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  [No.3417] ペイズリー 投稿者:音色   投稿日:2014/09/29(Mon) 19:55:09   72clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

0 ペイズリ―柄について一言
どうもあの、ペイズリ―柄が苦手だ。生物の教科書に載っていた何かの微生物がちりばめられた模様が嫌い。


1 試験勉強

ごろごろとベッドの上でペイズリ―柄のタオルケットが転がっていく。
人が勉強しているというのに、まったく羨ましい御身分だことで。
そんなこと思いながら、その様子を見ている時点で勉強してないんだけどねー、と自分に自分で突っ込んで、ぐるりと椅子をまわして机の前に向かいなおってみた。
ノートは白い。
一問だって解いてない化学のセミナー。
カガク、じゃなく、バケガクと読む。
だってその方が分かりやすいだろ、と誰かが行っていたのを聞いて以来、化学はバケガクだ。
明日は本番のテスト。テスト週間ラストの教科の一つ。
もうひとつ、お供に地理がくっついてくるが、そんなモノは知らない。全力投球だ。諦める方に。
笑えないが正直地理よりも化学のほうが配点及び成績がでかいのだからしょうがない。
だからヤル気を化学に向けよう、とさっきからずっと努力しているが、机の上に置きっぱなしのシャーペンが早速その飽きっぽさを象徴している。
だって、なぁ。ヤル気を向けた一問目からまず解けない。チャレンジしたその瞬間から分からないなんて結構ダメージ大きいんだよ?答え丸写しはさすがにプライドは許さない。
ていうか、答えを写して理解できるわけがない。
という信条。なので自力でやる。時間は過ぎる。手は動かない。遂にシャーペンを置き、考え込む。ふと視線をやる。ベットの上でペイズリ―柄の・・とここまで来たらもう十分だ。
セミナーが一つだって進まないのを理由に、布団の上で飽きもせず転がるペイズリ―を眺めるのは飽きないなんて、どれだけ矛盾していることやら。
「ペイズリ―」呼んでみた。転がり運動がピタッと止まる。
「ペイズリ―」もう一度。もぞもぞ、円柱のタオルケットが立ち上がる。
「ペイズリ―」呼んでいる柄のタオルケットを振りほどこうと一生懸命。
「ペイズリ―」思わず笑みが漏れる。くすりという声が聞こえたのか、焦ってさらにほどけなくなっている。
「ほら、ペイズリ―」椅子から立ち上がり、手伝ってやってしまう。化学とけないし、気分転換だよ、と言い訳。
「やぁぷ」小さな声。
ほどけたタオルケットの中身は、転がりまくって目でも回ったのか、くるりくる、反動で2回ほど回って、こてんと後ろに倒れ込むように座った。
しかしパッチールみたいな目ではなく、変わらない笑顔。
そう、いつだってペイズリ―は笑っている。
ただそれは、それしか表情を知らないんじゃないかと時々不安になる。
種族上、ただそうなんだと知ってはいるけれど、それでも、笑っているペイズリ―を見て素直に笑えない自分が憎い。
大体、この子にペイズリ―なんて名前をつけちまったことが、いけないんだろうけど。
つけた理由を思い出しかけて、やめた。

2 散歩


「ペイズリ―」呼ぶと、ぱっとこっちの顔を見上げる。
「散歩行く?」気分転換に。本日二度目の言い訳。テスト、化学の全力投球決定。悪い方に。知ったことじゃない。気分が乗らない、何より解けない。ならば仕方がない。気分転換だ、とにかく今は。自分を説得。
ペイズリ―はただ水色クロ―バーの尻尾を振っている。
とんとん、階段を下りる足音がついてくる。
とんとん、安アパートのコンクリートはよく響く。
「やぷ」追いついた、とばかりに足元に小さな手。ぎゅっと握りしめるズボンのすそ。そんなに離れたくないのか、と言いたいが、迷子にならないようにとこの癖をつけさせたのは他ならない自分だと一人苦笑する。
街から遠くない住宅街住まい。ぶらぶら歩く。歩くたびにペイズリ―の歩幅が崩れていく。
ゆっくり歩けばいいんだろうけど、つい、小さな手の存在を忘れていつもの調子で歩けば、こてんと転げる。
それでも、変わらない笑顔で立ちあがってすぐにズボンを掴もうとする。
ごめんよ、「ペイズリ―」手を握ってあげたい。ただ、この身長差はちょっと。それも言い訳。
結局、ペイズリ―を拾っておきながら何もしない馬鹿は自分だ。
拾う、という言い方の時点で善人面。あぁ、また自分が嫌いになった。
抱っこしてやればいい。おんぶでもいい。肩車なんかしたらきっとはしゃいで喜ぶだろう。お互いに触れていられて、安心できる。
でも、それをしない。だって、10kgちょっともあるんだ。ずっとおんぶにだっこ、まして肩車なんて疲れるにきまっている。
そう、これも言い訳。自分の十八番。一つも自慢にならない。
それでも、ペイズリ―は何も言わず、ただ笑ってズボンを掴む。
電気屋の前で、でっかいテレビの隣で黄色いシキジカのきぐるみは『アナログからデジタルへ!』のノボリを持って立っている。
テレビのない(買う金がない)我が家には関係がないが、ペイズリ―はきぐるみに興味があるらしい。二足歩行のシキジカ。そりゃまぁ、変だよな。
テレビにはもうすぐ七夕という事でカントーだかジョウトだかで、でっかいマダツボミに七夕飾りを付けている女の子のニュースをやっていた。30m、のテロップに感心する。
ペイズリ―はしきりにきぐるみに挨拶をしている。きぐるみはちいさなペイズリ― に気がついて、手を振り返す。
行こうか、と声をかけて、その場を去る。
「バケガクのテスト、どうしようかなぁ」何気なくつぶやく。バケガク呼んで化学と書く。間違ってはいない。
何のことだろう、とペイズリ―がこちらを見上げる。
笑い顔、というより、少し眉をひそめたような、困った顔。口は笑っていないし、こんな表情もするんだ、と今更ながら再認識する。
それでも目はいつも笑っている。馬鹿にするような感じとかじゃない。そんな目しかできないんだ。いつもぐるぐるのパッチールみたいに、ヒヤップはいつも笑顔。もちろん、表情はちゃんとある。
そんなの分かってるけど。
こてん、またこけた。
「ペイズリ―」ごめん。の言葉が後に続く前に、立ち上がり、ポンポンとひざをはらい、そしてズボンのすそを掴む。
もちろん、笑顔で。
でも、その笑顔は本当に笑顔なんだろうか。分からない、と言い訳。
疑う前に、ペイズリ―のことを分かろうともすらしていないな。最低な自分。
溜息。
若干消えてしまいたい、この世から。が、ペイズリ―を残してそんなことはできない。いっそ無理心中。どこの小説だ。馬鹿な事を考えて、ペイズリ―のことを考えない。
そういえばペイズリ―の故郷を知らないなぁ、ふと思う。帰ったら、地理をしようか、とも考える。テスト範囲は、シンオウ地方だけど。
これも言い訳。何に対しての言い訳だかも、もう分からない。
何でもかんでも、とにかく理由を付けて逃げて、やめて、何がしたいんだ、自分。足は自然と、森に向かう。いや違う、足を引っ張る小さな手。
「ペイズリ―」どうした、と疑問符をつけようとして、やめた。
ほんの小さな力でも、考え事をしながら当てもなく歩く自分をこっちだと引っ張ってくれるのだから、抗うのは得策じゃない。
もちろん、これも言い訳。行く当てがないから、ペイズリ―任せ。森に行くのも、良いんじゃないかな。これすらも言い訳。

3 狐

舗装された道から、獣道へ。雑草を踏みしめながら、楽しそうに歩く水色の小猿。
それに引っ張られながら、課題、いつ帰れば間に合うかなぁ、あれほど集中できなくて逃げたはずの化学を考えることで今起こっている現実から逃げる。
まったく、身勝手な自分だ。バケガク、バケガク。声に出すと、書くのとイメージが違いすぎて、なんか何の勉強だか分かんなくなるよなぁ、と言い訳。もう、何から逃げているのやら。
「ペイズリ―」意味もなく呼ぶ。ぴたりと、小猿の動きが止まった。
「ペイズリ―」?、疑問符、を付けかけて、変に後半は上がってしまった。止まった小猿は、笑顔のまま、こちらを見上げる。
「ペイズリ―」普通に名前を呼ぶだけ。何から逃げてるんだ自分は。呼ばれたペイズリ―は返事もせず、ただ尻尾を振ってくれるだけ。その視線を向けられるのがつらくて思わず天を仰ぐ。
ぎゅ、と。ズボンのすそを掴む小さな手に、力がこもった。
「ペイズリ―」視線を落とす、何かあったのかな、と思ったから。そうしたら。
「ぺ、ペイズリ―」が増えた。いつの間にか、ペイズリ―が二匹になっている。
「ペイズリ―」やぁぷ。片方は返事をした、片方は何も言わない。どうしよう、どっちの反応もペイズリ―らしい。
あ、と声が漏れた。
片方のペイズリ―の尻尾が、おかしい。
漏れた言葉はもう元には戻らない。眉をひそめる二匹のペイズリ―。
「ペイズリ―」呼んでやる。片方は、元気よく手を挙げた。その時、もう片方のペイズリ―が気がついて、黒い尻尾を、ズボンのすそを掴むようにギュッとする。
ぽむ、と音がして、手を挙げていたペイズリ―があっという間に尻尾を掴まれた黒い狐に変化した。
赤いきつねはCMでもみるが、黒いきつねは初めて見た。まぁ、うどんにないしね、黒とか。論点のずれた言い訳、ていうか言い訳ですらない、ただのボケ。
ロコンも色違い、なわけではなさそうだ。尻尾一個だし。ペイズリ―(本物)は片方をズボン、片方を黒狐(偽ペイズリ―)の尻尾を掴んでちょっとおろおろしていた。
もっとおろおろしたのは狐。凝視されている理由に気がついて、自分の尻尾を掴む小猿に手を離せとばかりに威嚇交じりに一回吠えた。
仰天したペイズリ―、慌てて離した手をそのままズボンにやる。両手ですそを掴んで、それでも興味があるのか狐を見る。
尻尾から手を離してもらった狐の行動は早かった。くるるん、一回宙返りすると、今度はペイズリ―が混乱するものに化けた。私だ。
「ペイズリ―」呼んでみる。こっちを見上げ、化けたあっちを見つめ、困っている。こらこら、君は今までしっかりと本物のズボンを握ってるくせに。
あっかんべーをして狐が化けたままが駆けだした。尻尾丸見えなのに。
「やっぷ!」
え。
ペイズリ―がズボンから手を離して、明らかな偽物を追いかけ始めた。

4 老婆

偽物を追っかけてかけ出す小猿。速い速い、あっという間に見失いそうになる。
これ完全に明日の化学のテスト死亡フラグだなー。この現状さえも利用する言い訳。常日頃運動していない自分を責める。だから追い付けない。これも言い訳。
考える暇があれば足を動かせよ自分。いわゆるランナーズハイとかいう状態に陥ったことがないんだから多分無理。水色は速度を緩めない。
黒い尻尾を振りながら逃げてく偽物はどんどん小さくなっていく。明らかにあっちの方が運動神経いいじゃないか。化けるのなら徹底的に化けろよ。運動音痴なところとか。無茶苦茶な言い訳、いや言いがかり。
偽物(黒狐)、水色小猿、そして自分。距離はどんどん広がっていく。
ダメだ、息が切れてきた。乏しい体力が恨めしい。
ぽつんと頭に何かが降った。空は明るい。
「雨?」
全くこんな時に限って、天気雨ときた。やはり日ごろの行いが悪いからなのか。言い訳、なのかそうでないのか。
狐は見失い、小猿だけを追いかける。雨の中を跳ねながら水色は偽物を跡を追う。
不意に視界に小屋が現れた。妙に古臭く、でも見ようによればただの掘立小屋か。そこにペイズリ―は飛び込んだ。
この雨だ、




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此処でメモ帳は途切れていた
さーて、これ何時書いてたのか中の人も覚えてないぞ!!(爆
投げるだけならタダ、便乗便乗


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