マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  [No.482] 4日目 少しの異変 投稿者:マコ   投稿日:2011/05/31(Tue) 15:23:16   57clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

その日、マイコは焦っていた。
「やばい!!遅刻する!!」
完全にやってしまったパターンの寝坊である。大慌てで服を着替え、化粧をし、ジラーチとともに家を出た。
『マイコ、どこに行くの?』
「大学!まあ学校だね。ごめん、ジラーチ、頼みがあるんだ」
『僕でよければ聞くよ』
「大学まで連れて行ってくれませんか?」
『分かった。僕にしっかりつかまっててね』
願い事ポケモンはそう言うと、体中から眩い光を飛ばし、その次の瞬間、

1人と1匹は大学に着いていた。
「ありがとう、ジラーチ……ってえええええ!?」
しかし、大学の校舎の上空にテレポートしていたので、
「ウォーグル、お願い!」
彼女は空を自由に飛行可能な勇猛ポケモンを繰り出し、その足を掴んで降下し、何とかギリギリのところで教室に入ったのであった。


さっきのドタバタがあったにも関わらず、授業では眠ることもなく、スライドの内容を見ながらペンを走らせつつ無事に90分を過ごした。
そして、マイコは女友達と食堂に入った。もちろん、ジラーチも同伴で。
そこで行われるのはおしゃべりである。


普段のこと、何か変わった友達のこと、いろいろ話は尽きない。
そんな中で、自分のポケモンの話になった。
女子はチラチーノとかチョロネコとか、カワイイ系のポケモンが好きな人が多く、彼女の周りの友人もその例に漏れなかった。
「マイコの手持ちってさ、数が多いよね」
「6匹フルで持ってる人って珍しいよ」
手持ちのポケモンの匹数は多くても3匹くらいという人が大多数のこのリアル世界では、マイコみたいに手持ちを最大まで埋める人の方が希少であるらしい。
しかしながら、マイコはトラブルに巻き込まれやすいのか、それともポケモンに好かれやすいのか、バトルを経由しないまま6匹揃える結果となっている。
「あとさ、ゴツイポケモンが多いよね」
「その中にいるムンナが異色だよね」
「え、えへへ、まあ……ね」
実際、彼女の今の手持ちは(ジラーチを除くと)、チャオブー、ウォーグル、ムンナ、フシギバナ、ヌマクロー、ライボルト。確かにカッコいいとかゴツイとか言われそうなメンツである。ムンナはその中にいて、補助の技が他のポケモンに比べて得意だったり、耐久力があったりと、女子受けするその見た目のみならず役割でもマイコのチームにアクセントをつけているのは事実だったりする。
「進化させたりとかは?」
「まだ、しないかな。石自体は持っているんだけど……」
とか何か話していた、その時だった。

パリーーーン!!!

ガラスの割れる音がした。
「大丈夫ですか?ケガは!?」
「「「いいえ、ないです……」」」
従業員さんが大急ぎでガラスを片付けていた。ケガ人はいないようだが、いきなりの出来事に大学構内は騒然となった。
『マズイよ、マイコ。僕だけじゃなくて、マイコまで狙われている』
ジラーチはこそっとマイコに言った。状況的にちょっとマズイところにいるのは間違いない。
「そんなこと、誰が……」
『たぶん、僕の記憶の中でそういうことをしてきたやつは……、千年流星会っていう奴だよ』
「えっ、聞いたことない!ロケット団とかそういう奴じゃないの!?」
『ロケット団って誰?』
どうやら、ジラーチの目覚めていた前の1000年では、まだロケット団は成立すらしていなかった模様だ。
「いろんなことをして私達の生活を脅かそうとする連中。私は昨日の男の人達と一緒に何度も撃退してきたことがあるんだけど……懲りないんだよね」
『マイコ、どうするの?アイツら、ひょっとしたら殺しにかかってくるかもしれないんだ。逃げるんだったら多分、今のうちだよ?』
「ジラーチ、私は戦う。逃げることよりアイツらと向き合う方が私にとっては性に合うようだし」
彼女の目は前を向いていた。その姿は毅然としていて、清々しい。
『でも、1人じゃ勝てないかもしれないよ』
「キミがくよくよするのは悲しいよ。もっと前向きに考えよう。……多分みんなと相談すれば何らかの協力はきっと得られるはずだからさ」
『分かった。マイコってさ、頼もしいね』
「いやいや」
マイコは自分が狙われている状況を考えて、ある結論を出した。
ジラーチが起きている予定の、今日を除くあと3日間は平日。当然大学もある。そこで、大学に行く(及び、帰る)ときに男の友人を数人一緒に連れて行くということを彼女は考え、メールでその旨を伝えた。

しばらくして来た返事は全員「その意見に賛成」だった。正直、「反対」とか出ると思っていたマイコは安堵した。
ひょっとしたら、怖い目に遭うかもしれない。でもみんな強いし、きっと大丈夫だろう。
マイコはおとといジラーチからもらったペンダントを握りしめていた。
そのジラーチは、マイコが元から持っていたいくつかのクロスのネックレスに加護を与えていた。


一方、別所にて。
精悍な顔つきの男、ケバイ化粧の女、かなり太っている男の3人がジラーチとマイコを見ていた。
「今回のジラーチの保護者はどういうやつだ」
ボスらしき精悍な男が聞く。
「どこにでもいそうな20歳代の女です」
細身で、派手な化粧の女が言った。
「保護する人にしては無欲なのが特徴です」
太りまくった男はそう言った。
「ジラーチを奪い、邪魔するものは抹殺しろ」
「「了解、ボス」」
対決の日は、近い。


5日目へと続く……


マコです。
とうとう登場することになった今回の悪役、千年流星会。
次はいよいよ戦いです。
シリアス度が上昇することになるはずです。
【書いてもいいのよ】
【描いてもいいのよ】


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