マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  [No.1388] 第五話「一意専心」 投稿者:GPS   投稿日:2015/11/11(Wed) 21:55:44   30clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

「大変なことになったのねぇ」

不貞腐れた顔で朝食をつつく夫と一人息子――つまりは入れ替わった泰生と悠斗を交互に見て、彼らの妻であり母である、真琴はどこか呑気な溜息をついた。
ミツキに話を伺い、呪いをかけられたことがいよいよ明らかになったため、悠斗達はこのことを真琴に言うことに決めたのだ。森田と富田も交えて説明を受けた真琴は最初のうちこそ「いつの間にそんなバカやるくらい仲良くなったのよ」と笑い飛ばしていたが、二人の切羽詰まった雰囲気と、森田や富田までもが真剣な表情をしていることから、渋々ながらも信用することにしたらしい。

「でも、ポケモンって不思議だもんねぇ。私はよくわからないけど、そういうこともあるかもしれないわね」

それにしてはあまり焦った様子の見られない真琴だが、彼女は元来こういうマイペースなところがあった。そうでもなければ、昔からひどく偏屈だった泰生の妻になろうなどと考えないだろうから当然かもしれない。話をした昨夜に引き続き、羽沢家に訪れている森田は「本当、びっくりですよね」と相槌を打った。

「入れ替わるだなんて、まさか、そんなことが起こるだなんて。ごめんね悠斗、そうとは気づかず、冷たくしたりしちゃって」
「いいよ別に。俺達こそ、黙っててごめん」
「本当よ。いつもいつもこうなんだから、肝心なことは言わないで。まったく」
「…………ふん」

泰生のマネージャー歴が長い森田や、悠斗の友人で家もほど近い富田は、羽沢家の家族関係が客観的に見てうまくいっていないことは重々理解している。もっとも、物凄く危機的であるとか破綻寸前であるというわけではないから踏み込む必要も無いだろうが、それでもあまり心臓に良いものではない。今のように、言葉の端々から醸し出される刺々しさや態度の差異など、その片鱗を見せつけられるといたたまれない気持ちになる、と森田は思う。富田は慣れた様子で何食わぬ顔をしているが、彼は必死に笑顔を貼り付けて、ヤドンにでもなりたいなどと現実逃避するのに精一杯だった。
「森田さん、ご迷惑おかけして本当申し訳ありません。富田くんも、ごめんね。こんなことに巻き込んじゃって」そんな森田はさておき、真琴が深々と頭を下げた。森田が慌てて首を横に振る。

「いえ、泰さんの問題は僕の問題ですから! 泰さんが困ってるなら、僕は全力でサポートするのが当然、ってものですよ」
「本当に……森田さんがいてくれてよかった。こんなマネージャーさん、世界で森田さんしかいないでしょうよ」
「俺も、たとえ火の中水の中草の中森の中……悠斗のためなら、何だって」

感動して森田を見つめる真琴に、出されたお茶を飲んでいた富田が言葉を発した。「富田くんも、ありがとうね。頼もしいわ」微笑む真琴からご飯のおかわりを受け取りながら、「よせよ、瑞樹」まんざらでも無さそうな風に照れている悠斗が口元を緩める。内心、羽沢親子のギスギスした会話から話題が逸れたことを安堵した森田は、ひっそりと溜息をついた。
「本気なんだけど」短く富田が漏らしたその言葉は、悠斗と真琴が今日の帰宅時間などを話し始めたため、それに掻き消されてしまったようである。が、黙って味噌汁を啜っていた泰生だけは、今は真琴によく似ている目を少し動かしてそちらを見た。





「今日は午前がまるまる空いていますから個人トレーニングですね。事務所のビルの地下に、狭いですけどコートがあるのでそこ使いましょう」

064事務所を擁するビルに入り、自動ドアを潜りながら森田は言った。警備員の男と、その向かいにいるゴーリキーが揃って一礼したのに会釈を返した悠斗はそれに続く。
関係者用、と書かれたエレベーターの前には誰も並んでいない。森田が押した下りボタンが点灯する。『54』という、パネルに表示された数字がどんどん小さくなっていくのを何ともなく眺める森田の、どちらかというと高めの声が廊下に響いた。「午後はトレーナー向けニュースサイト何件かのインタビューがありますが、まあそれは、泰さんらしい感じで答えてください」

「そんなに心配しなくて大丈夫ですから! そんな変なこと聞いてくるところじゃないですし、大体の原稿は昨日泰さんに尋ねて作っといたんで……」
「あの、森田さん」

いつも通り、丸っこい童顔に笑顔を浮かべた森田の言葉を、悠斗が遮った。ぽーん、と音が鳴って、エレベーターの到着が告げられる。
中から出てきた、むしよけスプレーの詰まった段ボール箱を台車に乗せた作業服の男と入れ違う形で、悠斗と森田はエレベーターへ乗り込んだ。湿気た空気の充満する狭い密室、パネルを操作する森田の横顔は見ずに、階数表示を見上げる悠斗は言葉を続けた。

「どうして、あいつと一緒にいられるんですか」

それは、悠斗が森田を知ってからずっと気になっていて、森田が泰生のマネージャーを務めるようになる時間が経つにつれてますます強まって――それでいて、聞けなかった問いであった。

「ずっと聞きたかったんです。なんで、森田さんは……あいつのことを、そんなに」

そこで黙り込み、俯いてしまった悠斗を、視線を動かした森田はじっと見つめる。バトルの邪魔にならないようにというポリシーの元、短く切り揃えられた泰生の髪の下で、悠斗の顔に影が落ちた。それが森田の瞳に映ること数秒、モニターが『B2』の表示に変わり、重い灰色をしたドアが開く。
「悠斗くんは」開くボタンに指を置き、悠斗に出るよう促しながら森田は言う。「泰さんのことが、嫌いですか」
言葉を詰まらせた悠斗を見て、森田が小さく笑った。ビルの地下二階はしんと静まり返っていて、独特の臭いが満ちている。コートと廊下を隔てる大きな扉を押し開けながら、森田は先程の問いにはすぐに答えず、「悠斗くん、悠斗くんが中学校に上がる前、カイナからタマムシに引っ越したでしょう?」と質問した。

「ええ、まぁ……」
「その理由、知ってますか」
「それは…………」

問われた悠斗は口ごもる。知っている、という意味を持ったその沈黙に、森田は八年前の彼を想像した。
八年前、悠斗が小学校卒業を目前にした羽沢家は、それまで住んでいたカイナシティから、ホウエン地方タマムシシティへ越してきた。それは大まかに言うならば、泰生がそれまで所属していたトレーナープロダクションの責任者と揉め、飛び出す形になってしまったからである。勿論、大まかすぎるほど大まかなもので実際は、はもっと色々とあったのだが――真琴に聞いた話だと、悠斗の認識は小学六年生の頭で理解したもののまま、その状態で止まってしまっているらしい。
当時の悠斗は、友達と同じ中学に通うのをとても楽しみにしてたという。しかし泰生の都合仲の良い友人達も、海が見える中学校も、潮の匂いに満ちたカイナの街並みも、全て手放さざるを得なかったのだ。悠斗の心境を考えると、確かに許しがたいことかもしれない、と森田は推し量る。元々泰生が家にあまりいなかったために父子関係が上手くいってなかったこともあって、その出来事は悠斗が泰生をいがむようになった決定的事項と言えた。

「実はですね、悠斗くん。あの時、泰さんがあっちの事務所を辞めなかったら、064事務所は無かったんですよ」

でも、まあ――その『色々』も、知っておいて悪くは無いだろう。
そう考えた森田の言葉に、悠斗が目を丸くする。それに口許を緩めた森田は、まだ時間が早いせいか、あるいは他のトレーナー達のスケジュールが埋まっているせいか、しんと静かな無人のコートに目を向けた。

「カイナのトレーナープロダクションは、かなり大きなところでした。064の何倍も所属してましたし……完全な自社ビルも持っていたくらいでして」
「知ってます。……何度か、見たことがあるので」
「すごいビルでしたでしょう。その頃、泰さんはそこに所属していました。私もその事務所に就職して、研修や他のトレーナーのマネージャーを数年やって……泰さんのマネージャーになって一年弱、そんなあたりだったんです」

まだそれなりに若かった森田は、羽沢泰生という強者の相手に日々胃を痛めていた。気難しい泰生のマネージャーという、言ってしまえば森田の人の良さにつけ込んで押し付けられた汚れ役をどうにかこなすのに精一杯だったのだ。とはいえ、彼は元来人付き合いが得意だったし、持ち前の要領の良さを活かして上手いこと立ち回り、泰生が引き起こす小さな揉め事こそあれど、そこまで大きな悩みも無くまあまあ順調な日々ではあった。
しかし、それを崩壊させたのが、悠斗に振った話のことである。あの時は確か各地方からスバメが戻ってきていたから、冬であったのだろう。

「事の起こりは、ホウエンバトルコンペの出場資格に関わる、大幅かつ急な規定変更でした。あ、バトルコンペっていうのは、リーグに似てるんですけど公的なものじゃなくて、いろんなスポンサーがお金出してやる大会で」
「ああ、毎年二月にムロでやる、観光客誘致も兼ねてるってあの……」
「それです、それです。それがですね、開催の三ヶ月前……例年の出場者募集締め切りの一月前に、いきなり出場条件を変えやがったんですよ」

それまでのバトルコンペは、トレーナー歴が五年以上であることと、自分のポケモンとして三匹をバトルに出せること、ホウエンに本籍があること、という三つの条件が揃っていれば誰でも参加出来るものだった。もっとも特別な枠として、これに収まらない旅トレーナーが出ることもある(泰生も旅人時代にスカウトされて出場した)が、どちらにしても、門戸の広いイベントだったのだ。
が、それを覆す要件が提示されたのである。トレーナー歴は問わないが所有バッジ六つ以上であること、バトルに出すポケモンのレベルが五十を超えていること、そしてこれが一番話題になったのだが、それまではホウエンのトレーナーしか出られなかったのに対し、本拠地はどこでもいい、どの地方の者でも出場出来るということになった。

「バトルコンペは、ホウエンのトレーナー界を活性化するためのものでもありました……それなのに、なぜ、ということがかなり問題になったんです」

それでも批判の声があまり大きくならなかった、というよりも大きくなれなかったのは、コンペの運営が赤字であることが容易く予想出来たからだろう。誰でもかれでも受け入れればその分大会の規模が膨らみ、そしてかかる費用も増える。しかしみんなが強いわけではない、烏合の衆が集まったところで盛り上がりに欠けるのだ。そうなると予選のチケットはあまり売れず、収支のバランスはとれなくなってしまう。それを見越したスポンサーは離れていく。
だから運営側の人間も、そうせざるを得なかった。ある程度線を引いて強いトレーナーだけを集め、リーグまでとはいかなくとも、本格的なイベントになるよう規定を変えたのだ。それは苦肉の策で、誰が解決しようと動くわけでも無い以上、どうすることも出来ないものだと考えられた。
みんなこう思っていたのだ――しょうがない、と。

「でも、泰さんは違ったみたいでして」

当時のことを思い出し、森田は苦笑いを浮かべる。あの頃から、泰生は変わっていないままだ。そんなことを思った。

「出場資格の変更で、コンペに出れなくなったトレーナーは沢山いました。勿論事務所に所属するほどなら大抵出れますけど、、外にも……そういう人たちは、その数ヶ月をいきなり空白にされたようなものですし、何よりかなりショックだったでしょう」

泰生は、それが許せなかったという。こんなのはおかしいと主張し、運営に反対声明を上げるべきだと事務所の幹部に訴えた。
が、その要求は突っぱねられ――結果的に、事務所と決裂した泰生はそこを飛び出すことになったのである。

「もう、あの時は……ホンット肝を冷やされましたよ」

今思い出しても胃が痛むらしい、森田は頭を抱えるジェスチャーつきで大きな溜息をつく。

「まあ、いつかやらかすだろうとは常日頃二十四時間思ってましたけどね! エスパータイプでなくともみらいよち出来ますよ、絶対何かやっちゃうだろうと! マネージャーに就任してからずっと、ずっと、ずーーーーーーっと!! 僕はヒヤヒヤしっぱなしでしたから!!」
「……………………」
「もー、頑固だし、自分の考え何としてでも貫くし、正論以外のことは理解出来ないみたいだし、頑固だし、いしあたまだし、脳味噌オコリザルだし、頑固だし!! いつも誰かと喧嘩してるんですから、泰さんは!!」

その頃の鬱憤すらも吐き出しているのではないかという勢いで愚痴り始めた森田に、悠斗は半ば呆然とするように固まった。どうしようもない申し訳無さに、「本当すみません…………」と、今この場にはいない父親に代わって詫びる。「ホントですよ! ホントに!!」森田はぷにぷにしている手で拳を作り、ぶんぶんと振ってみせた。
「でも、ですね」しかし、その様子を引っ込めた森田が穏やかな声で言う。「そんな泰さんに、僕は――いえ、僕たちは、ついていったんですよ」

「泰さんの主張は、ポケモントレーナーという存在全てを守りたいがためのものでした。そもそも、泰さん自身はリーグ出場資格もあるので、規定が変わったコンペにだって出られるんですよ。わざわざ抗議なんてしなくても、自分の立場は何も変わっていないんですから」
「まあ、それは…………」

幼い頃、父親の集めたバッジを見せてもらった記憶を手繰り寄せた悠斗は曖昧な答えを返す。いくつかの地方の、いくつものバッジはキラキラしていて綺麗だった、ということは、薄れた思い出の中にあっても覚えていた。

「ポケモントレーナーがポケモンバトルをするための場所は、守らなければいけないと。そして、それはトレーナーだけでなく、それを支持している存在であるはずのプロダクションの役目でもあると。泰さんは、そう言ったんです」

ここで抗議しなければ、今後ますますトレーナーの立場が侵害されるかもしれない。少なくとも、これを許してしまえば、トレーナーを利用する者達を一つつけ上がらせることになるのは確実だ。だから諦めないで、黙って飲み込まないで、戦わなくてはならないと――そう、泰生は訴えたのだ。

「でも、あの事務所の人たちはそれを聞かなかった。当然といえば当然です。ホウエンで一番大きな、と言ってもいいくらいの事務所でしたから、下手なことは出来ませんからね。保守的になるのも当たり前なんです、トレーナーにつくスポンサーもいなくなったら困りますし」
「…………でも、あいつは……森田さん、は」
「ええ。だから、そこから出て行ったんですよ。泰さんも、僕も。そして、064の社長も、ね」

泰生の主張は確かに退けられたが、それに賛同した者は少なくなかった。そしてその中には、彼を実質的に支えようとした者もいた。それが森田であり、その事務所の幹部の一人であった現064社長であり、今も泰生と同じ事務所で活躍しているエリートトレーナーの何人かだ。
「僕たちは、泰さんについていこうと決めたんです」森田が言う。プロのトレーナーのマネージャーになるという夢を叶え、しかも大手事務所に就職したのに、それを棒に振ってまで選んだ彼の道は、今も続いているままだ。確かに、ひどく悩んだし、迷った。きっと森田だけでなく、064社長や他のトレーナー達も同じことだろう。「それでも」それでも、選んだ。「泰さんといたいと、思ったんです」

「なんで……どうして、そこまでして、あいつに」

呟くような声で、悠斗が疑問を口にする。森田はその、決意したあの日に見ていたものと同じ、しかしそれとはまるで違う横顔を黙って見つめた。悠斗の視線も森田へと向く。

「悠斗くん」

泰生に背を向ける彼に、泰生の背を見続けてきた男は言った。答えを待っている瞳に自分の姿が映っていて、ああ、自分もあの時より随分と老けたものだ、と森田は場違いなことを考える。そんな思いは頭の片隅に追いやって、森田はにっこりと笑顔になった。

「僕と、バトルしてみましょうか!」
「え!? はいっ!?」

あまりに唐突、かつ色々な意味で理解出来なかった森田の台詞に、悠斗は素っ頓狂な声を上げる。「いや、なんでいきなり……」冷や汗を浮かべ、悠斗は狼狽した様子を見せたが、森田は涼しい顔で笑っているままだ。

「いいじゃないですか、誰もいませんし……それに悠斗くんが誰にも怪しまれず、バトルを練習するにはうってつけの相手でしょう、僕」
「それはそうですが、……いや、待ってくださいよ! 森田さんってポケモン持ってるんですか!? そもそも!」
「当たり前でしょ! 自分だってある程度わかってなきゃ、ポケモントレーナーのマネージャーなんてやらないよ。バトル見るの好きだからなりたかったわけだし、それなら多少はやるもんだよ」

そりゃあ趣味程度でしかないけどさ、言いながら森田は立ち上がり、コートの中心へと向かう。「はぁ、そういうもんですか……」状況を飲み込めない悠斗も促されるように立ち上がり、彼に続いて白線の前に足を進めた。ここ数日で何度も立ったその位置についた悠斗を、森田は笑って眺めていた。
「一対一で見せ合いなし。相手は僕ですから、どんどん来ちゃってください!」バトルスペールを挟んだ向こうで森田が叫ぶ。その笑顔を見ているうち、悠斗の気持ちがふっと軽くなった。先程の話の続きは気になるし、昨日の今日で心は暗いままだけど――しかし、やってみよう、とも思えたのだ。
「わかりました」腰のボールに手をかけて、悠斗も叫び返す。「全力でいきます!」

「よし、遠慮なんてしないからね! ……いけ、タマノスケ!!」

「頼む、ミタマ!」

悠斗の投げたボールから現れたシャンデラが、蒼い炎を散らしながら天井まで昇っていく。その向かい、森田の前に走った赤い閃光が描いた形は四つ足の獣だった。僅かばかりの音も立てず、リノリウム張りの床に降り立ったのは、しなやかな身体つきをしたペルシアンである。

「ニャースの進化した奴だ! タイプは、確か……ノーマル…………?」

「そうです! ということは、もうお分かりですよね悠斗くん。シャンデラのミタマにノーマルタイプの技を使っても通じない……だけど、同時に?」

「……こっちのゴースト技も、通じない!」

少しばかり考えて答えた悠斗に、森田は「その通りです!」と嬉しそうに笑った。頭に入れたタイプ相性が間違ってなかったことに悠斗は安堵したが、その先に森田が続かせた言葉に目を丸くする。

「でも、ノーマルだからと言ってノーマル技ばかり使うわけじゃないんですよね。先手必勝、すばやさなら負けませんよ!」

「ねこだましだ、タマノスケ!」森田の放った声と共にペルシアンの姿が掻き消える。目にも留まらぬほどの速さで動いた彼に、悠斗とシャンデラは揃って困惑してしまった。
そしてその直後、驚くべき跳躍力で以てシャンデラの眼前に跳び上がったペルシアンの姿があった。三角の目を光らせた彼は、あまりのスピードに追いつけなかったシャンデラの傘スレスレで、勢いよく牙を打ち鳴らす。至近距離で放たれたその一撃に思わず身を竦ませたシャンデラに、ペルシアンは回した後脚で蹴りを一発かました。

「ミタマ!」

「百パーセントひるみ状態です、何も出来ません! ねこだましはあまり強い技ではありませんが、あくタイプのためゴーストに有効なのと……テクニシャンという、弱い技の威力が上がるとくせいのおかげですよ!」

「どのポケモンにどんなとくせいがあるのか、ちゃんと知っておかないと!」と言う森田の前に、涼しい顔のペルシアンがひらりと戻ってくる。先程の技日怯んでしまったシャンデラは下降し、黄色に光る眼でそちらを睨みつけることしか出来ない。そんな様子にオロオロする悠斗を森田とペルシアンは同時に見遣り、森田は丸っこい目を、ペルシアンは尖った目をそれぞれ細めて「かみつく!」次の攻撃を繰り出した。
実体を伴わないようにも見える、シャンデラの傘にペルシアンの牙が突き刺さる。冷えた空間でガラスを弾いた時のような音が、二人と二匹の他に誰もいない体育館に響き渡った。
しかしその衝撃でシャンデラはようやく動けるようになったらしく、炎を膨らませてペルシアンを遠ざける。上半身を屈めて臨戦状態を保つペルシアンに、シャンデラもまた、身に纏う蒼をより一層大きくして対峙した。地下の湿った空気が、それでも焦げる音がする。

「よし……ミタマ、エナジボール!」

「避けなさいタマノスケ! かわしながら近づいてもう一回かみつく!」

炎を揺らし、シャンデラは幾つもの弾を放つがその全ては軽々とかわされていく。床にぶつかっては弾けて爆発するエナジボール、その衝撃すらもものともせずに、ペルシアンはまたもやシャンデラへと肉迫した。
「何度でも噛みつくんだ! かみついて、みついて」森田の叫ぶ通り、ペルシアンの牙がシャンデラに幾度と無く刺さっては、シャンデラの体力を削っていく。「そこでもう一度、ねこだまし!」もはや満身創痍となったところにあの一発を喰らい、シャンデラは目を瞑って身体を固まらせた。
言葉に詰まる悠斗に森田が言う。「早く次の手を考える! このまま負けていいんですか!?」わかってる。いいわけがない。勝ちたい。しかしどうやって。一瞬の間に沢山の気持ちが悠斗の中を駆け巡る。そうしている間にもペルシアンの攻撃は続き、シャンデラの限界は迫っていく。
どうすれば。何をすれば、これは。

刹那、悠斗の視界が開けたような気がした。
そこには森田もペルシアンも体育館も無い――――ただ、シャンデラだけが映っていた。


「…………いたみわけ!!」


気づいたら声を出していた悠斗がそう言った瞬間、シャンデラの身体を真っ黒なものが覆い隠した。それは影のようで、しかし光のようでもあって、瞬く間に大きく膨らんでペルシアンをも取り込んだ。
途端、甲高い、ペルシアンの鳴き声が二人の耳をつんざいた。そして晴れた視界にいる、幾分闘気を取り戻したように見えたシャンデラと痛みに顔を歪めて縮こまるペルシアンに、森田はどうしてだか、口元をにっと緩ませた。
黒が霧散したその時には、悠斗の口はもう動いていた。「ミタマ」それは意識したことではなく、自然に。
驚くほどクリアになった頭から、直接声が出ているようだった。

「オーバーヒート!!」

限界突破の熱量を持った、恐ろしいくらいの炎がシャンデラから溢れ出す。逃げる暇もなく、その渦に包み込まれたペルシアンは全身を焼き尽くされることを余儀無くされる。長い長い断末魔があがる。真っ青な炎が煙になって消えた時、そこには身体を横たえたペルシアンと、それを見下ろすシャンデラがいた。
「お疲れ、タマノスケ」目を閉じ、床に倒れ伏したペルシアンの頭を何度か撫でて、森田はしゃがみこんだ姿勢から立ち上がる。無意識のうちに息を荒くしていた悠斗の方を見た彼は、そのまま悠斗の方へ歩いてきた。浮き上がって道を開けたシャンデラの横を通った森田と、悠斗は黙って向き合う。


「…………ね、悠斗くん」

「………………はい」


短く言って、微笑んだ森田に、悠斗もまた微笑み返した。その肩、森田にとっては唯一無二の大切な上司のそれを、ぽん、と叩く。
「悠斗くん」ペルシアンをボールに戻しながら森田が言う。「泰さんは、天才です」

「あの人は、間違いなく天才なんです。勿論、僕には想像も出来ないような努力を積んで、とてつもない苦労を重ねてきたことは確かなのでしょうが……それでも、それだけでは決して手に入らない、そういう力を泰さんは持っているんです」

森田の話を、悠斗は黙って聞いている。場の雰囲気を察したか、天井付近で炎を揺らし、シャンデラは静かに彼らの様子を見守っていた。
「悠斗くんも、わかるでしょう」そう言いながら、森田が悠斗に視線を向ける。

「ポケモンバトルに限った話ではなくて、スポーツでも絵でも、音楽でも。泰さんみたいな『天才』は、そうじゃない人が絶対に追いつけない、そんな境地にいますよね」

「……………………」

「文字通り、住んでいる世界が……いえ、きっと、生まれてくるべき世界が違ってしまったのだと、僕は思っています。僕たちには絶対行けない、絶対見れないような世界。天才の人たちは多分、そこに生きるべきで、この世界は本当は違う場所なんじゃないでしょうか」

「だから、」森田は悠斗から視線を外し、どこか遠くを見るような目をして呟いた。「だから僕たちは、あの人たちが輝いて見えるんです」

「そうして、どうしようもなく羨ましくて妬ましくて憧れてしまって憎たらしくて――――理解出来ない、と、思うんですよね」

その言葉に、悠斗は小さく息を飲んだ。
彼はボーカルとしての実力は十分にあるが、天賦の才と言えるまでの素質ではない。無論、それを補って余るほどの技量は持っているし、才能だけが全てという世界というわけではあるまいが、それでも天才的な音楽性に生まれながらにして恵まれたと言うべき存在を目の当たりにすれば、計り知れないほどの不安に陥るのは否定出来なかった。
それに何より――父を、泰生を、そう思っていた。バトルはしないから、それに秀でていること自体については何とも感じない。しかし森田が言ったような『天才であること』、そして『生きるべき世界が違う』ということ。そんな父が悠斗にとってはどうしようもなく眩しくて、時として見ていられないほどに、理解出来ない存在だったのだ。
理解出来ない。その感情は、埋められそうにない恐怖と、理不尽な怒りに結びついていく。だから父親から目を背け、距離を置き、自ら道を違えようという真似をした。


あいつとは生きる世界が違うのだと。自分とは異なる存在なのだと。
関わる必要なんか、少しも無いのだと。
そう言い聞かせて、父親を遠ざけたのだ。

バトルにかまけてばかりで、家庭を顧みないロクデナシだともっともらしい理由をつけながら。


「僕も、そっち側の人間ではありませんから。天才って呼ぶべき人を見るたびに、あーもうどうしてくれようか、みたいな気持ちになってますよ。なったところでどうしようも無いのはわかってるんですが、まぁ、それが、余計に」

口をつぐんだまま、俯いてしまった悠斗を横目で見遣った森田は穏やかに話し続ける。羽沢父子と長く関わってきた彼は、今の悠斗が考えているであろうことも大方の予想がついたが――触れることなく、「泰さんに対しても同じでした」苦笑を浮かべた。

「ポケモンとシンクロしているような、無駄のないバトル。人間全てを受け入れようとしない、冷徹なオーラ。その両方が、あの人を『天才』だと証言しているみたいに見えました」

だから、嫌でした。自分との違いを、これ以上無いくらいに見せつけてくるみたいで。
無人のコートに、そんな声が反響した。それを聞いた悠斗は奥歯を噛む。意味の無いその行為は何も成果をもたらしてくれるわけもなく、やり場のない感情が喉元から抜け出てくれることは無かった。
森田が目を伏せる。「でも」続く言葉が、また響く。

「あの時、わかったんです。泰さんが、カイナの事務所を飛び出した時。幹部とぶつかって、それでも一歩も譲ろうとしなかった時。そうしたって自分は損しかしないのに、それなのに抗議し続けた時」

「わかった、って…………」

「簡単なことですよ。天才っていう人が……住んでる世界の違う人が、自分の世界じゃないこの場所を、本当は生きづらくて仕方ないはずの場所を、守ろうとしていることに」

森田が再び、悠斗の方を向く。丸っこい童顔に浮かぶ笑みは、悠斗の知る限り、いつでも泰生の隣にあったものだった。

「違う世界で生きなきゃならない、それが、違う世界の力を持てた人の背負うものなんだと思います。僕たちが天才を理解出来ないみたいに、きっとあの人たちも、僕たちのことを理解するのが難しい。そんな、何もわからない、何もわかってもらえない、そういうものが、あの人たちが見ている『この世界』なんじゃ、ないでしょうか」

一瞬、森田の目が少しだけ揺らいだ。何かを思い出すようなその瞳に、悠斗は小さな疑問を抱いたが、それに気づいた時には既に元のものに戻っていた。

「だから思ったんです。本当に理解することは無理でも、せめて、少しでも力になれればいい、って。どうすることも出来ない世界の中で、そこに生きる者として、支えていきたいと思ったんですよ。泰さんを、この世界で」

だから、僕たちは泰さんについてきたんです。森田はそう言って、悠斗に笑顔を見せた。父親の仕事仲間として、もう何度となく見てきたはずのそれはしかし、今まで見たもののどれよりも満ち足りていて、はっきりとした笑顔だった。
「ですから、――――」その先に続くはずだった言葉を、悠斗はわかったような気がした。しかしそれが森田の口から語られることはなく、代わりにコートに鳴り響いたのは、少し口ごもった彼のポケットの携帯電話から発された着信音であった。

「す、すみません……ちょっと出てきます…………」

気まずそうに頭を下げなから「あー、はい、もしもし森田です」などと言いながら森田はドアを開けてコートから出ていく。それを見送り、悠斗は小さく溜息をついた。先ほどの、森田の言っていたことが頭の中でリフレインする。
自分のこと、父親のこと。一度気持ちを落ち着かせようと、悠斗は目を瞑った――が。

「マネージャーに勝って、満足してるんじゃないわよ」

つん、とした声に耳を突かれて慌てて目を開けた。片手で押さえたドアの向こうに立っているのは、均整のとれた身体をシンプルなトレーニングウェアに包んだ岬だった。どうやら森田と入れ違いで入ってきたらしい、レパルダスのイラスト入りのロゴを腰元に光らせた彼女は「羽沢さんなら勝てて当然でしょうに」と、わざと挑発的な口調で言う。
「……見てたの…………か」内心慌てつつも、表面上は精一杯の平静を取り繕った悠斗はそんな言葉を返した。「見てたわよ」こともなげに岬も返す。「カメラがずっと動いてるんだから。事務所でリアルタイムのが見れるの」

「それにしても、本当どうしちゃったのよ。この頃全然別人みたいになっちゃって」

「そ、それは」

あながち間違ってない岬の指摘に、悠斗は思わず言葉を詰まらせた。「ちょっと体調不良が続いて」などと適当な言い訳をしてみるもあまり信じてもらえた様子はなく、岬は鼻を軽く鳴らしただけだった。
「それより、見たわよ。あの動画」尖った調子の声が言う。あの動画、という言葉が何を指しているのかを数瞬考え、答えに行き着いた悠斗は口の中が苦くなったような気持ちになった。

「あれは…………」

「何なの、アレ。いつもの羽沢さんと違いすぎじゃない。いつもみたいな、全部わかってます、全部見通してみせます、みたいなんじゃなくて。行き当たりばったりで、しかも何? あんな叫ぶキャラじゃないでしょ」

矢継ぎ早に飛んでくる岬の声に、悠斗の肩身はどんどん狭くなっていく。本当のことだから何も否定できず、彼はただただ黙り込むしかない。先ほどの森田の話が蘇る。
「自分だけは周りに流されません、みたいな顔してるのが羽沢さんでしょ」岬は言う。そうだ、そして裏を返すならば、どう足掻いてもそうはなれないのが自分なのだ。ずっと目を背け続けてきた、そしてこの数日で痛いほどに理解させられた事実が悠斗の中に渦巻いては、黒くくすぶる。父のようにはなれないと。ポケモンバトルだろうがそれ以外だろうが、父のような力はとても持つことなど出来ないのだと。
わかりたくなかったそれが目の前に立ち塞がっているみたいで、悠斗は息が苦しくなる。俯いた彼を、岬はちらりと横目で見て、また視線を逸らした。

「まあ、でも……本当に人が変わったっていうなら」

肩にかかる長髪を手でかき上げた岬の声色が変わった。
それに視線を向けた悠斗の隣で、岬は横顔を少しだけ逸らして、口を動かす。


「……私は、あの動画の羽沢さんがしてた戦い方の方が好きだけど」


「泰さーん! 書類関係でやってほしいことがあるって事務の人が! 上戻りましょー」

ほぼ呟きのような声量で言われたその言葉が終わるよりも前に、扉の外から森田の声が響いてきた。思わぬアクシデントに岬はげんなりとした顔をしたが、「あ、はーい!」悠斗には全く見えていなかったようである。
まあ、元よりくだらない一言だったのは承知の上だ。そんなことを岬は自分に言い聞かせる。羽沢泰生にこんな言葉をかけたところで相手にされないのだろう、いつものように、視線すらロクに向けないで立ち去るに違いない。会った当初からずっとそうなのだ、格の違い、いや、もしかするとそれよりもずっと根本的なのかもしれない違いを見せつけてくるように、この男は自分と相容れないところで生きているのだから。
岬はそう考えて自嘲する。

しかし。


「あ、あの、岬……さん!」

ドアから出ていくその男が、振り向きざまに自分を呼んだ。彼の後を追うシャンデラが起こした空気の動きが、岬の髪を弱く揺らす。

「ありがとう、ございます!」

その時自分に向けられた、『羽沢泰生』の声と笑顔に、岬は呆然と立ち竦み――顔を両手で覆い、先ほどとは違う意味での溜息をついてしまったのであった。





「うん。うん、そうか……良かった。ありがとう」

森田のおかげで、気持ちの晴れたように感じた数時間後。缶コーヒーを片手に、トレーニングの休憩中の悠斗はコートの廊下で電話を耳に当てる。通話の相手は大学にいる富田であり、泰生のことを報告してくれたのだ。その連絡と、内容に礼を告げる悠斗の声が誰もいない廊下に響く。森田曰くの『泰生らしからぬ』喋り方になるため、無人のタイミングを見計らったのだ。
しかし、そこで悠斗は「あっ」と声を上げた。どうした、と電話口の向こうで尋ねた富田に「ごめん、人来たから切るわ」と告げて携帯をしまう。怪しまれないように、と気持ちと表情を切り替えてその人影の方を向いた悠斗は、控えめな深呼吸を一つした。階上の事務所へ雑務を片付けに行ってしまったため、今ここに森田はいない。自分だけでどうにかしなくては、と悠斗の気が引き締まる。

「あっ…………」

その人影――同時に悠斗(くどいようだが見た目はは泰生)の方を見た、064事務所若手ホープにして屈指のヘタレ、というか極度の臆病である相生が震えた声を上げた。その声と整った顔の両方に浮かぶ、恐怖と狼狽と不安と怯えの入り混じったそれに、悠斗は何とも言えない憐憫の情を抱く。相生は自分よりも年上のはずだし、森田に聞くところによると、優しくもありながら頼られキャラでもある先輩、芦田と彼は同い年だという。えらい違いもあるものだ、などと悠斗は率直な感想を得た。
そんなことを思いながらも「相生」と低い声で言葉をかける。それにびっくりしたらしく、相生は大げさなくらいに身体を震わせた。その拍子によろけた彼が、足をもつれさせて壁にぶつかり、悠斗は思わず駆け寄った。

「あ、あの……大丈夫?」

咄嗟に自分本来の話し方が出てしまい、悠斗は内心でしまった、と思う。しかし相生はそれどころではないらしく、顔を真っ青にしてひたすら怯えていた。まともに声も出せないらしいその様子が、自分が相生の肩を支えてやっているせいであることに気づき、悠斗は人知れず傷ついたが、所詮は泰生の顔によるものである。何を悲しむ必要があるのか、と自分に言い聞かせ、「すまない」彼がバランスを取り直すのを確認してから手を離した。

「こ、こちら、こちらこそすみません……あの、ちょっと考え事、を……」
「考え事?」

しどろもどろに弁解する相生に、悠斗は思わず質問する。「いえ、大したことじゃないんです、本当に」と、顔の前で両手を振る彼を数秒眺め、しばし思案した悠斗の口から出たのはこんな言葉だった。

「何か困ってるなら、俺に――」
「えっ?」

半ば無意識に悠斗がそう言っていたのは、相生翼という人間の、驚くまでの弱々しさに何か思うところがあったからかもしれない。自分と数歳しか変わらない彼が背負うプレッシャーや重圧というものを、少なからず自分もそうである悠斗は感じ取ったのだろう。悠斗個人の、元来人を放っておけない性分も影響しているのであろう、彼は気がついたら口を動かしていた。
言ってから、しまった、と思う。相生は泰生のことを怖がっているのだから、今こんなことを言っても彼の不安を余計に増強させてしまうだけだろう。「あ、いや――」悠斗が慌てて取り繕い、言葉にならない言葉で場をやり過ごそうとする。

「え、あの……羽沢、さん?」

完全に動揺しているらしい、バチュルのような目を向けてくる相生に「いや、何でもないんだ」と悠斗は適当なことを言う。
明らかに違和感を覚えられている。入れ替わりなどという突飛な発想に、まさかよりにもよってこの相生が行き着くとも、また不審に思って探りを入れてくるとも考えがたいが、余計なタネを蒔くわけにはいかない。
どうにか都合の良い解釈をしてもらえないものだろうか、と祈る悠斗に、相生はひたすら目を白黒ている。気まずい沈黙がしばらく続いた後に「あの――」口を開いた彼の言葉を耳にした悠斗は、何度か瞬きを繰り返した。

「もしよければ、聞いていただけますか」


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