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  [No.566] 第4話 フルバトルその1 VSロット 投稿者:マコ   投稿日:2011/07/05(Tue) 19:09:49   52clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

一人の若者と一人の老人がある部屋に入ると、そこには砂浜、そして海が広がっていた。
「この潮のにおい……わたしが生まれた場所に似ている……」
「……」
静かに語る老人、ロットの話を、青年……カワニシは黙って聞いていた。
「我らが主、ゲーチス様は、出会った時からわたしの望みを理解なさっていた……他人の望みや意思を理解する能力は、この世界を生きる上で大切な能力……そして、その能力を生かすことこそ、完全な世界を得るための計画の一端……」
「それやったら、何で議員の人達を消したん?矛盾しとるようやけど……」
「彼らにはその能力が足りなかったということ。見たところ、お前よりもずいぶんと年をとっているのにも関わらず、な」
「……それは、あんたのエゴやろ?あの人らが話すことは、まああんまりええものではないけど……それでも、居るべきちゃうん?」
「……我らの崇高な目的が、伝わらないということか」
「崇高って言うても、俺には理解し難いねん。伝わらないっていうか、合わないんかもしれへん」
「ならば、実力をもって押さえつけるまで!」
仮想空間に展開された砂浜で、バトルの火蓋は切って落とされた!!


ロットの一番手は岩山ポケモン、レジロック。対するカワニシの最初のポケモンは、彼の一番のパートナーであるドレディアだった。
両者が対峙してすぐに、岩山ポケモンの周囲に尖った岩が出現し、あっという間に花飾りポケモンを取り囲もうとした。しかし、彼女はそれをことごとく必中の葉で砕き、攻撃が来ないと見るや踊りだす。神秘的な蝶の舞を。
それを見て、老人は指示を行った。
「電磁砲」
岩山ポケモンの方も蝶の舞をただ見ているだけではなかった。その間にロックオンで狙いを定め、必中となった攻撃を当てたのだ!
草タイプである彼女は、もともとの相性の良さと蝶の舞による強化が味方してか、電気の大技でダメージをそう食らわなかったが、痛いことにマヒを起こしてしまった!
「……動きを制限されたってことやな。やけど、ここで一気に決めとかなアカン!ドレディア、花びらの舞!!!」
蝶の舞により強化された花びらたちは、意思を持つかのように目の前に佇む大きな岩に向かい、確実に傷をつけていった。そして、さらに、
「ギガドレイン!」
最後の一押し、と言わんばかりの吸収の技が決まり、とうとう岩山は倒れた。


次いでロットが出してきたのは黒鉄の体のポケモン、レジスチル。ドレディアでは有効打を打てずにあっさり倒されるのがオチだ。それに先程の戦闘のダメージもバカにならない。そのため、花飾りポケモンを引っ込めたカワニシは、代わりに火の粉ポケモンのバオッキーを出した。
場に出てきた火の猿は、あっさりと鈍重な黒鉄に近づくと、口を大きく開いて欠伸を行った。ふわあ、という音もはっきりと聞こえるくらいだ。
それに気付いてか気付かずか、老人は指示を行った。
「ド忘れから、鉄壁」
ただでさえ堅い守備をもっと堅固にしようと考えたのだ。

しかし、覚えているだろうか。先の欠伸のことを。

ド忘れは無事に発動したのだが、鉄壁を行おうとした瞬間に、

ドッスーーーン!!!

黒鉄ポケモンが倒れて動かなくなったのだ!口がどこにあるかは分からないが、ご丁寧に寝息まで立てていた。
「お前、一体、何を……」
「欠伸、ようやく効果が出たみたいやな。時間差でそっちを眠らせてん」
レジスチルにイビキや寝言といった対策技があれば、ここから展開を変えることができたかもしれない。交代させれば効果が発動しなかったので、そうすれば良かったのだが、もう遅い。更に、対抗できそうな技がなかったために、何もできない。反撃をされない状態の火猿は容赦なく炎を吹き付けた。
大の文字を形どった炎が黒鉄を燃やし、とうとうそいつは反撃する間もなく倒されたのであった。


ロットの3番手は氷山ポケモンのレジアイスだった。対抗してカワニシはドリルポケモン・ニドキングを出した。
「……愚かな。氷のタイプを持つポケモンに、地面のタイプで挑もうとは」
「あんまり高をくくって欲しくないなあ。相性不利でも、逆転可能ってよう言うから」
氷山ポケモンは、相性が有利なのをいいことに、一撃で倒そうと吹雪を放った。
しかし、大きな体に似合わぬ反射神経をいかんなく発揮したドリルポケモンは、それをあっさりと回避し、反撃の炎を撒き散らす。あっという間に、レジアイスは瀕死寸前まで追い込まれた。
「ここまでやるとは。……こうなったら、……道連れにしてやるっ!!!」
「マズイ……!」
突如、レジアイスが光り出したのだ!それが何を指すか、分かったカワニシは急いで指示を発した。
「ニドキング、守れーっ!!!」
そのまま、爆風が一面にブワッと広がり、場の様子が分からなくなった。

モクモクとした煙が晴れ、そこにいたのは、

傷らしい傷を負ってはいないニドキングと、倒れこむレジアイスだった……!


ロットが4番目に出してきたのは、場を覆いつくしてしまいそうなくらい大きな浮きクジラ、ホエルオーだった。
(でか過ぎる……どう攻めようか……)
迷った末にカワニシが選んだのは、サンダースだった。

ポケモン最大級の大きさを誇る浮きクジラは、潮吹きを行い、小さな雷ポケモンを一瞬のうちに倒そうとした。水は容赦なく、その黄色い獣に当たった、かのように思えた。

しかし、そこにいたのは、怪獣のような、もふりとしたぬいぐるみ。
「まさか……」
とっさの回避だった。身代わりに騙されたともとれる。
本体はどこなのか、ロットが血眼になって探していると、突然、ホエルオーはものすごい量の電撃に当てられ、墜落していた。
探していたサンダースはホエルオーの背中に乗っていたのだ!
「ようやったな、サンダース!」
身代わりを行った影響で若干フラフラしていた雷ポケモンを、カワニシは優しく撫でてあげた。


こうなるとロットの方にも焦りが見えるのは明白だ。自分はあと2匹。対する青年は、まだ万全とは言い切れないが、6匹残している。
ここで老人が出したのは、赤の体を持つ夢幻ポケモンのラティアスだった。迷うことなく、青年は大ボスポケモンのドンカラスを場に送り出した。


さすが、大ボスというだけあって、プレッシャー特性を持っていないながらも、ドンカラスの威圧感はすごいものがあった。怯えの表情を見せるラティアス。
しかし、両者ともすぐに戦闘モードに切り替わり、攻撃に次ぐ攻撃の応酬を繰り広げることとなった。
竜の波動に悪の波動、ドラゴンクローに辻斬り。一旦間合いをとって瞑想に悪だくみ。トレーナーの指示なしで、激しく攻防が繰り返され、そして、

ヒュルルル、……ドシャ、

落下してきたのは、……夢幻ポケモンの方だった。


ロットの最後の1匹は、ラティアスと対になる存在の夢幻ポケモンのラティオスだった。
一方のカワニシは、最後のポケモンに、2枚貝ポケモン・パルシェンを据えた。
「こんな鈍重な貝が、幻のポケモンに勝てるはずはない!お前、勝負を捨てたか!」
「ナメんといてほしいねんけど。伝説とか関係ないで」
素早さで勝る青の竜は、破壊力満点の光・ラスターバージを繰り出す。さらに10万ボルトも追加する。
しかし、大量の棘を持つ2枚貝は殻を固く閉じることで強力な攻撃を受け切ったのだ!
そんなことが数度続き、夢幻ポケモンに疲労の色が見え始めたところで、パルシェンは反撃の狼煙を上げた!
「殻を破れ!!!」
すると、棘だらけの貝の薄皮にヒビが入り、パリーンという音とともに割れた!
そして、その薄皮が氷の針を形作り、
「連撃を決めろ!氷柱針!!!」
ラティオス目がけて大量に飛んでいった!
「フッ、氷柱針は一撃の攻撃力なんぞたかが知れている。そんなもので倒せると踏んだのか」
ロットはカワニシが殻を破るからの氷柱針のコンボを敢行した意味を知らなかったのかもしれなかった。
「おじいさん、タネを教えたろうか。殻を破ることで、結果的に守りは犠牲になったけど、攻撃と速さは一気に上がってん。ほんで、俺のパルシェンの特性は『スキルリンク』。氷柱針も最大回数ヒット可能や。これでもたかが知れているって言えるん!?」
「!!!!」
ロットの視界の片隅で、ラティオスが力なく墜落していくのが見えた……。


「わたしの完敗だ……この鍵を受け取ってくれないか」
ロットはカワニシに何かの鍵を手渡した。
「これ、は……」
「先に進むのに必要なものだ。向こうに見えるあのドアをこの鍵で開くと、勝負を終えたお前の仲間達と再会できる。6人揃ったなら、お前達が先に行かせたあの女と再会できるかもしれない」
「!!!!」
大事な情報を聞きとったカワニシはドアの元に向かい、施錠を解き、先を急いだ……。

七賢人完全撃破まで、あと、5人。


次に続く……。


マコです。いよいよバトル。
七賢人のポケモンのほとんどは、トレーナーから奪った希少なポケモン。
ですが、それを一般的なポケモンで打ち破る。
これはなんとも言えず、カッコイイです。
次に出る七賢人は誰でしょうね。
ヒントは……「しょあっ!!!」


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