マサラのポケモン図書館 カフェラウンジ2F(長めの作品用)
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  [No.927] 怪しいパッチ:6 投稿者:リング   投稿日:2012/03/24(Sat) 23:32:49   56clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

-6-

 この人は……いったい何者なのでしょうかね。喋り始めると一言が長いわ、言うことが常軌を逸しているわで……。
 看護師からの情報によれば彼女はチクナミ大学の出身でしかも博士号だとか。チクナミ大学と言えば、街ごと教育機関が点在するような巨大な大学だと聞きましたが、その学校で博士号を取った方は皆がこのように変な性格をしているのでしょうか? こんなことなら恩返しに来なければよかったかもしれません……が、せめてこの人の満足いくように頑張らなくっては、知識の神としての示しは付きません。その上、途中で投げ出したらアグノム連中に笑われるでしょうし……ここは、初志貫徹、有言実行と行きましょう。

「ところでだ、メロンパンよ」
「は、はい!!」
「お前の本名は何だ? 無いならこのままメロンパンと呼ばせてもらうが」
 い、今さらですか? 私の名前の有無にかかわらずメロンパンと呼び続ける雰囲気すら漂っていたというのに……この人はもう!! 大体、名前を知らないならばユクシーって呼べばいいじゃないですか

「私の名前は、ラマッコロクルです。シンオウの古い言葉で……」
「『知恵者』、という意味であろう? ふむ、相当昔の生まれかな? それとも代々その名前を受け継いできたのか……お前はどれほど長く生きてきたのだか……という話だな」
「かれこれ1000年ほど……代々名前を受け継いできました……私で6代目です」
「ほう、なるほど。流石に神話に登場するだけの事はある。1000年で6代とは長い寿命だな。まぁ、私はお前ほど長い寿命は持たぬから、私が年老いた時はきっちり介護してくれよな」
 ちょっとぉ! 私、貴方の介護するところまで計画されているのですかぁ? そりゃ恩を返すとは言いましたけれど、そこまで長い目で見るのって厚かましい気がするのですけれど……えぇい、有言実行だぁ。あんたの短い寿命ぐらい最後まで付き合ってやろうじゃないか。
「よし、メロンラマッコロクルよ」
 訳の分からないパンの名前と私の名前をくっつけないでください!!
「それでは、さっそく家に入るがよい。汚い家だから気兼ねなく土足で構わないからな」
 いや、私は浮いていますけれど……床を汚す土も付いていませんが。
「さぁ、ただいま自宅警備員達よ」
 おや、この人はポリゴン2を大量に飼っているのですか……1・2・3……5匹。ポリゴン2に挨拶したエミナは冷蔵庫ほどの大きさがある謎の機械のディスプレイを覗いて溜め息をつきましたが……いったいあれは何でしょうか?
「レプの感情は……ふむ、ダメか。これは私達が家に来てから私達の感情を捉えたに過ぎぬな」
 レプ……という事は、このポリゴン達の名前はシネ(1)・トゥプ(2)・レプ(3)・イネプ(4)・アシク(5)……ですかね? 感情がどうのこうのと言っていましたが……あのポリゴン2に一体何をなさっているのでしょうか?
 いや、それよりもこの家……

「どうだ、メロ……ラマッコロクルよ」
 コラッ!! いつまでメロンパンを引きずる気なんですか。
「そうだ、すごい家だとは思わないか? 見ろ、この家はお前の足で汚れるどころか、お前の足のほうが汚れるだろう? いやぁ、かれこれ一カ月以上掃除していなかったかな? みろ、冬のスタリの毛はかなり長いからな、真っ白なので落ちているとよく目立つ」
 そう思うならば、掃除してください! まぁ、今日から私が掃除するのですけれどっ!!
『いやぁ、言っている場合かって話しですよね?』
 そう思っていると、スタリさんが私に話しかけてくる。あぁ、本当にスタリさんの言う通り。馬鹿な飼い主を持ちましたねぇ。

「で、では掃除します……掃除機や雑巾などがある場所はどこでしょうか」
「雑巾はあっちだ。掃除機はあの棚の中に入っているよ」
 エミナがスッと指さした先に洗面所がある。とりあえず、バケツや雑巾での掃除も大事だけれど、真っ先にやるべきは掃除機をかけないと。この汚すぎて不衛生すぎる家は、私の住処の澄んだ湖とは似ても似つきません。
 パルキアのように喘息などで呼吸に支障をきたすと、自身の能力が低下する……というような事はありませんが、仮にも伝説のポケモンが喘息でダウンとあっては示しがつきませんから、可及的速やかに掃除せねばなりませんね。
「ふむ、それではお掃除を頑張ってくれたまえ。私はスタリを連れて作業室にこもるのでな……何かあったら声をかけてくれよな、メロンパン。おっと、その前に食料が凍らぬ*5ように冷蔵庫に入れねば」
 あの、私はメロンパンではなく……ラマッコロクルですけれど。

『よろしくね、ラマッコロクル。私はスタリ』
「あぁ、スタリさん。私を歓迎してくれるのですね、ありがとうございます。これからよろしくお願いします」
 やはり、エミナに比べるとこのキュウコンは幾分かましなようで、常識的な面があるようです。しかし、いくら常識的な事が欠け落ちているとしても、スタリさんが特に不満を抱いている様子が無いということは……このエミナという人間、やはり悪い者ではないのでしょう。
『貴方の血、美味しかったから機会があったらまた舐めさせてね』
 スタリさん……怖いのですけれど。やっぱり、飼い主ともどもまともではない御様子。
 さて、コンセントは……何処でしょう? この生活感の無い家ですからコンセントは少なそうですが……コンセントが……無い、無い……どうなっているのですか!! コンセント探すのに2分かかる家なんて、あり得るのですか全く!?
 えぇい、埒が明きません。このまま探し回るよりも、聞いた方が早い!! そうに違いありません。


「ふむ、コンセントとな? 確かに……私ですら何処にあるか忘れるくらいだ。お前が見つけられぬのも無理はない」
 どんな生活しているのですか貴方は? 確かに使わないものは忘れるでしょうけれど、それにしたって自分の家のコンセントの位置を忘れるなんてひどすぎるでしょうに。
「まぁ、案内してやらんでもない。どうせ、少し放っておいたくらいでは食材は凍らないのだからな」
 まったく……この人の生活感の無さにはほとほと呆れますよ。
「ふむ、コンセントは何処にあったかな?」
 探さないでください!! もうちょっと迷わずに差し込むくらいのすばやさを見せてください。
「よし、あったぞ。そら、ラマッコロクルパン」
 パンじゃないです……しつこいです。っていうか、家具と壁の隙間どころか家具と床の隙間にあるってどういう事ですか? イレギュラーすぎるでしょう!!

「これで何の憂いもなしに掃除機を起動できるはずだ」
 ほ、やっとですか……ってこの掃除機……
「あの、フィルターを取り替えろってランプがついてありますが……」
「ふむ、フィルターか……そんなもの家にあったかな? コーヒーのフィルターならあるのだがな……そういえば掃除機のフィルターは何年前に取り換えたかな?」
 ブラックハウスのお手伝いをしていますが、私はもう限界かもしれません。

*5:寒冷地では、冬の間食料を凍らさないために冷蔵庫を使う


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