ポケモンストーリーコンテストSP -鳥居の向こう-
企画概要
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募集要項
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サンプル作品
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小説部門
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記事部門
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07 鬼灯の祭り
棗(
HP
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PDFバージョン
紙に2ページ分ずつ印刷して折りたたむと本になります
それは不思議な夏休みの出来事だった。私は窓の外で鬼灯の提灯を持ったロコンに出会った。
――行こうよ
ロコンはそう言って私を誘った。私は驚きながらロコンを見た。普通、ポケモンは喋らない。
でも、目の前にいるロコンは喋っている。ロコンはにこりと微笑み、去って行こうとした。
私は待ってという風にロコンについていった。ロコンは嬉しそうに私を見ていた。
ロコンについて行くと、赤い鳥居が連なった神社があった。その時、ヒトカゲが現れた。
ヒトカゲは私に近づくと、ロコンと同じ鬼灯の提灯をくれた。私はお礼を言いながら、鬼灯の提灯を貰った。
ロコンは早く来てという風に私のパジャマの裾を引っ張った。ふと、私は自分がパジャマのままで来たことに今さら気付いた。
でも、ロコンが早く来てというふうに急かすので、戻るわけは行かず、ロコンについて行くことにした。
長い鳥居を歩いて行き、頂上につくと、目の前に屋台がたくさんあった。まだ夏祭りではないのに、もう祭りをやっていた。
楽しそうな祭囃子が聞こえ、楽しい気分だった。神社に入ろうとすると、獅子と狛犬が鎮座する台の上にバシャーモとゴウカザルがいた。
バシャーモとゴウカザルは華麗に跳ね、舞うように拳と足を振り、まるで歓迎しているかのようだった。
ふと、周りを見ると、全員ポケモンだった。ポケモン達は私とロコンのように鬼灯の提灯を必ず持っていた。
神社に入ると、驚いたことに屋台をやっているのはポケモン達だった。ポケモン達は私を奇妙に思わず、にこにこと見ていた。
私は不思議がりながらも、屋台を見ていた。良く見ると、すれ違う全員が炎タイプのポケモン達だらけだった。
私はロコンと一緒に歩いていたら、マグマラシとヒノアラシの兄弟、冷静なポニータ、じゃれてくるガーディと会い、楽しく祭りを満喫した。
すると、突然、真ん中にある大きな櫓の上にいる一匹のバクフーンが豪快に炎を出し、大太鼓を叩き始めた。
すると、ロコンがまた私のパジャマの裾を引っ張った。私は何が始まるのだろうと思いながら、ロコンについて行った。
始まったのは、盆踊りだった。音に合わせて炎のポケモン達が自分達の思うままに楽しく踊り始めた。
私は今まであったガーディ、ポニータ、マグマラシとヒノアラシの兄弟、そしていつもそばにいたロコンと一緒に盆踊りをし始めた。
楽しかった祭りはあっという間に終わった。ロコンは私を家に帰してくれた。
はっと目を覚ますと、いつの間にか自分はベッドにいた。そして、カーテンを開けると、眩しい太陽の光が差し込んだ。
私はぼっとしながらも、慌てて普段着に着替え、朝ご飯を食べずにあの神社があるだろう場所へと向かった。
だが、そこには赤い鳥居が連なった神社はなかった。
後から知ったことだが、あのロコンは車にひかれて私が看病したロコンだと母に教えられた。
そして、あの祭りは鬼灯の祭りといい、炎のポケモン達の霊だけが集まる祭りだということも教えられた。
おそらく、あのロコンは看病をしてくれたお礼に誘ってくれたらしい。
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