ある夜、ホウエン地方のコトキタウンに程近い、とある豪邸での出来事。
「エレンはもう16にもなるのに毎日毎日遊んでばかり……」
「私達の活動がうまくいっているから良いとはいえ、少し甘やかし過ぎたな」
暗い廊下に明かりがもれる、絢爛豪華な装飾が散りばめられたリビングから、なにやら話し声が聞こえてきます。
「私ももう50だ。エンジュがいるとはいえ、もしもの時のために、エレンにも何か修行をさせるべきだな」
「そうねえ……」
この夫婦の間に産まれた長女、エンジュは数年前にホウエン地方の危機を救った英雄として歴史に名を残しました。
対して次女であるエレンは姉の栄光の陰で、家が金持ちなのを良いことに毎日毎日のほほんと暮らしています。
「ならいっそのこと旅に出してみる? あの子は騙されやすいところがあるし、天然だから心配だけど」
「……君は昔から危険な賭け事が好きだな……」
「あらあらうふふ、そんな私に惚れたのはセンリさんじゃないの」
◆◆◆
さてさて話はとんとん進み、今日はエレンの旅立ちの日。
「いいか、エレン。まずはここから南のミシロタウンに行くんだぞ。オダマキ博士にはパパが連絡しておいたから!」
「だーいじょうぶだいじょうぶ! あたしときーくんなら問題ナッシングだから! ねーきーくん!」
青いバンダナで髪をまとめ、同じ色のリュックを背負った少女――エレンが、傍らのナックラーに笑いかけます。
「ハンカチは持ったか? ティッシュは? ポケナビは?」
「だーいじょうぶだいじょ……あれ? ポケナビ部屋に置いて来ちゃった。パパ取ってきて」
「ああもうこれだから心配なんだ! すぐ取ってくるからな!」
――はてさてこの旅、一体どうなることやら。
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オリジナル小説を書き始めたら早速レビューが来て興奮し過ぎて吐いたαkuroです。
数時間前に風呂で思い付いた、アルファサファイアの主人公(予定の)エレンの話です。
思いつきでエメラルドの主人公エンジュと姉妹にしてみましたが、全く似てないですね。