今日も一人の人間が眼前に現れた。人間は何やら丸いボールから、鋭い刃を持った緑色のポケモンを出した。その刃は私を怯えさせるのに十分な輝きを帯びていた。銀色に輝くその刃を、緑色のポケモンは両手に二つも所持していた。所持というより、体と一体化しているようだ。どっちでもいい。どちらにせよ、これからの彼の行為が仁義なきものであることには変わりはない。あの刃では、恐らく一撃であろう。逆に考えれば、一撃のみ我慢すればいいのだ。そう思えば、前回よりは楽ではある。前回は、中途半端にレベルの上がったポケモンに、何度も刃をぶつけられた。あれは悲惨だった。
ポケモンは、いよいよ刃を振り上げる。私には顔面がない。恐怖を軽減するために目を瞑るという手段を持たない。
次の瞬間、木である私は体の真ん中よりやや下の箇所をスパッと切られた。スパッという形容が、実によく似合いほど切れ味が良かった。
なんか物を主人公にした話しが書きたいと思ったので。九億八千四百五十四万年以内には完結します。