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  [No.582] 第6話 フルバトルその3 VSジャロ 投稿者:マコ   投稿日:2011/07/12(Tue) 18:41:14   46clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

また別の部屋では、川が流れ、大きな滝もいくつかあった。そこに、老人と青年がいた。
「青年よ、そなたはこの言葉を知っているか」
そこにいた老人、ジャロは、青年、キザキに言った。
「海内存知己 天涯若比隣(かいだいちきをそんすれば てんがいもひりんのごとし)という言葉を」
「え……すみません、知りません……」
「これは初唐の詩人、王勃(おうぼつ)の詩《送杜少府之任蜀州(としょうふのにんに しょくしゅうにゆくをおくる)》の一節だ。この世界に自分を理解してくれる者がいれば、天の果て、地の果てと離れていようとも、隣にいるようなものである、という意味。そなたはあの女のことをそう思うが故に、先を急がせたということか」
「俺は、あの子なら、あんたらを止められると踏んだんよ。あんたらが思うより、信頼は強いと思うわ。もちろん、あんたらの仲間の人と戦っている先輩方も同じ気持ちやろうと思いますけどね」
確信を持って、そう言い切ったキザキ。
「そう、か。では、そなたをわたしが思い切りひねり潰してあげようではないか」
「ひねり潰されるのはあんたやっ!!!」
こうして、バトルの幕は上がった!


老人が先発で出したのは、シンオウでは「感情の神」として崇められている感情ポケモン・エムリット。対して、青年が出してきたのは鍵爪ポケモンのマニューラ。進化前のニューラと大きさはそう変わらないが、体から溢れる威圧感が桁違いだ。それでも、感情ポケモンは怯えたのも最初のうちだけであり、すぐに平常心となっていた。そこ辺りは希少なポケモンといえる所以だろう。
先に動いたのはマニューラ。しかし攻撃ではなく、あくまでも準備態勢といった感じで、爪とぎを行っていた。シャッ、シャッという音だけが不気味に響く。そうやって研がれた爪で、切り裂いていく準備は万端のようだ。対して、エムリットの方も攻撃は行わず、何やら祈りを捧げていた。すると光が一筋、感情ポケモンのもとへ降りてきて、包み込んだ。守護のおまじないのようだ。
「そなたは慎重に行くつもりなのだな」
「そっちこそ。やけど、そろそろこっちも行かせてもらおうかな!マニューラ、氷の礫を出してやれ!!」
鍵爪ポケモンの手から生み出された尖った氷の欠片達は、意思を持ったように一斉に感情ポケモンへと降りかかっていった。が、
「神通力!!」
不可視の念の力がたくさんの氷を粉砕し、相殺したのだ。
「そうきたか……」
「そなたの悪のポケモンに対し、わたしの方はエスパー。ダメージを与えられるわけではないが……相殺くらいなら簡単だ!」
バッサリと断言したジャロ。その様子を見て、キザキは少し悩んだ。
「うーん、……あんまり使いたくはないけど……、しゃあない、使うしかない!!」
少し悩んだ末に発した指示は、
「袋叩き!!!」

ヒュバババッ!!!
指示をした直後だった。青年の腰についていたマニューラ以外のボールから、他の5匹のポケモンが出現し、エムリットに一斉に殴りかかるではないか!もっともその中には、手と呼べるものがないポケモンもいたが。
そして、鍵爪ポケモン以外が自分のいたボールに帰るころには、かなりの打撃を受けて力なく墜落してしまったエムリットがいた……!
その技は第三者から見ると卑怯に見えるかもしれないが、立派な技なのだ。ただ、使う人が使ってもよいものか、と少々悩んでしまうこともあるようだ。


ジャロが2匹目として出したのは、シンオウでは「知識の神」といわれる知識ポケモンのユクシーだった。一方、キザキが出したのは「砂漠の精霊」といわれる虫のような竜のフライゴン。
「せっかく地震という大技を持っているのに、これでは勿体ない。とんだ判断ミスだな」
「……俺もナメられとるもんやなあ。悪いけど、地震だけがコイツの得意技ちゃうからな」
ポケモン達が技を出す前から、トレーナー側が口論になっていた。


そうして、先に動いたのはフライゴンであった。翼をはためかせ、辺りに砂を巻き起こす。精霊ポケモンには平気なこの環境も、ユクシーにはいささか酷な状況だ。
それでも、何とか堪え続けることで、緑の地竜から容赦なく吐き続けられるブレス(竜の息吹)攻撃を凌いでいた。
そして、砂が晴れ、ようやく視界が開けた頃、知識ポケモンに異変が起こっていた。
「ユクシー、置き土産で次につなげなさい……!?何故動かない!?」
何と、ビリビリ震え、動きが鈍っていたのだ!
「麻痺の追加効果やな。竜の息吹をあれだけ食らったらそうもなるもんな」
「……マズイ!ユクシー、眠りなさ……」
指示を放とうとしたジャロだったが、一歩遅かった。
「噛み砕くを使え!」
回復に入る前に攻撃を行ったフライゴンのスピードが勝ったようだ。


ジャロの3匹目は「意志の神」といわれるアグノムだった。キザキは先程頑張ったフライゴンを戻し、ムウマが闇の石の力で進化したマジカルポケモン・ムウマージを出した。
先に動いたアグノムが集中している隙を突き、ムウマージは影でできた球体、シャドーボールをいくつも当てていった。
しかし、ちょうど、その時!

念の力がぐわん、と巻き起こり、マジカルポケモンを吹き飛ばしたのだ!その様子に、青年は唖然としていた。
「今……何が起こったん!?」
「悪だくみを最大限まで積んだ神通力だ。大抵のポケモンはそれで一捻りだが……しぶといな。まだ戦おうとするのか」
ムウマージは何とかふわりと浮いてはいたが、かなり限界が近かった。
「まあいい、もう一度、神通力で今度こそ倒す!」
「……ムウマージ!『アレ』を使えーっ!!!」
ほどなくして、強力な念の力が幽霊を直撃した、が、その瞬間にマジカルポケモンの体が青白く光った!そして、次の瞬間には、

2匹のポケモンが同時に墜落していたのだ……!

「今、何を行った?」
「攻撃の瞬間に『道連れ』を使わせてもらった。一方的に倒されるくらいなら、相討ちの方がまだええからな。……ムウマージ、よう頑張った」
攻撃力の上昇したアグノムに対し、ムウマージは執念でドローに持ち込んだ。


老人の4匹目はトルネロス。イッシュでは暴風雨を巻き起こすポケモンとして知られる。一方、青年はレアコイルが磁場の影響を強く受けて進化したポケモン、ジバコイルを出した。
その瞬間にジャロが苦虫を噛み潰した表情になっていた。有効打がないことを自覚したのかもしれない。それでも、イタズラ心で先に動き、何とかして自分の得意なフィールドである雨の状況を雨乞いによって作りだした。先程のフライゴンと同じ手である。精霊ポケモンとの決定的な違いは、雨にダメージを与える性能はないということだ。
しかし、雨を呼び起こすことは、磁場ポケモンにも有利となっていたことに、ジャロは気付いていなかった。
「これなら、一撃打てる。ジバコイル、雷!!」
雨には雷を必中にさせる効果もあった。太い光がきらめき、旋風ポケモンはフラフラになっていた。そこに追い打ちをかけるように先とは異なる鋼の力を持った光、ラスターカノンが炸裂し、とうとう風神は倒された。


5匹目にジャロが出してきたのはでかいトンボのようなポケモン、メガヤンマだった。ヤンヤンマが原始の力を得て進化した姿である。それに対してキザキは4個の翼をもつ蝙蝠、クロバットを出した。
まず先に動き出したのは紫の蝙蝠の方であった。すうっ、と近づき、猛毒を帯びた牙を楔のように打ち込んだ!強烈な毒にオニトンボはのたうちまわり、加速して引き剥がそうとするが、簡単に離れてはくれない。原始の力を至近距離で当てたことで何とか剥がれてくれたが、予想以上の弱りっぷりにジャロは頭を抱えていた。
しかも猛毒なので、動き回るごとに毒がハイスピードで回って行く。加速による速さで立ち回るこのポケモンなだけに、とてつもなく痛い攻撃だった。
風の刃、エアスラッシュを打って怯みを狙っても、蝙蝠には怯みを無効化する特性、精神力がある。毒で弱ったところに、逆にエアスラッシュを食らってしまい、メガヤンマはノックアウトされた。


老人が出した最後のポケモンは、昔に使われた銅鐸の形をしたドータクン。耐久力が持ち味である。対して、青年が最後に送り出したのは、自らのパートナー、ダイケンキ。
銅鐸の動きが遅いのを見て、先に動いたのはダイケンキの方だった。
「水の波動!」
貫禄ポケモンから出された水は、銅鐸に当たった途端に響いた。衝撃によって混乱するかもしれない攻撃をドータクンが食らったわけだが、見たところピンピンしていた。
そして、ようやく動いた銅鐸が繰り出した技はこれだったのだ!

「トリックルーム」

銅鐸が何やら力を発すると、周りにたくさんのパネルが浮かんだようになっていた。それと同時に、貫禄ポケモンの動きが目に見えて遅くなっていた!
「そなたはすばしっこそうなポケモンをたくさん持っておるようだな。しかし、それもこの技の前では無力だ。ここの空間では遅いポケモンが速く、逆に速いポケモンが遅くなってしまうのだからな!」
神通力がバシバシとダイケンキに当たってしまう。
「これでおしまいだ!神通力……!?何故速く動ける!?」
トリックルーム内での速さを活かし、先制で神通力を決めようとしたドータクンだったが、何とそれよりも速く水をまとったダイケンキに激突されてしまったのだ!
「そなた、今、何をした!?」
「トリックルームでも先制技は先制技やねん。アクアジェットで攻撃したってわけ。いつまでもあんたの思い通りになるって思うな!」
さらに、トリックルームの時間切れが起こり、お互いが元の速さに戻ってしまった!
「こんな……生意気なガキに……」
「とどめや!ハイドロカノン!!!」
トリックルーム内で散々痛めつけられた貫禄ポケモンから、特性の効果でもっと強力になった水の究極技が発動され、銅鐸を弾き飛ばしていった!!!


「わたしに恐れずに立ち向かうとは。大したものよ」
キザキはジャロから、勝利の印となる鍵を受け取った。
「それでも、あんたはなかなか強かったで。……やったことは許せへんけど」
「そなたらが行動を起こせば、世界だって変えられるはずだ。さあ先へ進み、行動を起こせ、若き者よ!」
施錠されたドアを開き、キザキは先を急いだ……!

七賢人完全撃破まで、あと、3人。

次へ続く……。



マコです。
ちょうど折り返し地点の3人目。
道連れとか、自分ではなかなか使わないような技も、小説内なら結構、登場人物が使いますね。
漢詩は必死に調べました。高校では確か習わなかったような……。
とにかく、これで半分撃破です!
次に登場する七賢人。ヒントは……
コンテナの中でブルブル震えていた人です!


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