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  [No.3224] Re: ボツネタの墓場(鳥居バージョン) 投稿者:森羅   投稿日:2014/02/05(Wed) 14:41:24   101clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

記事の方ですが一つ没ネタがあったので……。勿体ないのでここに失礼します。

・グラシデアの由来的な。

 やあやあ、お客さん。どうしたんだい、ぼーっと突っ立って。……え? ああ、お客さん、もしかしてソノオは初めて? ……ああ、やっぱり。そうかいそうかい。すごいもんだろう。毎年この時期になるとグラシデアが真っ赤なじゅうたんを敷き詰めたようになるのさ。まあ、ソノオで暮らして長い俺だってやっぱりこの時期になると圧倒されるんだ。初めてなら本当に「息を呑む」ってやつだろう。まあ、花は逃げないから……え? いやまあそりゃ確かに枯れはするが……。うまいこというね、お客さん。だが、それでも今日明日中にってわけじゃない。お客さんがソノオに滞在している間くらいは大丈夫だろうさ。
 そうだ、お客さん。そんなにグラシデアに感動したなら、一つグラシデアの花についてのお話をしてやろう。……そんなほっといてくれって顔しないでくれよ。おっちゃん、傷つくだろ。まあまあ、花見を楽しみながらでも聞いてくれ。
 グラシデアの花の、いやソノオの由来を知ってるかい。……ああ、そうそう、それそれ。元々荒れ地だったソノオに花を植えた話さ。「ありがとう」と感謝の言葉を伝えた時にグラシデアの花が開き、そしてそれからソノオは花園の町になった。グラシデアの花言葉が「感謝」なのもその話から来てるな。良く知ってるじゃないか。お客さん、ガイドブックを熟読するタイプだろ? ……花屋の娘が言ってたって? あそこの子、可愛いだろう? いやまあ、それはいい。とりあえず知ってるならいいんだ。
 だが、お客さん。その話には裏があるんだ。おっ? ちょっと興味湧いた? 嬉しいねえ、おっちゃん張り切っちゃうよ。で、話の続きだけどお客さん、シンオウの神話を知ってる人かい? ……お、一通りミオの図書館で読んだ人か。なら話は早い。その中に「トバリの神話」ってやつがあるだろう。そう、剣を持った若者の話さ。……おいおい、そんな訝しげな顔をしないでくれよ。ちゃあんと話はソノオにつながるから、さ。実は、その「トバリの神話」にまつわる話が、ソノオにもあるんだ。今となっては、もう、伝わらなかった、剣の話さ。
 「トバリの神話」は戒めめいたところがあるだろう。「命を忘れるな」とか「命をむやみに奪うな」とか。剣を持った若者が改心する話だからな。昔話によくあるパターンだが、この神話にもそういう意味が込められている。つまり、この話は相当丸く丸く……言い方は悪いかもしれないが、細部を削られた話なんだ。で、その細部の話が、ソノオの話に残ってる。ちょっと気分が悪くなるかもしれないが、良いかい? ……話始めたのは俺だろうって? はははっ、全くだ。じゃあ、遠慮なく。
 ソノオに残った神話はね、剣の製造の話だ。剣なんてソノオには全く関係ない話のよう思うだろう。だが、結構これが関係あるんだなあ。そもそも「トバリの神話」になぜ「トバリ」と付くか知ってるかい? それはね、「トバリに残っていた神話」という意味じゃあない。神話に出てくる剣が生まれたのがまさにトバリだったからさ。……もちろん、根拠はあるよ。お客さん、せっかちだね。まあまあ、落ち着いてくれよ。順番に話していくからさ。トバリには昔から隕石が落ちるんだ。お、知ってるって顔だね。隕石、町中にも置いてあっただろ。でね、隕石には種類がいろいろあるんだが、隕鉄っていう種類がある。鉄を多く含んだ、鉄鉱石みたいなやつだ。……ちょっとぴんときたって顔だね。そう、先に言っちゃうけど「トバリの神話」の剣は鉄剣だ。隕石から作ったのさ。……あはは、なんだか信じがたいって顔してるな。いやいや、お客さん。歴史を紐解いて見て見るといい。中国ではその隕石を間に挟んで作った鉄剣が見つかってるし、古代ヒッタイト帝国が栄えた理由だって、他の国により先に地上の土から鉄を製鉄できたからなんだぞ。それまではどこも隕鉄を使ってたのさ。それでも信じられないなら後で調べてみてくれよ。隕鉄製の鉄器がでてくるはずだ。
 で、だ。話を戻そう。だが、残念ながら鉄だけじゃあ剣は作れない。わかると思うが、火がいるんだ。高い温度の火がね。そんで、高い温度の火を作ろうと思ったら風がいる。……シンオウには炎タイプが少ないからね。昔に人たちはどうも自力で頑張ったらしい。風を起こす方法としてふいごを使って人力で風を起こす方法も勿論あるんだが……。ん? お客さん、ちょっと顔色が良くないね。わかってしまったかな? じゃあ、もったいぶらずにネタ晴らしと行こう。「トバリの神話」は戒め。なら、その元凶を作ったのは一体どこだったのか。そう、それこそここ、ソノオの町だ。風力発電所があることからわかるだろう。ソノオにはね、風が吹くんだ。強い、風が。その風で、隕石を製鉄したんだよ。ソノオが荒れ野になってしまったのもそのせいだ。火には薪をくべるからね。……まとめにはいろう。トバリの隕石を、ソノオの風で製鉄したんだ。周りの木を伐りまくってソノオを荒れ地に変えてね。……ああ、そうそう。タタラ製鉄所はその名残さ。お客さん、良く知ってるね。あそこ、結構見つけづらいところにあるんだけど。なんでソノオに製鉄所があるのか、これで理由がわかったかな? その昔、ソノオがシンオウ一の製鉄場だったからだ。…………あ、ごめんよ。お客さん。そんな哀しげな顔をしないでくれよ。ごめんってば。大丈夫、ちゃんと物語には救いがあるから。
 これで、やっとグラシデアの花の話にたどり着くんだけど。お客さんの聞いた、ソノオの由来である感謝を伝えたらグラシデアの花が咲いた、ってのは本当はどっちが先かわからないんだよ。グラシデアが咲いたから「ありがとう」なのかもしれないし、「ありがとう」でグラシデアが咲いたのかもしれない。でもね、その時の人たちは忘れないようにしたんだ。花を植えようとしたことからわかるかもしれないけど、ソノオではいつごろか剣を作らなくなった。「トバリの神話」ではあるポケモンが若者を諭すけど、ソノオではそのポケモンはシェイミってことになってるんだ。そう、感謝ポケモンのシェイミさ。グラシデアの花の象徴でもある、あのポケモン。ただ単に木を切り尽くしたことと、製鉄技術向上が理由なのかもしれないけど、それじゃああまりにもひどい話だろう?
 でね、シェイミに言われた人たちはそれを忘れないようにしようとした。咲いた花に感謝と戒めを込めたんだ。「トバリの神話」と同じく、「気づかせてくれてありがとう」という感謝。それから、戒めは。……まず一つ。そう、この花の色だ。真っ赤だろう。それこそ、血みたいに。それから名前。グラシデアの花の名前の意味を知ってるかな。知らない? なら、似たような名前なんだけどグラジオラスって花の名前の由来は知ってるかな? ……あ、そっちも知らない? あのね、グラジオラスの名前の意味は「剣」。その葉が剣の形に似てたんだ。で、グラシデアもそれと同じ。その名前の意味は「剣」。こっちは、祈りがそうさせた。いつまでも、忘れないように。と。
 話が長くなったけど、これでおしまい。ちょっと気分を悪くしてしまったお詫びに、グラシデアの花の蜜から作った甘い蜜を一つだけお客さんに差し上げよう。気に入ったなら、また買ってくれると嬉しいね。おっちゃん、これが商売なんだからさ。
 ほら、ほら。そんな顔しないで。引き続き花見を楽しんでくれればいい。感謝と戒めの花だなんて、そんな難しいこと考えず綺麗だなと思ってくれるだけでいいんだ。だって、ソノオはもう、花園に戻ったんだから。綺麗だと、そう思ってくれるのが花も一番喜ぶだろうさ。ただ、ちょっとだけ、もう二度と繰り返さないようにと、そう祈ってくれればいいんだよ。


帳の隕石を製鉄したのはソノオだった! グラシデアってこういう意味だった! 的な。
「トバリの神話」から巻き起こった一大妄想。100%作者の妄想でできています。諸事情で載せることをためらったんですが、使わないのも勿体ないなとも思ったのでここに捨てさせていただきます。失礼しました。


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