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  [No.3160] 黒色火炎の解説 投稿者:黒い人   投稿日:2013/12/05(Thu) 21:51:39   76clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

作者です。
自作「黒色火炎」の解説文を書きます。
ネタバレを多大に含むので、それを了承した上でお読みください。






テーマ
鳥居と言うことで、神社、救いをテーマにしました。
ポケモン世界と私たちの世界とでもっとも異なる点は、ポケモンの有無です。普通は神社に神様はいませんが、ポケモン世界には救いを与えてくれるものが本当に存在する。その事を書いてみたかったです。

救いを与えてくれるものが本当にいる。その事を考えたときに、じゃあその救いを与えてくれる神様は誰に救ってもらえればいいのかなと考えました。
そこでこのお話が生まれました。

鳥居の向こうには何があるの? と問われれば、こう答えましょう。
「鳥居の向こう側には鳥居がない世界が広がっている」

救いを求めるために人々は鳥居をくぐります。しかし、救いを与える場であるところの「鳥居の向こう」には救いがない。
私はこの皮肉が大変気に入りました。

救いを得る場所がない「地獄」。そこで永遠に生き続ける神様。
そんな神様を、神様に頼りっぱなしの「こちら側」の青年が、救ってあげる。
そんなお話を書いてみたかったです。

面白いな、と思ってくれた人が一人でもいたら、私はとても嬉しいです。
つまらないと感じたら、ごめんなさい。



以下は細かい解説です
テーマに大変な皮肉を含んでいるので、ストーリーもちょっとグロテスクな(しかし一見すると気づかない)皮肉を沢山入れてみました。
人間側のお話の文体を(特に第一章で)やたら明るくしたのは、人間のすむ場所がこちら側だったからです。
特に、両親が死んでしまったナナと呼ばれるキャラクターを、死んだ両親を恋い焦がれ続けている(そしてその事すら忘れてしまっている)キュウコンが優しく救ってあげると言うのは、秀逸だったと密かに思っています。
このシーンを人間側、キュウコン側でわざわざ二回も出したのは皮肉に気づいてもらいたかったからなのですが、通じたでしょうか?
わかって読むと、結構強烈です。
キュウコンちゃんごめんよ・・・・・・。

しかし、皮肉だけでお話が終わってしまうと後味が大変悪いですし「救いのない神様を救う」というテーマを完結できません。
そこで、こちら側と向こう側を繋げる工夫が必要になってきました。「こちら側」を乱入させて擬似的な鳥居を作成し、そして地獄に救いを与える為の前準備です。

私は「掛け合い」というシステムを作中に導入しました。
なんのことはなくって、人間がいった台詞に擬似的にキュウコンが答えるという場面の切り替え方にしたんですね。
さすがに最初の2節はいれようがなかったのですが、それ以外はこの掛け合いを結構いれています。
掛け合いは皮肉を伝える場面でも結構便利で、
人:神様にも、心の救いはあるのかな
神:なら、その神は、いったい誰に救いを求めるのだ?
とか、
人:神様に聞けば、答えてくれる。そんな気がした
神:神が私に答えをくれたことは一度もない
とか、鳥居のこちら側と向こう側の対比を鮮明にしつつ(この対比はキュウコンの一人語りでも何度か繰り返した)、けれども人間主人公がキュウコンと会話しているような感じを出せると言うことで、結構気に入っています。
ただ、やり過ぎてちょっとあざとかったかも。うっとうしいと感じたらごめんなさい。。。

で、この掛け合いは第二章になるとちょっと雰囲気が変わってきます。
神:神とは所詮、その程度のものだ
人:ヒトとは所詮、この程度のものなのかもしれない
みたいに、共通項っぽくしてみました。第二章からはなるべく対比という要素を減らしています。一章が残酷な皮肉を与える場面としたならば、二章は神様に救いを与える場面ですから。
人間主人公がキュウコンと同じく本来の目的を忘れて研究に没頭してしまったのも、共通項を作るための措置です。この人イタイなーって思いながら書いてました。

極めつけはこの一行
――ヒト頼みにしては、上出来だと思います
これをぜひ神様に言わせたかった。

そして、本来の意味を失った「伝統」の暗喩である「炎をはけたら救われる」という無意味な願望の承認を経て、キュウコンが(ホンの少しだけ)救われる。
そんなエンディングです。
ヒト頼みにしては、上出来でしょう?

異論反論酷評批評、何でもしてください。
よろしくお願いします。

以上


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