マルチトレインに乗りこんだ私とケンジ先輩を待っていたのは、男性2人連れだった。まあまあいい年をしているみたい。ちなみに私達は25、6歳くらいか。
「カップルか、お似合いだなぁ。」
片方のおじさんが言った。
「カップルではないです……。」
私は返したけど、
「いーや、あんたらカップルだね。」
もう片方のおじさんが言った。待て、この人酒臭い!
ケンジ先輩も顔をしかめている。
「はよしようや。さっさと済ませたいわ。あの手の人は絡んでくる。」
「じゃあやろうじゃねぇか!」
バトルの口火は切って落とされた。
おじさんの出したポケモンは、シラフのおじさんの方がハトーボー、酔っ払いがドッコラーだった。
私はエンブオーを、ケンジ先輩は先ほども出たデンチュラを出した。
お互い最初のパートナーを出した形だ。
一番最初に動いたのは、デンチュラだった。ものすごい速さで動き、ハトーボーにぶつかった。ハトーボーはかなりよろめき、そこで反撃を試みたが、既にデンチュラはいなかった。
デンチュラがさっきいた場所には原色の始祖鳥がいて、すばやい動きでハトーボーをノックアウトした。おじさんは何が何だか分からなかったみたい。
ケンジ先輩の2番手は最古鳥ポケモン・アーケオス。さっきのトリックの種明かしは、デンチュラのボルトチェンジで交代したアーケオスがアクロバットした、と説明できる。
私は私で、エンブオーに火炎放射を命じ、ドッコラーをノックアウトした。
焦ったおじさん達はチラチーノ2匹を出した。
「サカモト、決めるで。俺が攻撃、お前は守備。」
「はい!エンブオー、守って!」
「よし、アーケオス、地震!」
アーケオスの地震は物凄く、チラチーノは敢えなくダブルノックアウトとなった。
バトルはほぼ完勝、しかしこの方法の難点は、人間が足場のふらつきに耐えにくいということだ。
2戦目、私は先ほどとは違うポケモンを出した。
世界一美しいと言われる、海蛇型のポケモン。
「ミロカロス……!」
このミロカロスには私自身かなり思い入れがある。
高校時代の家庭科の授業でポロック・ポフィン作りを行った時、とても綺麗な作品ができた。そこでヒンバスに食べさせたところ、翌日のバトルの授業で進化し、ミロカロスとなった。という訳だ。特に出来のいいポロック・ポフィンとともにチョコもケンジ先輩に渡したのも、いい思い出。
ミロカロスはバトルで優雅に相手を倒していく。竜の息吹、冷凍ビーム、水の波動。多少の傷は自己再生で癒す。
アーケオスとの相性も良く、岩雪崩で相手を怯ませたところにミロカロスの一撃を食らわせる戦法がはまった。
「お前なかなかバトル上手いな!」
「ケンジ先輩こそ凄いです!私一人だとああいうことできません。」
何だか私とケンジ先輩は即席タッグって感じがしないほどに息がぴったりだ。
ハイタッチをした私達は次の車両に向かった。
続く
マコです。ヒロイン・サカモトさんとケンジ先輩のタッグは順調に勝っています。まだ女達が邪魔していないのが不穏ですが。
【もう少し続くのよ】
【書いてもいいのよ】
【描いてもいいのよ】