「行くぞ、ドロー!」
喜田のターンが再び始まる。
俺のサイドは残り四枚、手札は五枚。バトル場には雷エネルギーとエナジーゲインのついたレントラーGL LV.X110/110、ベンチにはガブリアスC80/80と、アグノム40/70。
一方の喜田はサイド五枚の手札六枚で、バトル場には超エネルギーが一枚、闘エネルギーが二枚、さらに達人の帯がついているエルレイド130/150。ベンチにはペラップ60/60だけだ。サイドでは俺は有利だが、サイコカッターで高火力を弾き出すエルレイドが厄介極まりない。
「手札のラルトスをベンチに出し、超エネルギーをつける。そしてサポーターのオーキド博士の訪問を発動。デッキからカードを三枚ドローし、手札のカード一枚をデッキの底に戻す」
四匹目のラルトス60/60が場に現れる。同名のカードは四枚しか入れらないからこれが喜田の最後のラルトスなのは間違いない。
「更に手札からグッズカード、夜のメンテナンスを発動。トラッシュのポケモンと基本エネルギーを三枚まで選び、デッキに戻してシャッフル。俺が戻すのはラルトス二枚とキルリアだ」
「ラルトスがデッキに戻った!?」
「エルレイドでレントラーGL LV.Xを攻撃。サイコカッター! レントラーGL LV.Xの弱点は闘タイプ! 元々の威力80の二倍、160ダメージだ!」
レントラーのHPは110/110は一撃でやられてしまう。普通は一撃でやられるようなHPちゃうって……!
「サイドを一枚引いてターンエンド」
「俺は新しくアグノムをベンチに出す。そして俺の番や!」
アグノムは壁役だ。あのエルレイドを倒すには犠牲になるポケモンが要る。壁になってもらう間になんとか後続のポケモンを育てなくては。
「サポーター、アカギの策略を発動。その効果でデッキからハマナのリサーチ、炎エネルギー、エナジーゲインを手札に加え、炎エネルギーとエナジーゲインをガブリアスCにつける」
今はぐっと耐えるときだ。準備をミスれば勝機はなくなる。
「ベンチにゴウカザル四90/90を出し、スタジアムカード、ギンガ団のアジトを発動。このカードがある限り、互いのポケモンが手札から進化したときそのポケモンにダメージカウンターを二つ乗せる!」
ギンガ団のアジトでこの後に立つ喜田のポケモンをある程度妨害出来る。HP満タンのエルレイド二匹目だけは避けたいしな。
「ターンエンドや」
準備は整った。さあかかって来い!
「今度は俺のターン! サポーターカードのミズキの検索を発動。手札を一枚戻してデッキからキルリアを手札に加え、その後デッキをシャッフル。ベンチのラルトスをキルリア(80/80)に進化させる!」
「スタジアムのギンガ団のアジトの効果によって、進化したキルリアは20ダメージだ」
これでキルリアのHP60/80。
「キルリアに闘エネルギーをつけ、エルレイドでアグノムに攻撃! サイコカッター!」
放たれたサイコカッターの威力は元の威力に加え、達人の帯の効果で20加算され80。残りHPが僅か40のアグノムはもちろん耐えれず気絶してしまう。
今、喜田がサイドを引いたことによって、これで相手のサイドは三枚になった。
エルレイドのサイコカッターの効果は攻撃時、自分の伏せてあるサイドを任意の数だけめくり、その枚数×20ダメージを追加出来るものだ。今の喜田のサイドは全てウラだ。つまりサイコカッターでめくれるサイド、加算出来るダメージは最大60。
エルレイドが最も苦手とする『終盤』へ勝負は差し掛かった。
「俺の次のポケモンはガブリアスCや」
今の手札はリョウの検索、ハマナのリサーチ、ポケターン、SPレーダー。
次のドローがなんであれ、逆転へ繋がるターンとしなければ。
「俺のターン! 手札のサポーター、リョウの採集を発動。その効果によってトラッシュのゴウカザル四LV.X、炎エネルギーを手札に戻す」
リョウの採集は、トラッシュのSPポケモン、基本エネルギーを合計二枚まで手札に戻すサルベージ能力を持つサポーターだ。
「更に手札からSPレーダーを発動。その効果でデッキからガブリアスC LV.Xを手札に加え、バトル場のガブリアスCをレベルアップ! ガブリアスC LV.X(110/110)に炎エネルギーをつけ、エルレイドに攻撃だ。ドラゴンダイブ!」
ドラゴンダイブの威力は80。このワザを受けたエルレイド50/150のHPはもう少しのところまで削れた。ただ、ドラゴンダイブはエネルギーを二枚トラッシュしなければならないデメリットがある。
「俺はドラゴンダイブの効果でガブリアスの炎エネルギーを二枚トラッシュしてターンエンドだ」
ここまでは考えていた通りの流れだ。だが、目の前のエルレイドを倒すための計算が相手の番で狂うかもしれない。大丈夫のはず。とはいえ不安が突っかかる。
「俺のターン!」
喜田の表情は変わらない。
「手札のラルトス(60/60)をベンチに出し、超エネルギーをつける」
また新しいラルトス。そんなに出してなんのつもりだ。
「サポーター、ミズキの検索を使う。手札を一枚戻してデッキのエルレイドを手札に加えさせてもらう。そしてベンチのキルリアをエルレイドに進化させる!」
二匹目のエルレイドがベンチに現れる。一匹倒すのに精一杯なのに、易々と出しやがって!
「だがスタジアムの効果で、進化したエルレイドに20ダメージだ」
二匹目のエルレイドのHPを90/130まで削る。俺のささやかな抵抗に、喜田は苦い顔でダメカンをベンチのエルレイドに乗せた。
「エルレイドでガブリアスC LV.Xを攻撃。サイコカッター! サイドを二枚めくることで計120ダメージだ」
受けるダメージは60+20+40=120ダメージ。強烈な一撃にガブリアスC LV.X0/110は為す術もなく気絶になる。
「サイドを一枚引いてターンエンド」
喜田はサイコカッターによって表側になった不思議なアメを手札に加えていた。
次のターンにベンチのラルトスを進化させるのかもしれない。
喜田のサイドは一枚表側(超エネルギー)、もう一枚が裏側。もう俺のLV.Xポケモンが一撃で倒されることはないはずだ
「行くで、俺のターンや!」
引いたカードは四枚目のエナジーゲイン。これで俺の手札はエナジーゲイン、炎エネルギー、ハマナのリサーチ、ポケターン、ゴウカザル四LV.X。
「荒い手やけど、そのエルレイドを今から倒すぜ!」
俺の宣言に喜田は怪訝そうな顔をする。
誰だってそうだろう。俺の場にはもうゴウカザル四しか残っていない上に、このまま次のターンになれば喜田のエルレイドにゴウカザル四は一撃で倒されてしまうのだ。だけど手札にはそれを打破出来るカードは揃っている。
「行くぜ、俺は炎エネルギーとエナジーゲインをゴウカザル四につけて、ゴウカザル四LV.X(110/110)にレベルアップさせる! それだけじゃない。手札のハマナのリサーチを使って俺はデッキのクロバットGを二枚手札に加える」
「クロバットGを二枚だって!?」
ただ、デッキからカードを大量に加えたことによって俺のデッキの残量も刻々と少なくなって行ってる。もう三十枚は確実にない、な。
「クロバットG(80/80)二匹をベンチに出し、この瞬間にクロバットのポケパワーを使うぜ。クロバットのポケパワーはベンチに出した時に使え、相手のポケモン一匹にダメージカウンターを一つのせる。二匹同時にポケパワーを使うことによってエルレイドに二つダメージカウンターを乗せるぜ。フラッシュバイツ!」
「でもこれだけではエルレイドは……」
エルレイドの残りHPは30。ゴウカザル四LV.Xのワザでエルレイドを倒すには後、10ダメージ足りない。
「だからこのカードや。グッズカード、ポケターン発動!」
喜田の表情にようやく驚きが現れる。
「ポケターンの効果によって、ベンチのSPポケモンを手札に戻す。戻すカードはもちろんクロバットG」
わざとらしくクロバットGを喜田に見せてから手札に戻す。まぁ戻すと言っても今の手札はこのクロバットのみだが。
「そしてもう一度クロバットGをベンチに出してエルレイドにフラッシュバイツ。これで射程圏内や! ゴウカザル四LV.Xで攻撃。爆裂弾! このワザは相手のポケモン二匹に20ダメージを与える。そのエルレイドとベンチのラルトスに20ダメージずつプレゼントや!」
ようやく苦戦し続けたエルレイドを気絶させることが出来た。今倒したエルレイドは達人の帯がついている。達人の帯がついたポケモンが気絶した場合、相手は二枚サイドを引くことが出来る。よって俺はサイドを二枚引く。
これで俺と喜田の残りサイドは共に二枚。ようやっとこれで追いついた。
「暴れた利子はしっかりもろたで!」
啓史「今日のキーカードはゴウカザル四LV.X!
ポケパワーで相手のベンチからポケモンを引きずり出し、
炎の渦で薙ぎ倒せ!」
ゴウカザル四LV.X HP110 炎 (DPt2-S)
ポケパワー いかくのおたけび
自分の番に1回使える。相手のバトルポケモンを、相手のベンチポケモンと入れ替える。入れ替えるベンチポケモンは相手プレイヤーが選ぶ。このパワーは、このポケモンが特殊状態なら使えない。
炎炎無 ほのおのうず 100
自分のエネルギーを2個トラッシュ。
─このカードは、バトル場のゴウカザル四に重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─
弱点 水×2 抵抗力 ─ にげる 0