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都市伝説、ねぇ……。
懐かしいわね、クラスの友達と噂したの。中には自分で考えたのを人から聞いたみたいに話したり、楽しかったなー。
うん、それじゃぁ、おねーさんもひとつ話してみようかしら。
あなたはミアレにある美容室をご存知? あぁ、人間向けの。あのサロン・ド・ロージュってお店。
私も行付けなんだけど、すごいわよね、あのお店。髪型自由自在。どころか、長さまで好きにできちゃう。
不思議だと思わない? 普通、切った髪の毛は伸びるまで待つしかないのに、あのお店ならすぐ戻せちゃう。何でだろう。
美容師さんに聞いてみたこと、ある? ……そう、返事はいつも「企業秘密です♪」。
そりゃそうよね。手品のタネを教えて欲しいって言ってるようなものだし。
だけどね、ここだけの話。一度だけ。
常連さんだから特別サービス、って私に教えてくれたのよ。
その秘密は……なんとあのお店、お客さんごとに切った髪を保管しているらしいの。
……そうよ、一人ひとり全員分ね。
一度でもカットしたことあるお客さんなら、保管している髪をつなげて伸ばしたように見せているわけ。
私も実はね、今はポニテだけど先週はベリショだったの。髪を束ねているリボンを外してよーく見ると、つなぎ目があるのがわかるわよ?
確かめてみる?
…………なーんて、冗談よ。そんな気色悪いことあるわけないじゃない。
考えてもみなさいな。こんなのことバラしたらせっかくの常連に逃げられちゃうわよ。
……そう、嘘なの。サロンの倉庫には色とりどりの髪の毛サンプルがどっさり、なんてことは無いから。
本当はね?
あの美容師さん、時間を操ることができるらしいの。
戻すことはできないけど、進めることができるらしいのよ。それで伸ばしたい人の髪だけ、お目当ての長さになるまで時間を進めるの。
……あら、なにその顔は? これは確かに美容師さん本人から聞いた話よ。それに私が先週までベリショだったことも本当。
便利でしょ……って信じられないか。いいのよ、それで。便利だからって手間をかけさせると怖いし。
美容師さん、言っていたのよ。あんまり頻繁に切ったり伸ばしちゃう気分屋なお客さんは、髪の毛だけじゃなく身体の時間も進めちゃうわよ、って。それも気づかない程度に、ちょっとずつ。
あなたも経験ない? 同じクラスの女の子で頻繁に髪型を変える子が、なんだか大人びて見えた、ってこと。
どう? 信じられる?
……なんてことないわよね。でも、世の中には時間を操るポケモンもいるって噂だし、案外、そんな不思議なこともあるかもよ。
ってなわけで、私の話せる噂はここまで。
ところでさ、ひとつだけ聞きたいんだけど。
私、何歳ぐらいに見えるかな。