どうにも面倒くさい。
お前がもう一人の英雄だとか戦わなければポケモンを開放するぞとか言われた時に思ったのはそれだけだった。
こちとらこの間野生のポケモンに全滅させられそうになったんだぞ。そんな人間に世界の命運を任せる神経が理解できない。四天王とかチャンピオンとか強いトレーナーは掃いて捨てるほどいるだろう。
きっとこの石に宿ってるもう一方のポケモンだってそう思っているに違いない。そこいらの草むらでタブンネ狩ってるような人間が実は英雄だとかいうことだってあるに違いない。
いちいち英雄なんて旗を担がなくても、伝説のポケモンなんていなくても、あいつらのやってることが正しくないと思うなら、止めちゃえばいい。数に任せて強引に抑え込めばいい。
言いたいことはたくさんあった。
それでも言わなかった。
結局は戦いに行くんだ。うだうだ言ってもしょうがない。
ただ、一つだけ明確にしておきたいことはある。
単に自分の仲間と別れさせられるなんて選択肢を選べるはずがない。それだけは嫌だから、面倒くさくてもできることがあるならやろうと思っただけだ。
世界を背負うなんてことに憧れたわけでも、いろいろな人に頼りにされたわけでもない。
ただそれだけのことだ。
そう言おうと思ったけれど、恥ずかしくて言えはしなかった。
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いろいろ思ってるからこそ、言えない感じのうちの主人公
【書いてみたのよ】
【好きにしていいのよ】