去り行く者なのか、置き去られて行く者なのか。
我が身の落魄を嘆く小野小町を思わせる歌人と、時に忘れられ一人残された水の住人。
歌というよすがで出会った二者を、共に時に忘れられようとしている者として結びつけた意外性が新鮮。
最後にサダイエが見た大鯰は、彼女を迎えに来た水の歌人だったのか、
それとも水の住人へと姿を転じた蓮見だったのか。しっとりした余韻を残す佳品。
短歌は苦心の跡が見えますね〜。古典から探すと言っても、そうそうはまる作品はないでしょうし。
最初、「水芙蓉の歌の後、どうしても歌が詠めなくなった蓮見が水の歌人に魂を売って・・・」とかの
怖い系の話になるのかと思ったのはナイショ(^^;)