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  [No.572] 第5話 フルバトルその2 VSアスラ 投稿者:マコ   投稿日:2011/07/08(Fri) 12:35:16   36clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

先程とは打って変わって、うっそうと茂る森の中。
そこに入った青年、ハマイエは戦うべき老人がいないことに妙な疑問を抱いていた。
「七賢人とかいう奴……どこ行ってん……まさか、逃げた、とか……」
そんなことを言っていると、背後から大声がした。

「しょあっ!!!」

誰だって背後から大声を出されると驚くものだ。彼も例外なく驚く。なんなら、驚きすぎて膝から倒れたくらいだ。
「ハア、ハア、びっくりした……」
「驚きましたか!?我々に挑もうとする青年よ。……おっと、紹介が遅れましたね。わたしは七賢人が一人、アスラ。相手をこうして驚かせることで、心の隙を作るのですよ。その隙に日本という国を掌握しようとしたのですが……あなた方のように反逆する人がいますとはね。容赦なく叩き潰させていただきますよ!」
「とりあえず、お前みたいな卑怯な奴には負けるかあっ!!」
こうして、戦いの幕は上がった!


アスラが先発で出してきたのは、ジョウトという地方を駆け巡るポケモンのうちの1匹で、雷を司るライコウ。対して、ハマイエが出したのは大きく毒々しい色のメガムカデ、ペンドラーだった。
「スパークで鈍重な虫を仕留めてあげなさい!」
先に動いたのはいかずちポケモンの方だった。体に眩い電気を身に纏い、一直線にぶつかっていく。
しかし、アスラはペンドラーの素早さを確実に勘違いしていた。
このメガムカデ、大きな体を持っている割に素早い動きができるのが売りなのだ。決して鈍重ではない。むしろ、ライコウの足に追いつけそうなくらいだ。無論、スパークはあっさりと回避された。
「なっ!?」
「そろそろやな。嫌な音を思いっきり響かせろ!!」
ギュイイイイーーーン!!!
ものすごい音が響き、いかずちポケモンは動きを一瞬止めた。その隙を見計らって青年は指示を飛ばす。
「どくどくをかませ!!」
ムカデの口から紫色の液が飛び、しっかりと雷獣にかかった。苦しそうな表情を浮かべるライコウ。
それでも、攻撃は行う。放電によって広範囲に広がった電撃はムカデにヒットしていた。
しかし、猛毒は体を蝕んでいく。この場合、じわりじわりと、時間を経るごとに毒のダメージは倍加していくのだ。
「ここで決める!ペンドラー、ベノムショック!!」
指示が飛ぶやいなや、ムカデから特殊な毒液が振り掛けられる。それを、まともに食らってしまったいかずちポケモンは悶え苦しみ、とうとうノックアウトされた。
「ベノムショックがこんなに強いとは……」
「毒の状態をかけといたからな。威力が倍になってん」
「……まだ1匹目です。あなたをこれからいたぶってあげましょうか!!」


老人が出してきた2匹目はエンテイ。炎を司る、ジョウトを駆けるポケモンの1匹だ。一方の青年は、この世で最も美しいと称される慈しみポケモンのミロカロスを出した。
火山ポケモンは登場してすぐ、佇む海蛇に火炎放射を見舞った。
しかし、その炎は相性を含めた技の効果によってほとんど効果のないままに終わる。いつの間にか、辺りは水浸しになっていた。海蛇の体も、水で濡れて何とも言えず、美しくなっていた。
「水遊びで炎を緩めたというわけですね」
「そういうこと。ミロカロス、そこからアクアリングを!」
さらに慈しみポケモンの周囲に水の輪が出現する。火山ポケモンは攻め方を変えざるを得なかった。
「ならば、神通力!!」
不可視の念の力がごう、と巻き起こり、攻撃を行おうとした海蛇を怯ませる。それでも、ぷかぷかと浮かぶ水の輪は攻撃を受けるたびにミロカロスにさらなる体力を供給し続ける。もともとの防御に自信のあるミロカロスを、エンテイはなかなか打ち崩せない。
そして、ここまでじっと耐えていた海蛇から、容赦のない一撃が飛ぶこととなる。
「ハイドロポンプ!!!」
彼女の口から激しい水流が迸った!その水流はしっかり命中し、仮想空間の木々をバキボキと何本かなぎ倒しながらエンテイを吹き飛ばし、とうとうノックアウトにまで至った。


3匹目にアスラから出されたポケモンはスイクンだった。それを見て、ハマイエは新たなポケモンを出した。彼の一番のパートナー、エルフーンを。
「一撃のもとに沈めてあげましょう!オーロラビームを発射してあげなさい!」
「悪いけど、先に行かせてもらうわ。エルフーン、綿胞子!!」
風隠れポケモンの動きは速かった。オーロラポケモンが虹色の光をためる前に、もうすでに体の綿を膨らませ、其処ら中にばらまいたのだ!纏わりつく綿達にスイクンがやきもきしていると、今度は黄色い粉が降ってきた!それは痺れ粉だった。
イタズラ心の特性を持つ風隠れポケモンの、変化技をふんだんに使う攻めはトリッキーと言えよう。
さらに嘘泣きまで追加されたものだから、スイクンにとってはたまったものではない。
「くっ……こうなったら……吹雪を仕掛けなさい!」
突然、冷たい風がびょう、と吹いて、風隠れポケモンに襲い掛かってきたのだ!この時ばかりは避けきれなかったようで、ふわもこの綿が一部凍ってしまっていた。嘘泣きで特殊攻撃力を大幅に削いでいたことがラッキーだったようだ。
「ちっ……簡単には勝たせてくれへんわけか」
「そういうことです。もう一度吹雪でなぎ倒してあげなさい!!」
そのまま、先程より強い冷気がエルフーンに襲い掛かってきた、が……

大技でも、当たらないと意味がない。空しく回避されるに至った。
「今度は、こっちが……!エルフーン、エナジーボール!!!」
飛び上がった風隠れポケモンの周りに、無数の緑色の生命の力がめぐり、それらはすべてオーロラポケモンに命中したのだ!
スイクンはそのままバタリと倒れ、ノックアウトされた。


4匹目に老人の手によって出されたポケモンは、シンオウの大地を飛び回る三日月のポケモン・クレセリア。対して青年が送り出したのはとうじんポケモンのキリキザン。
先に動いたのはクレセリアだった。ここまでハマイエに変化技で散々苦しめられているアスラは、変化技の効果を避けたい、とばかりに神秘の守りと白い霧を繰り出す。
「じいさん、妨害だけが変化技やないってこと、教えたるわ。剣の舞を踊れ、キリキザン!」
白い霧は相手の能力降下技を躱せる技である。神秘の守りは状態異常を防ぐものだ。先のエルフーンになら、この戦法をとって勝てたかもしれない。
しかし、目の前にいるとうじんは、自分の能力を高めることで障壁を意に介さないものとしていた!攻撃力を高めた悪鋼のとうじんの前には、耐久力に優れているとされる三日月の幻のポケモンもただの無力な存在と化していた。
「辻斬り!!!」
黒いオーラを纏った刃はクレセリアを一閃し、その一撃のうちにノックアウトさせた。


5匹目にアスラが送り出したポケモンは筋骨ポケモンのローブシンだった。対して、ハマイエは独特な形状の鳥もどきポケモン・シンボラーを出した。
先に動いたのはシンボラーだった。星や宇宙の力をその身に与えるコスモパワーを行い、光に包まれつつ守りを重ねることにしたのだ。それに対し、両手にコンクリートの太い柱を持つ筋骨ポケモンは、高い集中力から放たれた気合いパンチで鳥もどきを打ち据えた!
しかし、格闘のダメージは相性によってかなり軽減された上、宇宙の守護によってさらにダメージを抑えられる結果になったため、攻撃の割にはシンボラーはピンピンしていた。
それを見たアスラは次の指示を飛ばす。
「ストーンエッジで浮かぶ鳥を落としてしまいなさい!」
「させるか!サイコキネシスで押し返せ!」
鋭い石のかけらは、次から次へと鳥もどきに向かっていくが、それらはピタリとストップし、逆にローブシンを襲う結果となった。さらに波及していく念動力に、さすがの筋骨ポケモンも白旗を上げざるを得なかった。


アスラが最後に出してきたのは、怠けてしまってはいるものの強力なパワーをその身に秘めているケッキング。一方のハマイエは、最後を託すポケモンとして、手掴みポケモンのヨノワールを出した。
「あなたが幽霊のポケモンを出した時点であなたは負けるのですよ」
「何でそう言い切っとんねん」
「だって、あなたは幽霊に指示を出せないという心の弱さを持っているのですからね」
「……お前が、いつの話をしとるんか知らんけど、俺はお前が言う通りの奴やないからな!!」
ここで先に動いたのはものぐさポケモンの方であった。隠し持っていた大きな球体をドスッという音とともに投げつけてきたのだ!「投げつける」によってヨノワールに降ってきたものは黒い鉄球。人間がまともに食らったら気絶してしまうだろう。
攻撃を終えて、特性の効果でだらりと怠けているケッキングに向かって、ヨノワールはある技を発した。それは……

「ヨノワール、呪いを使え!」
指示するなり太い釘がグサグサと、何本も手掴みポケモンに突き刺さるではないか!
「自分を傷つけるだけの技を、何故簡単に行える?」
「それだけの技と思うな!!こっちだって考えとんねん!!」
ハマイエの言葉に、アスラがケッキングの方を向いてみると、ケッキングは、

苦しそうに荒げた息を発していた……!!

「ここで鬼火を出してくれ!」
苦しみに悶えるものぐさポケモンに追い打ちをかけるが如く、怪しい炎がふわりふわりと舞い、そして燃やした。火傷と呪いのダブルパンチが容赦なくケッキングを追い詰める。さらに攻め手を緩めぬハマイエ。だいぶ弱ってきたところを見て最後になるであろう指示を飛ばした。
「ヨノワール、ここで決めるで!気合い玉!!!」
橙色のフルパワーの塊がものぐさポケモンを覆い尽くした……!!


「わたしはあなたの心の隙を作ろうとしましたが、むしろわたしがあなたに心の隙を見せてしまったようですね……わたしの負けです。これを受け取りなさい」
ハマイエはアスラから、勝利の証となる鍵を受け取った。
「こいつでどこの鍵を開けるん?」
「あなたの目の前のドアです。……あなたは強かった……さあ、先へ行きなさい!」
アスラに送り出され、ハマイエは扉の施錠を外し、先へと進んだ……!

七賢人完全撃破まで、あと、4人。

次へ続く……。


マコです。
変化技をふんだんに使ってのバトル。
猛攻撃型の自分にとっては羨ましい限りです。
二人目の七賢人も撃破です!
次回の七賢人のヒントは……「海内存知己 天涯若比隣」。
読み方と意味も次回、一緒に出します!


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