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  [No.666] 第8話 フルバトルその5 VSリョクシ 投稿者:マコ   投稿日:2011/08/27(Sat) 17:40:53   43clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

ここは仮想空間の中の砂上の楼閣。そこにいた青年、アキヤマの目の前に、プラズマ団の下っ端が1人、立ち塞がっていた。
「この反逆者め、お前をこれ以上先に通すわけにはいかねえんだよ!」
「……何言うとんねん、お前。そっちの方が邪魔やねんけど」
「うるせえ!!もう話が通じねえみてえだな!叩き潰してやるから覚悟しやがれ!!」
そう言うなり、そいつは真っ赤なワニ型の威嚇ポケモンを繰り出してきた!!
「よし、ワルビアル、地震……!?」
下っ端は指示を出そうとしたが、その前に勝負がついていた。ワルビアルが地震を繰り出す前に、ジャローダのリーフブレードによって倒されていたわけだ。目を回している威嚇ポケモンの上で、ロイヤルポケモンはフン、と鼻を鳴らしていた。
「指示が届く前に倒したったからなあ。それはそうと……、お前、他のポケモン持っとんの?」
アキヤマがそう言うと、下っ端の顔色が蒼白になっていき、そして、真っ青な彼はこう言い放ったのだ!
「うわーっ、弱い俺のバカバカバカ!もひとつおまけにバカ!可愛く言ってアンポンタン!!」
アキヤマは呆然としていた。ジャローダも驚きを隠せない。
「そんじゃ、俺はこれで……」
「おい待てこら」
その隙に逃げようとした下っ端であったが、ジャローダが伸ばした蔓のムチによって捕縛され、アキヤマの所に連れてこられた。
「七賢人の場所を吐く前に逃げるとは、お前ええ度胸しとんなあ……」
「ひいい、すみませんすみません!!これではリョクシ様に申し訳がたちませ……」
その時だった。老人が1人、いつの間にか姿を見せていた。
「リョ、リョクシ様!こいつが反逆者です!」
下っ端はアキヤマを指してこう言うが、リョクシというその老人は聞く耳を持たなかった。
「……その前に話すべきことがあろう。お前がそこの男に負けたということを」
「……すみませんでした!!!」
下っ端はすぐに土下座していた。老人はその様子を横目でちら、と見て、青年に言う。
「わしの部下が見苦しいことをしたな……、青年よ、わしはお前に、きっと負けるだろう。だが、それでも真剣にお手合わせ願いたい。良いか?」
「……?良い、ですけど……」
七賢人の口からそのような言葉が出るとは、意外でしかない。しかし、人として、そんな決意を述べられた以上は、それに応えてあげないと失礼なものだ。


リョクシがトップバッターとして出したのは、イッシュで非常に珍しいポケモンとされているてっしんポケモン・コバルオンだった。それに対し、アキヤマはゴルーグを出した。それを見た瞬間、リョクシは若干顔をしかめた。ゴルーグには格闘技が通用しないからだ!
しかし、すぐに考えを切り替えたリョクシは、コバルオンに鋼の頭による頭突き、アイアンヘッドを指示した。動きが若干鈍重なゴーレムポケモンに、着実にダメージを積算させていく。
それでも、ゴルーグも負けじと地震を放つ。重量感あふれる巨体から放たれる揺れは、てっしんポケモンが思わず、膝をついてしまうくらいだ。そして、その隙を見逃すまい、と、アキヤマは指示を飛ばした。
「アームハンマー!!!」
ゴーレムポケモンが腕を振り下ろすドッスーン!!という音とともに、コバルオンは力なく倒れていた。


次いで老人が出したのは、コバルオンと同系列で語られる草原ポケモンのビリジオン。青年はそれを見て、ヘルガーを出した。
お互い弱点を突くことができるが、ビリジオンの特性、正義の心によって悪タイプの技は相手を強化してしまうために、ヘルガーは主に炎で攻める他なかった。
そして、ビリジオンと比較すると小柄なヘルガーは、最初に素早く小さな炎を繰り出していた。
それは、鬼火だった。
ダメージを与えるほどの技ではないが、しつこくまとわりつき、草原ポケモンの体に火傷を重ねていく。草原ポケモンが、ダークポケモンの弱点である格闘の物理技である聖なる剣を繰り出しても、攻撃力の落ちたそのツノではまともな傷を与えられるはずがなかった。逆に火炎放射の波状攻撃を食らったビリジオンは、ほぼなすすべなく倒れた。


3匹目としてリョクシが出したのは炎の蛾、ウルガモスであった。羽から炎の粉がいくつもこぼれ落ちるほど、火の蛾は威勢が良いらしい。一方、アキヤマが送り込んだのはエルレイド。礼儀正しいこのポケモンは相手に向かって一礼すると、戦闘態勢に入った。
刃ポケモンは心の刃を具現化して相手に叩きこむサイコカッターでウルガモスを攻める。
一方の太陽ポケモンは、それを甘んじて受けつつも、蝶の舞で速さと、さらなる攻撃力を得ていた。
「攻撃するたびに強くなる炎の力を受けてみろ、炎の舞!!」
先程の蝶の舞は「補助の踊り」であるが、こちらの舞は「攻めの踊り」だ。踊るたびに炎が宙を舞い、刃ポケモンに降り注ぎ、いくつかの炎は太陽ポケモンに還り、また強くなる。
脅威でしかないその攻撃ではあったが、太陽ポケモンが見せた一瞬の油断を、刃ポケモンは見逃さなかった。アキヤマの指示が飛ぶ。
「ストーンエッジをぶち込めっ!!!」
一撃に力を込め、尖った石をぶつけていったのだ!この攻撃には、いくら強い炎の蛾といえど、白旗を挙げざるを得なかった。ウルガモスにとって、岩の属性は最大の弱点、というわけだからだ。


リョクシが繰り出した4匹目はギャラドスであった。攻撃力が高く、手懐けることが難しいポケモンとしても知られる。それに対し、アキヤマが出したのはライトポケモン・デンリュウであった。
両者出揃ったところで、凶暴ポケモンはライトポケモンの戦意を削ぐ咆哮を発した。威嚇の特性効果である。さらに竜の舞まで踊っていた。
しかし、このデンリュウは結構図太い精神の持ち主なのかもしれなかった。咆哮を意に介さず、電気を含ませた綿を発射する。進化前のメリープやモココは体表に綿があるため、そこから生み出されていると分かるが、デンリュウのどこに綿の産生器官があるのかは分からない。そんな、どこから出したかも分からない綿は、ギャラドスにしっかり貼りつく。
さらに、綿に含まれた電気が水・飛行タイプの凶暴ポケモンにかなりのダメージを負わせていたのだ!
そんな大ダメージを受けながらも、竜の舞によって強化された、水を纏った尻尾によるアクアテールをデンリュウに食らわす。
2撃目のアクアテールを凶暴ポケモンが撃ち込もうとしたその時だった。

ギャラドスの周囲に、キラキラ光る宝石が舞っていた。リョクシは思わず、何事か、と注視していると、
「パワージェム!!」
宝石は意思を持って凶暴ポケモンに襲いかかり、ノックアウトさせていた。
「そんな技まで使うとは、大したものよ」
「この技は相手の不意を突けそうやからな。意外なとこからの攻め、という分にはええかな」


老人の手持ちは後2匹。そのうちの1匹、ノクタスを出してきた。青年はそれに対し、エンペルトを出す。
3本の伸びたツノが王者の風格を醸し出している皇帝ポケモンは、カカシ草ポケモンに向かって冷凍ビームを発射する。普通の攻撃より早くその攻撃はノクタスに到達し、腕の一部を凍らせていた。
「これはすごい威力。それならば……砂嵐を起こせ!」
カカシ草ポケモンを中心として、砂がフィールドを覆った。砂隠れの特性を持つノクタスにも、鋼タイプを持つエンペルトにも、砂嵐によるダメージはないが、厄介な砂隠れの効果が発動し、カカシ草の回避の力が上昇していた。
これをチャンス、とばかりに攻め立てるノクタス。ニードルアームやリベンジといった技を食らわせていく。
それらの攻撃に、エンペルトは耐えていた。
「反撃をしてこない、とは……何を考えているのか?」
「よし、そろそろ……やな。エンペルト、我慢を解放!」
「そういうことか!!!」
今まで食らったダメージを解放とともに倍返しにする我慢のパワーにより、ノクタスは大ダメージを受けて吹き飛ばされていった。そして、そこに、エンペルトの嘴が回転しつつ直撃していた。我慢とドリル嘴によって、ノクタスも倒された。


最後にリョクシが出したのは、コバルオンやビリジオンと同系列の岩窟ポケモン、テラキオンであった。一方、アキヤマが最後に出したのは、彼のパートナーで、下っ端戦では一瞬で勝利を収めたジャローダだった。
岩窟ポケモンは登場するなり岩雪崩を撒き散らしていた。しかし、ロイヤルポケモンも負けてはおらず、次々降る岩をリーフブレードで壊しつつ、逆にテラキオンの周囲に種を蒔いていた。これをテラキオンが踏んだ瞬間、種が萌芽し、複雑に絡みついていった。
そこから奪った体力は、ジャローダのものとなっていく。
「刺激を与えることで発芽する種を蒔いたのか」
「鋭いですね。ただ発芽するだけやと、何もおもろくないですから」
ストーンエッジがロイヤルポケモンを掠めるが、その度に草の締め付けが強くなり、ジャローダの傷を癒していく。テラキオンがやっとの思いで締め付ける宿り木を引きちぎったところで、ロイヤルポケモンは、大技の準備を整えていた。
「食らえーっ、ハードプラント!!!」
アキヤマの指示とともに、大きく太い根っこが岩窟ポケモンを飲み込んでいった……。


「あ……あ……リョクシ様が……負ける……なんて……」
下っ端はかなり泣きじゃくっていた。今の光景が信じられないのだろう。
「わしの全力を超えるものを見させてもらった。ありがとうよ」
「いいえ、でも、あなたも強かったです。正直、敵味方っていう状況を無視しても、俺はあなたのことをすごいって思いました」
リョクシはアキヤマに鍵を渡し、そして言った。
「お前の仲間達はきっと優勢に事を運んでいるように思う。しかし……スムラと当たった者は……負けを覚悟した方が良いかもしれん」
「それは……何故?」
「奴はとにかく、卑劣であるからだ。対峙する者が強ければ強いほど、奴に倒されやすい。事実、そのようになって、ギロチンで処刑された者を、わしは何人も見てきた。……大切な仲間を失うことになってしまうかもしれんぞ?」
「……誰と当たるとしても、誰が当たるにしても、俺らは誰も失いたくないんです。……負けないと、信じているんです」
アキヤマは、そう、しっかりと言い切った。そして、扉を開き、先を急いだ……。

七賢人完全撃破まで、あと、1人。

次へ続く……。



マコです。お久しぶりです。約1か月振りの更新です。
無事に試験も済み、合格も無事にもらえました。
さて、本編です。
七賢人に1人くらい、こういう考えの人がいてもいいと思います。
さて、いよいよ次回、七賢人編ラストです。
リョクシが言っていたスムラがラストの七賢人です。
これは……スムラと戦うあの人がヤバい目に遭ってしまうかもしれません……。


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