうぬくもりを感じることはできても、人間のからだのぬくもりは知らないんだ。だから、からだがこんなにも冷たいのかもしれない。
「いつでも遊びにおいで。」
「きゅい!」
「私も、いつかゴースの住んでる家に行ってみたいなぁ。ねぇ、フワンテ。フワライドに進化したら、私も連れて行ってくれる?」
「ふゆーん♪」
「約束ね?」
 その後ゴースは、牧場でめいっぱい遊んで、私に洗われて帰っていった。

『いっしょに すんでる おんな も すごい けど おまえ も すごい』

いつか、その女の子に会ってみたいなぁ……なんて思いながら、私はフワンテと一緒にゴースたちを見送った。


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