シママをゲットしたアレンは、ダルクと案内の元、302番道路を越え、『リンガシティ』に到着した。
「この街にはポケモンジムもある。バッジを8個集めれば無条件でポケモンリーグに出場できるから、挑戦する価値ありだ。」
「へぇ〜。」
「しかしジムリーダーは強い。油断しない方がいいぞ。」
「そっかー・・・。ねぇダルク、どこかその辺にポケモンを鍛えられそうな場所ってない?」
「そうだな・・・。あそこにある『緑の横穴』とかはどうだ?」
そう言ってダルクは、街はずれにある洞窟を指差した。
「へぇ〜、なかなか良さそうなところだ。早速行こう!」
「ああ。」
その時、こちらに一人の少女が走ってきた。そして、アレンと正面衝突してしまった。
「うわっ!」
「きゃあっ!」
ぶつかった二人は、ほぼ同時に尻もちをついた。
「だ、大丈夫か!」
「あ、うん。僕は何とか・・・。そっちの女の子は大丈夫かな?」
「いたた・・・。」
「・・・どうやら、大丈夫そうだな。」
「・・・ご、ごめんなさい!私、急いでいたものですので・・・。」
「いや・・・いいよ別に。ところで、何をそんなに急いで・・・」
「いけない!もう追手が来てしまいます!お二人とも、失礼します!」
そう言って少女はその場を去った。
「何なんだ・・・?あの娘。追手がどうとか言っていたが・・・。」
「うーん・・・。」
アレンとダルクが考え込んでいると、突然黒服の男たちが走ってきた。
「くそっ・・・!見失ったか!」
「早く連れ戻さないと、旦那様に叱られてしまう!」
「あの・・・皆さん、どうかしたんですか?」
「ああ。実は、お嬢様がポケモントレーナーになると言って家出をしてしまったんだ。」
「旦那様はお嬢様を箱入り娘のごとく大切にしていたからな・・・。連れ戻すのに失敗したら、どんなに叱られることか・・・。」
「・・・で、そのお嬢様の外見特徴は何だ?」
「あ、ああ。黒に白縁のリボンを頭につけて、ゴスロリを着た・・・君と同じくらいの年の娘だ。」
黒服の男の一人は、そう言ってアレンを指差した。
「それって・・・さっきの子かな?」
「ああ、おそらくな。」
「君達・・・お嬢様を知ってるのか!?」
「あ、はい。さっき僕とぶつかったので・・・。」
「それでお嬢様はどちらに?」
「えっと・・・確かあっちの方です。」
「ありがとう!」
黒服の男のリーダー格の男はアレンたちにお礼を言い、その場を去った。
* * *
「はっ・・・はっ・・・。」
少女は走っている。しかし、ずっと走り続けてきたためか、息も絶え絶えだ。
「・・・っ!このままじゃ、追いつかれてしまいます・・・!」
「いたぞ!お嬢様だ!」
「・・・っ!」
少女は、ついに黒服の男達に追い付かれてしまった。
「お嬢様、いくらポケモントレーナーになることを反対されたからといって、家出などとは!」
「旦那様もすごく心配してます。どうかお屋敷にお戻りになってください!」
「残念ですが・・・そのお願いは聞けません。」
「くっ・・・ならば、力づくで連れ戻させていただきます!」
黒服の男のリーダー格の男は、ヤンヤンマ、サイホーン、グラエナを繰り出した。
「・・・私のポケモンが3匹であることを知っていて、3匹出したのですか?フェアプレイのおつもりですか?」
「いえ・・・しかし、ポケモントレーナーになりたがるお嬢様のことでしょう。卑怯なことを嫌うと思いましてね。ここはトリプルバトルで行かせてもらおうかと。」
「・・・いいでしょう。その勝負、乗らせていただきます!」