マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  [No.786] 5話 光景 投稿者:でりでり   《URL》   投稿日:2011/10/22(Sat) 09:11:29   50clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 ようやく苦戦させられたエルレイドを撃破したものの、喜田の次のポケモンはまたもやエルレイドだが、そのHPは90/130。
 ギンガ団のアジトなどでじわじわ削った甲斐があった。
 今の俺と相手のサイドは共に二枚。喜田のベンチにはラルトス40/60とペラップ60/60。
 そして俺のバトル場にゴウカザル四LV.X110/110とベンチにクロバットG80/80が二匹。
「俺のターン。手札の闘エネルギーをエルレイドにつける」
 喜田はエルレイドに三つ目のエネルギーをつける。これで再びサイコカッターの使用条件が満たされる。
「手札の不思議なアメを発動! 自分のたねポケモンから進化するポケモンを手札から一枚選び、進化させる。ベンチのラルトスをサーナイトに進化させる!」
「手札からの進化やからギンガ団のアジトの効果受けてもらうで」
 先のターンのダメージと加算して、サーナイトのHPはすでに70/110。俺のデッキの火力やと一撃圏内であるのは確かだ。
「まずはエルレイドでゴウカザル四LV.Xを倒す! サイコカッター!」
「それはええけど倒しきれんの?」
「っ……」
「裏側のサイド一枚しかない上に、達人の帯もない状況。どうあがいても80ダメージが関の山や。これやとゴウカザル四LV.Xは倒しきれへん」
「……分かっている! くっ、サイドを一枚めくってサイコカッター!」
 最後の喜田のサイドがめくられ、ゴウカザル四LV.Xに80ダメージだ。
 残りHP30/110は決して喜ばしくないが、喜田は全てのサイドを開いた。もうサイコカッターの威力は上がらない、今なら押していける。
「さあ、俺のターンや!」
 引いたカードはリョウの採集。SPポケモンと基本エネルギーを計二枚まで手札に戻せるサポーターだ。ここは使うの一択!
「サポーターのリョウの採集を発動。トラッシュのレントラーGL、レントラーGL LV.Xを手札に加える。そしてレントラーGL(80/80)をベンチに出して、ゴウカザル四LV.Xに炎エネルギーをつけるで!」
 残りの展開は読めてきた。おそらくこの勝負で俺がこれ以上たねポケモンを出すことはないだろう。これで勝負を決めてやる。
「ゴウカザル四LV.Xでエルレイドに攻撃! 炎の渦!」
 炎の渦の威力は100。残りHP90/130のエルレイドにトドメを刺す。
「炎の渦の効果でゴウカザル四LV.Xの炎エネルギーを二枚トラッシュするけど、エルレイド倒したからサイド引くで!」
 残るサイドはあと一枚。ようやくリーチに差し掛かった。あと一匹倒せれば!
 その時、不意に背後から由香里の声がかかる。
「先に三連勝したから杉森とフードコートで先にお昼食べとくで?」
 声のした方に振り返ると、由香里は三連勝したらもらえるカードをちらつかして会場から離れていく。わざわざ見せびらかすとこがいやらしいし腹立たしい。
 由香里が会場から出ると同時に長身の女の人がやってきた。パッと見、俺より大きい、百七十五センチくらいの背の高さで胸辺りまで濃い青色の髪を真っ直ぐ伸ばしている。綺麗だが、ちょっと怖い印象だ。
 辺りが男ばかりなだけあって由香里同様に目立つのだが、なんというかオーラが違う。そのせいで、悪い意味で目立つ。なんだか嫌な予感がする。
 その女の人は俺の二つ左の席に座ったが、妙に気になる。目の前の喜田も同様だった。
「こほん」
 喜田がわざとらしく咳き込んだ。そのお陰で目の前の現実に俺は戻って来る。
「まだ勝負は終わってないぞ。俺のターン」
 喜田の手札は僅か二枚。しかし、カード一枚で最大八ドローするポケモンカードでは手札の数は簡単にひっくり返ってしまう。
 ……のだが、喜田はここで長考してしまう。考えるなら手札を増強してからが普通だろうが。おそらく、喜田の手札に手札を増やすカードはないようだ。
「まずサーナイトをレベルアップさせる!」
 サーナイトLV.Xにレベルアップしたため、HPが90/130に。さらに使えるワザが一つから二つに増えた。
 今、サーナイトLV.Xには超エネルギーが一枚ついている。レベルアップ前のワザは超無無とエネルギーを三つ要求するため、このターンはダメージがないと踏んでいた。しかしレベルアップしてから使えるワザ、仕留めるは超エネルギー二枚あれば使えるワザ。しかもそのワザの効果は、サーナイトLV.X以外の互いのポケモン全員の中から残りHPが一番少ないポケモンをきぜつさせる。というとんでもないワザだ。
 今一番HPが少ないのは30/110ゴウカザル四LV.X。喜田の手札の残り一枚が超エネルギー及びそれを引き寄せる物であるなら……。
「サーナイトのポケパワー、テレパスを使う。相手のトラッシュのサポーター一枚をこのポケパワーとして使う。ハマナのリサーチを選択!」
 ポケパワーからサーチに来たか!
「待ってたぜ! 手札からパワースプレーを発動。自分の場にSPポケモンが三匹以上でなおかつ相手の番に相手がポケパワー使ってきたときに発動できるカードや。そのポケパワーを無効にする!」
 最後の希望を失った喜田は金魚のように口をパクパクさせる。我に帰ると残りの一枚のカードを苦い顔でプレイする。
「サーナイトLV.Xに闘エネルギーをつけて、ターンエンド……」
「よし、俺のターン!」
 このドローで手札は四枚。手札0の喜田よりは良いが、手札を増強するカードがない。
「手札からポケターンを発動。ゴウカザル四LV.Xについているカードを全て手札に戻す!」
 ゴウカザル四LV.Xについているカード、つまりゴウカザル四、ゴウカザル四LV.X、エナジーゲインを手札に戻す。
 ゴウカザル四LV.Xがバトル場からいなくなったため、ベンチのレントラーGL80/80をバトル場に上げる。
「エナジーゲインをレントラーGLにつけ、更に手札の雷エネルギーもつける。そしてレントラーGLでサーナイトLV.Xに噛みつく攻撃!」
 30ダメージを受けたサーナイトの残りHPは60/130になる。手札の状況を考えると次のターンで倒せる!
 ターンが重なるごとに、喜田の顔が苦しそうになっていく。そんな喜田を見て少し心に余裕を持った俺は、プレイマットから顔を上げて試合を適当に見ているギャラリーを見渡した。
 しかし、ギャラリーは皆が皆、同じテーブルを見つめている。
 その視線を追い続けると、さっき見た青い髪の女の人がいるテーブルだった。何かあったのだろうか。
「俺のターン!」
 喜田が自分の番を始める合図を放ったので、俺は再び目の前の戦いに集中する。
「手札の超エネルギーをサーナイトLV.Xにつける!」
 どうやら喜田は超エネルギーを引き当てたようだ。これでワザ、サイコロックも仕留めるも使えるようになる。
「サーナイトLV.Xで仕留―――」
「それでええん? 仕留めるの効果は、互いの番にいるサーナイトLV.X以外で一番HPの低いポケモンを気絶させるやけど、その条件に適合するのはそっちのペラップやで」
 最初にベンチに戻ってから、ノータッチだったペラップ60/60。可哀想だがまあ忘れていても致し方ないかな。
「く、サイコロック!」
 威力は60。レントラーGLのHPが一気に20/80へと減少する。
「俺の番や! レントラーGLをレベルアップさせ、そのまま攻撃。フラッシュインパクト!」
 フラッシュインパクトの威力は70。残りHPが60/130のサーナイトLV.Xはこれで気絶。俺がサイドを一枚引くことによってサイドを全て引ききった。
「ありがとうございました」
 対戦が終わり一礼すると、俺がカードを片付けるよりも早く喜田はテーブルを発った。
 のこのこやって来たスタッフから三連勝記念のプロモカードをもらい、やっとカードを片付けた俺は由香里の元へと向かわんと、数十分お世話になったパイプ椅子から腰を上げる。
 その刹那、二つ隣の席からパイプ椅子が蹴飛ばされたかのような音と同時に、嫌な異臭とピチャピチャと何かが滴る音がする。
 その元に目を移すと、あの女の人と戦っていた不健康そうな男が、体をくの字に折って会場で嘔吐していた。
 休む間もなく、やけに用意周到な救護班らしき人たちに介抱されたその男はどこか他所へ運ばれていく。
 その様子を見ていた女の人は、まるで何事にも興味がないような目をしてプロモカードももらわず人々の雑踏に紛れて行った。
 何が今起きたんだ……?


啓史「今日のキーカードはサーナイトLV.X!
   ポケパワーで場を動きつつ、
   仕留めるを使って勝負を決めろ!」

サーナイトLV.X HP130 超 (DP4)
ポケパワー テレポーテーション
 自分の番に、1回使える。自分のバトルポケモン、または自分のベンチポケモンを1匹選び、このポケモンと入れ替える。このパワーは、このポケモンが特殊状態なら使えない。
超超  しとめる
 自分以外の、おたがいのポケモン全員の中から、残りHPが一番少ないポケモンのうち1匹を選び、きぜつさせる。
─このカードは、バトル場のサーナイトに重ねてレベルアップさせる。レベルアップ前のワザ・ポケパワーも使うことができ、ポケボディーもはたらく。─
弱点 超×2 抵抗力 なし にげる 2


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