ブースターとシャワーズがサンダースについていくと、森を抜け、小さな洞窟に出た。サンダースは迷わずそこに入っていく。
「何ここ? ボロいわね」
「ボロいとか言うな。オイラ達のひみつきちだぞ!」
「え、オイラ「達」?」
「ああ、オイラとお前らの♪」
「はい? いったいなんなのアンタ!? そもそも名前すら聞いてないわよ?」
「お前うるせーなぁ……人に名前を聞く時はまず自分からだろ」
「なんで急に正論言うのよ……まあいいわ、私は水季(みずき)よ」
「オレは火炎(かえん)だ」
「みずきにかえんか。オイラは」
「らいど、つれてきたのか?」
サンダース……雷怒(らいど)が名乗ろうとしたとき、ちょうど洞窟の奥にたどりつき、そこにいたポケモン……キュウコンに言葉を遮られた。
「あ……長老、なんで遮るんだよ!」
「ほっほ♪ すまんのう♪」
「はあ……ほら、つれてきたぜ」
そういってらいどはキュウコン……もとい長老のもとにかえんとみずきを押し出した。
「はじめましてじゃのう♪ かえんにみずき」
「え……? なんでわたし達の名前を?」
「わしはキュウコンじゃ。長老と呼んでくれ♪ さっきの会話を聞かせてもらったのじゃ♪」
「……で? オレ達に何の用なんだ?」
「ほう……話が早いの♪ では説明させてもらうとしよう」
「なあに、簡単なことじゃ♪ おぬし達3匹に、この世界を救ってほしいのじゃ♪」
「「……は?」」
みずきとかえんの声がハモった。
ーーそれから30分後……
「……で、らいどに頼んで私達をつれてきた……つまり、わたし達3匹に「戦隊ヒーロー」をやってほしいと?」
「そうじゃ♪ みずきは物分かりがいいのう♪ かえんはどうじゃ?」
「えーと、この荒れた世界に平和を取り戻すということですか?」
「2匹とも頭がいいのう♪ らいどなんて、納得するのにきっかり2時間かかったのにな♪」
そう言いつつ長老はらいどの方を向く。
「う、うるせぇ! それよりみずき、かえん! やるのか!?」
みずきとかえんは考える。
ーーオレの故郷もグラエナ達に荒らされ、オレは必死に逃げてきた。唯一王と呼ばれているオレがこの世界を救えるなら!
ーーわたしの暮らしていた海でもドククラゲが大量発生して、みんな苦しんでいる。わたしが少しでも役にたてるなら!
「やります! 長老さん!」
「長老さん、わたしやります」
「ほっほ♪ いい返事じゃのう♪」
「ちょ、オイ! 聞いたのはオイラだぞ!」
らいどは焦りながらそう叫ぶ。
「あ……ゴメンな!」
「まあ、これからよろしくね」
「おう!」
らいどはにかっと笑った。
「ほほ♪ 話は決まったの♪ じゃあ3匹とも、こっちに来なさい♪」
ーー洞窟の更に奥
「これは……?」
かえん達の前に現れたのは、真ん中に真珠のような白い石がうめこまれ、まわりが赤、青、黄、紫、黒、緑、水色に美しく輝く丸い石版だった。
「これは七色石。伝説の七色戦士に変身するための力が封じ込められているんじゃ」
「七色石……キレイ……!」
「おっと♪ みずき、みとれてる場合ではないぞ♪ 早く変身しなくてはのぅ♪」
そう言って長老はいそいそと七色石に歩み寄ると、真ん中の白い石に前足をのせる。
「かえんは赤、らいどは黄色、みずきは青の所に前足をのせてくれ」
「はい!」
「りょーかいだぜ!」
「わかりました」
3匹は言われた所に前足をのせた。
「……七色石よ、ここに七色戦士になりえる者がいる。どうかその力を認め、パワーストーンを生み出したまえ……」
七色石が突然光った。
そして3匹が前足を置いていた所から、3つの石が出てきた。
「よし♪ そのストーンで早速変身じゃ♪」
「えっ……どうするんですか? 長老」
「おっと♪ 変身のしかたはの、石を持ち、「七色チェンジ」と唱えるのじゃ!」
かえんは火の玉のような形の真紅の石を握りしめた。
「七色チェンジ!」
かえんの体が真紅の光に包まれる。
光が止むと、かえんの姿が変わっていた。
黄色だった首周りや尻尾の毛は赤くなり、背中には真紅のマント。 首の所には白地に赤でVマークが描かれたバッジ。
長老はその姿を見て、嬉しそうに呟く。
「ブイレッドの誕生じゃの♪ ほっほ♪」
……続く!