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  [No.499] 最終話 さようなら、ジラーチ 投稿者:マコ   投稿日:2011/06/04(Sat) 21:39:14   37clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

7月7日、七夕。マイコの21回目の誕生日、当日。
爆発に巻き込まれて死にかけたため、彼女は少し遅くまで寝ていることになった。
そのおかげか、目覚めは良かった。
しかし、一方の願い事ポケモンの方は、どうも欠伸が多い。マイコもそれを見て、何度も生欠伸をしていた。
「ジラーチ、眠い?大丈夫?」
『ふわあ、何だか眠いね。大丈夫だよ、心配しないで、マイコ』
そう、今日はマイコのバースデイであると同時に、ジラーチが1000年の眠りに入ってしまうその日でもあるのだ。だからジラーチに欠伸が多いわけだ。


「うわあ、快晴だ!よかった、願いが叶った!!」
『今日は夜中に流れ星もいっぱい見られるってテレビで言っていたよ』
「天の川と一緒に!?今日の夜空はきれいだろうね」
マイコは3日目の夜、確かにジラーチに、「誕生日に晴れるように」とお願いしていた。そして、今日、雲ひとつない快晴の空模様だった。
彼女の願いは叶ったのだ。
さらに、彼女にとって嬉しいことが、もう一つあった。


みんなが、マイコのサプライズバースデーパーティーをしてくれたのだ!
場所は願いが丘。昨日のバトルの舞台ではあったが、「千年流星会が壊した場所をきれいに直したい」という願いを受けて、元の美しい場所に戻っていた。
「「「ハッピバースデートゥーユー、ハッピバースデートゥーユー、ハッピバースデーディア・マイコ、ハッピバースデートゥーユー!!」」」
誕生会ではお決まりの歌の後、21本並んだ蝋燭を消すマイコ。
「「「誕生日おめでとう!!」」」
「ありがとう、すっごい嬉しい!」
『おめでとう、マイコ!』
「ジラーチもありがとう!」
みんなから祝福されて、マイコはすっかり照れていた。
「それではマイコ、メッセージをどうぞ!」
親しい男の友達に促され、マイコは少し、語り出した。


「正直、この1週間は、色々あったよ。ジラーチが家に来て、買い物とか、大学とか、一緒に行って、すごく充実してた。まあ、誕生日を迎える前に、悪党に殺されかけたけど、……みんな私のこと、心配してくれてた。ありがとう……。」
マイコは話を続ける。
「ジラーチも色々ありがとう。……私なんかみたいな普通の女のところに来てくれたこと、すごく感謝してる。でも、もう、今日、別れなくちゃいけないのは、寂しいよ……」
周りはしんと静まり、しばらくして、拍手が沸き起こった。
そして、そのうちの1人がこう切り出した。
「みんなで写真を撮って、そこからみんなで騒ごうや!マイコも一緒に!」


「みんな揃った!?」
「「「大丈夫!!!」」」
「それじゃあ、ハイ、チーズ!」
カシャッ
カメラのシャッター音が響く。ジラーチも含めた写真は、後で焼き増しを経て、配られるらしい。
そして、みんなビールやらワインやらを飲み、ワイワイガヤガヤ大騒ぎをした。マイコも、カシスオレンジをちびちび飲みつつ、一緒にはしゃいだ。


しばらくすると、星が夜空を一閃した。この時点で気付いたのは少しだけだったが、
「うわ、いっぱい流れ星が!天の川もある!!」
誰かの声にみんなが夜空を見上げた。
そこには、千年彗星の影響なのか、たくさんの流星群が起こっていて、ベガとアルタイルを隔てる天の川に降り注いでいる、神秘的な光景が広がっていた。
「キレイ……」
マイコ達がそれに見入っていると、傍らにいた願い事ポケモンが光り出した。
「ジラーチ!?どうしたの!?」
『ごめんね、マイコ……僕、もう、眠らなきゃいけないんだ……』
タイムリミットは近かった。体がどんどん繭に近くなっていく。
「別れるのは知っていたよ。でも、離れてしまうのは、いやだよ……」
『マイコ、1週間とっても、楽しかったよ』
もうほぼ時間のようだ。
「ジラーチ……1000年後、私の子孫と逢えるかな?」
『分かんないけれど、……僕もそうだといいな。だって、マイコの、子供達は、きっと、優しい人に、なれるはず……だから……』
光とともに、ジラーチが消えていこうとする中で、マイコは叫んだ。
「ありがとう!とっても、とーっても、楽しかったよ!だから、……さようなら、ジラーチ……」
マイコの目からは涙がボロボロ溢れていた……。


マイコにとって、21歳の誕生日前の1週間は、人生の中でかけがえのない出来事のうちの1つに、確実になっていた。
優しく、毅然として、勇敢で、でもどこか頼りがいのない部分もあるけれど、みんなに愛される女、マイコ。
彼女には、きっと、これからも、光り輝く未来が待っているはずだから。


おしまい。


マコです。
ちょっと最後、グダグダな感じになってしまって、申し訳ないです……。
でも、とにかく完結です。
次は、本編でお会いしましょう!
【書いてもいいのよ】
【描いてもいいのよ】


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