マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
このフォームからは投稿できません。
name
e-mail
url
subject
comment

[新規順タイトル表示] [ツリー表示] [新着順記事] [留意事項] [ワード検索] [過去ログ] [管理用]

  [No.523] 半耳イーブイ探険隊! 〜第1,5話〜 昔話、そして……(半仮) 投稿者:ふにょん   投稿日:2011/06/13(Mon) 00:02:30   57clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 ふぅ……昨日は緊張したなぁ……
 ギルド生活一日目。朝からいきなり寝坊した。
 おこしてくれたっていいじゃない。仮入門だからかな?
 今さっき、ペラップが思い出したようにやってきて、おこしてくれた。
 相変わらずギルドには他の弟子がほとんどいない。
 一体どうなっているのだろうか。何かあったのかな?

 ともだちリボンをバッグにしまい、頭から体にかける。
 ギルド入門(仮だけど)を済ませて一安心。
 済ませたことには済ませたが、どうやら初心者はチームを組まないといけない(組んだほうがいい)ということらしい。
 と、言う訳でとりあえず誰か一緒にやってくれるポケモンを探しに行こう。
 とはいっても……どうやって探せばいいのだろうか?
 とりあえず、外に出てみようかな。
 プクリンの部屋の前を通り、梯子に前足をかける。
 相変わらずこの梯子、怖い。毎回慎重に登らないといけない。
 はぁ。やっとのことで真ん中のフロアについた。
 ん? 向こうから声が聞こえる。あの調子に乗ったような軽い口調は、ペラップかな?
 紙の張り付けてある壁の前でうろうろしながら大声で独り言を喋っている。

「どういうことなんだい! せっかく捕まえたのに逃げられるだなんて! ぶつぶつ……ん? はっ!」

 私の視線にペラップが気づいたようだ。 
 ここまで熱中して独り言を言えるポケモンを、初めて見た気がする。
 まぁ、独り言を言うポケモン自体、あまり会ったことがなかったが。
 
「い、いつからそこにいたんだい? バサバサ! おっと、なんでもないよ! この後ろには何もないんだからね! さぁ、あっちへ行った言った!」

 露骨に何かを隠そうとしている。
 ペラップってもしかしたら……結構わかりやすいキャラなのかもしれない。
 でも、何を隠しているのかがとっても気になる。
 じろじろと見ていると、ペラップがまたしても大声でしゃべりだした。

「こ、これはだな、おたずねもの掲示板と言ってだな……全国のおたずねものが貼り出されているんだ。さぁ、わかったら行った行った!」

 聞いてもないことをペラペラと喋るペラップ。
 そこまでして隠したい物とは何なのだろうか。
 余計見てみたくなっちゃう。
 だけど、ペラップがどんどん顔を赤くしていくのが見えたので、ひとまず退散することにした。
 一番上部に上ると、既に鉄格子が上がっているのが見える。
 いつ開けたのだろうか……?
   ずどどどどどどど
 とかいう音がすればわかるはずなんだけどなぁ…………まぁいいか。
 ん〜! 朝日(昼だけど)が気持ちいい。
 初夏の日差しは温かいような、熱いような、乾いた感じだった。
 前足をまっすぐのばし、体を後ろに引いて伸びをする。
 体をぶるぶるとふって、準備完了! ……とはいっても、毎朝やってるんだけど。
 で。どこに行こうか?

――――――――――――
 〜一方その頃、とある場所〜

「んじゃ〜、行ってらっしゃい。久々のもふもふ活動、がんばってくだしゃいな。」
「任せておけ。全世界を狐ともふもふにしてやるのじゃ!」
「よいしょ〜。はい、テレポート!」
   ぶい〜ん

「あ、失敗したかも……変な所に飛んでないといいけど……」


   ぶい〜ん
 バキバキバキ! どしゃ!

 いたたたたた……
 ここはどこじゃ? 全く……あやつめ、また変な所に送りよったな。
 もっとまともなところに送れ、と毎回言っておるじゃろうに。
 帰ったらもふもふの刑じゃな……うむ。
 確か、テレポートの効力は一日じゃったかのう。明日を覚えておれ。
 ……さて、このあたりで適当にもふもふ同志を増やすとしようかのぅ。
 ふむ。ここは海岸のようじゃの。ここなら他の奴にはあまり見られないじゃろう。
 なんとかして誘いこんでもふもふじゃ!

 ―――――――――
  
 うん。とりあえず、海岸に来てみたけど。
 誰もいない。
 海岸なんだからクラブくらいいたっていいと思う。
 でも、トレジャータウンには今日はもう行きたくない。
 みんなの視線が右耳に集まっちゃって……なんか恥ずかしかった。
 特にMADとか言うチーム……思いっきり睨んできた。はっきり言ってあれは怖い。
 はぁ……誰もいない場所にいても誰もチームなんて組んでくれない……どうしようか。
 海岸に座りこみ、またしてもボーっとタイムが始まった。
 
 ――――――――――

 ぬぅ……いつになったら来るのじゃ……やっぱり自分から動かないとだめかのぅ?
 ……お? 
 ようやく誰か来たようじゃな。朝から待ったかいがあったというものじゃ!
 よいこらしょっと。
 ふふふ……まずは声をかけることからかの!

「そこのイーブイ、ちょっといいかのぅ?」

 ――――――――――

「そこのイーブイ、ちょっといいかのぅ?」

 ん……?
 誰かに話しかけられた気がするなぁ……
 多分、気のせいだろう……やけにはっきりしてた気もするけど……
 最近なんだかおかしいなぁ……

「そこのイーブイ! 聞いておるか?」

 はっ……やっぱり気のせいじゃない?
 後ろに振り向くと、大きな金色をした、尻尾が九本ある……狐さん?
 さっきまで誰もいなかったのに……

「ふふ……可愛いイーブイじゃ。じゅるり。」

 なんだかさっきから口をじゅるじゅると鳴らしている。
 おいしそうなものが目の前にある時にならすあれだ。
 おいしそうな……もの……?

「安心せい、食べたりはせん。じゅるる。ん? お主、右耳が半分しかないようじゃが、何かあったのかのぅ? 」
 
 半分しかない私の右耳を不思議そうに見つめている。
 やっぱり……普通じゃないのかな?
 私はそんなに……どうとも思ってないんだけどな……
 それと、口をじゅるじゅるならしながら『食べたりはせん』って、説得力なさすぎるよ……

「はっ! こんなことしている暇はなかったんじゃった。いきなりじゃが、どうじゃ? もふもふされてみんか?」

 もふもふ? 何のことだろうか……?
 ああ、寝る前に自分の尻尾を抱いて顔を埋めるあれかな?
 尻尾が大きいと毎晩できるもんね。今は別にしてもらわなくても……いいや。
 って言うか、してもらうものなんだろうか……?
 首を横に振って、またぼーっとタイムに入る。
 これであきらめてくれるといいんだけど……
  
「ぬぅ……嫌と言われてもしてやりたいところじゃったが……どうかしたのか? やけに元気がないように見えるぞ? まぁ、いつものお主は知らぬから、素で元気がないかどうかはよくわからんがのぅ。」
 
 夕日がきれいだな……
 明日は友達できるかな……
 波が足に当たって冷たいな……
 それに、金色のふかふかしたものが……
 ……ん? 金色のふかふかしたもの?
 ぁ……よく見ると、さっきの金色の狐さんが隣に座っている。いつの間に。  
 
「うむ。元気のない奴にしたところでつまらぬからの。さぁ、どうして元気がないのか話してもらうとしよう。相談になら乗るぞ? まぁ、嫌なら無理にとは言わぬが。」

 是非相談してくれと言わんばかりに目をキラキラさせてこっちを見つめてくる。
 この状況……言わないわけにはいかないよなぁ……

「どうした? 何か言えないわけでもあるのかの? もしかしてお主、相当の恥ずかしがり屋なのか?」

 ……仕方がない。
 
 ……これまでの経緯を、手短に話す。
 右耳が半分になってしまったわけ、ギルドに入門したこと。
 一緒に探検隊をやってくれるパートナー(すなわち友達)を探している、ということ。
 それが全く見つからない事、そして今に至ること―――

「ほぅ……ふむふむ。それは大変じゃったのぅ。それで元気がないのじゃな……ふむ。」
 
 こくこくこく、と何かを理解したように金色の狐さんは首を縦に振り、頷いている。
 しかしこの狐さん、どこからともなく現われて話しかけてくるなんて、怪しいよなぁ……
 油断させておいてパクッ……とかならないよね……?
 
「よし。それじゃあ、わしが一つ昔の話をしてやるとするかのぅ。あれは――――」

 頼んでもいないのにいきなり話しだす、金色の狐さん。
 なんでこうなるんだろう?
 変なポケモンもいるもんだなぁ……
 まぁ、話を聞くだけだったらいいけどさ……
 変なポケモンだとは思いつつも、話に耳を傾けることにした。

 ―――――――――――――――――――――――――――――

 あれはのぅ……かなり昔の出来事じゃった。
 昔はわしはの、お主のように……その……恥ずかしがり屋のところがあったのじゃ。
 他者と接することに苦手意識があってな、とあるポケモンと出会うまで、ずっと一匹でいることが多かったのじゃ。
 わしは、いつものように川辺で化ける練習をしておったのじゃ。
 ふと、誰かの視線を感じたわしは、化ける練習を中断し、辺りを見回したのじゃ。
 するとのぅ、一匹のポケモンが、のぞき見をしていたのじゃ。
 もちろん見られたわしは驚いて、近くの茂みに隠れたのじゃが……
 あやつは電光石火でわしの近くまで飛んできたのじゃよ……それは鳥肌物じゃったぞ。全身の毛が逆立ちそうになったからの。ほっほ。
 それでのぅ? あやつは何をしたと思う? 話しかけてきたのじゃ。
『キミ、すごいね! 化けることができるなんて!』と。それは楽しそうに尻尾を揺らしながらのぅ。
 あまりいもいきなりの出来事じゃったから、わしは一歩後ずさりをしたのじゃ。すると、あやつは一歩こっちに歩み寄ってくるのじゃ。
 わしが一歩退く、あやつが一歩前に出る。それを繰り返しているうちに、わしは後ろの川に落ちてしまってのぅ。
 幸い、流れはゆるやかで、浅かったからの、溺れることはなかったのじゃが……あの時はまだ水に耐性がなくてのぅ……
 わしは混乱してしまってのぅ……まぁ、最終的にはあやつに助けてもらったのじゃが。
 恥ずかしくなって逃げ出したくなったのじゃが……助けてもらったし、逃げるに逃げられなくなってしまったのじゃ。
 そして、緊張と寒さでぶるぶる震えていたら……あやつがとある木の実を差し出したのじゃ。
 真っ赤で、トゲトゲのついたような木の実――――マトマ。
 食べると体の内側からあったまってくるようでの、今でもあの味は忘れる事ができん。
 そしてのぅ? あやつは言ったのじゃ。
『キミはいろいろな物に化けることができてすごいなぁ……』
 わしは顔に何か熱いものが昇ってくるのを感じておったのを、マトマのせいにして、とりあえず頷いておいた。
 そして、何を思ったのか、その場で化けてみたのじゃ。不思議じゃろう? 先ほどまであんなにびびっておったのに、初めて他者の前で化けたのじゃ。
 あやつの驚いた顔……鮮明に覚えておる……ぷぷっ……今思い出しても笑えるのぅ。
 それでの? 得意になってわしはいろいろな物に化けて、あやつを驚かせたり、楽しませたりしたのじゃ。
 気がつくと、わしも一緒に笑っておった。
『えへへ、やっと笑ったね。』
 おそらく、わしが変わった瞬間じゃったろうな。
 その日の翌日から、わしらは毎日といっていいほど一緒に遊ぶようになったのじゃ……
 あやつに化かしを見せることによって、化けることにも自信が持てるようになっていったのじゃ。
 その頃から、人間に化けて人間の町に出かけたりもしたのぅ……
 あやつと一緒に、散歩したり、葉っぱを化かして作ったお金で団子を掠め取ったり……
 あの時は楽しかったものじゃ。毎日が幸せだったからのぅ。
 気がつけば、わしは笑うことが増えていたのじゃ……
 じゃが、楽しい時はあっという間に過ぎ去るものでな……
 わしはこう見えても、結構長生きができるのじゃ。だがのぅ……だれしもがそんなに長生きができるわけじゃないのじゃ……
 あやつも、そうじゃった……まぁ、あやつに限らず、友になった者は皆そうだったのじゃがのぅ……
 まぁ、仕方ないのじゃ。これもまた、わしがキュウコンとして生まれた運命だったのじゃろうな。
 おっと、話がそれてしまったの……さて、そろそろ元の話にもどすとするかの…… 
 そうじゃ、あやつは最後まで笑っておった。そしてこう言ったのじゃ。
『キミと友達になれて本当によかったよ……こんなにきれいな美狐さんと友達だなんて、ぼくは世界一ラッキーだったよ……』
 ふん……最期の最期までマイペースじゃったよ。
 ……全く。変わるきっかけをもらったわしのほうがよっぽど運がよくて幸せ者なのにのぅ……
 あやつは本当にいい奴だったのぅ……長らく生きてきておるが、心の底から親友と呼ぶのにふさわしいいのは、あやつのほかには数えるほどしかおらんしのぅ。
 つまり、わしが言いたいことはのぅ……
『どんなに恥ずかしがり屋だろうと、内気だろうと、変わっていようと、心を通わせることのできる友は必ずできる』ということじゃ。
 現に、わしが体験しておるのじゃから、まちがいないぞ。
 きっとお主にも、近いうちに友ができるときが必ず来る。わしのことを見てくれていた、あやつのように、お主のことを見てくれる奴がきっといるはずじゃ。
 お主は結構ヘビーな体験をしておるが、その現実から逃げずに、ここまで来たのじゃろう?
 逃げずにやって来たのなら、きっとその分、縁がめぐってくるじゃろうて。
 それと、もう一つ。
 もし、友と出会えたなら――――その時間を、思い出を、大切にすることじゃ。
 お互い支えあって、強く生きるのじゃぞ。
 ほっほっほ。わしはお主が気にいった!
 どれ、ここで会ったのも何かの縁じゃ。お主が良い友に出会えるよう、おまじないをかけてやろう。
 皆には、秘密じゃぞ?
 それ、もふもふもふ…… 
 ふふ……かわいいのぅ……大丈夫じゃ、お主にはこの後すぐに――――――

 ――――――――――――――――――――――――――――――――

「ねぇ、ここで寝られると困るんだけど。サッサとどいてくれない?」

 体を左右にゆすられて、目が覚めた。
 どうやら眠っていたようだ。
 いつから眠ってたんだろうか……?
 確か……金色の……何かに……にもふもふされてから意識が無くなって……って、あれ?
 
「変わったポケモン……そう言えば、見かけない顔ね。あなた、この辺のポケモンじゃないでしょ? それくらいお見通しよ。」

 よっこらせ、と体を起こす。
 改めて、声のするほうに向きなおるとそこには、薄緑の体と、頭に大きな葉っぱを持ったポケモンが座っていた。
 声の調子からしてとても気が強そうだ…… 
 
「なんて言う名前なの? 私は、チコリータ。まぁ、見てのとおりよ。あなたは?」

 チコリータと名乗った薄緑のポケモンに、今度はそっちが自己紹介するばんでしょ、的な目で見られたので、仕方がなく自己紹介をする。
 出身地、歳、名前、ここに来た理由を、簡単に説明する。
 相手は名前しか言っていないのに、なぜこっちはこんなに言わされないといけないのだろうか……
 
「ふぅん……イーブイって言うんだ。で、探検隊をやりたいけど、チームを組むポケモンがいなくて困ってると……ふーん。こんなのが探検隊を、ねぇ。」

 こんなの……
 こんなのって言われた……
 確かに私は内気だし、積極性もないけど、こんなのって言われると、ちょっと悲しい。
 
「そうねぇ……私が、一緒にやってあげようか?」

 ……え? 
 今、なんて?
 私には、「一緒にやってあげようか?」って聞こえたような気がするんだけど。
 な、なんで?

「聞こえてる? 一緒にやってあげようか? って聞いてるの。」
  
 ――――――――――――――――――――――――――――

 じゃあ、今日はとりあえず荷物まとめてくるから、明日プクリンのギルドの前にいてくれ。
 ということで、チコリータは去って行った。
 なんだかとっても気が強そうだけど、とにかくギルドに正式加入できそうでよかった。
 それにしても……あの金色の……えーっと、誰だっけ……まぁいいや。
 不思議なポケモンだったなぁ……
『心を通わせることのできる友が、近いうちに必ずできる』っていってたよぅな……
 まぁ、そのうちできるってことだよね!
 
                 
                        2話につづく

 ――――――――――――――――――――――――――――――

 〜あとがき的物体(?)〜

 チャットの副産物、長老の昔話より。
 2話へのつなぎ+長老とのコラボレーション(?)
 しかしこれは(仮)ver.ですので、いろいろと直すべき場所はあると思います。
 長老が話してるところとか話してるところとか話してるところとか。
 途中で主人公が喋らなくなるのは……寝ちゃtt(ry
 と、言う訳で、1,5話(仮)完です。 
 ありがとうございました〜
         

【何をしてもいいですとも】
【長老への……なのよ】


- 関連一覧ツリー (★ をクリックするとツリー全体を一括表示します)

- 以下のフォームから自分の投稿記事を修正・削除することができます -
処理 記事No 削除キー