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  [No.338] こんなダブルバトルってアリですかっ!? 投稿者:巳佑   投稿日:2011/05/02(Mon) 22:20:26   40clap [■この記事に拍手する] [Tweet]


これは、とあるポケモントレーナーのレポートから抜粋したもである。


世の中、色々なポケモンバトルがある。
力と力のぶつかり合い。
高い体力を誇った長期戦。
状態変化を狙ったりしたトリッキーな戦い。
『まもる』という技などから始まる緊迫した心理戦。

まぁ、こんなポケモンバトルもあったわけで…………。


ポケモントレーナーとして旅をしていた俺は道中、一人のポケモントレーナーの視線に合う。
ポケモントレーナー同士が視線を交わすというのはバトルを告げる一種の挨拶みたいなもんだ。
まぁ、その視線の交換は別名ケンカの売買と俺は呼んでいる。
さて、今回の俺の相手まず男で……。
180センチメトール超えの長身にさらさらなブロンズヘア、切れ長の青い瞳、多分、イケメンってやつだろうなぁ。
……うん、コイツ、ケンカ売ってんよな。よし、そのケンカ買いだぁ!
「ふふふ、見せてあげるよ。絶対的なビューティフルな愛の力を!」
「キザなヤツだな、てめぇ……ぎゃふんって言わせてやるからなっ!」
「二対二のダブルバトルといこうではないか」
「へっ上等!」
お互い間合いを取って、ポケモンを二対ずつ出す。
キザ野郎は白いドレスを身にまとったようなポケモン、サーナイトとキノコポケモンのモロバレル。
対する俺は食いしん坊ポケモンのカビゴンとそして夢幻ポケモンのラティアスだ。
相性で言えば、俺のほうが有利、か?
『ご主人! 今日もかましてくださいっす!』
可愛らしい声が俺の頭に響いてくる。
そう、俺のラティアスはテレパシーが使えて、俺にしかその可愛い声は伝わらないのだ!
便利だろ? あ〜はっはっは! ん? そこ、なんだズルいって、いいじゃねぇか。
ポケモンの能力に茶々入れんじゃねぇぞ?

とりあえず、狙いを一つに定めてみる。
「ラティアス! サーナイトにシャドーボール! カビゴン! サーナイトにはかいこうせん!」
サーナイトはエスパータイプだ。
まずは弱点のゴーストタイプの技で一撃をお見舞いさせた後、
俺の手持ちの中では攻撃力がピカイチのカビゴンのはかいこうせんで一気にKOだぁ!
「サーナイト、ひかりのかべ。モロバレルは今の内にパワーを蓄えておくんだ」
「っち!」
思わず俺の舌打ちが鳴る。
サーナイトの目の前に現れたその(透明で分かりづらいが)壁は『シャドーボール』と『はかいこうせん』の威力を半減する。
だが、流石の『ひかりのかべ』でも、『まもる』という技とかに比べたらその耐性には限度がある。
ひかりのかべで処理しきれなかった分の『シャドーボール』と『はかいこうせん』が激しい爆発音を発しながらサーナイトを後ろに吹っ飛ばした。
KOまではいかなかったけど、そこそこのダメージは与えられたはず……。

「モロバレル、ソーラービーム発射!」

太陽の光を充分に浴びたモロバレルのキノコ型の手(?)がまっしろに光ってる!?
そこから、発射された『ソーラービーム』は甲高い音を発しながらカビゴンに一直線に向かっていく。
『はかいこうせん』の反動で動けないカビゴンはそのまま、もろにソーラービームを受けてしまった!

「く、なかなかやるじゃねぇか…………ますます、むかついてきたぞ、このヤロー」
「ふ、開始早々から騒がしいことをしてくれるね……ちょっとの間、静かにしてもらいたいな」
「んだと!?」

あの野郎……なんか、人を見下したかのような言い方してねぇか?
こうなったら、もう一発、サーナイトに『シャドーボール』をお見舞いしてやるか……。
いや、それよりも……あのキザ野郎に『シャドーボール』をぶつけたほうがせいせい……。

「サーナイト、ねむるんだ」
「!!」

キザ野郎の指示に従ったサーナイトはゆっくりと寝そべり、目を閉じた。
にゃろう、サーナイトの体力を回復しようとしてやがる……!

「そうはさせるか! ラティアス! サーナイトにシャドーボールだぁ!」
『合点承知っす! ご主人!』
ラティアスが勢いよく出した『シャドーボール』はそのままサーナイトに向かっていって、激しい爆発音が鳴った。
その音と共に黒まじりの煙が巻き起こった。
「へっ! これでどうだぁ!」
手応えはバッチシ! これでサーナイトもおちおち寝てられないだろうと思いながら、煙が晴れるのを待った。

「ビュ!」
「な……! モロバレルだとぉ!?」

しかして煙が晴れた、そこにあったのはモロバレルだった。
どうやら、無抵抗状態のサーナイトをかばったようである。

「フッ、無駄だよ。この二匹に勝てることなんてキミにはできない」
「言ってくれるじゃねぇか……! だったら、これならどうだぁ!? ラティアス、カビゴン、まとめてはかいこうせんだぁ!」
『ご主人……挑発に乗っちゃ……』
「つべこべ言わずに発射!」
『……合点承知っす〜』

技の反動から回復したカビゴンと共にラティアスは、『はかいこうせん』を発射した。
カビゴンとラティアスによる二本のはかいこうせんは一本に交わり、更なる甲高い音を発しながらモロバレルに直撃した!
雪崩が起こったのかと錯覚するほどの轟音(ごうおん)が辺りを揺らしている。
「わりぃな、モロバレル。恨むなら、俺を本気にさせたあのキザ野郎を恨むんだな」
威力300越えの合体『はかいこうせん』決まった、俺の決めゼリフも決まった!
これで俺達の完全勝利は決定だな……。

『ご主人、ご主人ってば〜』
「なんだ、ラティアス」
『モロバレルがピンピンしてるっす〜』
「そんな、馬鹿なことがあるわけ……」

これで勝負が決まったという嬉しさの余韻をかみしめるかのように閉じていた俺の目が開いた。

「ビュ!」
「なんだとっ!!!???」

俺は自分の目を疑った。
あのモロバレル、若干黒こげになりながらも確かにちゃんと立っていやがる!
しかもなんだあの顔は!? 
さも、あの合体『はかいこうせん』なんか屁でもないといったような涼しい顔は!?
あのモロバレル、キザ野郎に似てやがる……なんか胃の辺りがムカムカする……!
「くっ! ラティアス、カビゴン! もう一回、はかいこうせんだぁ!」
『ご主人〜、申し上げにくいのですが、技の反動でカビゴンはんもあたしも動けませんっす……』
「しまったぁ!」
そういえばそうだったと焦っている俺の耳に笑い声が響いてくる。
「フフフ、愛は勝つってね。さぁ、モロバレル。眠り姫を起こしてあげたまえ」
「ビュ!」
てっきりモロバレルは攻撃してくるかと思ったのだが、
モロバレルは俺たちのほうには見向きもせずに、
依然と(あの轟音にも関わらず)眠っているサーナイトのほうに向かった。
そして、モロバレルの顔がサーナイトの顔に近づいたと思いきや――。

『ご、ご主人〜! あ、あの二匹 き、キキキ、キスしてるっすよ〜!』

モロバレルのたらこのような唇とサーナイトの唇が重なりあっていてると、
サーナイトは目を覚ましたようで、白い腕をモロバレルの背に回した。
…………。
……。
何、あいつら……できてるっていうやつなのか?
だとしたら、あのモロバレル……勝ち組っていうやつなのか?
…………。
……。
それよりも何か魅せつけてる感があって、なんかイライラしてきたんだけど!

「おい! キザ野郎! いい加減にその二匹のイチャイチャを止めろ! 目に毒だ! 毒!!」
「キミにはこの愛の素晴らしさが分からないのか……残念だよ」
『サーナイト、心配ないからね。おれっちが守ってやるから……。モロバレル、愛しているわ、チュッ……! あわわわ!! ラブラブっすよ〜! あの二匹!!』
「ラティアス……訳さなくていいから、なんか調子狂うから!」

なんとか、モロバレルとサーナイトが前に出てきて、戦闘再開になった。
……くっそ、あいつら、絶対にまとめてギャフンって言わしてやるんだからな!
「ラティアス! サーナイトにどくどくだぁ!」
『合点承知っす! ご主人!』
「カビゴン! モロバレルにのしかかり! なんとしても動きを止めろ!」
「ゴン!」
こっちからの先制は見事に決まり、モロバレルの動きをカビゴンの『のしかかり』で止めている間に、
要するに邪魔が入ってこない内にサーナイトに『どくどく』を浴びさせてやる!
今度はじわりじわりと攻めていってやろうと考えたのだ。
とりあえず、慌てずにどちらかの一匹を倒せば、きっと残ったほうは動揺するに違いない。
あんなにラブラブだったからな……なんかしらの動揺は見せるだろ。
そのときが俺たちの勝利の瞬間だ。

ラティアスの『どくどく』が無事、サーナイトに届き、不気味に何かが溶けるような音が立つ。
「よし! カビゴン! 一旦、モロバレルから離れろ!」
このままカビゴンの『のしかかり』で動きを止めていたいところだが、
モロバレルには直に触れた相手を状態異常にさせることがある『ほうし』という特性がある。
このまま、のしかかりで状態異常を受けたらマズイからな。
「よし、キザ野郎! よく聞けよ! 今度、サーナイトにねむるを使わした場合、効果が発動する前にラティアスが止めるからな! モロバレルにも邪魔させねぇ、今度はモロバレルにはかいこうせんをお見舞いしてやるからな!」
この俺のセリフにはあのキザ野郎を動揺させてやるというもくろみがあった。
もう、お前に打つ手はねぇ……または、同じ手は効かねぇぞっていう感じに。
「フフフ、ねむるを使わなくても、この二匹にはどんな状態異常も通じないよ……さぁ、モロバレル、白雪姫を介抱してあげるんだ」
モロバレルは素早く猛毒で苦しんでいるなサーナイトに向かうと――。

『ごごご、ご主人〜! ま、またキキキキキキ、キスをしてるっすよ〜!!』

……こいつら、一度で済まさず、二度目までも……!!
モロバレルの唇がサーナイトの唇に重なって、音をたてていく。
お前ら、自粛っていう言葉を知ってくれ!!

『モロバレル……ごめんなさい、わたくしが不覚を取ったばかりに……。いや、サーナイト、おれっちのほうこそ、遅くなってゴメンな……それよりも……』
「ラティアス! 訳さなくていい! いいから!!」

くっそ〜! テレビのドラマでよく見るキスシーンには「ヒューヒュー」なんて冷やかしていたけど、
生で見るのはまた、なんか違うのな……なんかこう、イライラしてくるんだ。
なんだっけ、こういうときに使われる言葉ってなんか流行とかで最近なかったけ?
…………。
……。
それよりも、なんかサーナイトの顔色が良くなっているのは気のせいか?

『うん……モロバレル、ありがとう、もう大丈夫みたい。サーナイト、君に降りかかる悪はおれっちが全て消し去ってやるから……。モロバレル……。サーナイト……。あわわわ! またチューしたっす!!』
 
「ま・さ・か!? サーナイトの猛毒状態が抜けてるだと!?」
「ふふふ、だから言っただろう? この二匹にはどんな状態異常も通じないって、ちなみにひんし状態でも、あの二匹なら、口づけで何度でも復活するよ」
「な!?」
「そう、だからキミはこの二匹に勝つことは絶対に無理だよ……あ、これもさっき言ったことだね」

キスして復活するって、童話とかの話の中だけじゃなかったのかよ!?
ひんし状態でも復活なんて、どんだけなんだよ!? 聞いたことねぇーよ!!
……っていうか、まだ、キスを続けているぞ、あの二匹……!!
俺も我慢の限界だった。

「……だったら、キスしてる最中、二匹同時に倒せばいいだけの話だろ!? ラティアス!」

俺がラティアスに目を向けると、ラティアスは倒れていた。

『ご、ご主人、あたし、もう無理っす……! これ以上、もう……! あ、でもこのラブラブにやられるなら本望かもっす……!!』

なんとか俺に顔を向けたラティアスの鼻から赤い血が流れていた。
どうやらラティアスには刺激が強すぎたようで、つまり、ラティアスは悶絶(もんぜつ)していたわけで……って!

「ラティアス、しっかりしろよ! くっそ! カビゴンからもなんとか……!」

俺がカビゴンに顔を向けるとカビゴンは寝そべっていた。

「ゴ〜ン」
『……もうおなかいっぱいだからいいやとのことっす』
「やかましいわ!!」

ラティアスもカビゴンも戦闘意志がないということは、もうこの先の結果は……!
その結果を知らせる為の足音が近づいてきて――。

「これ、僕の勝ちってことでいいよね?」
「……何、その差し出してきた手? まさか握手――」
「何を言ってるのかねキミ、さっさと賞金を渡したまえ」

キザ野郎のことを見直してやろうかな〜って一瞬でも思った俺が馬鹿だった。




その夜、なんだか色々な意味で悔しい想いを抱きながら、俺は今日の出来事をレポートに書いていた。
なんか、書き進めていく度になんか、イライラが募っていく。
…………。
……。
あ、思い出した。
あのモロバレルとサーナイトのようなヤツらに送る言葉。
募ったイライラが爆発したかのように一言、それを書き殴った。
漢字がこれであってるかなんて知らないけど……。

リア獣、爆発しろ!!





【書いてみました】

一応、お題の『眠り』で考えてみました。
まず、書き終わって思ったことは、
「ははは……そうか、これが俗に言う『どうしてこうなった』ってやつかな〜。(遠い目&汗)」 
とにかく色々と詰め込みすぎてしまった感(これがカオスってやつか!?)がありますが、
楽しんでくれたら幸いです。

ちなみにポケモンコンテストのお題が『美女と野獣』だったら、
これを(何か付け加えたりとかして)出していたかもしれません。(汗)

それと、モロバレルが相手の毒を吸い取って、
自分の体内にある毒と中和させてしまうみたいなことがあったら面白そうかな、と思いながら、
キスシーンを書いてました。



ありがとうございました。



【何をしてもいいですよ】


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