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  [No.1003] 第22話「ボランティアと秘密の訓練」 投稿者:あつあつおでん   《URL》   投稿日:2012/07/02(Mon) 09:22:19   71clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

「おお、来ましたね」

 10月31日の土曜日、午前8時。俺達は再びサファリパークに来ていた。再びと表現したが、これから毎週来ることになるだろうな。さすがに10月末だと、この時間帯でも朝日がまぶしい。サングラスをしていても、これは中々こたえる。

 そんな中で、俺達はバオバ支配人と落ち合った。作業服姿だが、支配人としての気品がそこかしこに感じられる。

「ああ、今週からよろしく頼む。ほら、お前達も挨拶しな」

「おはようございます、イスムカです」

「ラディヤです。この度はお誘いありがとうございます」

「オイラはターリブンでマス。よろしくお願いしますでマス」

「それでは行きましょうか。まずは……」

 挨拶も済んだところで、バオバ支配人は出発しようとした。おっと、これだけは先に断っておかなきゃな。

「ちょっと待ってくれ、1つ頼んでおきたいことがある」

「なんでしょう?」

「……俺達がここでボランティアをしていることは、部外者には漏らさないでくれ。部活もここで行う都合上、余計な情報漏洩は避けたいんだ」

「そういうことですか。経営者としては非常に共感できる話ですね。分かりました、あなた方がここにいることは伏せておきましょう」

 俺の頼みを、支配人はあっさり受け入れた。完全に信用することはできないが、ひとまず情報管理には目処が立ったな。まあ、他校に手の内を探られる程強くならなければ意味無いが。

「そうしてもらえると助かる」

「では、改めて出発しますか」

 俺が礼をすると、支配人は歩を進めるのであった。さあて、一仕事やってくるかい。










「今日はこの辺りの清掃をやりましょう。終わり次第園内に戻ります。さあ、今日も張り切っていきましょう!」

「合点だ。さあ、どんどんやるぜ!」

 10分後、俺達はサファリに沿って流れる川に到着した。流れは穏やかだが、山を下れば急流になり、やがて海となるのが川と言うものだ。足元をすくわれないようにしねえとな。

 そこで、俺はボールから1匹のポケモンを繰り出した。ニョロボン、俺が旅を始めた頃に捕まえたポケモンだ。勝負の機会は少ないが、毎日の鍛練のおかげで今だに筋骨隆々としている。

「ニョロボン、腹ごなしにここいらの掃除をするぞ。終わったら水浴びでもしよう」

 俺がこう指示を出すと、ニョロボンは上機嫌で作業に取りかかった。地上で生活できると言っても、やはり水が好きなんだよな。俺はあまり好きではないが。

「いつ見ても強そうですね、先生のポケモンは」

 ニョロボンの姿を見たイスムカは、思わず手を止めため息を漏らした。さすがにわかるようだな、こいつの強さが。

「当たり前だ。数々の修羅場をくぐり抜け、数多の大会で実績を残した奴らばかりだからな」

「ほう、例えばどんな大会でマスか?」

「筆頭は言うまでもなく……いや、それは言えんな。知りたきゃ自分で調べろ」

 危ない危ない、口を滑らすところだった。仮に部員だろうが、俺の正体を感づかれるような話を聞かせるわけにはいかねえからな。まあ、予想通りターリブンがいぶかしがるわけだが。

「えー? もしかして、さっきのは嘘でマスか?」

「違う。なんでもポンポン答えたら、調べる癖が身につかないだろ? そのことを憂慮しての判断だ。少なくとも、校長に勝っているのだから実力はある」

「それもそうですわね。校長先生は、今では全国でも指折りのジムリーダーですから」

 ナイスフォローだラディヤ。彼女の言う通り、タンバジムリーダーのシジマは非常に強力だ。彼の使う格闘タイプは近年強化が著しく、毎年のように新しい技やポケモンが登場している。さらに、リーダー自身も研究を重ね、今ではジョウト地方で最も強いのではないかと目される程だ。あの時は勝てたが、6匹で勝負したら分からないな。ま、今はどうでも良いことだが。

「そう言うこった。って、ついつい無駄口叩いちまったぜ。ほら、口よりも手を動かせよ」

「はーい」










「ふう、今日はこれで終わりか?」

「ええ。お疲れ様でした、明日もよろしくお願いしますよ」

「ああ。さて……」

 午前11時48分。一通り片付けた俺達は、サファリに戻ってきた。随分時間を食っちまったが、良いトレーニングになったろう。

「じゃあ、早速訓練開始だ。今日は場所も良いからな、特別に勝負をするとしよう」

「ほ、本当ですか!」

「ただし、使えるのは先週サファリで捕まえたポケモンだけだ。新顔のチェックと言うわけだが、もしいないなら他の手持ちを使え。それじゃ、さっさと選びな」

 俺の発言に目を輝かせた3人は、嬉々としてボールを手に取るのであった。さあ、真剣勝負の始まりだぜ。


・次回予告

さあ、久々の対決だ。地方大会では散々な出来だったが、今回はもう少し踏ん張ってもらいたいところだな。次回、第23話「新顔現る」。俺の明日は俺が決める。


・あつあ通信vol.88

本当は今回で対戦パートに入るつもりでしたが、思いの外長引いたので分割にします。

しかし、最後にバトルしたのって何話ですっけ? 今作は雑談回があまりにも多すぎて、売りである対戦回が少ないのがちょっと気になりますね。ストーリーの都合上仕方ありませんが。


あつあ通信vol.88、編者あつあつおでん


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