ポケモンストーリーコンテストSP -鳥居の向こう-
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募集要項
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サンプル作品
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小説部門
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記事部門
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26 見返り狐
ピッチ(
HP
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PDFバージョン
フォルクローレに採用されると見開きの片側に絵がつきます。
ソノオタウンは晩春から秋口にかけ色とりどりの花に覆われるシンオウ地方随一の観光名所として有名である。ソノオがここまでの観光地へと成長したのは、一大名所である数十ヘクタールもの花畑の発案者にしてその管理を一手に担う地元のフラワーショップ店主の努力が大きい。
他の地方よりも寒さの厳しいシンオウ地方においては春先に寒の戻りがしばしば発生するため、植えた苗が霜焼けを起こし枯れてしまうことも多く、露地での花の栽培は難しいとされる。
ところが店主曰く、自分はそのようなことはほとんど起こしたことはないという。その秘訣を訊ねてみると、こと種蒔きや苗の植え込みの時期に関してはまず外さない、古くから伝わるある目印があるため、それが現れるまで種蒔きも苗の植え込みも我慢してじっと待てばいいのだと教えてくれた。
その目印とはソノオ近辺地域の住民の間で「見返り狐」と呼ばれる、山に現れる雪模様である。
ソノオタウンが遅い春を迎える4〜5月になると、東に見えるテンガン山に積もった雪も徐々に溶け出していく。その際雪の下から現れる山肌の黒が背後へと振り向くキュウコンの形をした影に見えたならば、それはそのキュウコンが冬を追い払った証であり、もうその後に寒が戻ることはないため、種を蒔いても苗を植えても霜焼けを起こすようなことはないのだそうだ。
さらにこの話には続きがあり、山肌に表れたキュウコンの尾の数は必ず9本とは限らないのだという。本来のキュウコンに比べ尾が少なければ少ないほどその年のキュウコンは力がなく冬を完全に追い払うことができないため、そうした年はキュウコンが去った後に冬が山里へ帰ってきてしまい、気温が一年を通じて低くなるのだと店主は話してくれた。
「見返り狐」は種蒔きの時季のみならずその年全体の気候を測るサインとしても重要な意味を持つ、ソノオの人々にとっての農業の指針のようだ。
シンオウ地方には、ロコン及びキュウコンは野生で生息していない。 にもかかわらずこのソノオの伝承がキュウコンを主題としているのは、ソノオ周辺にカントー・ジョウトからの入植者が多かったためと考えられている。
その二地方ではキュウコンは野生で生息するロコンが進化したものとして一般的に知られているポケモンであり、同時に千年を生き太陽を司る神格「九尾稲荷」として、ポケモンの科学的分類や生態の解明が進んだ現在においても信仰を集めている。
生まれ育った地より遠く離れ過酷な気候の中で開拓を行っていた頃、人々は日輪の神であるキュウコンの姿を山肌に見出し、その姿を吹き付ける豪雪と寒気に終わりを告げるものとして仰ぎ、頼りとしていたのではないだろうか。
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