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  [No.584] 第7話 フルバトルその4 VSヴィオ 投稿者:マコ   投稿日:2011/07/15(Fri) 14:02:56   47clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

これまた別の部屋では、氷のブロックがいくつも置かれてあって、明らかに寒そうな場所であった。そこに、老人と青年が一人ずついた。
「……呼吸をしている、心臓が鼓動を刻んでいる。それは生命として、ただ存在している、それだけのこと。ワタシは、それだけでは生きているとの感覚が得られぬ。楽しくても、苦しくても、生きているという実感は重要なのだ」
「それじゃあ、普通の所にいても生きている実感はないってわけなんや」
青年、トキのこの言葉に、老人、ヴィオはこう返した。
「ワタシは、その実感を得るために、わざとこのような過酷な場所に身を置いている。……オマエにはこのことの素晴らしさが分からないだろうな」
「……」
「まあ、ワタシのこんな下らない話に付き合ってくれたのだ。ここから先にオマエを通すわけにはいかない!」
「やったら、俺はお前を突破してやるっ!!!」
戦いは始まったのだ!


老人が最初に出してきたのは、カントーでは伝説の3匹の鳥ポケモンとして知られるうちの1匹、ファイヤーだった。対して、青年は大きな牙を持つ氷割りポケモン、トドゼルガを出した。
見た目通りというか、何というか、先に動いたのは火の鳥の方で、眩い光を放ちながら室内に光球を出現させた。日本晴れである。
この光球によって炎の技の威力が上がるわけなのだが、怖いのはそれだけではなかった。
「トドゼルガ、波乗り!」
大きな氷割りポケモンが大波を出現させ、弱点の技で火の鳥を飲み込んだわけだが、
「……そこまで効いてへん!?」
天候効果で、水の技の威力が下がってしまっていたのだ。よって、弱点を突くことには突けるのだが、思うようにダメージが上乗せできない。逆に溜めなしのソーラービームを食らってしまい、劣勢であった。
「こんなくらいではワタシを倒すことなんて夢のまた夢ですよ!」
「……それはどうやろうか?」
「何故そんなに自信に満ちた表情をしている!?……!!」
何と、ダメージを食らいつつも、トドゼルガはファイヤーに近づいてしがみつき、重量通りのパワーで地面にたたき伏せているではないか!
「なっ……嘘だ!」
「至近距離で絶対零度!!!」
命中率がいくら低い技と言えど、かなり近い距離から放たれると回避も厳しいものである。間近で必殺の一撃を食らうと、いくら伝説とか幻のポケモンの類でもノックアウトされてしまうだろう。例に漏れず、ファイヤーは氷の一撃技の前に地に伏した。


ヴィオが2匹目に出してきたのはギガイアス。見た目と特性、両方の面からして、いかにも頑丈そうなポケモンである。一方、トキはまだ日本晴れの影響が続いていることを考え、トロピウスを送り出した。
普段は若干ゆっくりとした印象が否めないフルーツポケモンだが、天気が晴れている今、一気に活発になった。葉緑素の特性が発動しているのだ!
そして、晴れの天候での草ポケモンの常套手段である、溜め動作なしのソーラービームを高圧ポケモンに食らわせたのだ!
それが当たった瞬間に、ドオオオン!!!という激しい音と光が発せられ、高圧ポケモンは倒されたかに思われた。
「いったか?」
「まだ甘いぞ、青年よ!」
「……!!?」
大ダメージを与えたのは紛れもない事実だ。しかし、ギガイアスの怖い所は、その特性にあった。体力が満タンである限りは、どんなに強力な攻撃を食らおうとも、突っ張りなどの連撃を食らわなければ絶対ギリギリのところで持ちこたえるのだ!
「分かったか、甘いという意味が!ギガイアス、大爆発!」
「避けろトロピウス!!」
広がった爆風に多少巻き込まれながらも、フルーツポケモンは何とかノックアウトされずに済んだのである。ここでちょうど、光球が消滅し、もとの寒い環境に戻った。


老人が3匹目に出したのは他人を化かすことで有名な化け狐ポケモンだった。だが、特性を使わずにストレートに出してくることに、裏のようなものを感じたくもなる。出されたポケモンを見て、少々考えたのちに、青年は武術ポケモン、コジョンドを出した。
お互い攻撃力は高そうで、防御力は逆に低そうだった。なので、短期決戦になるだろうというのを、トキは薄々感じていた。
(ここは、先に行かんと負ける!)
「コジョンド、猫騙し!」
パチン、という音とともに、ゾロアークの動きが止まる。そこに青白い球体がいくつも降りかかる。波導弾だった。それに負けじと高速移動で化け狐は紫のオコジョに接近し、辻斬りを食らわす。しかし、接近戦は格闘のポケモンのテリトリー。拳を狐の体に当てたオコジョは相手の体内にある「気」を吸収していき、化け狐ポケモンを倒すに至った。ドレインパンチの効果は、草ポケモンの吸い取り系統の技同様、恐ろしいものであった。


4匹目にヴィオが出してきたのは、カントーの雷の鳥、サンダーだった。一方、トキは青い鮫のような砂竜のガブリアスを繰り出した。
「この状態だと、最大の武器である地震が使えないことも知らぬのか。愚かな者よ」
「分かっとるわそんなこと!地震以外にも使える技はあんねん!ナメんな!!」
先に動き出したマッハポケモンは、強靭なジャンプ力をもってサンダーに近づき、腕のヒレを硬質化させた刃で真一文字に相手を切り裂いたのである。ドラゴンクローの炸裂であった。
しかし電撃ポケモンが黙っているはずもなく、氷の力を持った目覚めるパワーで反撃する。砂竜は氷4倍の弱点を突かれ、さらに氷が腕を覆う格好になってしまった。
「どうした。もう降参か?」
「そんなんするかっ!!!腕に火炎放射をして氷を融かせ!」
ガブリアスならば、自分に火を当ててもそう堪えない。炎で氷を融解し、そして、
「逆鱗を使え!」
とんでもないオーラに包まれたかと思うと、一瞬にして、本当に音速に近いスピードでサンダーに接近し、数十発もの打撃を食らわせた。ドラゴン物理技最強クラスの攻撃をもろに食らった雷鳥は、ボロボロの状態で墜落していった。


ヴィオの5匹目はフワライド。気球のようにふわりと浮いている。先程の逆鱗のマイナス効果で混乱を起こしているガブリアスを戻したトキは、次のポケモンとして電気の獅子、レントラーを出した。
眼光ポケモンはその凛々しい姿から、相手の士気を減退させる雄叫びを発した。気球が少しだけ、びくんと動いたのは、気のせいではないだろう。
しかし先に動いたのは、先程驚いてしまった気球の方だ。人の指の腹くらいの大きさまで体を小さくし、そこから怪しい風を吹き起こす。
「レントラー、ここは電撃波で確実に行け!」
その作戦は当たった。いくら回避に自信のある小さな状態でも、必中技は必中技なのだ。たまらず元の大きさに戻る気球ポケモンに、追撃とばかりに氷の牙を食らわす。
ガチゴチに固まったところで10万ボルトを行った、の、だが。

ズドーン!!!

かなりの音が鳴り響いた。見ると、凍っていたはずなのにフワライドはレントラーに接近して、死に際の誘爆を炸裂させていたのだ!
「嘘やろ……10万ボルトは接近技ちゃうのに……」
「倒れ際に至近距離まで近づいておけば、誘爆は発動できるからな。……しかし倒すまではいかぬか。しぶといものよ」


とはいえ、ヴィオはもう後がなくなっていた。次が最後の1匹。その局面で出してきたのは、カントーの氷の鳥、フリーザーだった。そして、最後にトキが出したのは、彼のパートナーである誘いポケモン、シャンデラ。
ここでヴィオは、とんでもない指示を行ったのである!
「この部屋全体に絶対零度」
指示するなり、猛烈な冷風が部屋中を駆け巡っていく!!幸い、シャンデラに当たることはなかったものの、二人の足場はみるみるうちに凍っていった。
「お前、何してんねん!そんなことしたらお前も」
「ワタシにとってはこれが生きているという実感を得られる証拠!これでポケモンとオマエを揃って倒し、そしてオマエの亡骸からポケモン達を解放してみせるっ!!!」
自分が最も力を発揮できるというこの環境で、とてつもなく残酷な野望を語るヴィオ。追い詰められたことで本性がむき出しになったのかもしれない。とにかく、こんな場所に長時間いては、凍傷でボロボロになってしまいそうだ。ポケモンはともかく、人間が。
「シャンデラ、俺の足元の氷を融かしてくれ。焼かない程度で」
それでも、傷の具合はまだツイていた方かもしれない。そうひどい凍傷ではなかった。勝負が済んで温めれば何とかなりそうなレベルだ。
「フリーザー、生意気な奴に冷凍ビームを食らわせろ!」
ただ、相手の冷凍ポケモンが明らかに人間に向けてのダイレクトアタックを仕掛けてきており、非常に危険な状況に変わりはなかった。公式戦では卑怯・危険行為で失格になりかねないが、今目の前にしている相手は七賢人。こんなことザラにしてくる。
そして、冷凍ポケモンが幾度目かの冷凍ビームを出してきたときに、シャンデラが一撃必殺の反撃を試みたのである!
「シャンデラ、オーバーヒート!!!」
もともと特殊攻撃力の強い誘いの霊灯は、自分の持つフルパワーを超高温の炎に込め、それを発射した!
その炎は、伝説のポケモンの発した氷でさえも赤子同然に呑み込み、そのまま直撃し、冷凍ポケモンを落下させたのだ……!!


「ワタシはオマエにとんでもないことをしようとしていたようだな……反省が必要だ……」
「……反省のレベルを飛び越えてもうてる気がすんねんけど」
部屋にあった氷のブロックは先程の高熱の塊ですべて融けてしまった。その空間の中で、ヴィオはトキに勝利の証である鍵を手渡していた。
「オマエは、ワタシのような卑怯な男にだけはなるな!さあ、先へ急ぐがいい!!」
トキは施錠されていたドアを開き、先へ進んでいった……!

七賢人完全撃破まで、あと、2人。

次へ続く……。


マコです。
自分のゲーム中のバトルスタイルはこんな感じです。ひたすら攻撃しまくるんです。
実際のバトルではダイレクトアタックは禁止ですよ!
さて、いよいよフルバトルも終盤戦です。
次に登場する七賢人、ヒントは……
ウルガモスをゲーチスに献上しようとした人!
ちなみに、あの「セリフがおかしい下っ端」も出てきます!


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