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  [No.2145] ムウマージにコーディネートされた 投稿者:音色   投稿日:2011/12/24(Sat) 21:51:51   103clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 誘爆気球の突き刺さりブームが去り、クリスマスシーズン到来という事で配達稼業が忙しくなって来た今日この頃。別にハロウィンに何か騒動がなかったのかと言われれば嘘になるが割愛。
 ホウエンのシブチョ―に言わせりゃあ、クリスマスと正月とバレンタインとお歳暮の時期が一番稼げる、らしい。だからこそシフトびっしり。有給?クリスマスに?ありえねー。
 世間のクリスマスムードにゴ―スト共もそわそわ。お前ら、キリストの誕生日に浮かれてどうするんだ。
 え?一人暮らしで彼氏彼女のいない寂しい奴等の恨み辛みがいっぱい?・・なるほど、カゲボウズ的にもありがたい訳か・・。
 いちお―ここにもその条件に該当する奴がいるんですけど。別に恨みも辛みもたまってないか。疲れならあるぞ。華やかなクリスマスの裏側でこーゆー配達稼業とか忙しい人もいっぱいだっての。
 明日だ、明日の24日が過ぎれば少しはピークが減る、と信じたい・・。そして寝た。


 ・・・起きたら妙なサンタクロースがいた。赤と白の帽子をかぶった、ムウマージだけど。
 時計の針は午前3時10分過ぎ。二度寝しよう、としたらこのサンタ・・じゃないどこからきたか分からんサンタコスのムウマージにまとわりつかれる。寒い。目が覚めた。
 え、え、なにこれ。サンタってイメージ的にデリバートじゃないですか。それとも私のゴーストホイホイ体質のせいでこうなったのか。
 ていうか、サンタがくるのって普通は24日の夜から25日の朝にかけてだろう。今は24日の朝だよ。イブはイブでも間違ってるだろう。というより、サンタからプレゼント貰える様な年齢でもないんだが。むしろ配る側だよ。
 見た所袋は持ってな・・持ってる。妙な膨らみが気になる白い袋持ってるよこいつ。今さらだけども他のゴーストどもふよふよやってきた。知り合い?違うのね。
 なんかくれるの?え、マジで?まさかの展開で意外と嬉しい。
 パチンと魅惑のウィンク。・・・後ろでわざとらしく胸を押さえてひっくり返るゴーストども。お前ら、やってる事芝居がかりすぎ。しかしそのノリは嫌いじゃないけど。
 差し出されたのは、名刺。え、名刺?しかもちゃんと日本語。・・どうやって作ったんだろう・・。読む。
『コーディネーター  ピエトロ・ド・ブライムローズ   愛称:ピートでよろしく』
 ・・・はじっこの愛称の部分だけあとから書きたされた感全開。うちのゲンガ―が書いた奴か、これ?となれば、ゲンガ―の知り合いかな。
 ちょっとゲンガ―よんで来て。朝っぱらからまた厄介なことになりそうな空気だ。


 通訳来たのでとりあえず名刺の意味を確認。コーディネーターって一体。
『あら、ポケモンをコーディネートする人間がいるんだから、人間をコーディネートするポケモンがいたっていいじゃない?』
 ・・さらさらと書かれた文字からはどこか高飛車なお姉さま的な空気が伝わるな。言ってる事はまぁ、間違っちゃいない、けど・・。
『あぁ、でもまだ一人前のコーディネーターとしての資格は取ってないんだけどね』
 波長の合う人間見つけて、その人間を上手いこと利用させてもらって会社を立ち上げるのが夢なのよ―、と語るムウマージ。計画が具体的で逆に怖い。
 で、一体何の用で来たのか、と聞けば、
『この子たちに貴方の事聞いたんだけどー、なかなか可愛いのにファッションに興味がないって言ってたから、私が劇的ビフォーアフターをプレゼントしてきたのよ☆』
 誰が問題を抱えた建築物だ。いや、突っ込みどころはそこじゃないか。部屋の中のゴーストポケどもを睨む。一斉に目をそらす。お前ら、余計な真似をしやがって。
「いや、今日も仕事があるし」
『仕事場に行くまでは私服でしょう?』
「いつもの格好で間に合ってます」
『ダメダメ、クリスマスくらいおしゃれをしなさい。女の子でしょう!』
 なんだこの謎の理屈。ようするに私を着せ替え人形にしたいだけなのでは。ずいずい迫ってくるムウマージに押し切られ、部屋からは♂のゴーストポケは叩きだされた。


 2時間後、予想した通り散々あれこれとっかえ着せかえられて、ようやくムウマージ・・ピートか、気はすんだらしい。仕事に行く前からなんでこんなに疲れなきゃいけないんだ・・。
『あーやっぱりまだまだね・・。本人にも納得してもらえるようなコーディネートができないんじゃ・・』
 私があんまりにもファッションに適当に答えるもんだからピートの自信らしきものまで喪失している。知ったこっちゃないが。
 パティシエ希望の友人がコーディネーターという図式は傍から見たら面白くもなんともないかもしれないが、その上にポケモンと付いた時点で怪しいよなぁ。
 ぐったりしている状況の中、そろそろ帰るとピートの言葉が書かれた紙をゲンガ―が持ってきた。
「今度はもっとまともな時間帯に来てください」クリスマスイブの深夜とかもう御免だ。
『じゃあ今度はきちんとしたお仕事で来る事にするわね』
 コーディネーターとして独立する気なのね。野望を持ったポケモンだ。
『先にいっておくけれど、本来ムウマージは・・とくにあたしの一族は夢魔の性質を持ってる者よ?もっとも、今じゃその血はほとんど絶えちゃって、あたしも一人くらいしか巡り合えてないんだけどね・・』
 急に紙の上の内容がリアルなものになる。ゴーストポケモンもやっぱりいろいろあるんだ・・。
『リリもあたしも相当変わり種・・』
 あれ、切れてる。・・・ゲンガ―が紙をひったくった。あー、もしかして独り言か何かだったんだろうか。いつもの癖で訳しちゃったのかな。
 メリークリスマスイブー、とか言いながら送りだす。ふわりとムウマージは去っていった。
 やれやれ、一息ついた。朝飯食って仕事いこ。


 職場に行く自転車の上で気がついた。
「ピエトロって男性名詞じゃん?」

――――――――――――――――――――――――――――――
余談  本当はもっときとかげさん所のリリさんと絡めたかったけど難しかった――!
別のお話しでまたお借りすると思います。

【ピートは♂ですよ?】
【何しても良いよ】
【きとかげ様お借りしました】


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