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  [No.3000] サポートガン 投稿者:NOAH   投稿日:2013/08/01(Thu) 20:39:44   156clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
タグ:ポケモン世界の福祉道具】 【ヤミカラス】 【捕獲補助銃(サポートガン)


※参加型のポケモン知恵袋に回答して思い立った小説


とってもカラフルで、片手で収まるほどのハンドガンを、1人の少女が持つ。

その銃口の先にいるのは、捕まえるために軽く体力を弱らせ、痺れ粉で麻痺状態にさせた、一匹のヤミカラス。

ヤミカラスに慎重に狙いを定めて、女の子は右手人差し指に掛けていた引き金を引くと、紅白のモンスターボールが飛び出し、 それはまっすぐとヤミカラスへと飛んで行く。そして、発射されたボールが命中すると、ヤミカラスは赤い光に包まれてその中に収まり、ゆらゆらと三回ほど揺れたのち、カチリ、と音がして、無事に捕まえられたことを示してくれた。


「やったぁ!ポケモンだぁ!!

すごいね!この銃!!モンスターボールが飛んで行ったよ!!
ママ見てー!!私、ポケモン捕まえられたよー!!!」

「うん。よかった………よかったねぇ。ほら、ヤミカラスをこれで治療して来なさい。」

「うん!お兄ちゃんありがとう!!」


女の子は持っていたハンドガンを僕に渡すと、一気に捕まえたばかりのヤミカラスが入っているモンスターボールへと、飛ぶように走って行く。母親らしき女性は、とっても元気な女の子のその姿に、瞳いっぱいに涙を浮かべる。


「よかった………本当によかった…………!!ミヤニシさん、本当にありがとうございます!!!」

「いえ。………その人にあったサポートガンを作るのが、僕の仕事なので。」


サポートガン。正式名称、携帯獣捕獲補助銃。

空のモンスターボールを装填して、対象である野生のポケモンに向けて撃ち、捕獲するための道具だ。
最初、ケガや病気でボールを投げられない人のために作り始めた福祉道具の1つだが、最近はボールを投げるのが苦手な人や、プロの捕獲屋さん。それからポケモンレンジャーの方からの注文が相次いでいる。

サポートガン専門店を立ち上げてからは、直接来て頂いた方限定で、サポートガンのレンタルや、その人にあった物をハンドメイドで作るサービスも行っていて、今目の前にいる母娘も、そのサービスで来たお客様だ。

この女の子は、利き腕である右腕を不慮の事故で失い、それからはずっと、義手での生活だったらしい。そのため腕に力がなかなか入らず、重いものを持つこともそうだが、ポケモンを捕まえる上で絶対に欠かせない動作である、投げることもできないほどだったらしい。

それでも、自分でポケモンを捕まえたい。自分で捕まえたポケモンで旅をしたい、と、遠いのにわざわざ、シンオウ地方のコトブキシティから、このジョウト地方はアサギシティにまで来てくれたらしい。

「よかったね。……ヤミカラス、大切にね。」

「うん!お兄ちゃんありがとう!!」

「どういたしまして。………じゃあこの銃は、君にあげる。」

「!いいの!?」

「うん。そのために作ったんだから。………ヤミカラスもこの銃も、大切にね?」

「うん!!」


捕まえたばかりのヤミカラスが入ったボールとサポートガンを持って、近くにあったベンチに座りながら、それを嬉しそうに見つめる様子を見ていると、つくづく作ってよかった、と思えてくる。この笑顔のために作ってきたのだ。この笑顔のために、5年の歳月を掛けて、自分でポケモンを捕まえたい人たちのために、頑張ってきたのだ。


「ミヤニシさん。………娘の夢に協力してくださり、本当にありがとうございました。」

「いえ。これしか取り柄のない人間なので。……銃の手入れはそちらでやっていただくことになりますが、もし不安があったらお電話ののち、こちらに郵送していただければ、時間は掛かってしまいますが、丁寧に手入れさせていただきます。」

「そう、なんですか………それじゃあ、これからもよろしくお願いします。」

「はい。……今後とも、携帯獣捕獲補助銃専門販売店『プリエール』をよろしくお願いします。」


今日もまた、たくさんの人の笑顔のために、丹精を込めて、作らせていただきます。


【書いてもいいのよ】
【ポケモン世界の福祉道具みんなで考案してみよう。】


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