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  [No.3199] 【リレー小説】あるホワイティの履歴書【1月3日版】 投稿者:チャット創作隊   投稿日:2014/01/03(Fri) 23:53:24   142clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
タグ:リレー小説】 【1月3日】 【描いてもいいのよ】 【参加して欲しいのよ】 【カオスにしてもいいのよ】 【参加して欲しいのよ】 【参加して欲しいのよ】 【参加して欲しいのよ】 【参加して欲しいのよ】 【参加して欲しいのよ

 1月3日 参加者(敬称略):(流月, αkuro, 砂糖水, 門森 ぬる, WK)
 ※全員分写したつもりですが、お名前が抜けている方がおられましたらお知らせ下さい。その他にも何かお気付きになりましたら修正して下さって構いません。(筆記者・門森 ぬる)
 前回の続きです。

―――――――――――――――――――――――――――


 はぁと、溜息を吐きながら、しかしそれでも埋めるしかない。だってそれ以外にやれることないのだもの。だってお金がないから。

 ◆ ◆ ◆

「おぉ、すごいな。こんなまっさらな履歴書は初めて見たぞ」
 宿所の女将と名乗ったその人物が、自分の履歴書を見た言葉がこれである。そりゃそうだ。だってまともに書いてあるのは名前だけだもの。
 住所不定の根無し草。おまけにバッジも学歴もないとなれば、履歴書に書くべきことは名前ぐらいなものだもの。
 なので、こちとら、乾いた笑顔を返すしかないのである。あー、やばいなー。これは不採用かー。なんて思っていると、
「ま、うちの仕事なんて馬鹿でもできる仕事ばっかりだからな。大丈夫大丈夫。採用だ」
 豪放磊落な笑みと共に出された採用の言葉に正直言って驚いた。
「なに、ポッポが豆鉄砲で射殺されたみたいな顔してんだ」
 どんな顔だ。それは。
「困ったときはお互い様。うちは人手が足りない。あんたは金がない。なら、それで話は決まりさ。何の問題もない」
 ばんばんとこちらの背中を叩きながら、告げてくる女将。この宿屋の経営が若干気になった。
 早速仕事の説明をすると言う女将に連れられて外へ出ると、いつの間にボールから出たのか俺のペロッパフが植木鉢に貼り付いていた。どうやらそこに咲いていた花の匂いにつられたらしい。ぱふーんと情けない声をあげていた。
「あれ、このペロッパフ誰の子?」
 ボールにしまおうとした矢先、声をかけられる。振り向くと女の子がいた。多分、いくつか年上。
「俺のです。すみません」
「いいよー別にー。かわいいものに飢えているから、目の保養ー」
 にこりと笑う姿に赤面する。と、ごほんと咳払い。しまった。
 改めてペロッパフを戻そうと植木鉢に目を戻す。が、いない。植木鉢にはべとつく何かだけが残っていた。
 しまった、と思い植木鉢に近付く。案の定、ペロッパフ特有の体から剥がれた物体だった。
 奇跡とも言えそうな採用を、これを汚したことで免除されたら...
 そんな思いが頭の中を駆け巡り、俺は慌て植木鉢を拭いた後、元凶である奴を探しに行った。意外にも、奴はすぐ見つかった。
 宿の中庭から、宿泊客であろう子供達の笑い声が聞こえてくる。ついでに、ぽよんぽよんという何かが弾むような音まで聞こえてきた。
 もしや、と思って覗くと、思った通り。子供達が、ペロッパフと一緒に遊んでいた。
「あんたのペロッパフ、面白いねえ!」
 あっはっはと声を上げて笑う女将に、ひきつった笑いしか出来ない俺。あのやんちゃ綿飴め。とりあえず子供達に了承を得て、ペロッパフをボールに戻した。ボールはかたかた震えていたが、知ったことか。
「せっかく楽しそうにしてたのに」
 その言葉は、さっきの女の子だった。確かに、楽しそうにしていたかもしれないが、あいつは常に楽しそうにしている。そういう顔だから。というかはしゃぐのにも限度があるだろう。わざわざ仕事場で遊ばなくても。そう言いたいところだったがそれをこの子に言ってもしょうがないだろう。
「あとで構ってやるからいいんです」
「あら、優しいのね」
 鈴を転がすような可愛らしい声でそんなことを言われると、頬が熱くなる気がする。
「トレーナーとして、当たり前のことですよ」
 しかし、それを素直に受け取ったら負けな気がする。そう思って、俺は照れ隠しの言葉を返すしかない。目を逸らしながら言っている時点で、相当負けな気はするけれど。
「雇われる側として、雇い主のことを気にかけたほうがいいぞ。まぁ、青春らしくていいけれどな」
「……すいません」
 あぁ、女将に冷やかされた。反論なんてまったくできないのだけれど。
「気にすんな。若いってことだ」
 そう言って、女将は仕事内容の説明を始めた。
 基本的には、まず客の食事の後片付け。食器洗いや残飯処理。次に部屋の掃除。客に服の洗濯を頼まれたら、掃除が終わった後に行う。
 まぁ、あとは習うより慣れろだねと結ばれた仕事説明に、たしかにやってみなければわからないなと思うしかない。
 あらかじめ分かっていたことではあるけれど、トレーナー業とはあまり関係なさそうだ。
 そんなことをしみじみと思っていると、
「あぁ、そうだ。荒事とかは自分で処理しないで私に伝えなよ。そうじゃないと面倒になるだけだから」
 女将は最後にそう、付け足した。
 フラグかよ。と思った数日後。宿泊客から預かった山のような洗濯物を運んでいたときのことだ。なんでこんなに溜め込むんだとぶつくさ言っていたのが災いして、前方からいかにも柄の悪い男が歩いてきているのに気がつかなかった。お約束とばかりにぶつかる。しまったと、思うも遅い。「ああ? テメーお客様にぶつかるなんていい度胸じゃねーか」テンプレかよというツッコミは、相手の鋭い目つきの前に砕ける。
「す、すいませ」
 ぱふ。その声の方を見ると、またもやいつの間にか足元にペロッパフがいた。最悪のタイミングで出てくるなこの馬鹿。というか荷物置き場に置いてきたはずなんだが。
「なんだこいつ……テメーのか?」
 男はしゃがみこみ、ペロッパフをつつく。
「は、はい、あ、わわわ」
 大量の洗濯物のせいで両手がふさがり足がふらつく。
「あーあー、まずそれ置いてこいよ。こいつは俺様が見ててやるから」
「え、いや、そんな」
「とっとと行ってこい!」
 男の鋭い目線が俺を射抜く。赤く尖った髪型が余計に怖さを増幅させている。
「は、はい!」
 運びながら考える。女将さんに伝えるべきだろうか? まだ荒事と呼べるほどではない……が、なりそうならば早めに呼んだ方が良いだろう。ペロッパフが更に怒らせている可能性もある。そう結論付けた俺は女将さんに不注意から怖そうな人にぶつかってしまった事を伝え、一緒に男の元へ戻る。が、男は会うなりこう言った。
「すまん!」
 呆気にとられる女将さんと俺。男は続ける。
「お前のペロッパフ、どっかいっちまった……」
 またか。

―――――――――――――――――――――――――――

 入室者が減少した為、一旦終了となります。皆様お疲れ様でした!
 次回は1月4日の21時頃開始を予定しているとの事です。飛び入り参加も歓迎しております。1文からでも参加出来ますので、興味のある方は是非是非奮ってご参加下さい。


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