いろんな石を売るお店、いしやへようこそ!
何かお探しですか? 炎の石、水の石などの進化関連はこちらに、コハクや化石の類はあちらのショーケースにありますよ。そちらの棚には各種鉱物標本を取り揃えておりますので、どうぞごゆっくりご覧くださいね。
はい、お呼びですか? 何か気になる物が見つかりましたか。
ああ、こちらは変わり水晶の一つ、ルチルクォーツですね。透明な水晶の中に他の鉱物の針状結晶が内包されたものです。まるで金色の針がたくさん入っているように見えて、とても綺麗でしょう? 原石や磨いてカットしたもの、これはルースというんですが、どちらもコレクターの皆さんに大変人気があります。
これらの石は厳密には宝石ではなく、半貴石という扱いになります。一般的には天然石やパワーストーンとも呼ばれていますね。宝石ではないと聞いてがっかりされる方もおられますが、別に価値がないというわけではありませんよ? 宝石は希少性の高さや美しさ、年月を経ても劣化しないなどの特徴を持つもので、半貴石はその定義から微妙に外れるものだと解釈していただけばいいと思います。例えば石の産出量が多いとか、人工的に作られたものであるとか。とはいえ、定義に外れるといっても美しいものは沢山ありますし、鉱物学上ではともかく流通上では案外宝石と半貴石の区分は曖昧なことが多いですね。
さて、話が少々それましたが、今からパワーストーンとしてのルチルクォーツについてお話したいと思います。
この“ルチル”はラテン語で「黄金色に輝く」の意味を持つ語が起源です。黄金の水晶、ご覧のとおりまるで金そのものを包み込んでいるような石です。この姿から、特別に美しく輝く物は金運のお守りとして、また集中力や精神力を高める力があるとして珍重されてきました。勝負運を高めたり人を集める力があるとも言われているので、起業家の方たちに好まれる傾向があります。
その謂れとなる物語がカロスに伝わっておりまして。お聞きになりますか? ……はい、ありがとうございます。では長くなりますので、どうぞそちらの椅子にお掛け下さい。
さて、と。それでは始めましょう、ルチルクォーツにまつわる物語、題して【狐の涙石】。
昔々、カロスのある地方に鉱山の採掘で名を成した街がありました。その山一帯には良質の鉱石や貴石類が豊富に眠っていると噂され、それらを目当てに押し寄せる人々で大層賑わっておりました。
その噂を聞きつけて、遥か遠い遠い地方から一人の青年がやってきました。田舎の貧しい青年は、金銀宝石が湯水のように湧き出るという夢のような話を信じ、長い長い旅路を一心に駆け抜けてきたのでした。
ところが、慣れない場所で右往左往しているうちに、彼は荷物を盗まれ、ならず者相手のポケモン勝負に負けて手持ちを奪われ、あっという間に無一文になってしまったのです。
鉱山で働くためには相棒となるポケモンが必要で、ポケモンを捕まえる為にはボールが必要で、ボールを手に入れる為にはお金が必要で……しかし、彼には何も残っていませんでした。
目の前が真っ暗になった時、救いの手を差し伸べてくれた老人がいました。老人は鉱山の麓の森の管理人で、路頭に迷った青年を見かねて声をかけてくれたのです。
青年は老人の元に身を寄せ、森番の仕事を手伝いながら日々を過ごすことになりました。助けてもらった恩を返そうと、青年は熱心に仕事を手伝い、老いた森番の代わりに進んで力仕事をこなします。良い働き手が来てくれたと老人は喜び、何くれとなく世話を焼いてくれました。
忙しく、それなりに充実した毎日でしたが、未だ採掘の夢は心の奥底でくすぶっていました。気がつくと、彼はいつも山を見上げては溜息をついているのでした。
ある日、平穏な日々を揺るがす事件が起きました。一匹の凶暴なポケモンが、鉱山から大切な物を奪って逃げたというのです。森に逃げ込むかもしれないからくれぐれも気をつけろ、という伝言を聞いて青年は勇み立ちました。もしその犯人を捕らえる事が出来たなら、自分にも採掘場へ出入りする許可が与えられるかもしれない、と思ったのです。
果たして、そのポケモンは森に現れました。見慣れない色が森を走るのを見つけ、意気揚々と後を追った青年は息をのみました。
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ふと気付けば今日が一粒万倍日だったので、思い立って投稿。
「一作仕上がるまで次を出さない」とか言った気がするけど、そんなことはなかったのさ!
こちらが短いので何とか芽が出そう、かもしれない。
炎馬の王? 脳内でまだ逃げ回ってます……。 ※進捗していない