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  [No.506] 半耳イーブイ探険隊! 〜第1話〜   ギルドへ 投稿者:ふにょん   投稿日:2011/06/06(Mon) 22:41:10   64clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 大きい……ここがトレジャータウン…… 

 私が住んでた町から歩いて半日。
 西の空に日が沈みかけてる。 
 やっとのことで、トレジャータウンって言う場所についた。 
 右側には何か小さな山のようなものが見える。
 階段がたくさんあるけど……なんだろう。
 
 さて、プクリンのギルドを探さなきゃいけない。
 歩いてくるには少し遠かった……少し疲れてしまった。
 あの家はちゃんと戸締りしてきたから大丈夫だと思う。
 大事な物は置いてきたけどね。
  
 道中、トレジャータウンやプクリンのギルドのことをいろいろ聞いた。
 探検家になるにはまず、プクリンのギルドに弟子入りして、修業を積むのが一番の早道らしい。
 トレジャータウンは、この世界の探検家の拠点、だそうだ。
 どうりで私の町なんかよりはるかに賑わっているはずだ。
 ここにいるみんなが探検家なのだろうか?

 おっとっと……こんなことしてる暇じゃなかった。
 プクリンのギルドはどこだろうか……?
 ああ、あそこに看板がある。
 
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

            ↑プクリンのギルド

 ←トレジャータウン                ぼうけんへ→
 
              ↓かいがん              

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 こっちの方向にプクリンのギルドがあるんだ……って、この山のことだろうか?
 階段の方向を指してるみたいだけど……
 とりあえず、のぼってみよう。
 
 たったったった……たたたた……とてとてとて……はぁはぁはぁ……

 数段上っただけで息が切れた。
 どんだけ体力ないんだろうか。私は。
 のぼり切るころには、完全に息が上がっていた。
 
 ぜーぜーはーはーすーはーすーはー
 
 ……ふぅ。だいぶもどった。
 気を取り直してもう一度プクリンのギルドがあるはずの山の上を見る。
 顔を上げるとそこには、プクリンをかたどったテント(?)が一つあり、入口は格子戸になっている。
 その周りにはたいまつが二つ立っており、夕焼けの空を照らしている。
 それ以外には、謎のトーテムポールのようなものが二本、ばってん印の丸太。 

 ここがプクリンのギルドなんだ。
 思わずポカーンとしてしまった。
 なんというか……想像と違うというか…… 
 どこにギルドがあるんだろう? 
 まさかこのテントだけ……じゃないよね?
 とりあえず、進んでみよう。
 
 入口の前に歩き進むと、地面の感覚が変わった。
 今まで感じていた砂の感じではなく、何かすーすーとした感じがする。
 下から風が抜けてくるというか……なんというか。
 暗くてよく見えない……けど。
 鉄格子まで目と鼻の先……まで近づいたその瞬間。 
   ずぼっ!
 な……足元がいきなり抜けたっ?
 ……と思ったら、地面に穴があいているだけだった。しかもたくさん。
 穴があいている……というより、もともと網目状に棒が交差されて組まれた足場だったようだ。
 何のためにこんな危ない床を……
 よいしょ、と落ちた前足を引っこ抜きながら体勢を整えていると、どこからともなく声が聞こえてきた。
 
『ポケモン はっけん! ポケモン はっけん! 
 だれの あしがた? だれの あしがた?
 あしがたは イーブイ! あしがたは イーブイ!』

 突然の出来事だったので、思わず小さな悲鳴をあげてしまった。
 しかもかなりの大声。驚いてまた足が穴に落ちるところだった。

『よし。別に怪しい者じゃないみたいだな。通行許可を出そう。』 
     
 ずどどどどどどど
 なんだか重苦しい音を立てながら、目の前の格子戸が開いた。
 奥には誰もいないはずなのに、どうやって開けているのだろうか。 
 ドキドキといつもより早く脈打っている胸を前足でなでおろしつつ、プクリンの形をしたテント(?)の中に入る。
 テント(?)の中には、真ん中にある降り梯子(はしご)以外には、何もなかった。
 それ以外に何もないということは、やることも一つなのだろうが、なかなか足が進まない。
 下に何があるのか、という期待と不安のせいもあるだろうが、何より一番の原因は……
 
        四本足のポケモンに梯子のぼりおりできるの?

 と、言うのが一番の原因。
 一つ下の階層を覗いてみるが、結構な高さがあり、落ちたら骨の一、二本持っていかれそうだった。(体が丈夫なら大丈夫だろうけど)
 怖いな……なんでこんな作りにしたんだろう……絶対滑るよ。これ。お約束ってやつ……
 頭でそんなことを考えつつ、ゆっくりと、梯子に後ろ足をかける。
 一段、また一段とゆっくり、慎重に降り進んでいく。
 半分くらい下りて、やっと一つ下の階を見渡せるような高さの場所に来ると、何やら声が聞こえてきた。

「もぅ! 全く! どこにイーブイがいるんだい! 本当に入ってきたんだろうね!」
「確かに僕は見ましたよ。ちょっと小さかったけど、しっかりイーブイの足形でした。」
「じゃあなんでいつまでも入ってこないんだい? もう結構時間がたつよ?」
「それは……」

 何やらもめているらしい。
 あの声は、どこかで聞いたことがある。(ような気がする)
 もっとよく聞こえないかな……と下の階に注目した……その時。
  つるっ
 自分なりに……しっかりと握っていたはずなんだけど。
 前足が……滑った。案の定。やっぱり滑った。お約束な気はしてたけど。
  ご〜ん
 頭から鈍い音が聞こえる。
 背中と頭をうちつけたようだ。痛い。
 幸いあまり高くないところから落ちたので、半泣きになったことと、頭にたんこぶができたこと以外、大きなけがはなかった。

「だ、大丈夫かい? いきなり上から降ってきたけど……」

 涙で滲む視界の中にいきなりカラフルな物体が写りこんできた。
 こっちを見ているようだが、ぼやけていてどんな表情をしているかは分からなかった。
 
「まさか、君がさっき入ってきたイーブイかい?」

 カラフルな物体の質問に、首を縦に振って答える。
 それから、目を両前足でごしごしとこすり、頭と背中がひりひり痛いのを我慢しつつ、立ち上がった。
 よく見えるようになった目で、もう一度カラフルな物体を見ると、どうやらペラップだったようだ。
 
「ん……? 君のその耳……まさか、あの時のイーブイなのかい?」
 
 また首を縦に振る。
 はい。とか、いいえ。とか口で言えばいいのに、なんだか恥ずかしくて。 
  
「そうかい! 久しぶりだね♪ …………ところで、今日は何の用事があってきたんだい?」

 私がプクリンのギルドに来たかというと…………プクリンのような探検家になるため。
 そのために、ここに弟子入りをしたい、という理由がある。そのことをペラップに伝えなくては。
 探検家になりたいこと、プクリンのギルドに弟子入りしたいこと。
 かなり小さい声だが、懸命に説明する。
 聞きとってもらえたかが多少不安だったけど。
 
「探検家になりたいのかい? それなら、おやかたさまのところに行かないといけないな。ほら、ワタシについておいで♪」

 どうにか聞き取れてもらえたようだった。ふぅ。一安心。
 ペラップがバサバサと音を立てながらもう一つ下の階層へ向かって飛んで行った。
 まさか……ここもまたあの梯子……?
 予想通り、今降りてきた(落ちてきた)梯子の隣にもう一つ降り梯子が掛けてあった。
 今度こそ落ちないように、慎重に、そーっと降りる。
 時間はかかったが、今回は上手に降りることができた。はっきり言って奇跡だと思う。
 今更だけど……プクリンのギルドは、上から降りてくるようにして作られてたんだね。
 だから梯子もあるし、窓もある。
 どおりで一番上に小さなテント(?)しかなかったわけだ。
 なんで下にも入口を造らなかったんだろう。下に入口を造ったほうが早いと思うんだけど…… 

「さぁ、こっちだよ♪ 急いで急いで♪   おやかたさま。ペラップです♪はいります。」

 ペラップが何やらマークがはいった扉をあける。
 何故かここだけに扉がついている。流石は親方がいる部屋。他とは違う。
 ……そう言えば、他の弟子たちはどこにいるのだろう。
 何やら怪しい壺の前に居る一匹を除けば、他にはペラップしかいない。

「ほら! 何してるんだい? 早くおいで?」

 はっ。そうだった。
 ボーっとタイムから意識を呼び戻し、ペラップが待っている方向へ急いで向かう。
 扉を通るとそこには、大きな宝箱が二つ置いてあり、そこにはなんだかよくわからないまあるい物体がたくさん入っていた。
 凄いものなんだろうなぁ……多分。
 
「おやかたさま、新しい弟子入り希望者です。よろしくおねがいします。」

 そう言うと、ペラップは忙しそうに部屋から出て行った。
 ……気を取り直して。
 部屋の真ん中には、赤いじゅうたんが敷かれており、その上にプクリンがいた。
 奥の壁のほうを向いている……何かをしているのだろうか?
 
「やぁっ! ぼくはプクリン! ここのギルドの親方だよ? って、久しぶりだね! 元気にしてた? ともだち!」
 
 くるりんっ!
 カポエラーもびっくりの速度と勢いで、プクリンが180度向きを変えてこっちに向き直った。
 あの体型でどうやって回転しているのだろうか。
 まさか……
 いや、なんでもない。ただの思い違いだろう。
 
「どうしたの? そんな顔してさぁ♪ ぼくがそんなに変かい?」

 いや、あんな挨拶のされ方をすれば誰だって驚く。
 はじめて会ったならなおさら。
 初めてじゃなかったからこれだけですんだけど……
  
「探検隊になりたいんだって? うん! 一緒に頑張ろうね! じゃあ、まずはチームの登録を……あれ? もしかして、君一匹かい?」

 探検『隊』? チームの登録?
 ナンノコトダカサッパリわからない。
 まさかとは思うが、プクリンに、二匹以上じゃないとなれないのですか? と聞いてみる。  

「別に一匹でも活躍している探検家はいるし、一匹じゃダメって言う決まりもないけど、君、探検初心者だよね? もしも初心者が一匹で探検に行って、倒れたらどうするの? 誰も助けてくれないよ? だから、まだ慣れないうちは、誰かと一緒にチームを組んだほうがいいんだ。それに、チームでいたほうが、賑やかで楽しいよ♪」

 にぎやかで楽しい……か……
 そんな事とは無縁の人生(?)だったからなぁ…… 
 ん……この場合はポケ生というべきなのか……?
 もちろん、無縁ということは、友達などという物はいない。周りからみると、きっと寂しい奴なんだろう。自分では、別にそんなこと思わないけど。
 だから、いきなりチームを組め、とか言われても困る。
 友達どころか知り合いすら少ないし……
 
「大丈夫だよ♪ 見つかるまで探せばいいから! じゃあ、一応仮登録しておくよ♪ ほら、これを受け取って♪」
 
 プクリンが床に箱のようなものを置く。
 箱には『ポケモン探検隊セット』と書かれてあった。
 あけると、探検隊バッジなるものと、地図と鞄が入っていた。(自分の鞄もあるのだが)

「まず、探検隊バッジ。探検隊のあかしだよ。そして、その地図。不思議な地図と言って、とっても便利な地図なんだよ♪ 最後に、トレジャーバッグ。拾った道具を取っておけるよ♪ 今は小さいけど、活躍によって大きくなるとっても不思議で便利な鞄なんだよ♪」

 一度にたくさんの説明をされて、頭の中がぐちゃぐちゃする。
 でも、全部便利な物、ということはわかった。一応。

「さぁ、トレジャーバッグの中身をのぞいてごらん。」

 中には、布状の物が入っており、きれいにたたまれていた。
 が……よく見ると、値札が付いている。
『特売! 800ポケ! カクレオン商店』
 特売品……まあいいけど。プクリンは全く気がついてないようだ。
 言うべきだろうか……

「それは、『ともだちリボン』っていう、持ってると不思議と人気者になれるリボンなんだ♪ それを渡しておくから、探検隊になりたそうなポケモンを誘ってみたらどうかな?」
 
 誘ってみたら? か……一度も友達作ったことない私に……できるのだろうか?
 早速、『ともだちリボン』を頭にかけてみる。
 目にばっさりとかかって前が見えなくなった。どうやら頭に付けるものではないらしい。
 首に巻くものなのかなーと、必死で巻こうとするが、前足をじたばたさせるばかりで、いっこうに巻ける気配がない。
 見かねたのか、プクリンが手伝ってくれた。きれいに首に巻いて、トレジャーバッグを体にかけると、気分だけは探検隊になれた気がした。
 ……………て言うか、値札が……ちくちくするんだけど……
 この特売ってところが特にちくちくする。
   
「仮登録で、チームができるまでは、依頼や探検はさせてあげれないから、がんばってね♪ とりあえずは、ここにいてもいいから! ペラップ!」
 
 プクリンが、ペラップを呼ぶと、「はいはい、ただいま〜」とペラップが飛んできた。
 すぐ近くにいたのだろうか。すぐに部屋に入ってきた。

「一つ空き部屋があったよね。この子に使わせてあげて。えっと、一応、仮登録して、ぼくの弟子になったからね。今日はもう休ませてあげて。」
「はい♪ わかりました♪ あの部屋ですね。 かしこまりました。……さぁ、ついておいで。」

 ペラップに再び連れられて、奥にある部屋に案内された。
 そこは、一匹で使うにはなかなかの広さで、わらのベッドが二つあった。
 窓も付いており、快適そうに見えるが、一番奥の部屋なので、出入りに時間がかかりそうだ。
 
「この部屋は自由に使っていい。 早くパートナーが見つかるといいな♪」
  
 そう言うとペラップはまたも忙しそうに飛んで行ってしまった。
 パートナーか……きっと、私にできるはずがない。
 今まで生きてきて、友達らしい友達を作ったことも、出来たこともない。
 寂しい……と思ったことはなかったけど。
 
 うん……ギルドに他の弟子たちがいないのが気になるけど……
 今日は暗いし、もう寝ようかな……
 初めて使うベッドに体を丸めてのせる。ふかふかしていて、とても気持ちがいい。
 目を閉じ、耳をぺたりと体にそえる。半分しかない右耳も、最初は違和感があったが、既に慣れてしまった。
 慣れって怖いね。
 あんなにショックだったのに、もう立ち直ってる。
 プクリンのギルド生活も、こんな感じですぐに慣れてしまうのだろうか……?
 きっと、すぐに慣れることができる……はずだよね。
 今日はドキドキすることがいっぱいあったけど、明日はどんなことがあるのだろうか?
 いいことあるといいな…………



             〜第2話に続く〜

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 あとがき的な物体。

 はい。第1話です。ありがとうございます。
 前回から大幅に遅れてしまいましたが、入門編ということで、書かせてもらいました。
 当初、先にパートナーを仲間にする予定でしたが、先に入門したほうが、辻褄が合うので、先に入門させてしまいました。
 ただ、ともだちリボンを持たせたかっただけかもしれない。
 カクレオンの店で買えない? そこは気にしてはイケナイ。
 
 そして、引き続き

 おかしいところの指摘をお待ちしております。
 指摘されたところは、加筆・修正していくので、どんどん言ってください。
 て言うかむしろ、見つけてほしい。
 見つけてください!
 お願いします!


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