マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  [No.757] 六話 面倒臭がり屋の背景 投稿者:戯村影木   投稿日:2011/10/01(Sat) 11:19:32   50clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 1

 土曜日だった。季時九夜はフィールドワークに出かけていた。これにはとても深い理由があったが、ざっくりと説明すれば、補習である。単位が足らず、留年の危険性がある生徒のために、補習授業を行っていた。休みの日に仕事をさせられる季時は、とても機嫌が悪かった。
「すみません、先生」
「許したくないな」季時は山道を歩きながら、淡々と言った。「君は僕の休日がどれだけ貴重かを理解していない」
「ごめんなさい」
「許したくないな」季時はまた言った。
 補習対象の生徒は、桐生という名の女子生徒だった。特待生ばかりを集めた三年一組の生徒である。本来であれば単位が足りなくなる、というようなことはないのだが、大病を患い、今まで学校を休んでいた。
 その大病というのも、決して彼女が不健康な生活をしていたというわけではない。夜間の学校で、浮遊しているゴースに遭遇したのが直接の原因だ。ゴースのガスは人体にとても悪い影響がある。理由がそんなものであるから、季時もこの補習を断るわけには行かなかった。
 もっとも、それくらいなら、単位だけ与えてそれで終わりでも良かった。しかし、桐生に補習を受けさせてくれるよう、と頼んできたのが、白凪であった。季時は端的に言って、白凪が苦手だった。彼女は正しい。正しく美しいものに、季時は抵抗しようとしない。
「ところで、病気はもういいの」
「あ、はい、良くなりました」
「受験は?」
「します」桐生はゆっくりと頷いた。「出来れば、玉虫大学に行きたいなと思ってるんですけど……」
「ああ、へえ、桐生君、ポケモン好きだったの?」季時は初めてそうした認識をした。「なんだ、それなら早く言ってくれればいいのに」
「はあ」
「ふうん、ポケモン好きか。じゃあ、今回の件は許そう」季時はすぐに機嫌を良くした。「玉虫行って、何をするつもりなの?」
「獣医になりたいなって」
「ふうん。獣医学部か。まあ、就職にも困らないかもね」
「そう言えば、先生もやっぱり……」
「卒業生だよ」
「受験、難しかったですか?」
「いや、あまり。他の先生からね、こういうことは生徒に言わないように、と言われているんだけど、僕は勉強が苦手だと思ったことはないからね。そこにあることを覚えるだけなんだから、簡単だよ」
 季時と桐生はさらに山道を進んでいく。木々が多く、人工物がほとんどない、完全な自然だった。
「でも、特待だし、桐生君も頭良いんじゃないの。二年の頃、生物学はトップ成績だった記憶があるけど」
「どうでしょう……ポケモンのことばかりなので、他の教科は、普通ですね」
「普通ね。普通って言う辺り、頭が良さそうだ」季時は笑って言った。
 季時は今日は白衣ではなかった。山登り用の服装をしている。リュックサックにはボールが六種類収納されている。いつもの暢気な高校教師という雰囲気とは一変していた。桐生も制服ではなく、私服である。こちらも動きやすい服装ではあったが、本格的な登山服ではない。長い髪の毛は一本にまとめられていた。
「もうすぐだよ」振り返り、季時は言った。「開けた場所に出たら、休憩をして、内容をもう一度説明しよう」
「はい」
「なるほどね、ポケモン好きか」
 季時は独り言のように言った。
「こういう休日もたまには悪くない」

 2

「知っているとは思うけど、改めて説明しよう。今回の実習は、まあ、戦闘が主だね。体育とか、生物学とか、そういうのに属さない、特別授業。最近は自然も少なくなってきて、気軽に野生のポケモンと触れ合う機会はないし、ましてや戦う機会もないからね。ポケモン、持って来てるよね」
「あ、はい」
「じゃあ、出してみて」
 桐生は言われた通り、リュックにぶらさげていたボールを放り投げた。炸裂したボールから、ラッキーが現れる。季時はそれを見て、満足したように頷いた。
「珍しいポケモン持ってるね」
「小さい頃に、プレゼントしてもらったんです」
「なるほど。ある程度戦えるのかな」
「いえ、戦闘経験は、ほとんど……」
「どうして?」
「戦うこと、あまり好きではないので」
「なるほどね」季時は口を曲げた。「否定はしないけど、獣医になりたいなら、もっとたくさん戦って、ポケモンを傷つけた方が良いよ。自分のポケモンを傷つけて、それを治せるという自信がないと、他人のポケモンで同じことをするのは難しいから」
 季時は水筒を取り出し、コップに中身を注いだ。岩場に座り、溜め息をついた。
「いやあ、運動不足だ」
「大丈夫ですか……?」
「頭はクリアだよ」
「身体が、です……」
「大丈夫じゃないから、休憩をするんだけどね」季時はお茶を飲み干した。「戦闘経験がほとんどないっていうのは、どれくらいないの? せっかく個人授業だから、詳しく授業しようか」
「えっと……小さい頃、男の子と遊んだくらいで」
「野生ポケモンは?」
「全くないです」
「よし、じゃあレクチャーをしよう」
 季時は荷物をリュックサックにしまって、ボールを一つ取り出した。それを片手に持ったまま、立ち上がる。
「野生ポケモンと遭遇したことは?」
「ないです……」
「温室育ちか。悪くないけどね。大学行ったら、実習ばっかりだから、慣れておいた方が良いよ」
「……あの、先生って何学部だったんですか?」
 季時のあとをつけながら、桐生が訊ねる。
「獣医学部」
「えっ、本当ですか?」
「うん。まあ、教員免許取って、教師になったけどね」季時は珍しく、面倒臭そうな口調だった。「えーと……弱いポケモンの方がいいかな」
「どうして教師になったんですか?」
「楽だからかな。君はどうして獣医になりたいの?」
「えっと……昔ラッキーが病気になった時、獣医さんに診てもらって……格好いいなって思って。そんな、単純な理由です」
「素敵だと思うよ」季時は頷いた。「だけど、もうちょっと、現実を知った方がいいな」
「現実……ですか?」
「うん。まあ、自分で気づいた方がいいかな」
 季時は草むらが生い茂っている場所まで来て、足を止めた。そして、桐生に手招きをする。桐生とラッキーが近づいてきて、草むらの前で立ち止まった。
「この辺を歩いてると、ポケモンが襲ってくるだろう。僕がいるから、とりあえず試してごらん。危なくなったら、助けてあげるから」
「あ、はい……ありがとうございます」
「まあでも、出来るところまで、自分でやってみて。出来るところまで、というのは、全てが終わるまで、ということだけど」
 桐生は言葉の意味を完全には理解出来ないまま、草むらに一歩踏み出した。ラッキーも、おそるおそる桐生のあとをついていく。季時はそこから少し離れて、リュックサックからチョコレートを取り出して、かじり始めた。
 かなりゆっくりとした動作で桐生が歩いていると、ふいに、草むらの揺れる音がした。桐生は慌ててそちらを振り向く。と、大きな尻尾が草むらから覗いていた。オタチだ。桐生とラッキーはそれに向き合うように対峙した。
「ら、ラッキー……頑張って」
 桐生が控えめに攻撃の指令を出すと、ラッキーはゆっくりとオタチに近づいて、控えめに手を出した。オタチの身体を叩く動作だった。オタチはそれを受けても、しかし、まだ倒れる様子はない。オタチは威嚇するように、鳴き声を上げた。気弱なラッキーの戦意を喪失させるには十分な威嚇だった。
「ラッキー……まだ、攻撃して」
 桐生はまた、控えめに指令を出す。ラッキーはまた、おそるおそる、オタチを攻撃した。
「キイッ」
 たった二発叩くだけの、単純な行為だ。だがしかし、たったそれだけの行動で、オタチは動かなくなった。草むらの中で倒れ、呼吸を乱し、今にも死んでしまいそうな状態になって、喘いでいる。
「あっ……」
 桐生はそれを見て、困ったように身を屈めた。そして、助けを求めるように、草むらの外にいる季時を見た。しかし季時は、何を言うでもなく、ただ暢気にチョコレートを食べている。
「あの……先生、どうしたらいいでしょう」
「どうしたら、っていうのは?」
「その……今倒してしまったオタチを」
「桐生君はどうしたい?」
「……」
 桐生は無言でリュックサックを開けた。そこから、傷薬を取り出した。市販のものだ。
「桐生君、それはダメだ」
「え……でも」
「放っておけばいいんだよ」季時は肩を竦めた。「そのままそこに転がしておけばいいよ。そのうち、勝手に体力を回復させて生き延びるか、そのまま力尽きるかのどちらかだよ。まあ、前者が圧倒的に多いけどね」
「死んじゃうんですか……?」
「かもしれない」季時は首を振った。「でも、じゃあ、倒したオタチをわざわざ助けて回るのかい? それとも、遭遇したポケモンからは常に逃走する? ポケモンを全員捕まえて行く? そうじゃないよね」
「でも……」
「君の気持ちはよく分かる」季時は草むらに近づいて来て、倒れたオタチをそっと抱き上げた。「このオタチは、例えるなら、自分の家に侵入されたようなものなんだ。このオタチには家族がいて、縄張り、家族を守るために、戦う決意をした。そしてそれに負けたんだ。この辺を探せば、きっと家族がいるよ。大体の場合、負けてしまった野生のポケモンは、家族や仲間が引きずって行って、安静な場所まで連れて行く。けど、僕たちがこうしてここに居座っている限り、彼らはこのオタチを助けに来ることが出来ない」
「……そう、だったんですか」
「そういう場合が多い。もしこのオタチが一匹だけで生活していたなら、この場で死ぬだろうね」
 季時はリュックサックの中から、いくつか木の実を取り出して、草むらにばらまいた。そして、オタチを地面に横たわらせると、桐生の手を取って、立ち上がらせた。
「本当は野生のポケモンに慈悲を与えるべきじゃないんだ。野生のポケモンに傷薬を与えるというのも、良くない。もし、どうしても意図しない戦いの末に傷つけてしまったなら、木の実がいい。木の実は、人工的じゃないからね。市販薬は、案外毒素も多い」
「……はい」
「さっきの場所まで戻ろう。あそこまで行けば、オタチの家族も安心出来る」
 季時は桐生の手を握ったままで歩いた。桐生は終始俯いていたが、その理由を季時は尋ねなかった。

 3

 この実習は本来一日かけて行われるものである。今回は桐生一人だけなので、もう実習は済んだようなものだったのだが、しかし二人はまだ山の上にいて、今は昼食を食べていた。桐生は手作りの弁当を、季時はカレー味のカップヌードルを持って来ていた。
「それ、自分で作ったの?」
 ガスバーナーでお湯を沸騰させながら、季時は訊ねた。桐生は控えめに、「はい」と頷いた。
「ふうん。料理も出来るんだ。完璧超人だね」
「いえ……趣味なので」
「僕は出来れば一生料理なんてしたくないけどね」沸騰したお湯を注いで、蓋を割り箸で留める。「あともう少し野生と触れ合って、そうしたら帰ろうか」
「あの……私、獣医に向いていないでしょうか」
 俯きながら、桐生が訊ねる。
「向いているかいないかは、僕には判断出来ない」
「……そうですね」
「三分間、話をしてあげよう」季時にしては珍しい発言だった。「ある学生の話なんだけどね」
「学生さん?」
「昔、獣医になりたかった学生がいたんだ。その学生は勉強熱心でね、かなり小さい頃から将来の夢を決めていた。それで、うん、情報ばかりを頭に詰め込んだ。勉強魔だった。それが全てだと思っていた。だけど、ある日……大学生になってからだね、一週間くらいキャンプをするっていう授業があって、それは野生のポケモンと触れ合う授業だった。その時に、学生は思ったんだ。人間たちが傷つけて、人間たちが治して、何がしたいんだろうってね」
「……」
 桐生は動きを完全に止めていた。その話はまさに、自分の思っていることと同じだったからだ。
「戦いに傷ついたポケモンや、病気に苦しむポケモンを治してあげよう、というのが学生の夢だった。でもね、知れば知るほど、その根源が人間にあることに気づいたんだ。戦闘不能になるまで痛めつけるのは人間の指示があればこそ。病気というのだって、人間が生み出した環境に適応出来なかったポケモンが陥っていく。そのうちに、学生は獣医になることをやめた。諦めたというよりは、魅力を感じなくなった。そして、その学生は今、若い学生に説教をしているよ。こんなところで、三分間だね」
「先生も、獣医になりたかったんですね」
「まあ、昔の話だけどね」季時は割り箸を割った。「でもね、それは僕の考え方だから」
「私も同じことを考えました」
「うん。でも、獣医はいなくちゃいけないんだ。僕たちが作り出した環境からポケモンを守るためにはね」
「でも……」
「君が病気を患ったのは、ゴースのせいだろう」
 桐生はゆっくりと頷いた。
「その時の君の正直な意見が聞きたい。ポケモンなんかいなければと思ったか、人間が悪いと思ったか」
 桐生はしばらく考えてから、「あの時は、ゴースがいなければ、って思いました」と素直に答えた。
「うん、じゃあ、君は獣医になった方がいい」
「え?」
「僕も昔、似たようなことがあってね。でもその時、僕は君とは違って、偽善的な考え方をした。人間がいなければ、って思った。人間さえいなければポケモンは傷つかない、ってね。だけど、僕は死なずに生きている。人間が悪いと思いながら、ポケモンに何もしようとしない。でも君は、善悪の判断がきちんと出来ている。断言しよう、君は獣医に向いている」
「でも……」
「僕は、ポケモンが悪さをしたらポケモンが悪い、という当たり前のことに気づくまで、何年もかかった。あの時、今と同じ考え方を出来ていれば、教師にはなっていなかったかもしれない。でも教師になっていなかったら、君と話すこともなかった」
「そうですね」
「……ああ、意味のない発言をしたようだ」季時は首を振った。「さて、さっさと食べて、もう何回か戦ってみよう。傷付け方を知っている方が、傷は治しやすい」
「はいっ」
 昼食を食べながら、季時が次の野生のポケモンはどのレベルにしようか、と考えていると、地響きのような音が聞こえた。
 桐生は驚いたように周囲を覗う。季時は食事を続けた。
「先生、なんの音ですか?」
「リングマだね」
「えっ……野生の、ですか?」
「だねえ。良い機会だ、ちょっと、戦ってごらん」
「む、無理ですよ! 私のラッキーじゃ、倒せるはずないですよ……」
「倒せとは言っていないよ。戦ってごらん、と言ったんだ」季時は淡々と続ける。「傷を治すなら、傷付かないとね」
 話をしていると、地響きは次第に大きくなり、ついに、二人のいる開けた場所に、リングマが現れた。リングマは二人の人間と、一匹のポケモンを順番に見た。
「先生……」
「ラッキー、自分のご主人様を守るんだ」季時は割り箸をリングマに向けた。「さあ、頑張って」
「あの、でも、ラッキーは……」
「いいから」
 リングマはラッキーに狙いをつけた。本能的に、誰を相手にすればいいか、ということを理解しているのだろう。ラッキーは怯えた様子で、リングマを見上げていた。身長差がかなりある。ラッキーの頭上には、リングマの影が落ちていた。
「ら、ラッキー……頑張って!」
 桐生はどうすることも出来ず、ただ声をかけるだけだった。しかし、そんな声援もむなしく、リングマが振り回した爪はラッキーの身体を深く切り裂いた。ラッキーはその反動で倒れ、桐生の元に転がった。
「ラッキー!」
「あ、ラッキーが一撃か。意外と強いなあ」季時は暢気に言いながら、スープを飲んだ。「桐生君、あと三メートル下がって、ラッキーを手当てしていて」
「に、逃げた方がいいんじゃないですか?」
「まあ、それも選択肢の一つではあるね」
 季時は地面に起きっぱなしにしていたボールを拾い上げ、素早い動作で投げつけた。リングマの付近でボールが開き、中から現れたのは、オノノクスだった。
「ドラクロ安定、かな」
 季時は略語で指示を出した。オノノクスはそれに対して頷くでも、合図を出すでもなく、淡々と任務を遂行した。ラッキーを傷つけた腕の動きが、まるでスローモーションのように見えた。オノノクスは下から突き上げるように腕を這わせ、リングマの腹部を切り裂いた。
「……ああ、でも、そこまで強いわけじゃあないのか」
 季時はのんびりと言って、倒れたリングマを見つめた。地面に落ちたボールを拾い上げ、素早くオノノクスを回収する。そして、桐生の元へと歩み寄った。
「ラッキーは、無事?」
「え、あ、はい……」
「ああ、処置も適切。上手だね。いい獣医になるよ」
「先生、強いんですね」
「僕は強くないよ。強いのはオノノクスだ」
「でも、育てて来たんですよね」
「ポケモンをちゃんと育てるようになったのは、獣医になるのをやめてからかな」
 季時は倒れたラッキーの頭を優しく撫でる。
「ポケモン、人間という言い方をついしてしまうけど、僕たちは個々だからね。どちらが悪いわけでもない。時々、すごく悪い一人とか、一匹がいるだけで、他のみんなはとても優しい。君がゴースに襲われたからといって、ゴース全体が悪いわけじゃない」
「……それは、そうですね」
「今のリングマだってそうだ。食べ物の匂いにつられたか、それとも、他の人間が彼に悪さをして、人間を嫌いになっていたのかもしれない。そういう理不尽な循環から身を守るためには、やっぱり、強くないとね」
「……ラッキーでも、強くなれますか?」
「いや、どうだろうね。ポケモンにも向き不向きがある。僕と君の志が違うみたいに。役割っていうものがあるからね」
 季時は立ち上がり、ゴミやガスバーナーを片付け始める。桐生はまだラッキーの横に座って、身体を撫でていた。
「処置が済んだらボールに戻した方がいいよ。ここよりはいい環境だ」
「はい……」
 桐生はラッキーを回収し、少し緩慢な動きで、残りの弁当をつまみ始めた。将来のことについて、色々と、考えているのかもしれない。
「……幸い、医学部にはいたからね、それについての相談なら、乗ってあげられるよ」
「先生のところにお邪魔しても、大丈夫ですか?」
「うん。それに、ポケモンを強くしたいなら、それについての相談もしていいよ。あんまり、生徒に協力的じゃない教師なんだけどね。僕も人間だから、たまには気まぐれも起こす」
「じゃあ……その時は、よろしくお願いします」
 桐生は控えめに微笑んだ。
「でも私、今……獣医もいいけど、先生もいいな、なんて思ってるんです。影響受けやすいですから」
「教師? うーん、それはやめておいた方がいいんじゃないかな」季時は表情を曇らせた。「僕はそれ、あんまりおすすめしないよ」
「どうしてですか?」
「教師はねえ、休日がなくなるんだよ」
 季時が言うと、桐生はおかしそうに笑った。


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