マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  [No.920] 2話 予感 投稿者:大門 鋼生   投稿日:2012/03/22(Thu) 15:41:49   42clap [■この記事に拍手する] [Tweet]



外出用の服に一通り着替え終え、階段を降りて玄関に向かう。
コウキが階段を降りる音に気づいたのか、マイが自室から顔を覗かせる。


「兄お出かけ?」
「うん。ちょっとジュンと出かけて来るよ。晩ごはんの支度には間に合うように帰ってくるから!」


靴を履いて、勢いよく玄関から飛び出す。
それと同時に、『何か』が家の裏の方から駆けてきてコウキの肩に飛び乗る。

『何か』とはコウキのパートナーである電気タイプ、『こねずみポケモン』のピチューだ。


「行くぞ、ピチュー!」


コウキはフタバタウンからマサゴタウンへ続く『201ばんどうろ』へ向けて走り出した。



…………………



「遅いぞコウキ!」


201ばんどうろの看板の下、既にジュンと彼のパートナーの『よなきポケモン』ムウマが待っていた。


「そんなに待たせてないだろ?僕だって急いで出てきたんだから」
「そんなのはどうだっていいんだよ!早くマサゴタウンに行こうぜ!」


話があまり噛み合わないまま、2人と2匹はマサゴタウンへ向けて201ばんどうろを歩いて行く。


「でも、どうしてジュンはそんなにナナカマド博士のポケモンが欲しいの?」


ふと、コウキは頭に浮かんだ疑問をジュンへ問いかける。
少し考える素振りをした後、ジュンはコウキの質問に答えるべく口を開いた。


「旅に出たいんだよ!」
「旅に?」
「あぁ!バトルはフタバタウンの誰にも負けない自信がある。けど、それだけじゃもっと強く…ダディみたいに強くなれないんだ!」
(ジュンの…父さん)


コウキはジュンの父親について思考を巡らせる。
ジュンの父親は、彼がまだ小さい頃に旅に出ていってから殆ど家に帰っていないらしい。

コウキ自身も会ったのは一度だけで、しかもかなり幼い頃の出来事のために記憶が曖昧である。
しかし、一つだけ覚えているのは、彼のバトルの腕だ。

当時トレーナーではなかったコウキやジュンから見ても、彼の実力の高さをはっきりと感じることができた。

そんな父親だからこそ、ジュンは彼を目標とし、その背中を追いかけるためにも旅に出たいと言ったのではないかとコウキは考えた。

「だったら、今まで以上の努力が必要だろ?もっと強くなるためにはさ!」
「そんなのとっくに知ってるよ!だからこそ旅に出て、ジムに挑戦して、いつかダディを越えて見せる!」


そんな事を話しているうちに、2人はマサゴタウンに到着した。

コウキとジュンは早速ナナカマド博士の研究所を訪ねる。

正面玄関の呼び鈴を押すと、研究所内からナナカマド博士の助手であろう研究員の女性が出てくる。


「何のご用かしら?」
「俺ジュンです!早速、俺にポケモンを下さい!」
「はいっ!?」
「違うだろジュン!」


自分の気持ちをストレートに言い放ったジュンにコウキが思わずツッコム。

──全く、せっかちにも程がある。──


「僕の名前はコウキと言います。あの、ナナカマド博士はご在宅ですか?」
「あら、あなたたちナナカマド博士に用事?」
「はい!ナナカマド博士に会ってポケモンを…」
「ジュンは黙ってて」


先程の様に話を拗らせないように、ジュンの言葉を遮る。
「なんだってんだよ〜!」と騒いでいるジュンを尻目に、コウキは研究員の女性と話を続ける。


「ナナカマド博士なら、助手のヒカリちゃんと一緒に『シンジ湖』に行ってるわよ?」
『『シンジ湖』に!?』


シンジ湖と言えばシンオウ地方の三代湖の一つに数えられる湖で、フタバタウンの近くに存在する。
しかも、彼らが今いるマサゴタウンとは正反対の方角に、その湖はある。

つまり、コウキとジュンがここへ来たのは無駄足になってしまっと言うことだ。


「なんだってんだよー!折角ポケモンが貰える……じゃなくて、博士に会えると思ったのによぉぉ!!…って、コウキ?」


コウキの何かを考えた込むような、それでいてどこか不安そうな表情に気づき、ジュンは言葉を止めた。


「あの、博士たちは何をしにシンジ湖に?」
「え?シンジ湖に生息するポケモンの生態調査だけど、それがどうかしたの?」
「博士やヒカリって子はポケモンを持っていきましたか?」
「ヒカリちゃんはポケモンを置いて、博士は成長過程を観察中のポケモンを連れていったわ」

(『成長過程を観察中』ってことは、レベルの低いポケモンだよな…)


コウキの表情にあった不安の色が徐々に危機感に変わっていく。
彼の頭の中に、ある最悪の出来事が想像されたからだ。


「ジュン!シンジ湖に行こう!」
「一体どうしたって言うんだよ!?」
「今のシンジ湖にポケモンを持たずに行くのは危険なんだ!だから、2人が危ない!」


そう言ってコウキはシンジ湖に向かうために、急いで201ばんどうろへ引き返していく。
その場に残されたジュンと研究員は何がなんだか分からず、ただ立ち尽くしていた。


「え…2人が危ないってどういうこと!?」
「よく分かんねぇけど、兎に角俺たちに任しといてください!俺はバトル強いですから!」


ジュンもコウキの後を追って駆け出す。


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