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  [No.335] 雨宿りも悪くない。 投稿者:巳佑   投稿日:2011/05/02(Mon) 22:08:43   52clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
雨宿りも悪くない。 (画像サイズ: 438×640 58kB)


《寄り道は大事》

友達に会うためにオイラはヒウンシティを走っていた。
その友達がいる、とある森に行くためにはこの街を通らなきゃいけないんだけど、
毎日、人がたくさんいて忙しい街だなぁ。

……走っているオイラの目にあるモノが映った。
ヒウンシティ名物のヒウンアイスだ。
おいしそうだなぁ……と思ったのと同時にオイラはすぐに行動に移していた。

人気のいない路地裏にいったん身を隠して、
ゾロアの姿から人間の子供の姿に化けると、
すぐに、さっきのヒウンアイスのところへ。

「あれ? どうしたの、君」
オイラはもの珍しそうにヒウンアイスを見つめながら、
おなかを鳴らした。
「……しょうがないなぁ〜。今回だけは秘密のサービスね」
えへへ、ちょろい、ちょろい。



《大げさに言うと雨の裁き》

とりあえず、もらったヒウンアイスをゆっくりと食べながら、
オイラは街の中をぶらついていてみた。

元の姿のときとは違って見える世界って面白いな、
と思いながら、鼻が何かを捕らえた。
雨のにおいだ。

オイラの予想通り、
さっきまで青色だった空が、気が付けば、灰色になっていて、
雨が降り出した。

せっかくのヒウンアイスが溶けちゃう!
と思って急いで食べた。
…………なんか頭が痛くなったぞ。


《出逢いって……》

雨が思ったよりも強かったので、
オイラは急いで雨宿りをすることにした。

とりあえず、近くにあった『ゲームフリーク』という文字が書かれている
看板がある建物の中へと入っていた。

中に入ってみると、だれもいないような……と思った矢先、
一人の少女が目に入った。
かっしょく色の肌にオレンジ色の毛。

「ナンパならおことわりだよ!」
なんかいきなり、りふじんなことを言われたぞ!


《人間って……》

「あはは! ジョーダン、ジョーダン!」
その少女は悪ぶれる様子もなく、
とりあえず近くの座る場所にオイラを誘った。

少女が座るのに習ってオイラもゆっくり座った。
少女からもらった白いタオルでぬれた場所をふいていく。
元の姿なら、体をふるわせて一発で終わるのに、
人間ってときどき、面倒くさいなって思うぞ。

「ねぇ、キミはなんていう、なまえなの?」
「………………」
「どこからきたの?」
「………………」
「……キミってシャイな男の子っていうやつなの?」

オイラは人間の言葉までは話せない。
……本当に、人間ってときどき面倒くさいなぁ。


《ホメ殺しってこういうこと? 1》

結局、その少女が本を読んでくれることになった。
『狐集』と書かれてある、その本から一つの話をしてくれたぞ。

「迷子になったゾロアは必死にゾロアークを探し続けました……」
……なんかオイラの昔話がばらされているような感じがするんだけど……。

話は無事に終わり、少女は本を閉じた。
「ゾロアって化けることができるチカラがあるんだって! なんかすごいよね!」

………………………あれ?
なんか、胸が一瞬熱くなったような気がしたぞ?


《ホメ殺しってこういうこと? 2》

「ゾロアってすごいカワイイし」
ドキドキドキドキ……なんか胸が。

「それに、もふもふしてそうだし」
ドキドキドキドキドキ……とても熱く。

「おまけに化けられるなんて、ほんとうにすごいよね!」
ドキドキドキドキドキドキ……顔まで熱くなってきて……!

ポンッという煙をたてるような短い音が鳴った。

「え!? ゾロア!?」
あぁぁぁ、なんか頭がボーっとしてきたぞ……。


《トドメの一撃?》

「わあぁぁ……ゾロアが化けてたなんて、びっくりしたぁ!」
少女がオイラの顔をのぞきこむように見つめてくる。

オイラはなぜだか、くすぐったいような感じがして思わず、そっぽを向いた。
………………。
なんか、ずっと見つめられているような気が……。

「キミって、やっぱりカワイイ!」
後ろから思いっきり抱きしめられ、ほおずりされて――

「わあっ!? だいじょうぶ?」
うわぁぁぁ……頭がなんかクラクラするぞぉぉ……。



《紛らわしいったら、ありゃしない》

とりあえず、オイラが少し落ち着いたあと――。
「ひざの上じゃダメなの?」
そうだぞ、と言うようにオイラは一回、声を上げると少女のとなりに座った。

「それにしても、今日はゾロアに会えて、たのしいよ!」
あれ? 少女が笑ったあと、少しだけ悲しくなった顔をしたような……。

「わたしのパパね、さいきん、こい人との付き合いがたいへんらしくてね……」
かあちゃんから聞いたことがあるぞ……。
もしかして、これって『ふりん』っていう、やっちゃいけないやつことか!?

「もう、パパはおしごとに、いちずでこまっちゃうよ」
少女はなぜか照れながら言った。
オイラはソファーからズッコケたぞ。



《しょうがないなぁ……》

「わたしのパパ、おしごとがいそがしいから、こうやって、ここにいることがあるんだ」

「でも……まだ、おわらないんだろうなぁ……」

オイラはゆっくりと立ち上がって、少女の希望していた場所に再び座った。

「ゾロア……? えへっ、ありがとう」
その声に応えたようにオイラは尻尾を振った。



《次に会ったときは……》

ソファーから降りて、建物入り口のところから空の様子をうかがうと、
雨はいつのまにか、あがっていた。
……よし、出発しようかな。

少女はいつのまにか眠ってしまっていて、スヤスヤと寝息を立てている。
オイラは一回戻って、少女のところに寄ると鼻を何回も動かした。
これでよし。たぶんだけど、だいじょうぶだろ。

何回、ドキドキさせられるかなんて分からないけど。
次、少女に会うときは――。

モンスターボールをくわえていこう。



【書いてみました & 描いてみました】

ご存知、ポケモンブラック・ホワイトでのヒウンシティにある、
ゲームフリークの一階にいる、女の子とゾロアを想像して今回の話を書いてみました。
今回は四コマ漫画みたいに書いてみよう! というチャレンジな感じで話を書きました。



ありがとうございました。


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