マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
このフォームからは投稿できません。
name
e-mail
url
subject
comment

[新規順タイトル表示] [ツリー表示] [新着順記事] [留意事項] [ワード検索] [過去ログ] [管理用]

  [No.494] スバメ 投稿者:スウ   投稿日:2011/06/04(Sat) 19:36:12   38clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 空からスバメが落ちてくる。あのスバメは一体どこからやって来たのだろう。
 船の甲板から海を眺めていた旅人は驚いた。
 頭上には夏の雲が広がり、その雲が柱のようにどこまでも天の上方へと伸びている。
 そういえばこの海の付近には『空の柱』という場所があると聞いたことがある。
 それは、まさに空想上のお話の中にある場所で、確かその神話によると、海と大地が激しい戦いを繰り広げた時、雲の中から竜が飛び出してきたというのだ。
 落ちてきたスバメを受け止めた時、そのスバメがとても傷付いていたので旅人はまた驚いた。
 スバメの胸にはお守りがかかっていた。このお守りを、どこかで見たことがある。
 ……ああ、確かこのお守りは、今年のポケモンリーグチャンピオンが、自分のポケモン達に持たせていたものとよく似ている。
 テレビで見た光景を今でもかすかに覚えている。本当に、瓜二つと言ってもいいくらい、そっくりである。
 旅人はもう一度、雲の方を仰ぎ見た。
 一瞬、あの雲の中で、稲妻が走ったような光景が目に浮かんだ。
 あの雲の中で、砂嵐や吹雪が轟音をたてているような、そんな錯覚が、ふと脳裏をよぎった。
 遙かな天上から落ちてきたこのスバメが、神話の時代からの唯一の生還者のように旅人には思えた。
 早くちゃんと、元の持ち主のところに返してあげないとな。
 腕の中のスバメを見やりながら旅人は考える。
 それから彼は、赤ん坊にミルクを飲ませるように、傷付いたスバメにミックスオレを与えてやるのだった。


- 関連一覧ツリー (★ をクリックするとツリー全体を一括表示します)

- 以下のフォームから自分の投稿記事を修正・削除することができます -
処理 記事No 削除キー