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1月5日 参加者(敬称略):(流月, 砂糖水, 音色, 門森 ぬる, αkuro)
※全員分写したつもりですが、お名前が抜けている方がおられましたらお知らせ下さい。その他にも何かお気付きになりましたら修正して下さって構いません。(筆記者・砂糖水)
前回の続きです。
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しかし、デデンネか。
生で見るのは初めてだけれど、大福を二個重ねたような体にポッキーのチョコ部分みたいなヒゲ。思ったよりもおいしそうだ。
なんか食べたくなるな。この見た目。いや、実際に噛りついたら、血とかどばーって出てきて、モザイクかかりそうだけど。
「デデンネー」
そんな考えを察知したのか、デデンネは軽く身震いすると頭から下りてしまった。
おい、待て。どこに行くんだ、このネズミ!
「待てっ」
まずいまた問題が起きてしまう。さすがに解雇されるかもしれない。そうなる前に回収しなければ。急いで屋内に駆け込むも、デデンネは影も形もない。逃げられた。あー……。何だろう、最近運勢悪いのかな。雇ってもらえた時は運がいいと思ったのに。
「デデンネ―食べないから出てこーい」
しばらく待ってみたが一向に物音一つしない。なんか最近逃げちまうポケモンのせいであれこれ騒動ばっか起きてねぇか?
「……でてこねぇな」
これは脅しが弱いのか。それとも猫なで声で呼ぶべきか。あーでもなんかあのもちもちした弾力のある触り心地を考えるとむしろ潰したいな。握りつぶす。さぞ気持ちがいいだろう。……あれ、俺何考えてんの。
ともかく考え込んでいる暇はない。もう一回アンテナを切るだのお菓子をやるだの飴と鞭を交互に呼びかけてみるが尻尾の一つも出さないと来た。出したらもれなくふんで捕獲するけど。
露骨に舌打ちをしたところを女将さんに見られて、あんまりお客様の前でそういう態度はとらないようにと注意された。ますますついてない。これは見つけたら一回くらいたたきつけても文句は言われないだろう、と思ったその時、視界の端にちらりと黒い尻尾が角を曲がって消えていった。
急いで追おうとしたその時。
「はい」
後ろから頭上にペロッパフを置かれた。
「貸してくれてありがとう。この子返すね。デデンネは見つかった?」
ぱふーとペロッパフがひと鳴きした。
「あれ、もういいんですか?」
「うん。その子も、君が良いって」
ぱふぱふ。ペロッパフがどことなく嬉しそうだ。
「それより、もう一匹ポケモン持ってるんでしょ? デデンネ探すの手伝ってもらったら? あの子すぐいなくなっちゃうのよ」
そんなポケモンを貸さないで欲しい。溜息を吐きたくなったが、ぐっと我慢。今は奴を見つけなければ。
とりあえず、アドバイスに従ってもう一匹のポケモンを出そうと手を伸ばすと、奥の部屋から物音と「デデーン」という鳴き声が聞こえる。というか物音がどう解釈しても何かが割れる音なんだけど、どうしよう。
これはやばい。おれのポケモンじゃないけど、逃がしたのは俺なのである。
デデーン。俺、アウト―。そろそろ女将さんにけつバットされるかもしれない。
これは嫌な予感がする。確か廊下なんかに置いてある花瓶とかお皿とかは結構なお値段がするものらしい。一流の場所には一流を置くとかなんとかいうお話を聞き流した覚えがある。俺の給料でそれは果たして弁償できるか。恐ろしい想像ばかりが掻き立てられる。とりあえずデデンネ見つけたら一発へこましたろう。
とにもかくにも捕獲しない事には意味がない。おそるおそる音のした廊下を覗き込むと案の定、そこにはひっくり返っている額縁と割れたガラス、そして「あ、見つかったやべぇ」という顔したデデンネだった。しかも一瞬だけ俺の方見てすげぇ嫌な顔した後、「ででね、ででねー!」とわざとらしく泣き叫びながらすごい勢いで逃げて行った。アイツこのままだと被害者面して逃走するつもりだ。俺の就職生命がやばい。
本能が確信してボールを投げる。出てきたのは俺が捕まえるのにちょうどいい技を持っているからという理由で見た目を気にせず捕まえたガメノデスがずしんと音をたてて着地した。
「アイツにみねうちな」
俺の指示に「いえっさー」「まかせろよ」「はらへった」「後で飯な」「俺もいつものじゃ飽きた」「おやつまだー」「ねむい」といった具合に七つの顔が示したが蹴っ飛ばして追い立ててやった。
ずしんずしんとガメノデスが行く。あれこれ追いつかないんじゃ、と思った矢先、曲がり角を曲がろうとしたデデンネと、あの目つきの悪い男がぶつかる。
「あ?」
デデンネはちょろちょろと逃亡をつづけようとする。
「そのデデンネ、捕まえてください!」
男は状況が呑み込めない顔をしつつも、ひょいと逃げ惑うデデンネを持ち上げる。短い足をばたばたさせるデデンネ。さあどうしてくれようか。と、ガメノデスがデデンネを抱えている男にみねうちかまそうとしている。やばい。
「待て待てガメノデス! ストップ!」
俺の指示に気付きガメノデスがは手を止めた。が。
「ででー!」
デデンネが放電を放つ。
「テメ、このやろ……だあああ、もう!」
男は痺れながらもボールを取りだし、デデンネもろとも放り投げる。
だあす。やけに毛先が丸いサンダースが出現し、デデンネをむぎゅと抱き締める。そうか、ちくでんか。
「なんなんだよもう……」
ずるずると壁づたいにしゃがみこんだ男に、ペロッパフがぱふと寄り添った。
ペロッパフ、おまえいつの間にそんなにそいつに懐いてるんだよ。
なんだか悲しくなってくるその光景を横目に、サンダースに抑えつけられているデデンネを確保する。咄嗟のこととはいえ、男がサンダースを出してくれたのは助かった。とりあえず、このネズミをどうしてやろうか。とりあえずは、説教はしないといけないな。こめかみに青筋が浮き出るのが自分でもわかるぐらいにデデンネへの怒りがたまっている。
「デデンネ、お前はあっちで説教な」
「おまえもだよ」
いつのまにか女将が後ろにいた。どう見てもキレてる。
「さっきからどすどすうるさい音がしてやかましいから来てみれば賞状を入れていた額縁が割れているしその掃除をしていればまたぎゃーぎゃーやっているし来てみたらなんだいこのデカブツは!」
指さされたのは案の定ガメノデス。確かに廊下の地響きの原因は此奴ですけど! その前の原因がこの鼠なんです! 俺の必死に訴える目は女将の睨み付けるで無効化されてしまった。いや本当なんですってば。
こっそりボールのスイッチを押して引っ込むガメノデス……ってこの裏切り者ぉ!逃げやがった!ボールに触れようにも手の中で必死に涙を浮かべている鼠を話すわけにもいかずぎゅうぎゅうとしめつけ続けていれば「その鼠もアンタのかね?」とさらに誤解を招きそうな事になる。さっきのお姉さん何処にいるの。
「い、いや、違いま」
「なー女将さん、俺も何がなんだかさっぱりなんだが」
ガラの悪いオッサンが口を挟んでくれた。
途端に女将さんはいつもの穏やかな表情に戻った。
「お客様、大変申し訳ございません。この者にはしかるべき処置を行いますので……」
「あー、いや、その」
歯切れが悪い。それもそのはず、女将さんは表情こそ穏やかだが、目が笑っていないのだから。なんとかうまいこと言ってくださいと目で訴える。
「あ、やっと見つけた」
そこに、男の後ろから髪が無造作に跳ねている青年がやってきた。男より一回り小さい。
「あ、テメどこ行ってやがったこの野郎!」
「それはこっちのセリフだ! なんだよこの状況は?」
ギャーギャーギャーギャーかくかくしかじかと男が青年に説明をしている間、女将さんは和やかに、俺は冷や汗をかきながらじっとしているしかない。汗で滑りが良くなったデデンネが手から抜け出し、頭上に行ったがそこをばしと両手で再度捕まえた。
「あれ、そのデデンネ……」
青年が何か気付いたようにデジカメを取り出す。そこには額縁を壊す正にその瞬間のデデンネの姿が写っていた。更に一枚スライドさせると、さっきの女性とデデンネが仲良くくっついている写真が。
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翌日が平日のため、0:30あたりに一旦終了となりました。
参加してくださった皆様ありがとうございました!お疲れ様でした!
次回は1月10日(金)もしくは1月11日(土)の21時頃開始を予定しています。
飛び入り参加も歓迎しております。1文からでも参加出来ますので、興味のある方は是非是非奮ってご参加下さい。